おもちゃきらい ⑤
懲りないめいとさんです。
「さー、チーちゃん、今日こそおもちゃで遊びますよ」
パタパタパタ、フリフリフリ……。
「おいで、そら、おいで」
チロさん、ハウスから出てきません。
「猫じゃらしですよ。面白いですよ」
パタパタパタ、フリフリフリ……。
チリチリチリン、チリチリチリン……。
右手に猫じゃらし、左手にトマトを持って楽しそうに誘っていますが……残念、チロさんは見向きもしません。
「いい加減に諦めたらどうなんだ?」
「五月様、せっかく買ったのに、チーちゃん全然遊びません」
「嫌いなんだろ、おもちゃ」
「嫌いって、犬はおもちゃで遊ぶものです。投げたボールを持ってきたり、フリスビーしたり、ガジガジしたり」
「ガジガジか……そういえば骨型のガムはどうした?」
「あ、忘れてました」
めいとさん、台所のカリカリご飯を入れているビニール袋から、ガジガジを取ってきました。
包装から出して、ハウスの中のチロさんの鼻先に近づけます。
チロさん、においをかいでから、ゆっくりガムをくわえました。
すると、奥歯でガジガジしはじめました。
「わっ! 噛んでます、噛んでます」
「ほらな」
チロさん、一心不乱に噛んでます。
「ガムは長時間与えてはいけないってペットショップで言われたよな。適当なところで取り上げろよ」
そうなのです。
飼主さんよりもガムに夢中になってしまったり、塊を呑み込んで消化不良を起こすこともあるそうです。
「あい。これでは遊びにはなりません。わたくしのことなど全く眼中なしです」
「犬をかまうんじゃなくて、お前がかまってほしいんじゃないか?」
「違いますですよ……」
「いや、そうだろ……」




