ざまぁ展開 糾弾されるレイモンド
「アガサ学長! いい案を思いつきました!!」
アルケイン魔法学校の学長室でレイモンドはそう叫んだ。
「なんですか? レイモンド」
アガサ学長はため息混じりに言う。アーサーが去ってから三日くらいしか経っていないのにもはや学園は学級崩壊レベルまで達していた。それもこれもレイモンドが浅はかな考えの元アーサーを追い出したからだ。だが、レイモンドはそれを決して認めようとしなかった。
「炎の魔術教師であるフレイヤを使うのです。フレイヤは女教師ですが、アーサーと同じアルカディア魔法大学を出ています。なんと彼女の専攻は土魔法! 彼女ならアーサーの穴を埋められるハズです!」
レイモンドは言った。
「そんな……フレイヤ先生はただただでさえ光魔法の先生の穴埋めをしてもらってるのに……あの先生が育休だからって……フレイヤ先生をそこまで働かせたら流石に」
アガサ学長は流石にそこまで出来ないといった表情をしている。
「大丈夫です! フレイヤには昇進をチラつかせましょう。必ず食いついてくるハズです! フレイヤは学長に評価されたいんですよ。だからあれだけ頑張ってるんですよ! とりあえずあいつにアーサーの穴埋めをさせましょう」
レイモンドはアガサ学長にツバを飛ばすように言う。
「ですが……フレイヤ先生が過労で倒れることになったら……」
「そんなのあいつの体調管理の問題でしょ? 知りませんよ! 潰れたら潰れたで新しい教師を入れたら良いだけの話でしょ! アガサ学長! あいつら働けるんだから甘やかしちゃ駄目ですよ!!」
レイモンドが最低発言をする。
「レイモンド……分かりました。あなたに任せます」
アガサ学長はレイモンドの胸に顔を埋めた。
レイモンドはニヤニヤしている。よしっ! これでなんとかなる。もしフレイヤが駄目でもフレイヤに全ての責任を押し付けられる。フレイヤが無事に生徒たちをまとめ上げたら全部俺の功績にしてやる。フレイヤなら出来ると勧めたのは俺だからな。アガサ学長も分かっているハズだ。
どっちにしろ俺は評価されるんだよ! これが立ち回りだよ! 分かるか! アーサー!
レイモンドはニヤニヤしながらアガサ学長を抱きしめていた。
◇
会議室にて
アルケイン魔法学校の教師たちが集まり話しをしていた。
「えーー。アーサー先生が退職されて学級崩壊の兆しが見えてきてます。これは非常に危険な状態です! 生徒たちの先生に対する不信感が強まっています」
議長を務めるレイモンドが喋っている。
「どれもこれも全部アーサー先生のせいですね。アーサー先生は教科書にない禁断魔法を教えたり、カリキュラムに反した内容を教えていました。アーサー先生は教師としてあるまじき行いをしてたのです」
ここらへんの説明は全部嘘だが……まぁ誰にも突っ込まれないだろう……そう思ってレイモンドは続ける。
「しかも彼は新人教師のニナに手を出してました。自分の立場を利用して! あいつはこの調子だったら生徒にもセクハラしてるハズですよ!」
レイモンドは強い口調で言う。
周りの教師たちは無言だ。レイモンドはそれが気に入らなかったのか
「先生方! たるんでますぞ!! いい加減現状を把握してください! なにをボケーッとしてるんですか? 今は非常事態なんですよ! 教師たちが一丸になって取り組まないとこの学園は潰れていまうかもしれませんよ!! それでいいんですか!!」
レイモンドは激を飛ばす。
レイモンドはニヤニヤしている。よしよし、これで俺が仕事をやってる感をみんなに印象付けてだな……しかしこいつら大人しいな……ほとんど俺の言いなりじゃねぇか……これじゃ学園長になる日も近いな。
すると一人の教師が手を上げて話し出した。
「ニナに手を出したのはレイモンド先生の方ではないですか?」
と。女性の声だ。は? なにを言い出してるんだ!! うっ! あいつは炎の魔法教師のフレイヤ!! 会議室がざわめく。
ドキッ!! レイモンドは焦る。なぜそのことを……いやいや絶対にバレてない! ニナとのことは絶対にバレてない。なぜならニナとのデートは基本的に室内でしていたからだ。室内……というかむしろ学内でしていた。学園の秘密の部屋でニナと性行為までしていたのだ。なぜならホテル代がもったいないからだが……
「このニースの街の掲示板にこんなものが大量に貼り出されていました。レイモンド先生。説明を求めます。皆さん。ご覧になったら隣の方に回して下さい」
フレイヤは一枚の紙を隣の教師に渡す。するとその渡された教師はその紙を見て
「うおっ! これは……」
と反応した。おい! なんだ! その紙は!! 早くオレに見せろ!! レイモンドは焦る。
するとその紙を渡された教師は別の教師にその紙を渡す。するとその教師も顔を歪ませて首を横に振った。なんだ! なにが書いてあるんだ!! レイモンドは冷や汗が止まらない。
その紙を見るたびに
「うそっ!」
「これは酷い……」
と口々に反応する教師たち。そしてレイモンドの順番がきた。
「レイモンド先生……これを」
レイモンドはひったくるようにその紙を見る。その紙は号外と書かれた写真が載せられた新聞だった。
なんと! その写真にはニナとレイモンドの姿が載せられていた。
秘密の部屋でニナとレイモンドが笑いながら抱き合っている写真だ。
タイトルはアルケイン魔法学校での不祥事。水魔法教師レイモンドは教師不適格!!
とデカデカと書かれていた。
「な、なんだこれは……」
ワナワナと震えるレイモンド。足がガクガクに震える。
「目に映るものを紙に映すことが出来るアーティファクトがあります。それで撮影したのでしょう。これは明らかにニナとレイモンド先生ですよね。しかもこれは学園の一室ですよね?」
フレイヤが言うと会議室がざわつく。
「伝統あるこの学園でこんなことをするなんて……」
「新人教師をたぶらかしていたのはレイモンドの方だったのか?」
「気持ち悪い……なにこれ……」
口々に言う教師たち。レイモンドはぐぬぬと唇を噛む。
「レイモンド先生! 説明をお願いします!!」
とフレイヤはテーブルを叩いた。
どうしよう! どうしたらこの危機を乗り越えられる。レイモンドは必死に頭を回転させる。
いや、これは合成された写真だと言おうか。いやそれにしては良くできている。だって本物だからな。うおっ……駄目だ! なにも思いつかない!
すると新米教師のニナが急に泣き出した!
えっ? っとニナを見るレイモンド。他の教師たちもニナを見る。
ニナは泣きながら叫んだ。
「私! レイプされたんです! レイモンド先生に! 無理矢理! レイプされました!!」
と。
ざわつく会議室。
レイモンドは目の前が真っ暗になった。
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