知らない
「じゃあ、とりあえず俺の馬車に乗せるか」
「はい、お願いします」
俺はカルトを抱き上げて馬車に向かった
しばらくしてからライトは来た
「すみません、遅く、なりました、」
「君、それは」
ライトの手は刃物そのもののようなものになっていて、腕はまるで噛まれたような傷があり血が流れていた。
「すぐ手当を、」
「大丈夫です。」
「っ・・・ライト?」
カルトが目を覚ました。
ライトはすぐに人形の姿に変わった
「お目覚めですか。体調はどうですか?」
「ライト・・・キルさん・・・ライト!人形の姿で動き回るなって言ったよな!?」
さっきまで倒れてたくせにわたわたしだした。
本当、切り替えがいいというか、気まぐれすぎるのか?
「すみません。でも、もう見られましたし」
ライトがいたずらに笑う
「えー・・・キルさん」
「ん?」
「このこと、黙っててもらえますか?お願いします!」
必死に両手を合わせて必死にお願いしてる
ちょっと可愛い
「っ、・・・仕方ないな」
「ありがとう!!!」
「言う相手が少ないし」
「・・・確かに」
カルトが認める
「だから、心配するな。」
するとライトが
「寂しい話ですね」
「お前、本当失礼だな。」
「すみません、ライト素直なんですよ」
素直というより嫌味に聞こえるが?
「そういや、仕事!」
思い出してカルトが立ち上がる
「あ、俺がやりましたよ。」
「え、・・・なんでまた」
「あなたが倒れるからですよ」
あ、そうか・・・
さっきの怪我はその時のか
「どんな奴だった?」
カルトが聞く
「俺に、深く関わりがありそうな記憶でしたよ。」
どういうことだ?
カルトはわかったみたいだが
「分かった・・・キルさん、帰りますか」
寂しく優しい顔をこちらに向ける。
「分かった。」
俺は運び屋。
元殺し屋の運び屋。
殺し屋に「絶望」を感じた運び屋。
今はただの拾われた運び屋。
俺は彼女を知らない。
彼も彼女も、知ったつもりでいるだけ。
事実も、嘘の塊も、俺らは見分けが本当はついていない。
何事も本当に分かるのはその本人だけ。
それでも知りたいと思うのは……?
懐かしいような、知らないような音が、遠くでなるのが聞こえた気がした。