エリス目線 愛しのアーサー先生
今日また愛しい人が帰ってくる。
私はエリス・ル・ブラン・ド・ ナイトブリッジ。貴族の令嬢にして【聖女】のスキル持ち。そして、アーサー先生に恋をするただの少女だ。
愛しのアーサー・ウォード先生(26)
好きな食べ物はマスタードがたっぷり入ったサンドウィッチ。朝起きる時間は8時。寝る時間は12時。パンにはジャムをたっぷり塗る派。もちろん童貞(予約済み)
アーサー先生がアルケイン魔法学校を理不尽に退職させられ、そのニュースを初めて聞いた時、私は驚いた。セクハラなんてそんなことをする先生じゃなかったからだ。
今日先生は冒険者ギルドのクエストに行っていた。
私は先生の帰りを待っていた。玄関のすぐそばで。椅子に座りながら。そわそわする。クエストは大丈夫だったのだろうか。まさか先生に怪我が……私は心配になる。
◇
先生と再び出会った日。レイモンドによって理不尽に先生が職を追われた時、私は居ても立っても居られなかった。
冒険者ギルドで先生を見つけたとき私は声をかけられなかった。恥ずかしいのと、落ち込んでいる先生になんて声をかけたらいいか分からなくて。
そしてミラーカとどうしようかと街をブラブラしていたら、変な男たちに絡まれた。
「おねぇちゃん! 可愛いなぁ。俺らと付き合えよ」
もちろん私が本気を出せばこんな男たちなど一瞬で全滅だろう。ミラーカもカチカチ歯を噛み鳴らして下品な男たちを殺す気満々だった。
だが
「キャーーーーーーー!!!」
私は叫んだ。アーサー先生が助けに来てくれると思ったのだ。すると!
「だ、大丈夫ですか?」
なんだかイケメン風の騎士の男がやってきた。
「私はエリートクランの天空の剣! エドガーです! 卑劣な暴漢ども! そのか弱い女性を離せ!!」
男はそう名乗り叫んだ。
「エドガー!! あの最強のレベル6の!!」
「ペガサスにまたがって戦場を駆け抜けたあの伝説の騎士!? 実在してたのか!!」
荒くれたちが叫ぶ。有名人のようだ。
「さぁ! 早く散れ! この剣のサビになりたいか! この暴漢ども! あとお嬢様方大丈夫ですか? このエドガーが馬車でお屋敷まで……」
「あ。大丈夫でーーす」
私はその騎士の助けを断った。手のひらをその騎士に向けて拒絶のサインをする。
「えっ?」
エドガーの動きが止まる。
「あの私【聖女】持ちなんで……」
私は私の背後に神のオーラを召喚した。聖気で編まれた巨大な神。私はその巨大な神の手でパンッ! っと平手打ちするように荒くれたちを壁の方に弾き飛ばした!
「うおっ!」
「ぎゃっ!」
バコン!! バコン! 壁に当たって悲鳴を上げる荒くれたち。
「こ、これは……【聖女】の力……」
エドガーは驚く。
「あの……ほんっとに! ゴメンナサイ! 私助けに来てほしい人が決まってて、その人じゃないと助けられたくないんです。だから! 本当にゴメンナサイ!!」
私はエドガーに頭を下げた。
「えっ? あっ……どういうこと?」
エドガーは壁に叩きつけられてうめいている暴漢たちを見て呟く。
「ボクたちはアーサー先生と話し合うキッカケが欲しいだけなんだ。だから乙女の恋路の邪魔をしないで欲しい。無粋な騎士くん」
私はミラーカの言葉にコクコクとうなずく。
「えっ……あの……そんな僕は叫び声が聞こえたから……助けに来ただけで」
なんだかエドガーが可哀想になってきた。
「一体なんなんだ……」
「なんだあの力は……」
暴漢たちはヨロヨロと立ち上がる。
「ほら、暴漢A! 暴漢B! 騎士さんに謝りなさい!」
私は言う。
「えっ? なんで俺らが……」
「オイ! 相手は【聖女】だぜ? 叶うわけない! 従っとけ!」
暴漢たちは言う。
「色々とお騒がせしてすいません……」
「なんで謝らないといけないのか分からないけど……とりあえずすいません……」
暴漢たちはエドガーに謝った。
「あ、いえいえ、そんなご丁寧に」
なぜかエドガーも謝る。
「それじゃあ本当に大丈夫なんだね?」
エドガーは言う。アーサー先生がどこかに行ってしまうだろうが!! 早く行ってくれ!! 私はイライラしていた。
「本当に危なかったらちゃんと叫んで人を呼んでね」
エドガーはそう言って消えた。
「じゃあ俺らもそろそろ……」
「そうだな。怪我したしな……」
「待ちなさい! 今のナシです。5分前からやり直しです」
私は言った。
「えっ?」
「えっ?」
「あの騎士の方が助けに来る前からやり直しです。二人はそこらへんに立って……そうそうそこらへん」
私は暴漢の立ち位置まで指定した。
「本当に私たちを傷つけたら承知しないから
! 不死属性を与えてから永久に拷問するぞ!!」
ミラーカが暴漢たちに叫んだ。
「ひいっ!」
「嘘だろ……」
「特にアーサー先生を傷つけたら私のスキルで地獄に落としますからね。10年の120乗くらい炎熱地獄で苦しんで貰いますよ」
それが私のスキル。その名も永劫輪廻。相手を地獄に転生させ無限に近い時間拷問を与え続けるスキル。地獄では一日ごとに拷問によってなぶり殺しにされ、朝日がさすと事前に体が回復し、また拷問され殺される。そのサイクルを延々と繰り返す。10年の120乗くらい繰り返す。もちろん記憶を保持したままで。
一秒間その地獄を見せただけで多くの人は恐怖のあまり全身の毛が抜け落ちるほどの恐怖。そんなスキルを私は持っていた。発動条件はまだ言えない。
「ひいっ!」
「か、勘弁してください……」
泣いている男たち。
「あの、涙とかいらないから」
私は冷たく言う。
「はっはい!」
「じゃあいくよ……キャーーーーーー!!!」
私は叫んだ。
ビクッ! っとする暴漢たち。
「キャーーー!!!」
ミラーカも叫んだ。
「ひいっ!」
暴漢たちは叫ぶ。
「あのちゃんとやって?」
私は暴漢たちに怒った。
「はっ! はい」
「キャーーーーーーー!!!」
「キャーーーーーーーーーーー!!!」
「へへへへ……いいお尻してんじゃねぇか! ちょっとぐらい触らせろよ!」
「二人連れで危ないよぉ! 俺らが守ってやるからよぉ!」
暴漢たちの声は震えている。
「キャーーーーー!!!」
「おい! お前ら! なにをしている!」
アーサー先生だ!
きたああああああああああ!!!!!!! アーサー先生きたああああああ!!!!
私は心の中で歓喜した。
まだまだイチャイチャ続きますよ
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