03話 魔獣の森へ
「――どうしてこうなった、、、」
俺たちは、異世界を旅することにし、ココルテの町から次の目的地に向かうため、魔獣の森を移動している。
ココルテの町は周囲を魔獣の森で囲まれている。
この魔獣の森だが、場所や通るルートで危険度が変わるのである。
そのため、俺らは一番安全とされている西へ向かうルートを選んだ。
たどり着くのは、港町ルトリアというところらしい。
それで、なぜ冒頭で俺が悶絶しているかというと、、、
護衛を引き受けてくれたパーティ『風来の乙女たち』は、女性だけの珍しいパーティだった。
実力はちゃんとあるし、冒険者にありがちな野蛮なところなどもないし、条件としてはかなり優良なパーティである。
――しかし、俺にとっては問題があった。
魔獣の森は、『道』なんてものはなく、馬車などは使うことができないため、移動は必然的に徒歩になる。
それ自体は構わないのだが、依頼を受けてくれた女性たちが、すごくまじめなのだ。
まじめであるが故に、護衛対象である俺を執拗に護ってくれる。
冒険者とはいえ、女性は女性。
コミュ障を引きずる俺には、なんとも言えない圧迫感がある。
そして、目のやり場に困る。
森の中ということで露出がある服ではない。
しかし、重装備というわけでもないから、むしろチラリズムが生み出されている。
そして、それに気を取られるたびに、ミミとココネに叩かれる。
そして、さらに問題なのが。
「――この『白銀刀・初名』の攻撃を食らいなさい!」
パーティリーダーのノーラさんが、ことある度に『白銀刀・初名』の名前を叫ぶのだ。
――恥ずかしい。
まるで、中二病の自分を見ているようだ。
そんなに恥ずかしい名前だとは、思わないのだが、恥ずかしく思える。
そんなこんなで、俺の精神が削られているのである。
◇◆◇
「今日はここで、野営にしましょう」
何度も野営に使われた形跡が残っている開けた場所。
そこで、野営の準備をすることになった。
と、いっても、俺らは護衛される身であるので、テントを張ったり食事の用意をするだけでいい。
それも大半はミミとココネでやってしまうので、俺は手持ち無沙汰だ。
なので、こっそり『風来の乙女たち』のステータスを鑑定したりしていた。
――そこ「お巡りさんこっちです」とか言わないで!
いざというときの参考にするためだから。
『風来の乙女たち』は平均Bランクといった感じのステータスだった。
それぞれが持つスキルなどの組み合わせもいいし、中々理想のパーティだった。
ちなみに、食事はミミとココネが『風来の乙女たち』の分も用意した。
これも依頼内容に含まれているからだ。
そうして、夜の警備を任せて、俺らはテントで寝た。
――別に可愛い奴隷の女の子と一緒に寝るからって、やましいことは何もしてないよ?
そんな勇気、俺にはありません。
◇◆◇
魔獣の森二日目。
今日は、通るルートで唯一の危険地帯を通ることになっている。
なんでも、少し前にここで大型の魔物が出たらしい。
特に今までと、変わった様子はないから大丈夫だとは思うけど。
不意に前を歩く、索敵能力に長けた女性が、腕を斜め下に切るように動かす。
それは『大きめの魔物の可能性あり』という合図だ。
俺らは足を止め、音を出さないように注意する。
「――まずいっ。こっちに向かってきてる!」
索敵担当の女性が思わず叫んだ。
こういうときは声を出すのはマズいのだが、それも無理もない。
『それ』は、すでに俺らの目の前に姿を現していた。
俺は、右腰の『アナライザー』に手を当てつつ、【超高位鑑定】を発動する。
別に手を当てなくてもスキルは発動できるが、イメージを描くための助けになるから、ついやってしまう。
【超高鑑定】が発動し、頭の中に情報が入ってくる。
そして、『それ』の正体が判明する。
みんなに伝えようと、俺が名前を告げようとする、その前に――
――ココネがつぶやいた。
「――ガイアウルフ、、、」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:ガイアウルフ
LV: 102
HP: 1051
MP: 198
STR: 564
INT: 159
VIT: 860
AGI: 832
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――そいつはココネの父親の仇だった




