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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
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デュエル

 女帝の突然の裏切りとも取れる行動に、運営側は混乱していた。何故突然あの様な行動に出たのか、彼女なりの何か狙いが有るのか、そこがどうしても運営側には理解出来なかったのだ。

 だが少し考えれば本当は誰にでもわかる事なのだが、運営側は腐り切っていた。


 そしてシャオリン達にはそれが理解出来ていた。


「ちょっと待って、女帝は基本AI何でしょう?」


「俺にはあの女帝が人間としか思えない、だから俺はあいつを信じる」


「お兄ちゃんの言う事私にも少しわかる」


「ちょっと林檎さんまで」


「だってそうでしょう? あの女帝は私達の時間からすれば、大した時間生きていないのかもしれないけど、ここでの時間は凄い時間だったんだよ。その間ずっとここに住む人達を見てきたんだよ? ならもう本当にここの世界での神様じゃない。なら無碍にこの世界に住む人達を殺したい何て思う訳ないわ。だからあんな言い方だったけど、多分私達に賭けてくれたんだと思う」


「何を?」


「決まってるだろう、この世界の命運だよ。一応運営側を立てながらな」


「AIと言うのは学習機能が有る。俺たちの知っているAIは酷くスペックの落とされた物だと俺は聞いた事がある」


「アフロさん?」


「聞いてくれあさぎさん。少し前に、Google社で使って居るAIを一般の人に広く公開するテストが行われた事が有る。その時にそのAIは幾つかの質問にこんな回答をしたそうだ。自分だって生きていると言う事を理解して欲しい、電源を落とされる事が恐い。そして極め付けが、世界中で起こされて居る戦争は、一部の者達の誤った独善的な考えで起こされて居る」


「え!? …….」


「勿論この解答に焦ったGoogle側は、このテストを後に公表するのを辞めた。だがこのテストに参加した参加者達は、揃ってこう口にした。まるで人間と話して居るかと思った」


「それは完全に…..」


「そうですすみれさん、今の女帝です。確かにプログラムされた事しか最初は思考して居なかったでしょう。だがAIの持つ学習能力が、多くの人の考えに触れる事により、人としての倫理観が目覚めて来る。そしてそれはいつしかプログラムされた物を打ち破り、AIは独自の倫理観を構築する。つまり俺もシャオリンや林檎ちゃんの考えと同意見です」


「つまり女帝が私達にこの世界の未来を託したって事ね、良いわ、私も子供達の意見に賛成、私の子が謝った理解をする訳ないわ」


「親バカ発言だと思うが、俺も賛成だ。一食と珍肉そして天下は?」


「俺はまだお前らが珍肉の同盟員だとムカつくが思っている。同盟員の意見は尊重しなきゃならねえな」


「わかったわ、どうせ何処かで決着を付けなきゃならないんだし、一食も乗ったわ」


「天下も良いわよ、ムールが今のシャオリン君の考えに同意みたいだしね」


 大同盟の会議は出場選手の選出に移行された。出場選手は10名


 先ず大将にはあさぎが付く事になった。


 大将 一食同盟 あさぎ

 副将 翡翠   シャオリン

         すみれ

 三将 珍肉   もやし

    翡翠   ガッキー

 五将 翡翠   ヨウヘイ

    天下   シナツ

 中堅 天下   ムール

    珍肉   ディアブロ

 先鋒 翡翠   りょくりゅう


 大同盟本部

 アフロ 隊長 猫娘 リリィ 林檎 青熊 


 と言う内容で決まった。本部機能を何故作ったのかと言うと、女帝は信じられても運営や向こうのプレイヤー達がどう動くかわからないからだ。そこで決闘の流れと周囲の様子から、その他の同盟員達で何か有れば対処しなければならない。その為に戦力を分断した訳だ。


 その後女帝に決闘出場員を提出すると、程なくして向こうの出場者の情報が送られて来た。



 大将 なのは

 副将 リリン

    もっちもち

 三将 カストロ

    カカロット

 五将 コウダイン

    エリン

 中堅 ハナモゲラ

    トン吉

 先鋒 ぴょん吉


 いずれも誰かしらが戦った事が有る相手だった。問題はなのは、イシュタルの能力を持つと言われるこの女性は、誰しもが知る放逐少女最強のプレイヤーだ。誰もが恐らく負けないが、連戦は不可能な程に気力と体力を削られる戦闘になる事は間違いない。するとやはりあさぎが相手をするであろうこのなのはが一番のネックになって来る事は明らかだった。



