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探索者協会物語  作者: 最近


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とある探索者協会員の記録.64


新史歴XXXX年/流闘月/第四日

ボロミア文明圏 聖火都市モラン 第六主街区 『木漏れ日通り』

NOTEAPP.NEXXXX.0704

『モラン探索者協会本部』一階受付業務日報(第64回)

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■担当窓口:受付係エルマ、補佐ポーレッテ、警備兼窓口キュエン、ザーン(『ベルニクス意気揚々隊』)

■業務概要:初級研修・護衛任務の実施、旧パーティ解散・人員再編対応、内部虐待相談の処理、連続猟奇殺人事件の報告確認

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【1.初級研修および護衛任務】

・AM 09:00 - PM 03:00【『骨組みの花』初級実地研修】

 ガルズ率いる『骨組みの花』が初級研修に参加。

・第一階層『獅子王の遺跡』におけるモラン大学研究チームの発掘調査の護衛任務に帯同。大きなトラブルもなく、午前に出発し午後無事に帰還。良好な成果を得る。


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【2.パーティの動向(解散・相談・再編成)】

・AM 10:00【『ヤイエス団』解散手続き】

 長らく活動休止状態にあった『ヤイエス団』の処理。

 リーダーであるヤイエス・リト氏が「自分には代表の資格なし」として脱退。

 ダトラム・メジアガイ氏は引退および協会脱退。

 ダリオ・タイオン氏は他パーティの募集を探す意向。また、遺失物の捜索届が提出された。

 これにより『ヤイエス団』は正式解散。



・AM 10:30【『ドリス・リグデェイア』からの遺物処理の相談】

1. 相談内容

 第四階層『流体国家ゲラ』再調査の際に発見した未確認遺物について、

 探索者ドリス・リグデェイアより協会へ相談が寄せられた。

 ドリスの申告内容は以下の通り

「不要な遺物を知り合いの探索者に贈呈したが、

 気が付いたら手元に戻ってきていた。

 あと普段より頻繁に空腹になる気がする。正直こわい」

 協会は情報解析課へ詳細調査を依頼。


2. 情報解析課による調査結果

 当該遺物は巻貝型楽器《原始ホルン》に類似する外観を持つが、

 内部構造は以下の点で通常の遺物と大きく異なる。


・呪文刻印構造

 内部に複雑な呪文刻印が多数形成されており、

 反響型詩歌回路(呪術的音響演算機構)が確認された。


・複合機能

 魔導書・呪動装甲・呪歌増幅器などの

 複数の高度文明技術を複合した構造を持つ。


・材質

 主材質は炭酸カルシウムではなく、

 『血と骨と魂』を基盤とした情報構造体であることが判明。


・所有者との同化

 発見時にドリスが触れたことで、

 遺物側がドリスの生体情報・霊体情報を呪い的な紐付けとして記録。


・結論

 遺物はドリス以外の探索者では使用不能

 贈呈・譲渡を試みても遺物側で拒否し、手元に戻る結果となる

 遺物は既にドリスの存在と同化しており、

 現時点で手放すことは不可能という結論が下された。


3. 遺物の影響

 情報解析課は、ドリスが訴える「空腹感の増加」について、

 以下の可能性を指摘している。

・遺物がドリスの霊体を燃料として消費している

・遺物内部の詩歌回路が常時稼働し、体内呪力を微量に吸収している

・遺物を構成する主材料が宿主の『血と骨と魂』であることから、

 遺物実体を再構成するたびに肉体的消耗やカロリー消費が発生している


※現時点では危険度は不明だが、

 長期的な影響が出る可能性あり


4. 協会の対応

 遺物の隔離は不可能(所有者情報が固定化)

 強制剥離は生命危険を伴うため不可

 ドリス本人の定期検査を実施予定

 遺物の追加解析を継続


5. 事後の様子

 説明を受けた探索者ドリスは、

 明らかに気落ちした様子で協会を退出し、

 そのまま『黒煙亭』へ向かった。


※現時点で判明している機能

・簡易魔導書(増設・改造によるアップデートが可能)

・呪術焦点杖

・呪歌増幅器

・呪動装甲(マーメイドアーマー型)

