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探索者協会物語  作者: 最近


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とある探索者協会員の記録.1


新史歴XXXX年/金錐月/第一日

ボロミア文明圏 聖火都市モラン 第六主街区 『木漏れ日通り』

NOTEAPP.NEXXXX0501

『モラン探索者協会本部』一階受付業務日報

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■ 担当窓口:受付係エルマ(業務初日)

■ 業務概要:新規開設に伴う窓口対応、事業者協定締結、パーティー登録受付

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【1.窓口対応・事業者交渉記録】

・AM 08:30【清掃業者・インフラ設営】

 『モラン環境衛生組合』および都市水道局と最終調整。


 第一階層中央迷宮区から持ち込まれる不浄物(異獣及び魔獣体液・呪性汚泥)の処理ライン開通を確認。

 迷宮各所への衛生拠点・簡易トイレ設置作業の補助・警護依頼を確認。

 ペリグランティア製薬との共同開発品『錬金術式変成トイレ』および不浄物濾過陣地の構築マニュアルを最終確認。

 危険生物駆除(呪毒虫・腸喰いスカラベ等)を含む常設依頼の条件を確認。


・AM 09:30【飲食店テナント・屋外屋台】

 一階フロア出店店舗(『黒煙亭』ほか三店舗)の防火検査完了。

 屋台業者より「探索者の串焼き用骨の処分」について苦情。ゴミ箱増設を要請。


・AM 10:30【企業協定(保険・製薬・葬儀)】

 『ボロミア救難保険相互会社』:部位欠損・死亡給付金窓口の連携完了。

 『ペリグランティア製薬』:霊薬等の一括買い付け・納入契約を締結。

 『マウザ葬儀社』:遺体の引き取り手順・遺品オークションの取り決め完了。

 地上・迷宮間の棺運搬に関する常設依頼条件を最終確認。


・AM 11:45【大神院との最終調整】

 会議室にて、大神院所属の世界槍管理官および教会管区長(モラン大司教)と協会長による遠見《リモート》会議を実施。

 各階層の管理掌握官への探索許可申請が全て受理された旨を報告。

 併せて、教会法に定められた特例措置の適用条件および緊急時の対応手順について最終確認を行った。


・PM 01:30【呪具メーカー・考古学者協会】

 『鉄槌大河工房』『ダイベルムファクトリー』『メアレンズキャストパーツ』:鑑定済呪具の買取・委託販売・即時加工スペース設営。


 『考古学者協会モラン支部』:遺物《レリック》解読の相互協力協定を締結。解読料の一割を協会手数料とする件で合意。


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【2.本日の新規パーティー登録】

・PM 02:15【登録第001号パーティ】

 パーティー名:『伝説踏破団』

 登録者:戦士クラヴィス、戦士テオドール、斥候レライエ・グラント、術士ディン・シャイアーの四名で登録。

 備考:

 記念すべき当協会登録第001号。『伝説のクラヴィス団』と『伝説のテオドール団』で揉めるも、グラント氏の仲裁により『伝説踏破団』で登録。

 協会立ち上げ以前の活動実績を確認したため、第二階層までの出撃を許可。

 なおシャイアー氏に個人連絡先を訊かれたのでマニュアル通りに対処。次があれば上長に要連絡。


・PM 02:30【登録第002号パーティ】

 パーティー名:『灰かぶりのともしび』

 登録者:戦士タレン、斥候アロビイ、術士カシル・オグラースの三名で登録。

 備考:

 全員未成年・保護者連絡不可。

 戦時特例措置に関連した仮成人資格を取得済みであったため、ダンジョンの危険性について説明した上で『後方支援義勇兵』扱いで登録。

 救難保険・万能霊薬ローン契約後、『獅子王の遺跡』への出撃を許可。


・PM 02:45【登録第003号パーティ】

 パーティー名:『ヤイエス団』

 登録者:戦士ヤイエス・リト、戦士ノウモン、戦士カリバトハ、術士ダトラム・メジアガイ、術士ダリオ・タイオン、治療士サザミス・カラムの六名で登録。

 備考:

 メジアガイ氏の斥候使い魔による軽微なトラブルあり。

 『パレルノ山』挑戦を検討していたため抗邪視・抗石化装備を推奨。

 他エリアで準備を整える方針に変更。


・PM 03:10【登録第004号パーティ】

 パーティー名:『放浪者』

 登録者:戦士ヒース、単独で登録。

 備考:

