《団丸と桃の合流》
龍神の祠前に修忍里の生き残りが集まっていた。
そこには黒組の桃と団丸の姿もあった。
「真偽のほどは定かではないが、今ワシの元にある情報を繋ぎ合せると大よその事態は見えてくる。」
超長老は厳しい面もちで語りだした。
「椛忍者は信西ではなく清盛に付いたようじゃ。」
「初めて見る仮面忍者も清盛に付いているようじゃ。」
「現状で対抗する手段が見当たらん」
「修忍里がこうも簡単に襲われるということは桜忍者内に間者が入り込んでいたようじゃ。」
「それがおそらく群暮だったのじゃろう。」
「他にも間者がいたかもしれん。」
「もし外で里の生き残りにあっても信用したらだめじゃ。」
「この先は固まらずに、なるべく少人数で行動するのじゃ。」
「北と東は椛忍者の村が多いので西へ向かおう。」
「出来れば九州の楠忍者の里で再起を期すのじゃ。」
そして西へ非難するように各村へ伝令が飛んだ。
その夙川村への伝令役が百合だった。
*******************
夙川村に着くと百合のお爺ちゃんでもある村の長老と村人達は少し不安そうではあるが暖かい笑顔で出迎えてくれた。
百合は懐かしさと温かい笑顔で緊張の糸が切れたのか、涙がドンドン溢れてきた。まだ伝令の役目が終わっていないと心に言い聞かせたが、溢れる涙を止めようとすればするほど余計に涙が湧き出してくる。
百合はとうとう抑えきれなくなり肩を揺らしながらヒックヒックと泣きだした。
村人達は少し不安そうな顔をして百合を遠巻きに見ていたが、お爺ちゃんだけはいつもの笑顔で百合を優しく抱きしめてくれた。
「お帰り百合」
「おずぃ~ちゃわぁ~ん」
百合はお爺ちゃんの腕の中で思いっきり泣いた。隣村にも聞こえんばかりの大きな泣き声が村中に響き渡った。
夙川村を含む今帰仁五村は九州への避難を決めた。




