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フェイドアウト断章  作者: 石藏拓(いしくらひらき)


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早稲田のミュージシャン 大中小


大牟田で「不良」と呼ばれていたが、

大牟田北高校から早稲田大学商学部に現役で合格した。


早稲田には、大学公認の音楽クラブがあった。


僕は「ナレオ」に入部した。


僕が知っているOBには、「風」のメンバーがいた。


「ナレオ」は昔はハワイアンバンドとして活動し、テレビにも数多く出演していたという。


音楽クラブの部室棟は、文学部の裏手にあった。


そこには十を超える音楽関係のクラブが集まっている。


これは、そこから想像した一つの挿話である。


春、新入生を迎える総合新人歓迎会が開かれた。


ナレオだけの歓迎会ではない。

音楽棟にある十以上の音楽関係クラブが一緒になって、新入生を歓迎する会だった。


そして、その司会をしていたのがタモリだった――。


「みなさん、入学おめでとう……かな?」


いかにもタモリらしい挨拶に、会場から笑いが起こる。


タモリがマイクを握り直す。


「今日は、OBの皆さんが新入生を歓迎に来てくれています」


そして、こう続けた。


「早稲田の“大・中・小”と呼ばれるミュージシャンの皆さんです」


新入生たちは顔を見合わせた。


「残念ながら、『上を向いて歩こう』の中村八大さんは、もうお亡くなりになっています」


少し間を置く。


「まず“大”は……大瀧詠一さん」


拍手が起こる。


「“中”は……中野サンプラザ」


会場がざわつく。


「そして“小”は……小室哲哉、小暮デーモン、小田和正……」


そこで一斉に笑いが起こった。


もちろん、そんな「大中小」が本当に早稲田で語られていたのかは分からない。


これは僕が、あの頃の早稲田と音楽クラブの空気から想像した挿話である。




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