生存競争
ここから本格バトルスタート
合流したザコに、アフロは転移して何処に居たのかを確認した。するとザコは、ちょうど青熊が飛び立った後、そしてすみれやシャオリン達が洛陽に現れる少し前に来ていたらしい。そして矢が洛陽から飛んで来た事で怒り、生意気な!! と思い、石で応戦してやろうと考え河原に手頃な石を探しに行ったらしい。どう考えてもあのデカい城の城壁に、ザコのショボイ投石が届くわけが無いのだが、シャオリンもアフロも、ザコらしいと笑った。傾国時、いつもザコは決まった時間では無く、適当な時間に突然表れて居た。珍肉同盟時代からそれを知るアフロもシャオリンも、あの人はそれで良いとして居たのだ。
そして遂に、ここ虎牢館に、翡翠メンバー全員が無事集結した。転移してから実に7日目を迎えてだ。この人実は女だったのかとか、その逆もあったが、そんな事は些末な事で有り、インしていた16人全員が無事だった、今はそれを祝う事にした。
俺は毎日紅翡翠を握って居るが、今の所変化は見られない。離火の実装はもう直ぐなので、そこである程度俺の能力が見えて来るだろう。
城の周りに有る町を確認すると、アフロやガッキーさんが言っていた様に、雑貨闘技などのショップが本当に有り、更に闘技場、練兵場、大学館、遊園地、噴水広場なども有った。放逐少女の世界観がそこに拡がっていた。
だが町人は居ない、そして居るのは兵だった。だがその兵は、感情などの変化、起伏を全く変化させず、普通に会話は成立するが、人間と言うにはお粗末過ぎた。俺はアフロやガッキーさんと話し、こいつらはAIによるアバターだと結論した。
「リリィと林檎を連れて遊園地に? 冗談言うなよ」
アフロが俺の部屋に来て突然そんな話をし出した。俺にリリィや林檎を連れて遊園地に遊びに行けと言う。
「シャオリン、お前とリリィさんや林檎ちゃんとのギクシャクした関係、見ててモロバレだぞ? 別に遊園地じゃなくても良い、兎に角ゆっくり話す機会を作れって言ってるんだよ」
「今はそんな事どうでもいい、兎に角帰る事だけに集中する」
「確かにそれは重要だ、だけどな、お前よく考えろ、この先戦闘になる事だって有るかもしれないんだぞ? 帰るって事は、この世界を作ってる奴と一戦交える事になるんだ。そうしたら、自ずとお前もリリィさんも、林檎ちゃんも戦闘する事になるんだ。そこを考えろ、本当に今のままでお前良いのか?」
アフロに言われ、俺は愕然とした。考えても見なかった、いや、多分心の何処かで俺はそこを考えた、だから俺は2人に怒ったんだ。
少し考えると言って、俺は城下町を見て回った。するとすみれさんとはるんさんが屋台で買い物している所に出くわした。二人とも仲良さそうに買い物を楽しんでいた。俺ももう少し歳を取れば、ああ言う風に母さんや静香と接することが出来る様になるのだろうか?
「シャオリンさん、どうしたんだい? こんな所に一人で」
「今日は塾はお休みだよ〜」
「そもそもこの世界に塾が無いでしょう!」
「なんなら作ってあげようか?」
「遠慮しときます」
「……リリィさんと林檎さんとの事を考えていたのかな?」
「え!?……」
「図星か……」
モロバレだぞ? 何故?
