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シスターは覚悟を決めて
ベル喫茶店へ向かった
正面は工事中だった。
仕方なく、男の子に連れられ裏からお邪魔した。
男の子はなんてことはないと裏の扉に
「すみませーん!」と声を上げた
「はーい。あ、この前の!」
ロッタが元気に対応
「店主さん、頼む」
「分かった。
ママー!この前の子来たよー!」
「教会の子? あら、いらっしゃい。
連れてきてくれたのね。なら、うまく行ったわね。」
「うん!前のシスター戻ってきてくれたんだ!」
「そう、良かったわね。さ、入って〜」
「ちょっと、アギー!」
「私は、この店の店主マリアンヌと申します。さ、立ち話もなんですからこちらへどうぞ〜
さ、遠慮せず。」
マリアンヌに呼ばれ、恐る恐るシスターはとアギー君と呼ばれた男の子は入ってきた
「この度はご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありませんでした。私、シスターのメメルと申します。」
深々と頭を下げるシスター
「あ、謝罪はもう終わっていますからいいんですよ。」
「え?!でも…」
「今日はお手伝いの依頼の件で来てもらったと思っております。」
「それもありますが、まずは謝罪を」
「謝罪はこの前、アギー君からも、たった今メメルさんからもいただきました。
さ、ビジネスの話をしましょう。」
「でもこんな話をお受けするわけには
申し訳なくて。」
「教会の子供達はここに食べ物があることを知っています。前のシスターさんがさせたとはいえ、出来心でまた手を出してしまうことがあるかもしれません。
なら、仕事にした方が安全です。
それに、この前私はアギー君にお土産を渡しました。
一度美味しい物を食べたらまた食べたくなります。
あんな甘いお菓子全員に買い与えられますか?」
「それは…。」
「もうすぐ、この辺りにも学校ができます。
無償で通えるんです。給食も出るはずです。
うちからも1人通う予定なんだです。だから、人手不足なんです。
お手伝いお願いします。」
「そんな、マリアンヌ様頭を上げてくださいまし。」
「じゃあ!」
「ありがとうございます。ありがとうございます。」
ポロポロと涙を流すシスター
「じゃあ、これを当番の子供の首から下げてくださいね。」
「これは」
「これをつけている子は収穫作業の子供とこちらもわかりますから
予備も含んで4つお渡ししますね。
小さな子でしたら4つフル活用でもいいですよ。」
「当番がつけるんだな!」
「そうよ。アギーが暫くは全員ができるようになるまで付き添ってね。アギーは必ずこれつけるのよ」
「うん!わかった」
「壊れたら言ってくださいね。
あと、暫く違う方来てたそうですけど
大丈夫ですか?何か手伝いましょうか?」
「え、あ、いえ
そんな、申し訳ないです。」
「アギー君この前凄く汚れていて、教会大変なんじゃ?」
「それはそうなんですが、でも」
「教会は慈善事業ですよね。ならお手伝いも自由ですよね?」
「オーディン、手伝って貰ってもいい?
人手集めて欲しいの
ロッタとキキも手伝ってくれる?」
「ママ、もちろんだよ!」
「私も手伝うー!」
「さ!皆やるよ!」
「「「おう!」」」
こうして、来た道を戻り教会の掃除を皆でした。
オーディンは力仕事可能な、男の人と
市場で知り合った奥様たちだ
「さあ!あたしたちが来たんだ100人力さね!」
「あ!魚屋の!待ってましたー!」
「さ、そっちはお湯沸かして
こっちは掃除、あっちは繕いものやら洗濯急ぐよー!」
「はーい!」
分担して活動開始だ
教会のはピカピカに磨かれ
子供たちの食堂も、調理場も、トイレもピカピカに掃除された。
ボロボロのドロドロだった子供たちのも次々と綺麗になった。
掃除のやり方を習い
一緒に掃除した。
洗濯担当にも手伝いが入り洗濯の方法を教わった
マリアンヌの家から来たであろう野菜や粉達は納屋の奥で眠っていた。
お肉は聖女が食べていたのだろう。
果物は子供達が、残りが納屋に放り込まれていた
ここからは、おばちゃん達の腕の見せ所だ
「カボチャも芋もある、葉物は危ないのもあるけどいいとこ切り取ればまだイケるわ、スープとか色々作れるわ!日持ちしない物からどんどん使って作るわよー!」
ここでもおばちゃんパワー炸裂だ
どーせなら皆で食事にしましょとガンガン得意料理を作る
野菜だけではどーにもならないであろうと
マリアンヌが肉を差し入れる
綺麗になった大鍋でポトフの様なスープが煮込まれる
カレー風味の野菜炒めや野菜のパン
野菜入りのパンケーキなど
おばちゃん達の子供達を喜ばせたいメニューが作られていく
足りない材料はマリアンヌが次々と出した。
幸いマリアンヌの不足中の材料を言われることは無かった
ロッタとキキとマリアンヌもお手伝いだ
シスターだけが洗濯しながら泣いていた
有り難いと、こんなにも教会が賑わったことがあっだろうかと
神様ありがとうございます。と心から思うのだった
こうして、街の人達との交流を楽しむマリアンヌだった。
しかし、マリアンヌは思う
これが日本ならきっと
泥棒は突き出してたし私の物とらないで!って思っただろうなと
私は有り難い?のか渡り人でスキルがある
食べ物には畑があれば絶対に困らない
だからこうして誰かを助けたいと思えるのだろうと
やっぱり、偽善なのだなと…少ししんみりしていると
「あ、オーディン。」
「マリアンヌ、ここに居たのかい」
「ちょっと考え事」
「お店の事?」
「この世界のこと。」
「戻りたいかい?元の世界に」
「いいえ。私は恵まれてるなって。
オーディンやあの子達にも出逢えたし、食べ物にも困ることはないわ
だから、こうして困る人を見ると」
「放っておけない?」
「偽善だなって。きっと、自分が食べ物に困っていたら助けないもの…」
「私は、助けても助けなくてもマリアンヌが好きだよ」
「ふふふっ、ありがとう。どーしたの急に。
珍しい。私もオーディンの事大好きよ」
「好きな人に好きだと言ってもらえるとこんなにも嬉しいのだな。知らなかったよ」
「好きじゃない人には言われた事あるって言い方ね。ふふっ。」
「マリアンヌ、からかわないでくれ」
「安心したの。好きな人以外は嬉しくないのなら浮気の心配は無いなって思って。
私、側室とか浮気とか無理だから」
「もちろだ!私はマリアンヌ以外は…」
「「ふふふっ」」
後ろに小さな気配を感じてマリアンヌとオーディンは見つめ合った
せーので振り向いた
「ロッタ、キキ」
「あー見つかっちゃった」
「もう、チューするかと思ったのに〜」
「こら、2人とも〜」
キャーと逃げる2人を捕まえようと追いかけマリアンヌだった
オーディンの所まで追い込み
オーディンとマリアンヌで子供達をサンドイッチ
その後、皆で教室でご飯を食べた
そして、孤児院の子どもは少しへったそうだ。
子宝に恵まれなかった人、子育ては終わったけど若い手伝いが欲しいし養子を取りたい人が何人か引き取ったそうだ。
しかも、遊ぶ時間もあるらしく教室に集まって
遊ぶこともできると皆喜んでいた




