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嫌いになったわけ

私が小学生の低学年の事である


学校が終わり、自転車で遊んでいたところ



キッーーーーーーーーーーーーー!!ドンッ!




私は、丁度一人になったところで周りに友人もいなく


取り合えず胸が苦しくて、動けませんでした


そんな私に声を掛けたのが、私を撥ねた張本人


「大丈夫か!」の掛け声にも返事もできず、蹲っていました


「まずいなぁ・・・」の声は、今でも覚えています


その張本人様は私を抱き上げると、車の後部座席に「ポイッ」と放り投げました


本当に「ポイッ」って音が聞こえてくるように、「乗せた」でも「寝かせた」でもなく


放り投げたのです


そしてそのまま、走り出しました


あの時の事は今でも覚えています


私はどこか誰も知らない山の中で、埋められるのだと震えていましたから


そうして車が止まり、「いよいよか・・・」と抵抗しようと思いましたが、体が自分の物じゃないみたいに動きません


張本人様に抱かれて、車の外に出れば「なんだ・・・病院か・・・」


小さい声でつぶやいた私の声が聞こえたのか「大丈夫だからな!」と張本人様


そのまま病院の中に入り「この子が車に跳ねられたんだ!、すぐに手当てを!!」と、これも張本人様


今ならわかる、あの時焦っていたのは私よりも張本人様だったと・・・


レントゲンを撮ったり、心電図とったり、いろいろ検査をしてあばらの骨が数本折れていたみたいで


「あとは大丈夫」と看護婦さん?と言う名の悪魔に言われました


そう!看護婦さんではなく「悪魔」だったのです


胸部にコルセットみたいなのを取り付けられて、「あとは大丈夫」って言っていたのに


名前を呼ばれて振り向けば、初めて見る大きさの注射器を片手に「ニコッ」とほほ笑んでおられます


私は、負けず嫌いですが


あの大きさの注射器は、小学生低学年には恐怖です


記憶の改ざんもされているとは思いますが、私の目には缶ジュースほどの太さがありました


それを持って、ほほ笑んだ悪魔は「さぁ、手を出して」なんて・・・


今さっきまで、山に埋められると思っていた以上の恐怖がやって来ます


こんな事なら、いっそ山に・・・


私に付き合っていた張本人様を、ウルウルと見つめてみたのですが


「そっ」と目を逸らされました


「き、きさまぁ!うらぎりやがったなぁーー」という心の声を抑え


悪魔を睨みながら、左腕を差し出しました


「こんな悪魔に絶対負けない」


私は思いっきり目を瞑って耐えていたのです


よっぽど上手だったのか、私が心を閉ざしたからなのか


痛みは全くなく、ただ時間が早く進めと願っていました


私的には、1時間も2時間も過ぎたような頃


「もう終わったよ」と悪魔の囁きが聞こえました


何とか耐えきった


私は静かに目をあけて、心臓がとまりました


私の目が開くのを待っていたのでしょう


目を静かに開けた瞬間に、悪魔が微笑みながら言いました


「まだだよーーー」


「はっ」とした私が見たものは、今だに腕に刺さっているカンジュースのような注射器



私はそのまま気を失いました



気が付けば、母が迎えに来てくれていて


これでもか!ってくらい、先生が頭を下げていました


私は、あたりに悪魔がいない事に「ほっ」と胸をなでおろし


「早く帰ろ」と母に言いました



あれからもうン十年


健康診断の度に、刺される注射で気が遠くなっていきます


「今まで、注射をうって気分が悪くなったりしたこと有りませんか?」


毎回々々、悪魔と同じ格好をした看護師さんに尋ねられます


そうして私は、きまって同じセリフを言うのです


「大丈夫です!、耐えきって見せます!」

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