乙女心
モンスターも倒し、特にやる事も無くなったので町を出ようと考えた。
みんなも同意見だった。
「出るにしても、どの街に行くか決めないとな」
目的地がはっきりしないと、街を出ても放浪してしまう。
「サリナ、次はどこにいるのかわかる?」
「すいませんマスター。まだ、何もわかりません」
サリナにも情報は入ってきていないようだ。
どうしようか悩むな。
「優人、とりあえずこの街でのんびりしない?」
リンナから提案があった。
「ユキも賛成だニャー。もっとこの街のこと知りたいニャ」
ユキも賛成のようなので、少しこの街に滞在することにした。
ここは音楽の街と呼ばれるほど、音楽活動が活発である。
どこに行っても音楽が聴こえてくる。
そんな街をパーティーで歩く。
「幸せだな…...」
「マスターどうかしたのかニャ?」
「いや、こんなふうに皆で歩けるのが幸せだなって」
「優人は大げさね」
大げさかもしれない。
しかし、何も無い日々が幸せなのだ。
特別な事は無い。
そんな日を幸せに感じる。
「そう言えば、優人の過去って聞いたことないわね」
突然リンナが言い出した。
「でも、マスターの記憶はまだ少ないはずだニャー」
「えっ、そうなの?」
ユキの発言にリンナが驚いた。
「正直、幼少期以外は取り戻せてないんだ」
みんなはもっと取り戻してるのか?
「みんな一緒ぐらいですよマスター」
なんだ、一緒ぐらいなのか。
サリナは全員の心を読めるのか!?
サリナが怖くなってきたよ。
「少しでいいから、優人の過去を教えてくれない?嫌なら聞かないけど」
リンナが僕の過去を聞いてきた。
嫌ではないが、聞いていて気持ち良くなれるストーリーではない。
むしろ、前回との落差に僕自身がまだ受け入れられていない。
「話しても良いけど、面白くないよ?」
「構わないわ。もっと優人の事を知りたいの」
面白くない話をしますか。
「僕は、望まれて産まれてきた。その時の事は、はっきりと見たよ。嬉しそうな親の笑顔、祝福されていた。幸せな家庭だった」
みんな静かに僕の過去を聞く。
「僕が着物を着て、家族写真を撮った時も仲良くて幸せそうな顔をしていたんだ。でも、次の記憶の時には、その幸せな家庭は無かった」
「僕が見たのは、喧嘩をする両親の姿。そして、母親は出て行った。僕は子供で生活力も無かったから、親から離れられない。そんな時に父親に暴力を振るわれたんだ」
面白くない話だろと、笑いたかった。
でも、思い出すと辛くなってくる。
僕は知らぬ間に涙が出て来ていた。
その涙には、僕だけじゃない家族の悲しみがあったのかもしない。
そんな僕をリンナが抱きしめてくれた。
「優人、よく頑張ったね。でも、ここでは悩まなくても良いのよ」
リンナは優しく語りかけてくる。
確かに僕は悔しかった。
でも、それ以上の悔しさは父親に、母親にあったと思う。
「マスター、ここでは悩まずに、マスターらしさを出して下さって良いのですよ。だって、私たちはマスターのパーティーメンバーなんですから」
サリナがリンナに耳打ちする。
「リンナさん、これは宣戦布告と受け取りますよ」
リンナはそれに応える。
「私は譲る気はないから」
その2人のやり取りは、僕には何の事か分からなかった。
「何だかさ、最近泣きすぎじゃない?」
落ち着いて、考えると恥ずかしくなる。
「気のせいですよマスター。泣いているマスターも可愛いです♡」
泣き終えて冷静さを取り戻した。
これは一種の賢者タイムと言ったところか。
今さらになって、恥ずかしさがこみ上げてくる。
「大丈夫よ優人、ずっと私が居てあげるから。私が優人を支えるわよ」
そう言ってまた、リンナは優しく抱きしめてくれる。
とっても恥ずかしくなってきた。
「リンナ、頼りにしてるよ」
すると、サリナが言った。
「マスター、私の事も頼ってくださいよ」
「サリナのことは、とっくに頼りにしてるよ」
「マスター、そこまで私を頼ってくれていたなんて♡」
サリナにはけっこう助けられてるしな。
今さら言うのも恥ずかしいけど、感謝してる。
「マスターに感謝されて、私も幸せです」
だから、心を読まないで....
「ユキのことも忘れないで欲しいニャー!!ユキのことも頼ってくれていいニャー 」
次は私の番だと言わんばかりに、ユキが両手を上げて主張してくる。
「もちろん、ユキも大事な仲間だし頼りにしてるよ」
「マスター、ありがとうだニャー」
ユキは嬉しかったのか、僕に抱き着いてきた。
すると、他の2人からの殺意の視線が。
「優人、なにデレデレしてんの?」
「マスター、鼻の下伸ばしすぎですよ 」
えっ!?そんなことないはず。
「マスターは自覚ないようですよリンナさん」
「それは、重症ね」
2人が怖い会話を続ける。
「とりあえず優人、正座」
「マスター、正座です」
「はい......」
異世界でも現実でも、乙女心は難しい。
お待たせ致しました。そして僕は旅をすることになるの更新です。
いや〜、もうすぐクリスマスですね。
予定は毎年ホワイトクリスマスのまっさんです。
そろそろ、クリスマスにリア充イベントが私に来ても良いのでは?
まったくリア充イベントに恵まれない。
なんでこんなにもこの世は厳しいのか....
そんな悲しみに耐えながら内容に行きましょうか。
今回はやる事も無く、ただのんびりと散歩してました。
音楽の街、素敵ですね。
クラシック音楽とか多い街なのかな。
個人的にはロックが大好きです。
そんな事より内容ですね。
優人の過去を全員が知る機会になり、優人はこれまでの人生と違った過去に戸惑う。
そして、そんな悲しみを分かり合える仲間がいる。
最高じゃないですか!!
ハーレム的になってきたのが、個人的に辛かったりしますが......
ハーレムは嫌いじゃないですが......
「みんな好きです......」
とある小説にこんな言葉ありましたからね。
気になった人は【生徒会の】で検索すると出てくると思います。
それでは、今回はここら辺で失礼致します。
今回もお楽しみください。




