チロさんの日常 ④
「メイド?」
「あい、なんでございますか? 五月様」
「買い物行く?」
「食材たくさんありますので、今日は参りません。何かご入用のものがございますか?」
「いや、そうじゃないけど……」
「そうじゃないけど?」
「いや、じゃあ、さん……チロを外に連れて行くんだな」
「そうでございますね。もう少し陽が傾きましたら」
「そうか……そうか……」
「五月様?」
「ん?」
「お行きになりたいのですか?」
「ん? んー」
「ワンコの集まる公園はのみをもらってしまいますから、避けてくださいませね」
「ん、わかった」
だいたいはめいとさんがチロさんのおさんぽに行くのですが、ときどき五月様も行きたがります。
大抵はネタに詰まった時です。
チャリチャリ……。
ワンワン、キャンキャン、アォ〜ン……。
チロさん、すかさずリードの音に反応しました。
「ペットボトルのお水と、トイレットペーパーと、ビニール袋。はい、ワンコセットです」
「ん」
「おしっこしたらお水をかけるのですよ」
「ん」
「ウ○チはペーパーでとって、帰ったらすぐにおトイレに流してくださいね」
「ん」
「チロちゃんが拾い食いしないように、気をつけてくださいませ」
「ん、じゃ、行ってくる」
「はい、お財布」
「え?」
「八百屋さんで人参とピーパン買ってきてくださいまし」
「……」
「あとお出汁の素と、黒のボールペンお願いいたします」
「チロ連れてスーパーには入れないぞ?」
「コンビニにワンコ用のリードつなぎがございますから」
「買い物あるじゃん」
「お願いいたします」
「明日自分で買いに行けばいいじゃん」
「ついででございます。つ・い・で」
五月先生、チロさんがお待ちかねでございます。




