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ばれない努力

「最近、僕の扱いが酷くなってる気がするんだよな」

 誰に言うわけでもなく、1人で呟いた。

「みんなとは仲良くやってるし、悪い感じでは無いんだけど慣れてきて雑になってるよね」

 そう思いながら歩く、朝の街中。

 すっかり日課になってしまった。

 すると、辺りが闇に染まってくる。

「またこれかよ」

 少し気だるくなる。

 このパターンは、また闇とのお話になるんだろうなと思う。

 みるみる闇に包まれて、完全に闇に支配された世界となった。



「今回は遅めの登場だね」

 闇の中で話しかける。

「慣れてきてるのは、お前も一緒だろ。昔のように怯えろよ」

「うわ〜、こわ〜い」

「ほんと雑になってきたよな」

 闇との会話。

 最初は怖かったが、今では特に何も感じることは無い。

「ここまで慣れると、さすがに俺もドン引きだわ」

 闇が話しかけてくる。

「それで、今回は何のお話なんだ?」

「本当に馴れ馴れしいなお前は」

 少し怒った様子で話を続ける。

「お前は幸せな家庭に産まれた。それは今までの記憶で分かるだろ」

 産まれたことを喜んでもらい、成長のお祝いまでしてくれる。

 そんな家庭を幸せでは無いと言う人は居ない。

「たしかに、それは分かる。だが、それならなぜ僕がここに来たかの説明がつかない」

 闇が笑う。

「理解が早くて助かる。お前の本当の人生はここからだ」

 ここから?今では良かったのに、ここから悪くなるってことか?

「お前は幸せだった。しかし、世の中はバランスを取らないといけない。1人が幸せな裏には10人の不幸があるものなんだよ」

「僕達は人の不幸で幸せになっているってことか?」

「そうだ。不幸無しに幸せは有り得ない。今までの人生は他人の不幸の上に成り立っていたのだ。ならば、お前達がその10人に入ると、どうなるかな」

 再び闇が笑う。

「でも、僕は他人を不幸にしてまで幸せになりたくない!!」

「威勢だけは良いな。人間果たしてそうだろうか?」

「人を不幸にして得た幸せなんて意味が無いんだよ」

 他人を不幸にして幸せになる。

 そんな自己中心的な考え方をするのは子供だ。

「では例を出してやろう」

「お前達はモンスターを倒して記憶を取り戻してきた。しかし、記憶を失ってるのはお前達だけか?」

「そ、それは......」

「お前達が倒したモンスターを狙っていた他の人間も居たんだ。お前達よりも研究をして、作戦を考え、準備に準備を重ね倒そうとしていた人間も居た。そんな人間達に知らされる討伐の報告。果たして、お前ならどう思う」

 他のパーティーのことなんて考えたこともなかった。

 しかし、こいつの言っていることは納得してしまう。

「まあ、せいぜい考えるが良い。お前達が他人を不幸にして幸せになっていることをな」

 闇が失われて、街に戻った。

「他人を不幸にしてるって、どうすればいいんだよ!!」

 考えても答えは出ない。

 ムカついて近くの壁を殴った。



「マスター、おかえりなさい」

 宿に帰ると、サリナが出迎えてくれた。

「サリナ......」

 考えても答えは出なくて、他人を不幸にしてるのが辛くて何も言えない。

 すると、サリナの胸に包まれた。

「マスター、悩んでもいいんですよ。辛かったら泣いてもいいんですよ。私は分かっています。マスターは、いつだって皆のことをかんがえていることを。辛くなったら私を頼ってください。私はマスターだけの天使なのですから」

「まったく、心を読まれるとたまらないな」

 口ではそう言いながらも、心では感謝した。

 少し救われた気がするよ。ありがとうって。

「気にしないでくださいマスター。私は分かっていますから。マスターは、リンナが馴染むためにわざと嫌われるようなことをしていることも知っています。」

「そこまで見透かされていたのか......」

「でも、そのためにマスターが無理をすることはないんですよ。もっと、マスターは自分のことを大事にしてください」

 サリナの言葉に本当に涙が出てくる。

「僕はさ、本当にリンナが馴染めるか心配で......でも、一緒に旅をするなら馴染んで欲しくて......」

「分かっていますよ」

「モンスターと戦う時だって、誰か怪我するぐらいなら、僕が死ぬ方がましだって......」

「知っています。マスターは、出来るだけ私たちが怪我をしないように気遣いをしてくれていることを」

 サリナが、更に強く抱きしめてくれる。

「いつも皆に迷惑かけて......」

 サリナはいつまでも、僕が泣きつかれて寝てしまうまで抱いてくれていた。



「あいつ、そんな事を考えてたなんて......」

 その影で、二人を見つめている人がいた。

「ただの変態だと思っていたのに......」

 リンナは自分のことをそこまで考えてくれているとは、今まで思ったこともなかった。

 まさか、自分のためにそこまでしてくれていたなんて。



 僕は泣き疲れて眠ってしまった。

「リンナさん、そろそろ出てきたらどうですか?」

「いつから気付いてたのよ」

 物陰からリンナが出てくる。

「最初からですよ」

「まさか、こいつがそんなこと考えてくれてるなんて知らなかったわ」

「さすがにマスターも疲れていた様子ですね」

「ちょっとこいつのイメージが変わったわ」

「でも、リンナさん、これは聞いていなかったことにしてくださいね」

「そうね。こいつの努力を無駄にしたくないしね」

みなさま、おはようございます。まっさんです。

今回は早めの投稿となりました。

話は変わりますが、最近寒すぎないですかね?

寒くて、家から駅までの自転車で耳が千切れそうです。

それに、寒いと肩こりが酷いんですよ。

おかげさまで、肩が上がらない。そんな過酷な日々を送ってます。


それでは、今回の内容ですね。

今回の内容で、1人が幸せになると10人が不幸になるは、間違ってるような間違っていないような。

これは、皆様それぞれ意見が違うと思います。

別に自分が幸せになるのは悪い事ではありませんよ。

幸せ度合いなんて、測れないんですから気にしなくてもいいんです。

私は今幸せです。

小説を書いて、皆様に読んでいただいて。

でも、私の小説で時間を無駄にしたと思う方も、居るかも知れないので、難しいところですよね。

そして、人のために努力する優人くん。

カッコイイ!!ヒューヒュー!!

おふざけはこのぐらいにしておきますか。

それでは、今回もお楽しみください。

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