春、洋室にて。神様と自分の役割
(……ん…?)
気づくと、姫華は夢を見ていた。
その夢はお葬式の夢であった。
でも、そのお葬式は不思議であった。
お葬式の対象は若い女性らしく、服装を見るに多分現代ではない。
皆和装だから、喪服じゃないから……想像するに、少なくとも江戸時代とかその辺りではなかろうか。
だが姫華が気になったのは服装以上に、別の事であった。
何故だか分からないが、皆悲しんでいる「フリ」をしている。
何故だか分からないが、悲しむフリしてウソ泣きしている。
そんな感覚が、何故だかわかってしまった。
まるでその場で自分が見ていたかのように、体感していたかのように。
やがて夢は移り変わる。
そのお葬式の棺が見える。
その棺の蓋を誰かが開ける。
すると……
(……え、私…!?)
その中に居た人は、姫華にそっくりだったのだ。
ピンクブラウンの髪も、顔立ちも。
唇や肌は死に化粧をしてあるからか血色が違うものの、大体そっくりだ。
着ている物は死装束らしく、真っ白な和服だった。
だが……そこから更なる違和感を感じた。
魂という物があるのかは分からない。
分からないが、何故だかこの女性から悲しそうな感情が流れ込んできた。
それと同時に、罪悪感のような感情も。
そして……
(あれ……?この人、もしかして、死んでない?)
ふと、そのような疑念が浮かんだのだ。
すると、また夢の場面が移り変わる。
そのお葬式から数日明けたらしく、すっかりお葬式の様子では無くなった。
そして、先程の姫華そっくりな女性が映る。
やはり、先程の女性は生きていたのだ。
女性は袈裟のような服装に変わっていた。
(え、えっと……こういうの、尼さん、って言うんだっけ?この私そっくりな人、尼さんになったのかな?)
そう思いながら姫華は観察する。
女性は、真摯にお経を唱えながら、やはり罪悪感と悲しみを感じていたようだった。
しかし……同時に、どこか安心したような、そんな感情も流れ込んできた。
(これって、どういう事なの……?自分のお葬式なんてしたのに、安心してるなんて……)
考えても、姫華にはわからなかった。
やがて、夢の景色が白みはじめてくる。
何となくだが、自分の夢の終わりを、姫華は感じていた。
「……んん……。」
何か、内容はわからないが、大事な夢を見ていた。
そんな事を思いながら姫華はゆっくりと瞼を開ける。
「あ、起きた!」
「ツガネ、様……起きました、よ。」
近くで誰かの声がするのでそっちの方を見ると、二人の女の子が目に映る。
二人とも小さい女の子、小学生……いや、中学生くらいになったくらいだろうか?
それくらいの背の女の子の一人は姫華を興味深そうに、どこか楽しそうに見ている。
姫華を覗き込んでいる女の子の方は、髪色は薄めの桃色、髪型はミディアムよりは長い髪の左右を結んで後ろと左右でそのまま流している。
瞳の色は明るめの水色で目はくりくりと大きく感じる。
快活そうで少女らしい可愛らしい顔立ちもあって幼げに見える印象を強くしている。
服装は……黒をメインにした和風のロリータファッションに近い服装だ。
髪色より鮮やかなピンクの差し色が黒がメインの中にも可愛らしさを与えている。
そして刀を帯刀している。
記憶が確かなら、御木千代が振るっていた刀よりは短い。
そして、もう一人の誰かを呼んでいる女の子は……快活そうな女の子と結構顔立ちが似ていた。
だが、快活そうな女の子より目をあまり開いていないからか、それとも快活そうな子がにこにこ笑っているのに対してこの子はあまり表情の変化が見えないからか、少しクールな印象を持つ。
瞳の色は同じ色だが逆に寒色の色もあって冷静さを感じる。
髪はダークブラウンのストレートで、髪の長さは快活そうな女の子と同じくらい。
服装も似ているがこちらの方の差し色は明るい夜空のような暗めの青だ。
そして、この子も似たような刀を帯刀していた。
まあ、刀の違いなどは姫華には全然分からないのだが。
二人が並んでいると、双子と言っても違和感は感じないくらいには似ている顔だ。
まあ双子じゃないと言っても違和感を感じないくらいに違う部分も目立つのであるが。
「えっと、貴女達は……?」
「ん?あ、私は宮部旭だよ~、姫華お姉さん、よろしくね~!」
「宮部、日出です……よく間違われるけど、旭とは、双子じゃなくて従姉妹、です……。よろしく、お願いします、姫華お姉さん……。」
「旭ちゃんに、日出ちゃんだね、よろしく……って、私名乗ったっけ?」
「ああ、それは……。」
姫華の疑問に日出が答えようとした時であった。
「そこからは私が話そう。」
姫華の反対側から男の人の声が聞こえた。
静かに、しかし威厳のある大人の男性の声だ。
驚いて姫華は振り向く。
この時、自分がソファに寝ていた事に気づいた。
そして、その男性もソファに座っていた。
その一瞬で、自分の周りの様子も確認した。
西洋風かつ何処かレトロチックな、豪勢な明治大正辺りの雰囲気を感じる洋室。
その中でもゲストルームと思われるくらいに、調度品もレトロな雰囲気の中に輝きを放つ洒落た物だ。
その部屋のもう一つのソファに座る男性。
御木千代よりも背の高そうな男性だ。
髪は少し ぼさっとしていて、髪色はこげ茶色のような色に所々赤色の毛が混じる。
服装は和装で、黒い袴に赤色が混じる。
そして二本の刀……御木千代が振るっていた刀より長そうな刀を左右に帯刀している。
顔立ちは大体40歳くらいだろうか、若々しい顔だが軽く厳格そうな皺がある、男らしさと美しさの混じる、イケメンよりもダンディといった印象の男性だ。
その人が声をかけた本人であるという事は間違いないという言葉は続く言葉の声で分かった。
「御木千代、玉姫、光。三人から……特に行動を共にした御木千代からは話は聞かせてもらったからな。情報は里守の中である程度の情報の共有はさせてもらった。遅れて伝える事になってしまってすまないな。」
「えっと、貴方は……?」
「私は、里守を纏める長にして、同時にこの沖牟中の地を護り加護を与える神の一柱、ツガネである。」
「神、様……そういえば、御木千代君が言ってたような……?」
そう姫華が思い出していると、彼……ツガネ様はそっと手を差し伸べた。
「これから、其方とは長い付き合いになるであろう。まずは、話を聞いてほしい、当代の『桜姫』、櫻井姫華よ。」
「当代の、桜姫……?」
ツガネ様の言葉の意味は、まだ夢から覚醒したばかりの姫華の頭では当然ながらわからない物であった。
まあ、きっと普段の時に言われても混乱していただろうが。
2日は特別な日だったので2日の間に更新したかったのですが…まあ、これからも頑張って行きますのでこれからもよろしくお願いいたします。




