迷ったら
「また・・・」
またあの子娘が来てる
最近近くまでよく来るけど
「ねぇ、」
「すみません!」
私が話しかけるとどこかへ走り出してしまう。
私はその背中を見たまま立っているだけだった。
「あら?ミオンおはよう。どうしたの?」
「サラさん、おはようございます。なんもないですよ」
「とりあえず、入ったら?」
「はーい」
私はいつものテンションを意識した。
ここに来たのは去年だ。
私には夢があったか無かったかわからない。
ただただ日々を過ごしていたら目線も高くなっていた。
自分を作って嘘の顔がいくつもあった。
自分は偽りの塊だと思っていた。
私って、何がしたいんだろう?
そんなことをいつしか思うようになっていた。
未来なんてわからない。
予知能力があったら・・・
そんなことを思いながら海岸から海を眺めてた。
「ねぇ、君」
知らない人に話しかけられた。
「ここら辺の子?」
「そうですね・・・そこの街に住んでます」
「そうか・・・最近よく来るよな」
「すみません」
迷惑になっているのかと思い謝る
「いやいや、別にいいんだけど・・・暗い顔してるからさ」
「考え事です。特には理由はないです」
自分を見失った私は海の波を見る
「理由あるじゃないか。あ、俺カルト。そこの家に住んでるやつ」
そう。これが彼との出会いだった。
すると、雨が降ってきて
「とりあえずうちに来い。風邪ひくぞ」
ってことでおじゃました。
「あの、・・・」
「ん?」
「話、聴いてもらえませんか?」
「自分が見えないか・・・君は信じるか?ある家で殺人事件が起こりたった一人の子供だけが今も生きている。それも、運で。」
「運で?というか、信じない理由も無いですよ」
「受け身だね。嫌いじゃない」
彼はフッと静かな笑を見せた
「それ、俺なんだ。」
「え」
「俺が7歳の時の話だよ。一晩で一人ぼっちになったんだ。その時はなんも無かった。感情すらも・・・いや、あったけど耳を傾けられなかったのかな」
「なんで、その話を」
「え?君も話したからね。これなら不公平じゃないだろ?」
彼は笑う。
わけがわからない
「変な質問するけどさ・・・何人いるんだ?自分が」
え・・・
「わからない。わからないから、」
「じゃあ、一人だ。自分が分からないのは俺もだよ。いまだにどうすればいいのかね」
「あなたは、笑ってる。わからないのに、笑ってる」
何故か口からこぼれた言葉
不思議だった。
わからないから苦しいのに
「君面白いな。俺が迷っても笑うのは、笑えるのは支えがあるから。」
「支え?」
「今別の部屋にいるやつ。アイツさ、すっごく素直というか真っ直ぐに見えるというか流されるというか・・・俺が全て捨てようとした時に止めてくれたんだ。
今さら振り返って暗くなって潰れるより、今を見ればいい。」
「私は」
「人に未来は見えない。
なのに過去はいつまでもいつまでもついてくる。それも嬉しさよりも苦しさがな。
それはどうしようもない。
今は未来にもっとも近くて俺らにも見える場所だ。
それを見つめる努力は無駄にならない気がするんだ。」
今を見つめる努力・・・
この人はスゴイ・・・私よりも思い悩みを抱えてるのに私よりも前に進んでる。
あれ?私なんで、止まってるんだっけ?
「君さ」
「ミオンです。」
「ミオン、俺と話す時性格つくってたか?」
「え、・・・」
そういえば・・・
「意識してなかった。」
「そうなんだ。どんな感じかなって思ったからさ。それだけ」
そして申し訳なさそうに笑う
「そうだ。迷ったらここに来いよ。俺も一応居るからさ・・・今日は休んだけどな」
彼は私に小さなメモ用紙を渡した
「・・・『クロス・ウォーリアーズ』?」
「ここ、ある意味面白いからさ。」
いたずらに笑う
そして私の頭を撫でて
「力になるからさ」
と囁いてくれた
そして今ゴタゴタがあってクロス・ウォーリアーズで働く側になっている。
コロコロ変わる性格を利用してそれぞれ話に来る人に合わせた対応をしてる。
ちなみにこれを見つけたのはサラさん。
「そういえば、カルトこんなに短気だったなんてあの時はなんも分からなかったなー」
ふと思い口に出すと彼は
「俺、君のこと気に入ったからね」
と笑った
顔が赤くなるのがわかった
私にとってカルトは大きな存在に見えた
今日もあの娘がいた。
「ねぇ、入る?」
「・・・いいです。」
振り返る彼女
「何かあるなら聞くわよ。
ここはある意味面白いところよ。
力になるからさ!」
私の言葉に驚いたのかこちらに顔を向ける
私はその娘に微笑みかけた