「君の顔がそう言って居るよ、羨ましそうに私達を見ている。それに君たち親子が互いに接する時のギクシャクしたやりとり、見ていれば直ぐにわかる」
「…..どうしても素直になれないんですよね、この世界に来る前は、家族が鬱陶しくて仕方なかったんですよ。だけど今は、本当に俺の事心配してくれてたんだなって…..俺この世界に来て直ぐ、2人に結構酷い事言ったのに、2人とも何時もと同じ様に俺に接してくれる」
「シャオリンさんは随分と甘えん坊さんなのね?」
「はあ? 何でそれが甘えん坊になるんですか!」
「だってそうでしょう? 他人だったら口に出して言わないと絶対にわからないんだよ? シャオリンさんの気持ち何て、だけど家族だから、シャオリンさんは本当はとても良い子何だってわかっているの。だからいつもと同じ何だよ? シャオリンさんはそれに甘えてるだけなんだよ」
「あ!?……..」
『お兄…シャオリン、それを言うなら自分だってそうでしょう? 自分は良くて母、リリィはダメなの? それって自分勝手過ぎない? 母、リリィはやるべき事を先ずちゃんとやりなさいって言ってるの、シャオリンは何時もそう、宿題もうちの仕事も全部後回し、だから怒られるんだよ!』
『待って林檎、ねえか、シャオリン、黙ってた事は謝るわ、だけどね? 私は何も貴方に遊ぶな何て言って居る訳じゃ無い、遊んで良いの、だけど成すべき事を先ずして欲しい、貴方は本当はとても優秀な子なの。それは私が誰よりも知って居るわ』
「シャオリンさん、親孝行は親が生きている時にしか出来ないんだよ? 林檎さんとリリィさんと、君との3人で作る思い出も、3人が生きている時にしか造れないんだ」
『お前よく考えろ、この先戦闘になる事だって有るかもしれないんだぞ? 帰るって事は、この世界を作ってる奴と一戦交える事になるんだ。そうしたら、自ずとお前もリリィさんも、林檎ちゃんも戦闘するんだ。そこを考えろ、本当に今のままでお前良いのか?』
俺はフラッシュバックした様に、皆の言葉が蘇り、それが一々胸を抉った。そして全てが怖くなった。もしあの二人に何か有れば、俺は今のまま二人から逃げる事で、死ぬまで後悔する事になる。
「俺……ちょっと行って来ます」
「頑張ってね!」
「行っておいで」
「はい!」
だがその時だった。空が急に真っ赤に染まった。夕焼け何てもんじゃない、もっと真っ赤に、血の色の様に真っ赤に染まった。
そして、頭に直接響く声…….
『グッドモーニング、破竹サーバーの同盟員の諸君。そろそろ君達が置かれて居る状況が理解出来た頃だと思う』
「何!? これ?」
はるんさんにも聞こえている様だ、つまりこれは今ここに来ている皆に聞こえて居る声なのだろう。
『当然君達は今、帰る為に色々情報を探って居る事だろう。だから一つだけその方法が有る事をここで話してあげよう。質問は後日纏めて全員に、一つだけ答えよう。今は受付ない、私の話を聞く様に、良いね? では君達が帰る方法についてこれから説明する。一度しか言わないのでよく聞いてくれたまえ。
先ず今から一月後に、君達も良く知る同盟戦を行う。ルールは主将同盟戦と全く一緒、最後の一人まで戦うデスマッチだ。ただし定員は各同盟10人まで、10人が闘技場で殺し合いをする。武器は自由だが、ゲーム同様専用武器には専用ステータスが付与されるので、それを使うのが一番強いね。
そして同盟戦が行われた翌日には、この世界其の物が崩壊する事になる、当然そこで全員が御陀仏となってしまう。
さて、優勝同盟には当然商品が出る。その商品とは、元の世界に帰れる切符だ、これは同盟員全員に漏れなく付与される。
わかって居ると思うが、今君達は皆放逐少女のキャラと同じ能力を得ている。紅翡翠はその能力を自らの体に宿す召喚石となって居る。強く握ればそこで召喚が成立する仕組みだ。自らの意思でその解除も出来る。
