村の霊②
サイバー攻撃、最近話題になっているよな。
秋「最近の自動運転電車も、標的にされてるっぽいな。」
大勢の人が駆け足で歩き回る駅構内。黒いパーカーと黒ズボンを履いた少年。
キョウ「まあ俺様にかかれば、そんなのチョチョイのチョイで無かった同然にできるってわけよ!!」
その隣を歩く、赤Tシャツと黄色の短パンを履いた少年。その少年は、人をすり抜ける…
そう。キョウは、霊だ。
秋「にしても、急に電車が加速するのもなれたな〜…しょっちゅう事故ってんのに。」
キョウ「みんなが俺らみたいに、霊を持てば良いのにな〜」
秋「…俺は、しない方がいいと思う。」
キョウ「え?なんで?」
秋「俺の村の伝統…10歳を超えたら、その子に霊を取り憑かせるってやつ…」
キョウ「それが俺とお前だもんな。お前が十の時、俺はお前の婆さんによって、お前に憑く事になった。でも、お前にとって悪い事じゃないと思うぜ〜?」
秋「なんで?」
キョウ「俺は、お前の護衛みたいなもんだからなっ!!俺はサイバーなんちゃらも霊の力で無効化できるし、実体化しようと思えばできるし、俺万能の霊だから!!デメリットなし!!」
秋「あると言えばうるさい。」
キョウ「おい。」
駅を出て、秋は周りを見渡す。
キョウ「で、当てはあんのかよ?」
秋「ないって言ってるだろ……とにかく、俺は俺自信の勘を信じる。」
キョウ「そうですかい。まあ、それで何年も続けられて来たからねぇ〜」
するの、秋は、何かにハッと気がついた。
キョウ「秋?」
秋「こっちだ。」
秋は、駅から出て来た人の多くが向かう右方向の逆の、左方向に歩き出した。
キョウ「にしても、なんで半額で受けた?この依頼。そのまま見つけて、普通に引き渡せば、100%もらえんじゃん。懸賞金の1億円。」
秋「5000万円でも大金だろ?」
キョウ「金はあって困らねえぜ〜?俺だってなぁ、金が無くてこうなっちまった。」
秋「脱獄犯見つけられなかったら、俺《《も》》餓死するよ。」
キョウ「…そうかいそうかい。」
そこから、ひたすら歩いた。
いつの間にか、次の日になっていて、すれ違う人も居なくなっていた。
周りは静かな住宅街。しかし、一つ、ポツンと立っている廃工場があった。
秋「あそこ、怪しい。」
キョウ「なんかあったら、すぐ頼れよ〜」
秋は、迷わずその廃工場の扉を開ける。
ガタンッ
秋「っ!…ビビった〜……」
扉を開ける音が、廃工場に響き渡った。秋は、近くにある錆びた少し太い鉄骨を、片手で持ち上げ、廃工場の中を歩き出した。
秋(俺の足音以外、なにも音がしない……でも、俺の勘が……)
その時、俺は目を大きく開けた。廃工場の2階(現在地)の道の奥先に、誰かが倒れている。
秋「なんだ…?」
俺は、恐怖心を持ちながらも、ゆっくりと近づく。
コツッ…コツッ…
秋「っ!!!?」
近くに寄って、秋はようやく気がついた。そして、腰を抜かし、床にヘタっと座り込んだ。
秋(人…しかも、頭から血が……)
「動くなガキ。」
秋の頭に、銃が突きつけられる。秋は、鉄骨を置き、ゆっくりと両手を上げた。
秋「…あなたは、銀行強盗をしましたか。」
「…てめぇ、なんで知ってる!!!」
秋に銃を突きつける男は、秋を思いっきり蹴り飛ばす。そして、倒れる秋を床に押し付けながら、秋の腹に銃を突きつけた。
男「おい…答えろぉ!!」
秋「……」
秋は、恐怖で声が出なかった。しかし、秋は手を震わせながら、冷や汗をかきながら言った。
秋「俺は、なんでも屋だ…警察の依頼で、銀行強盗を起こした脱獄犯を、探しに来た…」
男「この場所を、誰から聞いた!!!それとも、サツがいるのか?外に…」
秋「俺1人だ…ここに入ったのは、今日の泊まるところを探していたからだ。俺は金がねえから、泊まれない。だから、ここに泊まろうとした。」
男「じゃあなんで鉄骨を手に持って、ここを周ってた。泊まろうとした場所に、偶然追ってる《《脱獄犯の仲間》》が居たっていうのか!?あぁ!?!?」
その時、秋は声を漏らした。
秋「え?」
秋(仲間…?)
男「答えろ!!情報渡したのは、どいつだ!?まさか、京が言ったのか!?」
京、それは、脱獄犯の名前だった。
秋「…そうだ。」
すると!男は舌打ちをした。そして、力が緩んだ。
秋(…今しか、ない)
秋は息を呑み、男を突き飛ばす。秋は立ち上がり、そして銃を奪い、男に向ける。
男「!?」
バンッ
秋は、怖くてたまらなかった。殺されそうになって、もうここで、殺さないと…殺されると思ったから……
銃は尻餅をつき、体から力が抜け、銃を落としてしまった。
秋「はぁ…はぁ……」
秋の目の前には、頭から血を流し、死ぬ男。後ろには、元々倒れていた男。
2つの死体が、秋の周りにあった。
キョウ「あ〜あ、やっちゃったねー」
村の掟…
キョウ「人、殺しちゃったね」
秋は、青ざめる。
秋「…キョウ……これから、俺はどうなる……」
そして、キョウは口を開く。妙に微笑みながら…
キョウ「俺みたいになる…つまり、死ぬ」