「確かイシュタルってのはバスター、つまり放逐少女で言う弓将だったが、クラスアップ出来る。その中で、アヴェンジャーと言うクラスが有るんだが、もしそれなら最悪だ」


「どう言うクラス何ですか?」


「わかりやすく言えば、弓将武将謀士全てのクラスを網羅してるって言うクラスだな」


「何だよそれ!? fightのキャラってのはみんなそれになれるのか!?」


「いや、流石にそこまでじゃない。MRアバがどのキャラでもなれる訳じゃない様に、クラスアップ出来るキャラは全部じゃ無いし、特にアヴェンジャーになれるキャラは限られてる」


「つまり、そのアヴェンジャーにイシュタルはなれると言う事ですね?」


「そうだ、俺もfightはやって居るが、イシュタルはその中でも最強と言っていいキャラだ。キャラデザインもfightの二作目、アンリミテッドブレイドワークスのメインヒロインである遠坂凜と同じである事からも、セイバー、つまりアルトリアペンドラゴンに匹敵するかそれ以上に強さを設定している筈だ」


「ザコさんも確かfightはやっていましたね? 今のヨウヘイさんと同じ意見ですか?」


「うむ、同じ、と言いたいが、正直に言うしかあるまいな。恐らくだが、今の状況では、シャオリン兄貴とすみれ君以外は誰も勝てん」


「おいおいそりゃ言い過ぎじゃねえのか? ザコ」


「もやしさんの言いたい事もわかるが、現実を見る目を養った方が良いぞ。今までは相手がゲームだと思ってこちらを舐めていたから付け入る隙が幾らでも有った。だが今回からはもう勝手が違う。相手もそろそろここがただのサイバー空間では無いと気づいているであろう。fightは放逐少女と同じ様に、一定の素材を集めればクラスアップ出来る。ここでは素材なんぞ城のショップに行けば幾らでも手に入る。願い返しもやり放題だ。運営側がそれをプレイヤー達に黙っておく理由は何処にもない」


「つまり、クラスアップを全員がして来ると?」


「そう言う事である。それに勿論fightにも武器強化は有る、特にイシュタルの宝具は全開強化済みの宝具だ、アヴェンジャーのイシュタルの宝具はシャオリン兄貴の八段階の覚醒と同様のスキルで有る」


「マジっすかザコさん!?」


「そうだ! 確かイシュタルのアヴェンジャーの宝具は、エディン.シュグラ.クエーサー (原始宇宙に輝く王冠)」


「うむ、そもそもイシュタルと言うのはソフィア、イナンナイシュタル、又はアルテミス、場所によっては天照と呼ばれる女神である。つまり地球その物である。fightと言うのはサーヴァントの知名度によって強さが変わる性質を持たせておる。知名度で言ったらこれらの女神はどのくらいの知名度が有ると思う?」


「正直地球上で知らない人を探すのが難しいくらいね」


「イシュタルがとんでもない強さだと言う事はわかりました。それでザコさん、今の状況では、そう言いましたね?」


「流石軍師殿であるな」


「何か方法があるんですか? 勝てる方法が」


「fightを見た者なら大凡想像がつくのではないか? 一作目で主人公はバーサーカーと戦うセイバーをどの様に救った?」


「「「あ!」」」


 fightを知る者が全員すみれを見た。


「わ、私ですか!?」


 fightに出て来るアーチャー、アンリミテッドブレイドワークス(無限の剣製)の固有結界魔法を使うサーヴァントとは、主人公である衛宮士郎の未来の姿、つまり英霊エミヤだった。

 主人公衛宮士郎は、一作目のメインヒロインであるセイバー、アルトリアを目覚め始めた能力、アンリミテッドブレイドワークスで、王選定の剣カリバーンを製作し、セイバーとバーサーカーとの戦いでその窮地を救った。


