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にん~行雲流水~  作者: 石原に太郎Ver.15y-o
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《津島忍者の洞窟 その二》

パリーン・パキーン

突然仮面忍者たちの面が割れ出し、その場にバタバタと倒れ始めた。


状況が分からずにオロオロと慌てる群暮。


ヒュルヒュルーザクッ

蓮の阿修羅刀はその群暮の胴体を真っ二つに切り裂いた。


鮮やかに切断されそた上半身はそのまま横にずり落ちていく。

群暮は横に倒れている自分の下半身を確認すると天を見上げて何かを呟きながら絶命した。


蓮の阿修羅刀の回転が止まり辺りは静寂に包まれる。



「オーイ助けてー」

団丸の声が聞こえてくる

どうやら深い穴に落ちたようだ


「ここに何かあるよ。」

叙里、蓮、櫂が穴に下りていく。



薄暗い洞窟の床下には仁王の像が怖い顔でこちらを見らんでおり、奥に続くであろう通路の入り口は膜のような物で覆われている。


「これは灸忍長老の話と同じですね。」

天井から漏れる薄明りの中、叙里は仁王を調べる。


「でもこの階段は誰かに壊されたようだな。」

蓮は後ろの崩れた階段を調べる。


「ん~これは結界が張られているようです。でもこの結界は新しいですね。」

二体の仁王を結ぶように張られているその結界は半透明だが何か描かれているようだ。


「桜忍者の鉢巻をしている村人がいますね。」

結界らしき膜には桜忍者が何かをしている様子が描かれている。

叙里は続いて仁王像のつま先から頭の天辺までマジマジと確認する。


「仁王像は古い物ですが、手に持っている剣は比較的新しいですね。」


「この死体はなんだ。」

蓮が落ちていた松明に火をつける。


ポワ~ンと周囲が明るくなると、崩れた階段下には椛忍者らしき死体が数体転がっていた。

その死体はどす黒く変色しているが腐食はしていない


「これは、相当に強い毒だな。」

蓮は死体の皮膚を摘まみながら呟いた。


「無理に結界を破ろうとすると、この仁王像から毒が吹き出すのかもな。」

今度は少し大きめの声でみんなに聞こえるように話した。


「毒!」

団丸は慌てて上に登ろうとする。


「待って団丸。」

櫂が団丸を止める。


「これ桜忍者の秋祭りだよ。」

そいうと半透明の結界に描かれた絵を心眼で凝視する。


「楽しそうに村歌を歌っている桜忍者が描かれてるよ。」

櫂の心眼には大声で楽しく歌い響く祭囃子が見えてきた。


歌おう♪ 歌おうよ♪

櫂の肩に、また木と火の精霊が現れた。


「そうだね。よし、みんなで村歌を歌おう」

あっけにとられる叙里。


「よ~っ」

「えっ何で歌ですか。」

団丸が歌おうとするが、叙里に止められる。

「櫂、少しはまじめに考えて下さい。何故ここで歌うのですか。」


「よし、歌おう。」

櫂の提案に蓮が賛同する。


「れれれれれ」

蓮の一言が余程ショックだったのか、叙里は言葉にならない声を出した。


「櫂がそう思ったのなら皆で歌おう。」

「あわわわわ」

蓮はポンと叙里の肩をたたき改めて提案する。


「歌うぞ~!」

団丸は超乗り気だ。

多数決で叙里も仕方なく歌うことにした。


よ~い よ~い よ~い よやっせ~ よ~い よ~い よ~い よやっせ~

しゅく~かわ~ むらには~ いの~りの~ や~まよ~


よ~い よ~い よ~を もぉ~い よ~い よ~い よ~を もぉ~い

せぎ~わぢ~ むら~むら~ うら~やま~ 


よ~い よ~い つ~か よ~い よ~い よ~い つ~か よ~い

とんぺい~ ごそ~ん~ なか~の~ よ~い~こ~


・・・・・・・・


・・・・・


何も起こらない


「結局、櫂は何がしたかったのですか。」

叙里が櫂に詰め寄る。


みんなでだよ♪ みんなで歌うのよ♪

櫂の肩では木と火の精霊が皆で歌えと言っている。

 

「桃、奏、ちょっと降りてきて。」

櫂は上にいる二人を呼んだ。


「かかかかかかぁ、」

言葉に詰まる叙里の肩を蓮がポンと叩き、言う通りにしようと目で諭す。


「もも~、かなで~、みんなで歌うよ~」

大きな声で桃たちを呼ぶ団丸はとても楽しそうだ。


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