・対数螺旋突撃槍



・PM 01:30【『大フォグラント勇者隊』内部虐待相談】

 休暇申請中の治療士ミシャ・アンピース氏来訪。

 英雄カルギン・タン=ラッハースが、

 荷物持ちのトヤンス氏に対し執拗な暴力行為を行っており、

 負傷を治療で揉み消すよう強制されているとの告発。

 窓口より協会長へ相談するも、「本件は黙認せよ」との指示。



・PM 03:00【『伝説踏破団』欠員補充・面談】

 失明した斥候レライエ・グラント氏の代替要員を募集。

 一昨日に解散となった第047号『オールスカウト』に打診、

 生き残った元メンバーへ連絡。幻像通信にて引き合わせを実施。

 ファルク・タリアン氏が意欲を示し仮加入が決定。

 併せて、旧『モラン無敵団』に所属していたルハーナ・サロド氏が

 治療士として正式加入。

 両名を加え、『伝説踏破団』は活動を再開した。



・PM 04:30【行方不明パーティの全滅確定】

 行方不明となっていたボロミア州軍特別探索小隊についての調査結果報告。


 九英雄合同調査隊及び『炎上戦士団』『獣友会』『ローナン傭兵団』『迷宮あやかし百鬼夜行』『攻略情報スピード調査!』『事象予報隊』『QQビジョナリー』『ドリス・リグデェイア』『緑風の旋律』『ハニー&ファイア』による第四階層の徹底的な調査の結果、ボロミア州軍所属の六パーティの全滅が確認された。


・調査一日目:

 使い魔・ドローンによる先行調査の結果、戦闘の形跡はなし。

 占術探査及び過去視鑑定による呪術的手段でも手がかりは掴めなかったが、階層の各地に残されていた遺留品には手付かずの糧食が発見された。



・調査二日目:

 グルジ密林に生息する迷彩魔獣や巨大甲殻魔虫の大量死を確認。

 全て体内呪石と骨を綺麗に抉り出された上で、残留思念や霊体を消失させられるという異様な状態であった。そのため、同行していたマウザ家の死霊術師による調査は不可能とされた。

 また『ドリス・リグデェイア』による『流体国家ゲラ』の単独調査が行われたが、

 使い魔による広域探査では発見できなかった。


・調査三日目:

 階層奥地の『グルジ畏王秘匿神殿』を経由し、最近になって隠し通路が発見された『無力女王の工房王国』まで捜査網を広げたところ、新フロアで行方不明パーティの惨殺遺体を発見。

 これまでに発見された魔獣などの遺体と同じく、血肉や内臓を残し、体内呪石と骨格、霊体が存在しない状態で、死霊術による状況確認は不可能であった。


 第四階層の新規フロアは発見以降、複数の九英雄パーティによる占有状態が続いていたが、これまでの探索で異常は認められなかったとのこと。

 情報不足ながら、これ以上の捜索は困難と判断し調査は打ち切りとなった。

 第四階層での儀式実行に関して、九英雄を含めた協議が行われる予定。


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【3.警戒事案:反社会勢力による連続暗殺事件】

・PM 05:00【『異獣ぶっ殺し隊』代表エルグラント氏の惨殺死体発見】

 『異獣ぶっ殺し隊』に関する訃報が届く。


【現場状況】

 第一階層迷宮区の入り口付近(目立つ場所)にて、

 エルグラント氏の頭部が晒されているのが発見される。

 地面には『愚者は三つの報いを受ける』という血文字が残されていた。

 他メンバーは全員消息不明。


【関連性】

 先月、薬物中毒状態での機甲箒危険運転により逮捕された

 第040号『ぶっこみ迷宮フライト』代表ノタリオ氏が

 留置場内で同様の手口で殺害された件と同質。

 ボロミア圏の闇組織『三報会』等の反社会勢力とのトラブルによる

 見せしめ・暗殺と推測される。


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【担当者所感・業務裏メモ(※個人暗号化ログ)】


「うーむ。

 強引だったかな。でもお節介だとしても、できることはやりたかったし。

 彼が抱えている事情……私には何もできないけど。

 やっぱりクラヴィスには前を向いてほしい。きっとテオドールやディンも同じ気持ちだと思う。レライエさんだって『伝説踏破団』の前進を応援してくれてるよ。


 シャーヤインの奴に逃げられちゃったのは悔しいなあ。

 『探索者貸します』の連中……タチ悪いとは思ってたけど、『三報会』の手先だったなんて! クラヴィスの心を土足で踏み荒らして、探索者みんなを馬鹿にして。

 絶対に許さない。


 あらためて、『三報会』はずっと前からモランで非道を重ねているんだって思い知っちゃったよ。この前の竜神信教への関与もだけど、クラヴィスの恋人が違法薬物のせいで人生を破壊されていたなんて、凄く悲しい。