君達にはゲームでの成績に合わせてキャラ能力の配布が行われている。成績の良い順にキャラ能力を渡して居る訳だ。レアリティの高いキャラを得ている者は、それだけゲームでの実績が良いと言う事だね。
レアリティ順の配布は成績で決めて居るが、同じレアリティでもキャラが違うのは、その者の資質に一番近いキャラが設定されて居る。つまりより攻撃的なキャラ能力を得ている者は、その者の資質が攻撃的な資質だと言う証拠となる。
ではここからレベルについての説明をしよう。現在全ての者は、レベル1に設定されている。これはこの世界に慣れて貰う為に、全員を同じ状態にした事による物だ。だが私達は君達の今までの活躍を無下にしたりはしない。今この時より、君達はゲーム内でのレベルになる。つまり同じキャラ能力でも、よりレベルが高い方が強いと言う事だ。
それでは今日より同盟戦までのレベル上げの説明に入ろう。簡単だよ、その方法はゲームと同じだ、各城を奪取したり、訓練所で訓練したり、育成丹で育成したりと、全てゲーム内と同じ設定になる。また要所には当然NPCの兵が配置されているので、その兵を倒しても良い。ただ一つ違うのは、放逐要素は無い。自ら動かなければレベルは上がらないからね。
更に各同盟が占領している城を攻めるのもありだ、ただその時は傾国戦と同じルールになる。時間は短いよ? 攻城する日の12時までに宣戦、13時から17時までの4時間しか攻撃出来ないからそのつもりでね。また各同盟の持ち城と宣戦は、城に設置してあるモニターに全て最新情報が出ているから参考にしてくれたまえ。そして城全てを失うと、その同盟には同盟戦参加資格が無くなる。つまりそこでジエンドだ。勿論積極的に同盟潰しを頑張ってくれても良いよ? その方が君達も楽だろう。
さて、君たちの中に数名まだ能力付与がされていない者がごく少数存在する。それは気がついて居る者も居るだろうけど、実装予定だが、まだ実装されて居ないキャラ能力と言う事だ。喜んでくれたまへ、特別にこの世界に居る者は、そのキャラを先んじて今解放しよう。頑張ってくれ』
「……..ふざけんなよ?」
『…….なんだいシャオリン君?』
俺は無意識にその時紅翡翠を握り締めていた。そして目の前に黄金の光の球が現れ、それが大きく光る、巨大な剣が右に、巨大なアームが左に現れた。そして轟音と共にその剣が地面に突き刺さる。
「俺達はお前らの遊び道具じゃねえ!! 何がおめでとうだ! 何が頑張ってくれだ!! お前ら一体何がしてえんだよ!」
『質問は今は受け付けないと言った筈だが?』
「五月蝿え!! 答えろ!」
だが上空からいきなり巨大な稲妻が俺を襲った。
「グァァァァ!!」
だがその時、女性の声がやはり俺の頭の中に響いて来た。
【今は耐えろ、まだその時では無い。お前は一人じゃない、家族を守るのだろう?】
「誰だ! お前は誰なんだ!?」
【直ぐにわかる、和也、耐えろ】
俺にだけだと思う、他は反応して居ないので、恐らく俺だけなのだろう
「シャオリンさん!!」
「シャオリン君!」
そして左のアームが強烈な落雷を防いで居た。極大な稲妻、何故あの様な巨大な稲妻を、俺のアームが防げて居るのかわからない、稲妻と言うより、電撃の柱とも言える物だった。
だがそのアームも遂に耐え切れなくなり、破壊されてしまう。俺はモロに落雷をくらった。
「ぐあぁぁぁぁぁ!!」
「馬鹿な!? 武装が破壊されるなんて!?」
「それだけ強烈な落雷なのよ!」
『能力を解放している時で良かったね、シャオリン君。もし君が今までと同じなら、その体は一瞬で墨になっていただろう。だが、まさかこの落雷を能力解放したての君に一瞬でも防がれるとは思わなかった。君はかなり危険人物の様だ。覚えておこう。
良いか! 勘違いするなよ? 君達に選択権など微塵も無い! 逆らうならこの様になるだけだ!』
上空には大きく俺が雷に打たれて瀕死の状態になっている姿が映し出された。
「シャオリン!」
