犯した罪
私がまだ子供の頃の話だ
今日は、前々から計画していた二人きりのピクニックだ
お友達と二人で自転車に乗り川沿いを走っていた
その日は天も高く、気持ちの良い風も吹いていて
口笛を吹きながら二人並んで自転車をこいでいた
もう少ししたら広い河原があるからそこで休憩するはずの予定だった
あと5分くらいかなって所で、隣を走っている友人が消えた
「え?」
少し遅れて聞こえてくる
ガシャーン
私は自転車を止め、音のした方を見ると
2mほど下の河原に友人が自転車ごと落ちていた
慌てて降りる場所を探したがなかなかに見つからない
少し戻って、降りるところを探した私は息を切らしながらも友人の元に駆け付けた
頭から血を流して、呻いている友人を見て私も倒れそうになったが
「だ、誰か呼んでくるね」と走り出した
だめだ死んじゃう・・・そんな言葉が頭に浮かんだけれど
大丈夫!大人を連れてきさえすれば助かる
そんな思いで一生懸命に自転車を走らせた
問題は私がまだ小学2年生で、すこぶる内気だって事だったのかな
近くの民家までは20分はかかる
それでも急がなきゃと民家の近くまで来たけど、何て言えばいいのかわからなかった
ここからなら親戚のおばさんの家まで2分もかからない
なら、おばさんに・・・とおばさんの家を目指したのだけど、おばさんはいなかった
なら、自分の家にと駆けて行ったけど誰もいない
こんな日に・・・なんて思ってもしょうがない
包帯となんか薬をもって、もう一度友達の所に戻る事にした
もう無理なんて言ってられなかった、苦しいけど頑張った
もう少しで友達の所っていう場所で後ろから来た救急車に抜かれた
少し手前で河原に降りれる場所に自転車を止めて走ったのだけど
友達が落ちた場所に近付いた時に、丁度救急車に乗せられているところだった
私はそのまま座り込んでしまった
とにかく助かってよかったと安心して少し休んでから
友達の家の人に言わなきゃって、来た道を戻って友達の家に行った
ようやく、戻ってきて友達が落ちたんだよって言おうと思ったら
「もう遊びに来ないで!」とお友達のお母さんに言われた
「え?」と思ってたら、悔しそうに「逃げるなんて・・・」って言われて
「わ、私は逃げてなんか・・・」私はそのまま泣きながら家に帰った
家に帰ったら、もうすでに事の顛末を聞いている家族たちはそろって私を責めた
「逃げたらあかん」って・・・
あの日私は、一番仲の良かった友人をなくした
私が何か言おうと思っても、一切聞いてはくれなかった
それは友人だけじゃなくて、クラスのみんなも、家族も
あの時、落ちたのが私であれば
私だったら、きっと「大丈夫だよ」て言えるのに
そうしたら今でも友達でいれたのに
私が犯した罪は、あの時私が落ちなかった事だ