★3 ウザオはリレーの選手に選ばれた!
よろしくお願いします。
次の日、2時間目の体育の時間に50m走を行った。
タイムを計測するので、2人ずつ走ることになって、俺の相手は武知海斗だった。
海斗はバスケ部で3年が引退したらレギュラーになったそうだ。
爽やか系のイケメンが赤星亮平で、チャラ男系のイケメンが海斗だ。
「おい、ウザオ、速く走れよ。あんまり遅いと俺まで遅くなるからな!」
男子トップ3に入って、リレーに出場したいらしい海斗は、俺を小突いてきた。
「大丈夫、かなり速くなったからね。海斗にだって勝ってみせるよ!」
ニコッと笑いかけると「ウザっ!」と吐き捨てられた。
「位置について。ヨーイ。バン!」
スタートダッシュを決めると海斗より1歩前に出ていた。
前傾姿勢から頭を少しずつあげ、大きく両手を振って、腿をあげることを意識した。
1歩前のまま、ゴールを決めた!よしっ!
「おお~、凄いじゃない、宇佐!海斗に勝つなんて!」
亮平が素直に褒めてくれた!
「ヤルじゃん、ウザオのくせに!」
春花も褒めてくれたので、拳を突き上げて吠えてみた。
「ウザオでも勝~つ!」
クラスメイトも意外だったらしく、なんかヘンな空気になっていた。
「ちょっとアイツ、フライングだったんじゃね?」
不満げな海斗が先生にまとわりついていた。
ロングホームルームで、9月最終土曜の体育祭でどの種目に出るか決めることになった。
この学校は各学年8クラスあって、体育祭は2クラス共同となって、
12チームで総得点を競う形式だ。
一番得点が高いのが男子、女子100mリレーで1組と2組から2名ずつ選ばれる。
さらに男女混合100mリレーで、1組、2組から男女1名ずつ、
さっきの50m走のタイムによって自動的に選ばれるのだ。
赤星亮平は当然クラス1位で男子100mリレーに選ばれ、
俺と松谷春花は男女混合100mリレーに選ばれた。
「やった!ウザオ、頑張ろうね!」
「おお、春花も速いんだな!」
「うん、恥じらい捨てて走ったからね!」
よしっと春花がガッツポーズしていた。
基本、得点種目は1人1種目なのだが、このクラスは男子が少なくて1500m走が欠員となった。
「うえ~い、ウザオでいいんじゃね?マラソン得意だし!」
海斗が悪意のこもった目で俺を見ていた。
走りたかったリレーは4番手で補欠になっちゃったからな、俺に負けたせいで。
「えっ、いいかな?俺、走りたい!」
入れ食いすると、すんなり決定した。1500m走、しんどいもんな。
でも嬉しい!マラソンとは違うけど、これから練習だ!
最後に、1組、2組の合同チームの旗を作る担当を決める。これも男女1名ずつだ。
結構面倒だっていう噂だ。
「うえ~い、ウザオでいいんじゃね?帰宅部だし!」
またもや海斗が悪意のこもった目で俺を見ていた。
「えっ、いいの?やりたい、やりたい!」
またもや食い付くと周りは「しょうがねえな、コイツは。」っていう生暖かい目線をくれていた。
「じゃあ女子で、やりたい人!」って司会が話しかけた。
「ハイハイハイ!」
目の前の春花がただ一人、手を挙げて猛アピールしたのですぐに決まった。
「ウザオって絵心あるワケ?」
笑顔の春花が反対向きに座り直した。
「俺って画伯と呼ばれているケド?」
ニヤリと笑って、親指で自分を指さした。
「ダメじゃん!なんで引き受けちゃうのよ?」
「大変らしいけど、面白そうだから?春花が来てくれたから、更に倍、ドン!」
春花は大げさに自分の額をペチンと叩いた。
「あいた~、失敗した!女画伯と組ませればよかった!」
「なんでだよ!春花はどうなの?」
「むふっ、アッシに任せなさ~い!」
鼻息荒く得意そうな顔になった。
・・・画伯2人じゃなくって、ホントによかった。
放課後になって春花と2組に顔を覗かせた。
「男女混合リレーと旗を作る人はだれかな。」
「あっ、1組は田中なの?」
陸上部で長距離組の伏見壱成が声をあげた。
そして幼なじみの筒井桃子も笑顔でこちらに近づいて来た。
「えっ、宇佐なの?コンタクトに変えたの?髪、切ったんだね!」
あの時以来だけど、相変わらずキレイだな・・・
「えっともしかして、2組も両方とも伏見と筒井さんなの?」
筒井さんと呼ぶと桃子は少し身じろぎした。
「そっちもその二人?」
「よかった、知ってる二人で。」
「ねえ、一度、ファミレスででも打ち合わせしようよ!」
春花が俺と桃子をチラチラ見ながら提案していた。
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