↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚された俺は、パーティから追放されたい  作者: まるた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

第1話 被追放回数9回

「きゃああああ!!!」


 女性の悲鳴が、ダンジョンの洞窟奥から響いてくるのが聞こえる。

 ミナトは魔法の詠唱を止めると、剣の柄を握り声のする方へと駆け出した。

 急げ。足を回せ。

 洞窟の岩肌が、車窓から見える景色のように後ろへと流れていく。


「来ないで! やめて!」


 ミナトの視界に映るのは、2体のオークに襲われる女性冒険者。正に今、オークの棍棒が振り下ろされようとしている。


 まずい。やるしかない。


 ミナトは背中から剣を抜くと、オークに接近しそれを振り下ろした。


「ザン・スラッシュ!!」

「ゴアアッ!」


 ミナトの剣技とオークの悲痛な叫びが、同時に響き渡る。


「オウ!オウ!!」


 もう一体のオークは、ミナトの突然の登場に狼狽えているようだ。その隙を見逃さず、ミナトは横一閃に剣を薙ぐ。


「ナギ・ホリゾンタル!!」

「ボガッ!」


 瞬時に斬り伏せられた2体のオークは、電池が切れたようにその場に倒れた。


「ふう」


 ミナトは一息付くと、そばに倒れ込んでいた女性冒険者に目を向ける。

 最初に支給される皮鎧に、店で一番安かった剣。盾はまだ大きくて立派だが、それにしても新米冒険者の様相をしている。その盾を見るにタンクだろう。


「あ、あの……ありがとうございます。私、死んじゃうかと……」

「……ああ」


 女性冒険者は潤んだ瞳で、震えながら自分自身を抱きしめていた。

 しかし不可解なことが一つ。こいつまさか。


「あんた、もしかして一人か?」


 ミナトの問いに、その女性冒険者は肩を震わせた。


「は、はい」


 ……やっぱり。


「お前、アホなのか?」

「へ……?」


 タンクは仲間を守るジョブだろう。守る仲間がいなくてどうする。チュートリアルはしてこなかったのか?


 そう言いかけて、やめる。ミナトは、この世界にそんな優しいものが存在しないということを、すでに自身の経験で痛感していた。

 ミナトは、ため息をつく。


「……町に戻ったらパーティを組めよ。話はそれからだ」


 全く。なんてアホに出会ってしまったのだ。

 しかし、ミナトはそこまで悲観していなかった。理由は、恐らくこの後すぐに起きるであろうアレのおかげだ。


「おい!!」


 ……噂をすれば。

 後ろから、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきた。


 ミナトは、その声に振り向く。


「なんだよ?」


 そこには、同じく新米のソルジャーにタンク、ヒーラーが並んでいた。

 そう。ミナトが所属するパーティである。


「勝手な行動するな! 何度も言ってるだろう!!」

「そうです、困りますよ」

「リーダーの言うこと聞けないんなら分かってるよな?」


 ミナトのパーティの3人は、揃いも揃ってミナトを揶揄していた。そしてミナトは、パーティの奴らに見えないよう下を向くと、密かに口角を上げる。


 ……今だ。今がベストだ。


 ミナトは確信すると、出来得る限り邪悪な笑みを浮かべようとしながら、3人を睨みつけた。


「うるっせえ!! バーーカ!!!」


「……は?」


 言った。言ってやった。

 パーティの3人は、何が起きたのかと一瞬ポカンとしたが、すぐに表情を歪ませた。

 来るぞ、俺の願う言葉が。


「お前……! 追放だっ!!」


 パーティのリーダーは、すぐさま自身の冒険者カードを取り出すと、何やら操作をし始めた。そしてその直後、ミナトの胸ポケットに仕舞っていた冒険者カードが震える。

 ミナトがそれを取り出すと、カードにはミナトの望んだ2文字が並んでいた。

 ——追放。


「もうお前とはやってられねえ。じゃあな!!」

「さようなら」

「クソ野郎が!!」


 パーティの3人——いや、元パーティの3人は、踵を返し遠くへと歩いていった。



 ——被追放回数10回に到達。レベルが10に上がります。——



 脳内に流れるアナウンス。それが終わると、体に刻まれていた擦り傷が治り始めた。感じていた疲労も、それまでが嘘だったかのように霧散していく。心なしか、力も漲ってくるようだ。


 ああ、いつも通りだな。……全く。何なんだこのスキルは。


 ミナトは自身の馬鹿馬鹿しいスキルに吐き捨てながら、それを授かった時のことを思い出していた。

 初めまして、まるたと申します。今作で、初めての小説家になろう投稿となります。「リアリティのある非日常を」をコンセプトに日々執筆しております。

 楽しんでいただけたら幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。