 単独登録のため協会推奨構成(三名以上)を説明。

 一時協力者の募集を強く推奨するも終始無言。


・PM 03:40【登録第005号パーティ→登録第001号パーティ扱い】

 パーティー名:『大フォグラント勇者隊』

 登録者:戦士カルギン・ラッハース、戦士ボーネシス・ラムヤ、戦士ルブライン・メヘイクス、術士ラナサオス・アルマウザ・クロウサー、術士ユギーバ・トネ、斥候ワシス・フィガルマウザ・ケルビース、治療士ミシャ・アンピース、治療士カントラス、荷物持ちトヤンスの九名で登録。

 備考:

 事前に通達されていた時刻を大幅に超過しての到着。

 並んでいた登録希望者たちを押しのけての強引な横入りと乱闘一歩手前のトラブル発生。協会長の仲裁で収束。

 ラッハース氏より「登録番号一号」を要求。協会長承認により特例付与。

 以後の業務はラッハース氏主催の壮行会準備のため中断。

※内部処理では005号(001号扱い)と注記。ラッハース氏に見えないよう配慮。


・PM 10:30【登録第006号パーティ】[SYS_ERR: 映像ログ欠損]

 ※早番エルマ、時間外対応(壮行会接待に伴う居残り)

 パーティー名:『ゼドの盗賊団とかそんなんでいいだろ』

 登録者:斥候ゼド、斥候シャドウ、術士サイズ、術士フレイム、戦士ジャック、五名で登録。

 備考:

 本部貸し切り状態にもかかわらず無断登録。

 侵入経路不明。

 書類に窓口担当者の筆跡が使用されていた。

 金庫の呪文鍵が外れていた。

 監視宝珠が誰も捉えていない。

 

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【担当者所感・業務裏メモ(※個人暗号化ログ)】

「日報終わり!

 NOTEAPPの仮想使い魔補助機能のおかげでけっこう楽ちんだった!

 このレベルのAIが業務で使えるのは助かるな~。


 それはそれとして、初日から死ぬかと思った。

 本部の看板を掲げた瞬間に、葬儀会社と保険会社がハイエナみたいに押し寄せてきて『死亡診断書の書式はどうする』だの『腕が吹っ飛んだ時の保険金は』だの生々しい話ばかり。ダンジョン探索ってロマンじゃなくて完全なビジネスなんだと思い知らされた。なんか配信とか撮影とか旅行会社の話もあるらしいし、今からこわい。


 記念すべき登録第一号の『伝説踏破団』は四人ともカッコいいしどっかのアイドルグループかな? って感じだったけど、ディンって人だけチャラそうで苦手。ナンパこわい。こういう対人業務だしあしらうの慣れないと。レライエさんっていうアヴロノの人が止めてくれたのが救い。あの人がパーティの良心ぽいね。


 『灰かぶりのともしび』の三人組……全員まだ若、未成年?! 流石に仮成人は済ませてるみたいだし、義務教育年齢じゃないなら強くは止められないけど、う~ん。とくに戦士と斥候の男の子はなにやら荒んでいて危なっかしい雰囲気。世慣れしてなさそうな術士の女の子が高級霊薬や治癒呪符、呪術医院との専属契約のローン金利を見て白目剥いてた。まあ危険行為前提のローンと保険契約が未成年者に通っちゃう方も大概だけど……。頼むから一日目で遺体になって葬儀社の骨牛車《トラック》で運ばれてこないでね!!


 ヤイエスって人たちの時は、使い魔のもじゃもじゃした変な鳥? につつかれたり頭の上に乗られたり、カウンター内で暴れられたりしたけど、それ以外は常識人で助かったよ。登録自体はスムーズに終了したからよし。


 ヒースさんって人は……一生懸命に止めたんです、と言い訳することしかできないなあ。協会立ち上げのきっかけになったっていう有名人の事故死も、単独で挑んだ結果だったっていう話なのに。『巨大な蜘蛛に潰される』とか『魔獣相手には無双したけど縦穴から出られなくなって餓死』とか嫌すぎるでしょ。

 お願いだから誰かと組んでね~できれば『灰かぶり』の少年少女あたりと~。


 『英雄様』に関しては思い出したくもないが、あんなのがあと八組もいるのかと思うとくらくらする。協会長からは『嘘でしょ』って言いたくなるようなお達し。

 『モラン武術大会覇者であるラッハース氏を全面的にバックアップせよ』とか。

 『マウザ大公家が後押しする九英雄パーティの都合が最優先』とか。

 『武功調整のために有力そうな探索者がいたら釘を刺しておけ』とか。

 『大き目の功績は彼らに譲れ』とか。

 『とにかくマウザ・クロウサー家への忖度を忘れるなよ』とか。


 そんなん私に言われても。

 とはいえ、探索者協会そのものがクロウサー家や大神院の尽力によって成り立っていることは私も理解している。

 特にここボロミア圏はマウザ大公様のお膝元だしね。

 なので、彼らのご機嫌を損ねないようにしないと。

 あーあ。せっかく火竜封じの大英雄気取りでパーティ名をご立派にしてるんだから、名前に相応しい振る舞いをしてほしい。


 あとあの、ゼドって人はその、本当の本当にドッキリとか皆さんの悪戯とかじゃないんですか? 怪奇現象? それともありえないくらいの高位呪術師のお遊び?


