表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/90

74、フィオナの反撃

『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

小説2巻、7/5発売です!


また他作品ですが

『妃教育から逃げたい私』

香水&ネイルオイル完全受注生産です!

注文しないと手に入らないので、気になっている方は6/30までにご注文ください。


それぞれ詳細は活動報告をお読みください。



 フィオナがいなくなった。

 戻って来ないフィオナを心配して劇場の許可を得てトイレを探したが、フィオナはいなかった。


「一人でどこかに行かれたのでは」

「そんなはずはない。フィオナは身体が弱くて本人もそれを自覚している。勝手に一人で行動するリスクをわかっている」


 だから俺がそばにいないときは、アンネと一緒にいた。一人で倒れたときが大変だからだ。

 これは誘拐だと判断した俺は、すぐに王家に協力を依頼した。


「フィオナ様がいなくなったというのは本当ですか!?」


 王城に行くと、もう話を聞いたらしいカミラが取り乱した。


「わ、わたくしがチケットをあげたばかりに……フィオナ様……!」

「落ち着けカミラ」


 ジェレミーがカミラを支える。


「兵士たちを総動員して探させている」

「ああ、助かる」

「必ず見つかる。大丈夫だ」


 ジェレミーの励まそうとしてくれる言葉に、俺は静かに頷いた。


「フィオナ嬢はここ最近健康だったから、きっと身体も大丈夫だよ」

「ああ、そうだな」


 エリックもこちらを気遣ってくれているのがわかる。それだけ俺は憔悴しているのだろう。しかし、落ち込んでなどいられない。今この時も、フィオナは不安なはずだ。

 フィオナ……必ず見つけるから、無事でいてくれ。


「殿下! こんなものが!」


 兵士の一人が駆け込んできた。手には何かを持っている。


「劇場の近くに落ちていました。犯人が落としたのではないかと」

「これは……国旗?」


 見覚えがある。


「待ってろ。今思い出すから」


 ジェレミーも見た覚えがあるのか、頭を手で揉んだ。どこだ。どの国のものだ。


「……リビエン帝国だ」


 誰も思い出せない中、エリックがポツリと言った。

 リビエン帝国……そうだ、リビエン帝国だ。

 この世界で一番進んだ国だが、他国とあまり交流を持たない謎の国。


「すぐに国外に繋がる道、海路を封鎖! フィオナ嬢を探せ!」

「了解です!」


 ジェレミー殿下の命令に、兵士たちが返事をしてすぐさま行動に移す。

 リビエン帝国……そんな国がフィオナを……? なぜだ……?


「あいつら……また……」


 考え込んでいる俺の耳に、エリックの言葉は届かなかった。



          ◇◇◇



 このままじっとしているわけにはいかないわ。

 このままだと向こうの国に送られてしまう。なんとかしないと。

 それにこの倉庫は寒い。このままでは病弱な私の体ではすぐに動けなくなってしまう。動くとしたらまだ体力がある今だ。

 私は床に座りながら考えていると、太ももにあるものに気付き、一か八か賭けに出ることにした。


「うっ……苦しい!」


 胸を押さえてばたりと倒れる。


「……おい、冗談はよせ」


 私はハアハアと荒い息を吐き出す。

 フードの男は相手にしなかったが、ミリィが心配そうに口を開いた。


「……ねえ、本当に苦しいんじゃない? この子、身体が弱いのよ。もしこのまま死んじゃったらどうするの? 私、さすがに殺人犯になりたくないわ」


 ミリィの感覚がわからないが、彼女の中では誘拐はセーフで死なすのはアウトらしい。いい情報を得た。

 ミリィの心配する言葉に、フードの男は深くため息を吐いた。


「……俺も今死なれたら困る。どうすればいい?」

「知らないわよ。なんか薬とかあげたら? お医者さんとか呼べないの?」

「こんなところに呼べるわけないだろう」

「使えないわね!」

「それはこっちのセリフだ」

「なんですって!?」


 ――今だわ! 

