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【完結】株式会社SETA異世界派遣部~眠れる魔王と勇者の子孫~  作者: BIRD
第2章

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第11話:古代民族

エリシオの使い魔として行動を共にする事になり、魔王ルシエはその身体の秘密を明かした。

「我は女子ではないぞ」

「え?!」

「賢者シロウの記録にあったから知ってるわ」

カミングアウトするルシエに、エリシオは驚き、ソレミアは動じなかった。


「男子でもないがな。我の一族に性別は無く、伴侶となる者に合わせて男女どちらかに変わるのだ」

「それは記録に無かったわ。転生の際のエネルギー不足で無性別になったと推測されてたけど」

ルシエが伝える失われた古代の情報を、ソレミアは動画と文書で保存する。


今は魔族と呼ばれているルシエたちの種族は、太古に滅びた民族が転生したもの。

魔王と呼ばれるルシエは元々その民族の王だったという。

古代民族は幼少期は無性別で、恋愛対象を定めるとその相手によって性分化するらしい。


「とりあえず女の子じゃないなら、エリと一緒にお風呂済ませちゃいなさい」

ソレミアがテーブルにあった呼び鈴を鳴らすと、ササッと現れる侍女たち。

「お手伝いいたします」

侍女たちは丁寧に、しかし有無を言わせず、エリシオとセットでルシエを風呂場に案内する。

というか猫の姿で膝の上にいたので、そのままエリシオに抱っこされて連れて行かれた。


プルミエ王城には賢者シロウこと瀬田史郎が創った檜風呂がある。

日本人の勇者セイルも好み、彼の子孫もそのデザインを好んだ事から、定期的にメンテナンスしつつ維持されていた。

勿論、木製の風呂桶もある。


「これは良いものだな」

風呂好きらしいルシエが嬉しそうに言う。

御機嫌な猫魔王を、侍女たちは湯を入れた風呂桶に座らせて丁寧に洗い始めた。

「封印前はご先祖さまとお風呂に入ったの?」

その横で木製の椅子に座り、洗われているエリシオが聞く。

保護されてから紺碧の揺り籠(アズールクレイドル)完成まで、この城でセイルと暮らしていた事はルシエ本人が明かしていた。

「うむ。あの頃は猫になれなかったゆえ、人型のままセイルに洗われたぞ」

シルバーグレーの猫っ毛を泡まみれにされつつ、気持ちよさそうにしながらルシエが答えた。

「勇者に背中流してもらう魔王って、考えたら凄い変な光景だね」

エリシオが笑う。

「おそらく史上初であったろうな」

ルシエも面白そうに笑った。



就寝時、ルシエは人型に戻った。

プルミエ王城内のベッドはSETA社製の魔道具で、そこに寝る人間の体格や人数で大きさを変える。

寝転がったエリシオに寄り添うルシエが猫から人間の子供の姿に戻ると、ベッドはその形を変えて広々とした幅になった。


「随分と便利になったものだな」

ベッドを見回してルシエが言う。

986年前はセミダブルサイズでセイルにくっついて寝ていた。

今は子供2人で大の字になって寝転がってもまだ幅に余裕がある。


そのうちエリシオが寝落ちたので、ルシエはその胸に頭を乗せてみた。

封印前にセイルにした時と同じように、しっかりした鼓動が聞こえる。

その音に満足して、ルシエはエリシオの横にピッタリくっついて眠りに落ちた。

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