ワンコの新生活 ⑥
「五月チロちゃんですね。女の子、スムース、茶色、と。では、診察しますのでお待ちください」
ヨシミ先生、カルテに記入すると、ワンコ……いえ、チロさんを抱え、カウンターの奥から診察室に入っていきました。
ヨシミ動物病院はそんなに大きくありません。
受付カウンターの前には、四つの小さな木の椅子が置いてあるだけです。
めいとさんも愛読している『ワンコのひとみ』の最新号が、これまた小さいテーブルの上に置いてあります。
壁には薬や缶詰、病気についての様々なポスターが貼ってあり、中には迷い犬の写真と連絡先が書かれた、手製のポスターもありました。
水槽の中で、色とりどりの魚と、エビが泳いでいます。
覗き窓の付いたドアから診察室の様子が見えるのですが、ふたりは椅子に座って待つことにしたようです。
入口のドアが開いて、白い柴犬を連れた飼主さんが入ってきました。
首にシャンプーハットのような、エリマキトカゲのような輪っかを付けていす。
「これは何ですか?」
めいとさんは飼主さんに聞きました。
「耳の中に炎症ができてしまって、足で耳を掻かないようにガードしてるのよ」
柴犬はおとなしくお座りをして、ときどき軽く首を振る仕草をします。
ガードがうっとうしいのでしょうね。
これ、エリザベスカラーと言います。
「お待たせしました」
診察室からチロさんを抱いて、ヨシミ先生が出てきました。
先生の話によると、特に病気の兆候はないとのこと。
環境が変わって、ビックリしているだけだと説明してくれました。
「ご飯を食べていないということで、弱っているのは確かです。点滴をして様子をみましょう。一晩入院していただきます」
「にゅ、入院?」
ワンコの新生活、『二日で入院』とあいなりました。