 二人が言い争っている隙に、私は太ももに巻き付けていたあるものを抜き取った。

 そして、それを彼らに突きつける。

 気付いたミリィが大声を出した。


「あ、あなた、演技だったの!?」

「騙して悪いわね。でも、そちらのほうが悪いことをしているから、謝らないわよ」


 短剣がキラリと光る。

 以前、アリスが手紙とともに送ってくれたものだ。


『護身用にどうかと思って買っちゃいました! かっこよくないですか!? 私とお揃いです!』


 と手紙には書いてあった。呆れたが、私の中の中二心を刺激されてしまって、外出のときは密かに持ち歩いてた。

 まさか実際に使う日が来るとは。アリスに感謝だ。

 私の行動に、ミリィは慌てた表情をしたが、すぐにニヤリとした笑みを浮かべる。


「ふん! そんな短剣でどうしようっていうの? こっちは長剣があるのよ?」


 フードの男が、剣を私から見えるように動かした。無駄なことはやめろということだろう。 長剣と短剣、リーチが違う。経験の差もあるし、私では勝ち目がないだろう。


「そうね。争うのは無駄でしょうね」


 だが、これでいい。元々戦う気はない。


「さあ、観念して――」

「でもこれならどう?」



読んでいただきありがとうございます!

もしよければ、ページ下部の★★★★★クリック評価や、ブックマーク追加で応援いただけるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
病弱令嬢コミックス4巻発売!
 


『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』

コミックス4巻本日8/5発売!


描き下ろし番外編もあります!!

平置きしてない場合もあるのでこちらの実物写真ぜひご購入の際の参考にしてくださいね!

i00000


作品書影&情報はこちら⬇

i00000


『病弱な悪役令嬢ですが、婚約者が過保護すぎて逃げ出したい(私たち犬猿の仲でしたよね!?)』
コミックス4巻


発売日:2025年8月5日



あらすじ

健康オタクがバレた悪役令嬢×過保護が加速する公爵令息のラブコメディ

領民の生活改善を進めたことから、国全体の健康改善プロジェクトにスカウトされたフィオナ。
その主要メンバーは「きらめきの中に」の攻略対象の面々!
作中では彼らの前で断罪される運命であり、内心穏やかでないフィオナ。
ジェレミーはフィオナに好意的なものの、その側近・サディアス、婚約者・カミラからはそうでもないようで、ちょっと一筋縄ではいかない状況に…。
さらにジェレミーを意識するルイスからは「殿下のことが好きなのか?」と問われ!?



特典詳細はこちら↓

i00000


特典は4種類!
小箱ハコ先生の描き下ろし漫画に、
描き下ろしイラスト付きの私の書き下ろし特典SS!

それぞれ2種類ずつあるのでぜひお好みのものをゲットしてください!

ぜひお手に取っていただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!

あと下に、
『妃教育から逃げたい私』のグッズ通販情報と、
『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』6巻の情報です!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』

コミックス6巻8/2発売!


コミックシーモアさんで発売されてます!
(その後各電子書籍ストア配信予定)

なんと今なら6巻発売記念キャンペーンで
1~2巻無料で読めます!

気になってる方ぜひ読んでみてください!

元は縦読み漫画ですがこちらの単行本版は横読みになってます!

i00000


『せっかく令嬢に憑依したのにすでにやらかした後でした!』 コミックス6巻


発売日:2025年8月2日



あらすじ

社畜のように日々働いていた主人公は、ある日、目が覚めると異世界の令嬢クリスティナに憑依していた。
望んでいたような人生のやり直し、ではない。
記憶によればこの身体の持ち主はとんでもない悪女で、すでに色々『やらかしたあと』だった!
王太子からは「次はない」と脅され、抑制の手段という理由で監視役の公爵令息からは「一緒に住む」と言われ…!?
本気で抹殺の理由を得ようとしていると震えるクリスティナは、好感度を下げないために労働することを思いつく。一方、公爵は監視の他にも思惑があるようで……。

やらかし終えた元悪女と、監視役公爵との無自覚ロマンスファンタジー!



ヒーローの過去(子ども時代)出てきます!
そう、表紙の子どもはヒーローです!
ぜひお読みください!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『妃教育から逃げたい私』
POP UP SHOP 事後通販開始!


POP UP SHOP行ってくださった方ありがとうございます!
そして行けなかった方…もしくは買うか悩んでやっぱり買いたかった!と後悔している方…

8/4から事後通販始まってます!

i00000


こちらのグッズは菅田うり先生のイラストのものになります!

どれもとっても可愛いのでぜひ!
(私もキーホルダー追加で買おうと思ってます可愛い!)



ぜひお手に取っていただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!


― 新着の感想 ―
[一言] いや拉致とかする時に証拠になりそうな国旗とか持ち歩く?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