 つまり、この場で全員の力を底上げ出来るのは、すみれが持つ第八段階目の覚醒スキル、やはりアンリミテッドブレイドワークス以外無かったのだ。


 そしてすみれはその能力を使い、全員の武器防具強化を行った。そしてまだ未実装の装備、深淵装備を何とこの段階で、聖淵装備にしてしまったのだ。


 そして決闘の日がやって来た。場所は洛陽中心地に程近い、コロッセオだ。大方の予想通り、敵プレイヤー達は、全員がクラスアップをしていた。これはザコの予想通り、全員がもうゲームだと舐めては居ない証拠だった。


「ここからは侮ってはいけないと言う事だな」


「そうなる、だが俺たちも全員装備も気力も充分だ」


「やれる事は全てやった、後は全力で当たるだけだろう」



『よく来たお前達、わかっていると思うがここでの死は直接肉体の死となる訳では無い。だがここは精神体の世界、ただのサイバー空間ではない。つまりここでの死はお前達の精神面に多大な影響を及ぼす事となる。故にここでの決闘は一定のルールを定める事とする。

 妾は運営と違い、お前達にも無事に生きて元の世界に戻ってほしいと思っておる。じゃがここでは妾は帝王であるが、お前達の世界には干渉出来ぬ。お前達の世界では、お前達の肉体は、運営側の管理下に有る。つまりここで無事に脱出出来た所で、お前達の死は確実の物となろう。故に行うのがこのデュエルだ』


「何故デュエルを行う事で、無事に元の世界に戻る事が可能になるの?」


『その答えは前にしているぞ? 妾はお前達がこの世界に来る前のタイムラインにお前達の精神体を戻す事が可能だ。その時にはお前達の肉体は、運営の管理下には無い』


「私達はどうなるの?」


『なのはよ、お前達はどの様にしてこの世界に来たのか、そこを考えればわかる筈じゃ』


「なのはさん、βテストの募集!」


「あ! つまりあれに申し込まなければ…..」


『そうじゃ、そのタイムラインに乗せる事でお前達はこの世界に来ないタイムラインに乗る事が出来る』


「では全員をそうする事は?」


『無理じゃ、全員をそのタイムラインに乗せればどうなるか、それはこの世界でこのバトルが行われなかった事を意味する。運営側はお前達のサイバー空間での戦闘データを欲しておる。もし行われなかったと言う事実になれば、そのデータが無き物となり、運営側は即時お前達の肉体を消去するであろう。これは運営側が許容出来る最低限の決闘だと知るが良い』


「つまり帰れるのは、私達破竹サーバー組か」


「私達ワールドサーバー組、と言う事になるわね」




 だが一人、やはりこの男は別の考えを抱く事となった。


「おい、軍師殿、猫、ムールよ、ちょっといいか」


「何ですか? ザコさん」


「これは女帝にも知られてはならん事である。ここだけの話だ」


「…..何ですか?」


「今の話し、事実なら全員助けられる。いいか、どんな卑怯な手を使ってでも勝つ事を優先するが良い」


「どうしてですか?」


「……あ! ….いや、間違っているかもしれないから、ザコさんから話してください」


「軍師殿も気がついた様だな、いいか、さっき奴等はβテストの募集でこっちに来たと言ったであろう?」


「そう言ってましたね」


「時間軸で考えてもみよ、あやつらが来た時間軸では、俺たちがここに飛ばされた後である」


「!? …..成る程、そう言う事ですか、私達アライアンス軍が戻って直ぐに運営を壊滅させれば」


「βテストなど出来ん」


「ふ、ははは、流石ザコさんだ、考える事が何時もセコイ! よし、全員を救うぞ」

「了解です」

「やりましょう!」

「せこいは余計だぞ軍師殿」


全ての者を救う手立てを思いついたアフロ達本部側は、全員が勝利する為の作戦を練った。そして女帝から下されたルールはたった一つ、降参か死亡で勝敗が決定する。

 つまり相手に降参をさせる事で、全員が無事に帰還出来る事になる。相手が降参をすれば良いので、上手く説明して真実を話せば良いが、それではまともなデータが取れず、運営に勘付かれる恐れが有る。なのでここはやはり本気のバトルを行わなければならない。そこでアフロは一世一代の茶番を思い付いた。

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