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ご飯をドーナツ型に盛り、カレーを真ん中に入れる
平皿しかないから仕方ない
「さあ、召し上がれ」
「「「いただきます」」」
影さんが少し驚きつつ
「いただきます」
スプーンでパクリ
「いい香りで美味い」
「おいしーーー!!」
「美味い!美味い!」
「ふふふっ、良かった。沢山あるからおかわりできるからね」
色々あって、マリアンヌは昼食を食べられなかった
子ども達はちょこちょこ休憩でサンドイッチなど摘まめる物を食べさせた
「マリアンヌ嬢、明日はお店を休んだ方がいい。衛兵もそう言っていた。」
「はい。わかりました。」
「姉ちゃんごめん。俺たち…」
「ロッタとキキのせいじゃないからね。」
「え?」
「悪いのは悪い事する人だよ!ロッタとキキは悪くないよ!」
「そうなのかな…」
「キキ口の周りにカレーついてるよ。」
綺麗なおしぼりでキキの口を拭うマリアンヌを見て
影は思う。大切なんだなと
「マリアンヌ、しばらく私がここに通って護衛をしようか。
力仕事があれば手伝うし」
「影さんいいの? そうしてくれると凄くありがたいわ。
二人も安心だし」
「兄ちゃん来てくれるの?」
「みんなでお風呂入るの?わーい」
「キキちゃん、お姉ちゃん、影さんは一緒は無理かな」
「どーして?みんなで一緒がいいー!」
「ばか、キキ。マリアンヌ姉ちゃんと影兄ちゃん結婚してないだろ!」
「あーーー。結婚したらいい?」
「うーん。そうだな、結婚してれば大丈夫だ。」
「そっか。結婚しないの?」
「「え?」」
げっほげっほと咳き込むマリアンヌ
「姉ちゃん、大丈夫?」
「ちょっと、むせただけ。んんん。大丈夫」
「お姉ちゃんと影さん仲良しよね?」
「仲はいいわね。」
「じゃあ、結婚すればいいのに!」
「キキちゃん。私はね、もうすぐ29歳なの。おばさんなのよ。
影さんにだってきっといい人いるわよ。独り身かも知らないの。
だからね、仲がいいからって結婚してなんて言ってはいけないのよ。」
「そーなんだ。ごめんなさい。影さん」
「い、いや。私は別に。マリアンヌ嬢29歳だったのか…」
「そうですよ。こっちの世界来た時25歳だったので3年辺境伯様の所で
そろそろ次の誕生日が来るので29です。もう、立派な行き遅れですよ~はは~」
言ってて悲しくなってきたマリアンヌだった。
「マリアンヌ、驚かないで聞いて欲しい。私の名前は影ではない。
本名はオーディンだ。一応苗字もあったが今は籍を抜けたのでただのオーディンだ。
苗字は戻そうと思えばだな…ってそういうことではない。
年は32歳だ、結婚はしていないし相手も居ない。若いころ冒険者でな。
私のような者がマリアンヌ嬢となど、恐れ多いんだ。
むしろ、行き遅れは俺のほうだ。
キキ、マリアンヌ嬢と釣り合いの取れる男はもっと位の高い者なんだ。
俺など不釣り合いだ。」
マリアンヌは影もといオーディンさんをよく見たことが無かった。
だって、フードを普段は深く被って顔見えないんだもの。
名前も初めて聞いた。きっと強いのだろうと思ってはいたが
こんな形で異性として意識するとは思ってもみなかった。
(しかも、こっちの世界では二人とも行き遅れだけど
日本で考えれば…って私のバカなに丁度いいとか考えてるのよ!
あ、もうこの考えはどこかにいって!)
オーディンは、あちこちに古傷はあるがイケメンなのだ…。
辺境伯様も若いころはめっちゃイケメンだろうなってほどのイケおじいちゃんだ。
百面相のあとブンブン頭をふっているマリアンヌをみて
子ども達はクスクス笑うのだった
窓辺でカレーライスをついばむサファイアは白い目でマリアンヌを見て
ふっと笑うのだった
(今、笑ったわね?)