 いつか、恋人さんが回復してくれればいいんだけど。


 ま、それはそれ。

 流闘月に入り、天におわすシャルマキヒュさまのまなざしが厳しくなる中でも悪事は全くなくならない、まさにおしまいの世の中。

 ヤイエスさんたちの解散とか、ドリスさんが苦難続きでかわいそうとか、ママミルクが平常運転でもう何も感じなくなってきたなとかまあ色々あって。


 午前中はガルズ様たちの『骨組みの花』が、第一階層で大学の先生たちの発掘護衛に向かった。すごく礼儀正しくて安全運転で、午後にはみんな笑顔で帰ってきてくれて本当にお姉さん安心したよ。

 『灰かぶり』や『木漏れ日』のみんなも堅実に頑張ってるし、解散しちゃった『オールスカウト』のファルクさんが再起を図ろうとしている『伝説踏破団』パーティに仮加入できたり、前向きな出来事もあったんだけど……。


 今日は、協会の内側が最低すぎてて吐き気がしそうだった。

 ミシャさんが悲痛な顔で相談しに来たんだよ。九英雄のカルギンが、荷物持ちのトヤンスさんを日常的に殴ったり炎で焙ったりしてて、それを『修復』術で無理やり隠蔽させてるって……!

 すぐに協会長に報告したのに、『その件には触れるな。黙認しろ』って冷たく突っぱねられたの。英雄だからって、何をやっても許されるの……!?


 それだけじゃない。

 全滅したボロミア軍人のパーティ。九英雄が独占してた新エリア。不審な大量死に、やけに焦った様子の協会長が強引に決定した捜査打ち切り。

 明らかに危険なのに、協会長も九英雄も、第四階層での儀式は既定路線みたいにしてるし、職員にはこの件は大事にするな、なんて。


 五十人以上もの人が亡くなったんだよ?!

 もうとっくに大事だよ!

 こわい、本当にこわい。

 ダンジョンがっていうより、もっと別の……。

 悪意と命への無関心さが、こわい。


 それに、夕方の訃報……。

 先月、うちの受付で暴れてクスリの疑惑があった『異獣ぶっ殺し隊』のエルグラントさん。第一階層の入り口に首だけが……。血文字で『愚者は三つの報いを受ける』って、前にネットの記事とかで見たことある手口で。


 先月留置場で殺されたノタリオさんと完璧に同じ。具体的にどういうトラブルがあったのかわからないけど、明らかに『三報会』の見せしめだ。

 違法な薬物に手を出して、ただカモにされただけじゃなくて何かがあったんだと思うけど、私じゃ想像もつかない世界すぎて何て言っていいのか。


 ガルズ様みたいな光がある一方で、英雄の腐敗とか闇組織の暗躍とか、モランが大都市だからっていうのもあるんだろうけど、闇深いな~ってつくづく思う。

 ていうかクラヴィスがまたすごい形相になってたんだけど。

 無茶しないよね? 本当に危ないことはやめてね?」



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 『編集部』宛ての追記事項

 『三報会』についての追加調査を実施する許可を下さい。

 詳細な背景が不明ですが、どのような理由であれこれは探索者コミュニティに対する敵対行動です。私たちは反撃しなければなりません。

 まずは探索者間でどのくらい違法薬物が蔓延しているのか、反社会勢力と繋がっている者がどの程度の割合でいるのか、調査するべきです。

 併せて素材買取課の査定記録と植物素材採取依頼の再精査を行います。

 また、常設依頼についてもやや不審な動きが見られます。

 エディター、私は本気です。

 この記録に、囁きの天使の加護がありますように。

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