出版トラブル【「被害者の会」は、何を訴えていたのか】
出版トラブル【「被害者の会」は、何を訴えていたのか】
ここまで、出版費用、返品、在庫、倉庫代、プロモーションなどについて見てきた。
では、過去に存在した「共同出版・自費出版の被害をなくす会」は、何を問題にしていたのか。
中心にあったのは、
「本を出版したい」という著者の夢につけ込まれているのではないか。
という問題提起だった。
著者にとって、本を出すことは人生の夢である。
そこへ出版社側から、
「作品を評価しています」
「出版できます」
「書店に流通させます」
「宣伝します」
「売れる可能性があります」
と言われる。
著者は期待する。
ところが、出版するためには高額な費用が必要になる。
数十万円。
場合によっては数百万円。
さらに出版後、
本が売れなければ書店から返品される。
返品された本は在庫になる。
契約によっては倉庫保管料が発生する。
そして、プロモーションなどの追加費用が発生するケースもある。
こうして、
「本を出したかった著者」
が、
「本を出すために多額のお金を支払った著者」
になっていく。
そして問題は、
「そのお金に見合う結果が得られたのか」
というところにある。
もちろん、すべての自費出版が悪いわけではない。
自分で費用を負担してでも本を残したい。
家族や知人に配りたい。
自分の人生の記録として出版したい。
そういう出版には意味がある。
問題なのは、
「商業出版と同じように売れる」
「全国の書店で広く販売される」
「大規模なプロモーションをする」
と期待して契約した著者が、
実際にはどうだったのか分からないまま、多額の費用を負担してしまうケースだ。
だから「被害者の会」は、
出版するな、
と言っているのではない。
出版する前に、
「何にいくら払うのか」
「何をしてもらえるのか」
「本当に書店に並ぶのか」
「売れなかったらどうなるのか」
「返品された本はどうなるのか」
「在庫の保管費用は誰が払うのか」
「追加の宣伝費はいくらなのか」
を明確にしよう、と問題を提起していた。
そして、何より大切なのは、
「契約書をよく読む」
ということだ。
口頭で聞いた説明と、
契約書に書かれている内容。
どちらが優先されるのか。
そこを確認する。
本を出したい。
その夢は、大切にしていい。
だからこそ、
夢だけで契約しない。
金額と条件を確認してから、判子を押す。
過去の「被害者の会」が残した資料は、
出版を考えるすべての人への警告として読むことができる。