と鋭い視線を感じたサファイアは、また足元に汗の水溜りを作るのだった
「サファイア、お水よ。カレー辛かった?」
ブンブン首を振りながら慌てて水を飲むサファイアだったのだ。
「二人とも、自分には勿体ないって言ってるね。」
「お似合いなのにね」
子ども達だけが素直に感想を述べあい和気あいあいと食事を楽しんだのだった
後半は味がしなかったマリアンヌとオーディンだった。
恋愛耐性なさすぎな二人…
マリアンヌは別に恋愛経験がないわけではない…25までは日本にいたのだ。
学生時代に彼氏も居たし、振った振られたの経験もある。
カフェを開くための数年は爪に火を灯す生活だったので男とは無縁だったが。
単にこの世界の結婚適齢期を聞いて自分にはもう女の価値など無いと思っているだけ
独りで子どもを2人養いながら生活する現実を受け止め一生独身!と勝手に決めているだけ。
片やオーディンは、恋愛経験はあまりない。
貴族だった頃、許嫁が居たが冒険者になったとたんに向こうから婚約解消を申し渡され
願っても居ないと喜んで解消
それ以降戦闘バカで、戦いに明け暮れていた。
スチュアートに命を助けられそれいこう影として仕えていたのだ。
浮いた話など無かった。ただ、そういうお店の経験はある。
「オーディンの兄ちゃん明日から来てくれるの?」
「ああ、来る」
「オーディンのおにいちゃ。一緒にお風呂入ろーね♪」
「お風呂か…俺は」
「着替え、持ってきてくださいね。タオルはありますから」
「すまない。」
「キキはしばらく不安だと思うんです。麻袋に入れられて入り口を縛られましたから
安心をもたらしてくれるくらい強い人が傍にいてくれた方が安心です。
私も新作作ったりで色々やらなければならないこともありますし。
この子達には普通のことしてあげたいんです。
勉強も教える約束もしましたし。安心する場所でありたいので協力お願いします。
協力のお礼に毎食の食事とデザートでどうですか?」
「いや、お礼などいらないのだが」
「オーディンの兄ちゃん。お姉ちゃんのご飯嫌い?」
「いや、いつも美味しく頂いている。」
「なら一緒に食べよう?」
キキちゃんの魅力に負けたオーディンだった。
あの顔で小首を傾げて断る人がいるとは思えないマリアンヌだった。
オーディンの助けを求めるような視線にニッコリと無理でしょうと語る
マリアンヌだった。
オーディンも無言で同意だった。
ロッタもキキも可愛いのだ。
オーディンはその後店先に明日のお休みポスターを貼ってから施錠の確認と見回りをして
帰って行った。
お風呂のあと
「姉ちゃん。」
「なぁに?ロッタ君」
「俺とキキのこと呼び捨てでいいんだよ。」
「そう?そっちの方がロッタとキキは嬉しい?」
「うん、母ちゃんに呼ばれてるみたいで嬉しい。」
「キキも!」
「じゃあ、これからは呼び捨てにするね。店員さんの時は君とちゃんつけてもいい?」
「お仕事モードってやつ?」
「そう。私もお仕事の時は店長でしょ?」
「うん!」
「その話したかったの?」
ベッドで二人を寝かせて急にロッタに呼ばれたのだ
何か言いたいことがあるのかなと、マリアンヌは思ったのだ。
「余計なことだったら…」
「なんでも言って。家族でしょ。」
「オーディンの兄ちゃんのこと嫌い?」
「嫌いなわけないじゃん。」
「じゃあ、好き?」
「ふふふっ、そうね。素敵な人ね。」
「そっか。うん。兄ちゃんカッコいいよね!」
「オーディンしゃん。お腹ムキムキなんだよー!」
「キキ人の裸のこと言ったらダメだ。あれは秘密だ」
「あっ。」
と言って口を両手で塞ぐ可愛いキキだった。
「そ、そう…。もう、二人ともオーディンさんと仲良しね。
オーディンさん明日も来るから早く寝ましょう。
お姉ちゃんはあっちに居るから。二人のこと守るからね!
安心して寝て。
明日はお店休みだから、お勉強しようね。約束だったものね。
おやすみ~」
ちょっと慌てた様子で去るマリアンヌを見て
ニコニコな子ども達だった。
コソコソと
「お姉ちゃん恥ずかしがってたね」
「オーディン兄ちゃんと姉ちゃん一緒になったらいいのにね」
と盛り上がる子ども達だった。
(素直になれる若さがあればいいのにね。
この世界で、フラれて傷つく勇気は無いのよね…。)
(異世界だもんね。君にとっては。)
(そうなのよ。ここで生きていくって決めたんだけどね。
そこまで強くないのね。私…女の子みたいじゃない?)
(マリアンヌは女の人だろう)
「そうね。」
サファイアの背中を優しく撫でるマリアンヌと
気持ちよく目を細めるサファイアだった。
(あ!そうそう今日。スペシャルデーだから夢はボーナスタイムだよ。)
(え?何それ?あの週に1度がどうとか言ってた日ってこと?部屋にあの物が異常に散らばる感じの?)
(新しい物が出た時だけね。ボーナスタイムでレベルも上がるから最初程散らからないと思うよ。)
(そ、そう。)
ソファーに寝るマリアンヌだった。




