おもちゃきらい ①
チロさんの入院、あれから三日が経ちました。
「五月様、今日は帰ってこれるでしょうか……」
「どうだろうなぁ」
おふたり、毎日一回病院に行っています。
それだけでなく、動物病院の診察時間が終わるころに電話をして、ヨシミ先生に様子を聞いています。
チロさん、血液検査やレントゲンでは何も心配はないそうですが、病院でもご飯を食べず、ずっと点滴をしている状態だそうです。
ヨシミ先生は、ご飯を食べてウ◯チをするまでは返せないとおっしゃいました。
「チロちゃん、病院が新しいおうちと思ってしまわないでしょうか……」
「かもな」
「そんなぁ〜」
「指で突ついたのが悪かったのだろうな」
「ふぇ〜ん、それはもうおっしゃらないでください」
「わかった、わかった」
「早く帰っておいで」
「ところで、なんでチロなんだ? 突然名付けるからビックリした」
「も、申し訳ございません。でも、ずっと考えていたのでございます」
「そうか。で、なんでまた?」
「チワワのチと、小次郎のロです」
「小次郎?」
「幼稚園のとき、園内で飼っていた犬の名前です」
「その犬に思い入れでもあるのか?」
「はい」
「どんな?」
「おとなしい、いい子でした」
「それだけ?」
「手を噛まれました」
「……」
「チロではだめですか?」
「いや、別にいいけど……」
めいとさん、どんな思い入れですか。
噛まれたら、普通は犬、苦手になりますよ?
ま、そこがめいとさんなのでしょうね。
めでたく、ワンコの名前はチロに決定です。
「そろそろ病院行こう。午後はヨシミ先生手術だから、午前中に来てくださいって言ってたろ?」
「あい。今日は連れて帰りたいです」
「そうだな」
はたして、チロさん、帰ってこれるでしょうか。




