15話 「願いの箱」
「所長!やはり仮説は正しかったです!」
「お!本当か!」
「はい。」
「流石。やっぱり副所長だな。」
「ありがとうございます。」
「にしても最初聞いたときは信じられなかったよ。バカにしてるのかと思ったぜ。」
「そうだったんですか!?ひどいですよ。」
「悪い悪い。でもまあ最初は誰でも信じられないだろう。ウイルスが思いを運ぶなんて。」
「それもそうです。」
「『思いの伝達論』か…これは面白いことになりそうだな。」
「そうですね。」
「この調子で引き続き観測を頼む。スーツの件もあるからな。これで研究も捗るな。」
「ええ。」
「よろしくな!副所長!」
「ええ!」
黒田さんは話を続ける。
「先ほども言ったようにゾンビを倒すにはウイルスーツしかありません。そこで貴方達のウイルスーツを用意させていただきました。」
黒田さんは五つの異なるデバイスを机に並べた。
「これが貴方達のスーツデバイス…通称「願いの箱」です。」
願いの箱…そう呼ばれているデバイスは奇妙に光を放っている。
「願いの箱…?」
俺がその一つに触れるとより一層強く輝きはじめた。
「はい。我々の調査でゾンビウイルスは人々の思いに強く反応することがわかりました。この『願いの箱』はその思いの力を利用して『アクター』に変身するためのデバイスなのです。」
人々の思い…ゾンビになってしまった人の心にもあるのだろうか。
「ねえ…パパ…そろそろみんながどれ使うのか教えてあげよ?」
白くんは所長の白衣を引っ張っている。
「そうだな!教えるか!」
テンションを高くして机の前に立っている。
「パンパンパンパンパカパンパカパンパンパーン!それじゃあみんなの名前を呼ぶから呼ばれたらこっちに来てくれ!」
「わかったぜ!」
ワクワクしている雷電。不安そうな顔をしている篠塚。みんなの表情は様々である。
「轟 雷電!」
「はいっ!!!!!!」
足取り軽く机に向かう。
雷電に渡されたのは濃い黄色と黒のかっこいい願いの箱。
「君のウイルスーツはエンペラー!戦場を支配する皇帝になれ!」
「エンペラー…かっけええええ!!!」
嬉しそうに願いの箱を掴んでいる。
「南原 優紀!」
「はーい!」
南原に渡されたのは水色とピンクの可愛らしい願いの箱。
「このスーツはマーメイド!水中で君の右に出るものはいないだろう。」
「マーメイド…私にぴったりだ!」
「篠塚 慎司!」
「…はい。」
篠塚に渡されたのは深い緑の落ち着いた願いの箱。
「君のスーツはイーグル!このスーツは空を飛べるぞ!獲物を捕らえたら離さないぜ!」
「おおおおお!空を飛べるのか!いいなぁ!」
雷電は篠塚の願いの箱をみて羨ましそうにしている。
隣の芝生は青く見えるのだろう。
「黄桜 美咲!」
「はい。」
黄桜に渡されたのは薄い黄緑と黄色の優しい願いの箱。
「これはフェアリー!羽の煌めきは皆の癒しになるだろうな!」
「フェアリー…。」
願いの箱を眺めている。
「そして…佐藤 恭一!」
「…はい。」
俺の番だ。俺はゆっくりと机に向かう。
「君のウイルスーツは…『ヒーロー』全人類の希望だ!」
そう言ってわたしたのは…特徴のない真っ白な願いの箱。
願いの箱は皆の特徴を表してるように思えた。
「…これは俺にぴったりだな。何もない俺に。」
「君には期待してるよ。」
所長は再び俺の肩を叩いた。
「よっしゃあ!じゃあ早速変身だぜ!」
雷電は自分の願いの箱を上にかかげる。
「えーっとこうやればいいのか…?『シェリフ』!アクトオン!! 」
「それは雨宮さんのでしょ!あんたのはエンペラーだよ!」
「あ、そうだった…『エンペラー』!アクトオォォォン!」
しかし、何も起こらなかった。
「あれ…?おかしいな…こうやるんじゃないのか…?」
「思いの力が足りないんじゃない?もっとなりたいっ!って思わなきゃいけないと思う!」
「そうか!うおおおおおおおおお!俺はなるぞ!超なるぞ!アクターに!『エンペラー』!Act ON !!!」
雷電の体が光を放ち始める!
雷電は願いの箱と同じ色のスーツを身にまとう。
そしてその手には何故かギターを持っている。
「「おおおおおお!すげええええええ!かっっっけええええ!」」
雷電と南原はハイテンションだ。
白くんも手をパチパチさせている。
黒田さんも嬉しそうに笑っていた。




