★5 ギャルとウザオ
よろしくお願いします。
日曜日、ウザオを呼び出した。
もうすぐ弟の誕生日なんだけど、去年、弟が好きなアニメキャラのプリントTシャツを
プレゼントしたら、外で着れないだろってキレられた。
オタなら外でも自慢げに着てるじゃない!お姉ちゃん、ショック・・・
だもんで、一番気楽なウザオに頼んだんだけど・・・
「おい、乙女とのデートに赤のジャージとリュックで来るって何、考えてんの!」
「え~、デートだったの?弟へのプレゼントをちょっと選んだらいいって思ってたわ!」
「日曜日の10時に待ち合わせして、それで済むワケないじゃん?バカなの?」
最近デビューしたヤツはこれだから。いや、ウザオだから!
「ううっ、じゃあ、俺の服もついでに選んでくれる?」
「よしっ、カッコ良くしてやるからね!」
「よろしく。ああ、その格好、すごく似合っているよ。可愛いね!」
ウザオのやつ、大きな声で、満面の笑みで褒めやがった!
は、恥ずかしいじゃない!
・・・
「Tシャツはどんなのがいいの?」
「無地でよろしく!色は赤だ!」
「なぜ赤にこだわる?」
「ヒーローは赤に決まってる!」
ビシッとサムズアップしたけど、似合ってないから!ウザっ!
「厨二なの?バカなの?」
「・・・ゼンブ、オマカセ、スルヨ。」
冷たくするとたちまちションボリしてるし・・・
黒のデニム、白いTシャツ、ベージュのだぼっとしたシャツに決めた。
お金を支払い、値札を切ってもらうと、試着室で着替えて出てきた。
「・・・似合ってるじゃん!ランニングシューズがダメダメだけど!」
「終わったら10kmくらい走ってやろうと思ってたんだよ!」
ウザオを実験台にして掴んだ男子ファッションセンスを生かして、
弟用のTシャツを2枚買った。
「俺が選んだヤツは全て却下って・・・何しに来たんだろ、俺・・・」
ウザオがへこんでいた。
「まあまあ、じゃあ、次、行くよ!」
お昼ご飯を食べてから、歩いて神戸北野天満神社まで行き、合格祈願お守りと鉛筆を買った。
「お守りは来年じゃないの?」
「模試で自信付けないとダメでしょ!内申が大事だから、中間、期末も超大事だし・・・」
とか言いながら、「恋御守」が可愛らしくて目が離せない!
「・・・お礼に、その恋御守プレゼントしようか?」
ウザオのくせに、ちゃんと狙っていることが伝わったみたい。よしよし!
買ってもらった恋御守をむふふと眺めていた。
「で、誰が好きなんだ?やっぱり亮平か?アイツ、超カッコ良くって、良いヤツだもんな!
うん?違うのか?まさか、壱成か?」
ウザさマシマシで尋ねてきた。
「うるさい!」
バカ!亮平は陸上部のキレイな先輩と多分付き合っているし、
そもそもデートする相手が一番好きに決まってるじゃない!このニブチン!
ちょうどお店の前を通りかかったのでアイスクリームが食べたくなった。
季節のサツマイモ、基本のバニラ、チーズケーキ、どれにしよう?
「ウザオ、決めきれない!」
「おぉ、じゃあ、俺は季節のサツマイモとバニラのダブルで!」
「ありがとう!」
「だが、お前には見せるだけだ!」
ゲシっと思いっきり蹴り飛ばしてやった。ほんとウザい!
「まずは一口ずつ、食べてみようぜ!おお、全部、美味しいな!
ちゃんと分け分けしような!」
「ホントだ美味しいね!アッシのセンス流石じゃない?」
「流石なのはお店に決まってる。」
チョップしてやった。
ウザオはどんな話題にも食い付いてきて、熱く語ろうとしてくる!ウザいわあ~。
だけど、アッシが話し出すと、ふむふむとちゃんと聞いてくれた。
それからラウンド100で色んなモノで勝負した。
ウザオは球技とかは不器用だけど常に全力だった。ウザさ全開だった!
だけど、アッシが勝つ方が多かった。ふふん!
「春花!」
久しぶりだけど、懐かしくない声に呼び止められた!
中学の同級生男女4人だ。アッシたちを見てニヤニヤしてる!
心臓を鷲掴みされたみたいに不安が押し寄せてきた。
「アンタ、春花のカレシ?気を付けなよ。この子浮気するよ。二股するよ。」
こんなに毒のこもった言葉聞いたことがない!
「そんなことしてない!」
必死で否定するアッシを睨み付けながら、さらに言いつのられた!
「アタシのカレシを口説いたじゃないか!」
指さされた男はニヤニヤしながらうんうんと頷いた。
「情熱的な告白してきたよな!俺の方が恥ずかしかったわ!」
「・・・そんなことしてない。」
小さく呟くことしか出来なかった。
「春花、行くぞ!」
宇佐が怒ったような声を出して、アッシの手を握って反対方向へずんずん歩き出した。
宇佐、怒ってる!でも、何に?お願い、アッシを信じて・・・
「じゃあね~、ネトリ女~」
泣いているアッシの背に毒の言葉が突き刺さった。
宇佐はカラオケルームを借りて、アッシにミルクティを用意してくれた。
シートに並んで腰掛けると優しい声を出した。
「春花、ゴメンな。
あそこで言い争ったら騒ぎになって、余計に春花が傷つけられちゃうって・・・」
「アッシはそんなことしてない!
アッシが別の男の子と付き合い始めたら、アイツが口説いてきたんだ!
断ったらなんか、アッシから口説いたって噂になって!
あの女はプライドが高くって、嫉妬深いから、
アッシよりあの男の言葉しか全然信じてくれなくて!
みんながアッシのことを信じてくれなくて!」
「俺は春花を信じてる。春花はちゃんとした女の子だから、そんなこと絶対にしない。
大丈夫、信じてるから。」
宇佐はそういいながら、アッシが泣き止むまで頭を優しく、何度もなでてくれた。
・・・
「じゃあ、帰ろうか。家まで送るよ。」
「うん、ありがとう。」
電車の中、家まで15分ほど歩いている途中、
宇佐は天気の話や、来週の体育祭や、授業のことなんかをベラベラ話していた。
優しい目をしながら。
アッシは相づちを打つことしか出来なかった。
繋いでいない手はすごくさみしく、冷たい気がした。
宇佐と手を繋ぎたかったけど、とっても恥ずかしくて無理だった。
家に着いてしまった。
「あの、今日はありがとう。・・・宇佐。」
一瞬、きょとんとしたあと、宇佐は胸を張った。
「・・・おお。女の子を守るのは男の義務だ!」
その胸を軽く殴った。
「バカ!」
そこは「春花を守るのは俺だ!」でしょ!
そしたら、好きって言ったのに!バカ!
「じゃあ、また明日!」
にこやかに笑って手を挙げると宇佐は背を向けた。
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明後日、水曜日に更新します。