 こわいよーって暗くなった街に怯えつつ、さっきまで一緒に酒瓶運んでた遅番兼夜勤のサフィーリアさんに引継ぎして本日は終了です。お疲れさまでした!

 遅番兼夜勤? ……遅番兼夜勤?! 何時間稼働すんの??!!

 あの、ここって超絶ブラックなんです……?」

 

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 『編集部』宛ての追記事項

 本日を基準点『d1』として記録を開始します。

 補足情報として、モラン探索者協会について幾つか覚書を。

 基本的に一階は探索者対応のための窓口で、事務所は奥の一室と二階です。

 年中無休・二十四時間営業(※夜間は緊急受付・帰還対応のみ)。

 また、職員は原則として週休二日でシフト制と聞いていたのですが、確認したところ週に六日出勤するのが基本のようです。どういうことなのでしょう?


 本部職員の人数は二十五人で、組織構造は全部で五部署となっています。


1.窓口業務課:(課長クエストボード以下五名)

 依頼の受注・報告、パーティ登録、通信の手続き、報奨金の手渡しもしくは振込対応、パーティ登録手数料の徴収、各種レンタルサービス、その他各種の対応。

 メンバー:エルマ・ヴィカリウス(早番)、ノルルーク・ソップス(不規則稼働)、サフィーリア・ルーミグ(遅番兼夜勤)、エリザカミラ・エシュクォール(遅番兼夜勤)、クエストボード先輩(自動端末課長:自動応対端末『クエストボード三号機』(協会規格 QB-Ⅲ/昼夜稼働)



(※明らかに人員が足りてないため、早番と遅番の増員と、早番と夜勤の繋ぎとして遅番のパートタイマーを増やすべきではないでしょうか。協会長は『サフィちゃんとエリザは有能だしセルフ端末があれば大丈夫だろう。人件費も安くないんだ』と言っていましたが、結局トラブルがあると誰かがクエストボード先輩のサポートをすることに……労働時間もめちゃくちゃなのでは……)


2.素材買取課(課長:ガボガド・ガッツ以下五名)

 翼猫印《ドロップ式》の体内呪石や魔獣素材の価値を鑑定し、買取りを行う専門職。

 メンバー:ガボガド・ガッツ(課長・全職域担当)、ゴルダ・ヴェッツ(呪石鑑定主任)、バサル・ケイム(解体場・大型素材担当)、ムグレ・ダンツ(買取価格・相場算定)、ドロテ・カムガン(計量・保管・危険素材封函)


3.情報解析課(課長:リルヴェイ・シアー以下四名)

 踏破レポートの整理、地図の作成と発行、ダンジョン内の異常事態や怪物などの増殖予測と警告のアナウンスなど。

 また、場合によっては遺物や古文書といった提出物はこちらが分析を担当する。

 メンバー:リルヴェイ・シアー(課長)、アイナ・ヴェルテュ(義国地質調査局からの出向)、ユーティス・レン(モラン大学・空間情報科学研究センターからの出向)、シェファ・リンダール(大神院からの出向)


4.警備課(課長:バーグ・リト以下六名)

 協会内のセキュリティ、ならず者探索者の抑止、緊急救助隊の取りまとめ。

 メンバー:バーグ・リト(課長:隔日・全日勤務)、ドルグ・ハザン(警備人形統括)、ロッツ・バウマ(夜間警備専従)、サガン・メヘイクス(緊急救助隊統括)、ヨナ・ティルド(呪的防護技師)、トヴァ・ギリス(施設警備全般)


5.総務・人事・経理課(課長:ダミアン・レイス以下四名)

 資金繰り、モラン市役所・ボロミア州政府・大神院・クロウサー御三家をはじめとしたスポンサー貴族との交渉や職員の管理が主な業務。

 メンバー:ダミアン・レイス(課長:対スポンサー折衝)、オルツ・ベンデ(文書・契約書管理)、コリンヌ・ダーグ(経理・設備・備品管理)、セルジ・ホウマン(人事・労務・シフト作成)


・協会長ベルロイ・アルトツーク

 基本は総務課だが、必要に応じて全ての部署で仕事をこなす。

 


 簡単にですが、職場の状況を書き記しておきました。

 エディターの参考になれば幸いです。

 この記録に、囁きの天使の加護がありますように。

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