「何処行く! リリィさん!」
「シャオリンが! 私の子が!」
「大丈夫だ! あそこにははるんさんとすみれさんが居る! 今はあの声の主を刺激しないでください!」
「でも!?」
「はるんさんとすみれさんを信じて!」
『君達には生死すら選ぶ権利は与えられていない、かってに死ぬ事も許さない。君達が元の生活に戻りたいのならば、この生存競争に勝ち抜く事だ。明日13時に洛陽城にて質問を受ける。そこでNPC に質問に答えさせよう。その場に来る者は、盟主と代表者の2名のみとする。各同盟で何を質問するかを良く検討して来ると良い。繰り返すが全員に1つのみ質問を許可する。ここに来た同盟の同盟員が盟主も含め16名ならば、質問は16個まで許可される。さあ、今この時よりバトルスタートだ!』
空が元の色に戻った、俺は薄れ行く意識の中で、空をぼんやり見ながら、意識を手放した。
「……….オリン!」
「シャオリン!!」
「目を覚まして! お願いだから!!」
そこで俺は再び目を覚ました。
「ああ…..良かった!」
「大丈夫か! 体は!?」
母さんと静香が目を腫らして涙を流しながら俺の手を握り締めていた。同盟員達が周り に居るのがわかる。
「あ…..ああ….結構あちこち痛えけど、とりあえず生きてるみたいだ。ごめん、リリィ、林檎、俺どうしても言って起きたかった事が有るんだ」
「何!?」
「うん! 何?」
「ここに初めて来た時、酷いこと言ってごめん、俺、あの時、何でこんな所に来たんだって、そう言いたかっただけなんだ。何となくだけど、こんな結果になるかもしれない事が、あの時ぼんやりと理解出来てたから」
「そう…でもね? 私は嫌だよ? シャオリンだけがこんな世界に来て、私だけ平穏無事に向こうで生きてるなんて、だから、今ここに一緒に居る事が良い」
「同じよシャオリン、息子が危険な目にあって、黙って居る母親がいる訳ないでしょう?」
「……そうか、よかった、これでスッキリした、あとはあの気に食わねえやろうを今度こそぶっ殺してやる!」
「懲りない奴だな」
「おいアフロ、お前まさか黙って奴等 に従おうってんじゃ無いだろうな?」
「んな訳ねえだろう? だけどお前はもっと慎重になれって言ってるんだ。こうして居る時も、恐らく監視の目は常に有ると思って良い。忘れるな、あいつらは俺達の意識までコントロール出来る存在かもしれないんだぞ? 本名を口に出来ない、それは奴等が意図的にそうしているんだ。
これからモニターの部屋で会議をする、どの同盟がこっちに来てるかそれで確認も出来るみたいだからな。お前はここで寝てろ」
「いや、俺も参加する」
「無理するな」
「今無理しないでいつするんだよ? こんなふざけた真似されて、大人しく寝てられるほど俺は人間出来てねえぞ」
「はあ……わかったよ」
俺は母さんと林檎に肩を貸してもらい、モニターの有る部屋に行った。そこには寸分違わず傾国マップと同じ物が表示されており、どの同盟がどの城を現在所有しているかが示されており、更に傾国マップと同じ様に、タップすると、誰が何処に駐屯して居るかも表示されていた。更にその者が今どのキャラの能力を得て居るかも表示されており、本当に傾国マップと同じ仕様 になって居る。
そして、この世界に来た同盟と人数は
翡翠 16人
珍肉同盟 14人
天下布武 12人
一日一食 18人
現在の持ち城
洛陽 金 一日一食
虎牢関 青 翡翠
函谷関 青 珍肉同盟
汜水関 青 天下布武
武漢 青 一日一食
上庸 青 一日一食
嵩山 赤 翡翠
潼関 赤 珍肉同盟
河内 赤 珍肉同盟
牧野 赤 天下布武
魯陽 赤 一日一食
樊城 赤 一日一食
宛城 赤 一日一食
弘農 赤 一日一食
ケイ陽 赤 一日一食
西城 赤 一日一食
つまり、それ以外の、漢中、河東、華山に関しては、この世界に来ていない、それ以外の同盟が所有していた城で、今は守備群のみが居ると言う事だ。




