最終決戦
今日の投稿です!
函谷関攻防戦は、大同盟勝利で幕を閉じた。主力を尽く失った運営側は総崩れし、撤退を余儀無くされたのだ。そして函谷関では戦勝祝いがなされていた。
「食え! これは珍肉からの奢りだ!」
もやしが筆頭で大量の食事が提供され、酒なども一級種などが大判振る舞いされていたのだ。この事で運営側は慌てていた。上位プレイヤー達を送り込む事で、当初は簡単にアライアンス軍と破竹サーバーのプレイヤー達を抹殺出来るだろうと考えていた。だが何と、破竹サーバープレイヤーとアライアンス軍は、初戦で大勝利を収めてしまったのだ。
「どう収集を付ける気だ?」
『すみません所長、ですがこれは裏切り者がいた事による物です!』
「裏切り者? どう言う事だ、説明しろ」
『川田主任です、あの女、公輪盤にとんでもない能力を持たせていました! 私はそれに敗北したんです!』
「!? 量子テレポート、そうか! 川田主任をここに呼べ!」
「川田主任は退職しましたよ?」
「何!?」
「川田主任とアシスタントの河野さん共に、昨日付けで退職届けを本部に提出して、今日は出勤していません」
「聞いて居ない! どう言う事だ!? 本部は受理したのか!?」
「はい、昨日受理されています」
「本部にも裏切り者が居たのか! 至急上層部に連絡しろ! それと対策会議を始める!」
運営は今回の川田主任とアシスタントの河野のこれまでの動きをつぶさに追った。そして川田主任と河野が、不正にVR世界にアクセスしていた痕跡を掴んだ。
河野が方世玉、川田が鈴民命と言うアバターを使い、世界にアクセスして居た事が発覚した。またアライアンス軍の手引きをして、アバターを用意したのも彼女だった。
更に公輪盤と言うキャラが、過去に現存した者の能力を継承した物だった事も判明した。それは幼くして命を落とした少女の物で有り、その少女は超常的な力を有していた事も判明した。
またその少女はシャオリンの姉で有り、元々その力をシャオリンに受け継がせる手引きをしていた事も確認した。
更に川田は欧冶子にも異常と思える程の能力を持たせていた。おうやしがアウグスなどのキャラをジャイアントキル出来る理由も実はそこから来た物だった。
このキャラも解放されると隠された能力が発動し、それは全てを覆してしまう物だとわかったのだ。そして川田主任は、かつての夫である、川田太一にそれを持たせる手引きも行っていた。
「シャオリンが能力に目覚めた事は明らかです。問題はすみれの方です。未だすみれは能力に目覚めていません。ですがすみれが能力に目覚めると、もう取り返しの付かない事になります」
「何かキーはありそうなのか?」
「一度だけ、すみれが有り得ない程のパワーを発揮させた事がわかりました」
「詳細を」
「すみれがおうやしの能力に目覚めて直ぐの事です。すみれは娘のはるん救出に躍起になって居ました。その時にシューマン共振が非常に高出力で放出されて居る事がわかりました」
「….キーは娘か」
「そう考えられます」
「全戦力を虎牢関へ向けろ! 目標はすみれとはるんの抹殺だ! プレイヤー達に臨時報酬をチラつかせろ。破格の物だ! すみれとはるんを抹殺した者には1ヶ月放逐少女内コンテンツ全てを無料にするとでも伝えれば良い!」
ここにすみれ、はるんの抹殺命令が降った。欧冶子には隠された能力が有り、それが発動すると、この世界その物に多大な影響を及ぼす事がわかったからだ。
翌日、遊撃部隊は洛陽への帰路に付いていた。そこに青熊がもうスピードで飛んで来た。
「青熊さん?」
「ガッキーさん! このまますみませんが虎牢関へ向かってください!」
「何かあったんですか?」
「物凄い大軍が虎牢関へ向かって進軍している事がわかりました! 一軍や二軍では有りません! 凡ゆる方向から虎牢関へ向かって敵軍が動いています! その数十五万!」
「何だって!? 何故洛陽じゃない? 何故虎牢関へ向かって居る!?」
「わかりません、ですが十五万の大軍が虎牢関へ向かって進軍している事は確かです! 猫さんは大同盟を集結させて、虎牢関へ向かわせる事を決断しました。最低限の戦力だけをのこし、大同盟は全て虎牢関へ迎えとの事です。これは運営側が最終決戦を挑んで来たと考えています! 僕はこのまま函谷関へ行って、もやしさんに戦力を出して貰えるように頼んで来ます、遊撃隊は全力で虎牢関へ向かってください!」
青熊が各同盟の城へ向かい、各同盟はその殆どの戦力を虎牢関へと向けた。破竹サーバー同盟と、運営の決戦が虎牢関で行われようとしていたのだ。
「この人数を全て飛ばせるかはわからない。だが少なくとも5人は一緒に確実に飛ばせる」
「ならアライアンス軍は馬で向かってください。とりあえず私とヨウヘイさん、ルルーシュさん、あやかさん、ザコさんはシャオリンさんの量子テレポートで虎牢関へ向かいます」
「了解した、では私達も出来る限り急いで向かおう」
シャオリンは量子テレポートで一部の遊撃隊員を連れてテレポートした。虎牢関では蜂の巣を突いた様な騒ぎになっており、すみれが陣頭指揮を取り、迎え撃つ準備をしていた。
「母さん、静香!」
「お兄ちゃん!」
「状況を説明するわ、皆来て頂戴」
リリィから詳しい状況の説明が有った。敵軍は青豫州、汝南方面から10万の大軍、ろよう、すうざん方面から五万ずつが各地で合流して向かって来ているとの事だった。
「おかしい….」
「ええ、セイヨの話では、向こうの住民はこっちに入って来れないとの話だったわ」
「つまり、せいよしゅうは運営側に落とされていたと言う話になる訳ね」
「こっちの世界進出も既に企んでいたって事か?」
「そう考えるしか無いわね」
「逃げ道であるな」
「どう言う事ですか? ザコさん」
「うむ、俺達の現実世界では、どうやらアライアンス軍がかなり勝ち進んでいると見える、ならば奴等は逮捕され、死刑になると考えられる。ならば何処かに逃げ道を隠しておかねばならんだろう?」
「それがこの世界と言う事か!」
「そう考えるのが妥当であろう」
「ではこの虎牢関を狙うのは何ですか?」
「シャオリン兄貴、又は兄貴に似た様な隠された力」
「それが私達の誰かが持って居ると?」
「そうでなければ辻褄が合わん、本来大同盟を潰したいなら洛陽に大軍を向けるであろう? だが奴等は虎牢関を狙って来た。15万もの大軍が有るならば、落とそうと思えば洛陽だって落とせる筈であろう。昔の中国とは違う、辺鄙な道をわざわざ通らなくても、洛陽は目指せる。だが明らかにこの虎牢関へ軍を差し向ける理由は、兄貴のように覚醒されては困る者が居ると言う事である」
「確かにそう考えればこの虎牢関へ大軍を差し向ける理由にはなるわ」
「わかりました、なら私達翡翠の者全員に伝令をお願いします。盟主の権限で命を下します。翡翠メンバーは全員命を無駄にしてはいけません。ここでの死は確かにフジさんやアフロさんの言う様に、リアルでの死にはならないかもしれません。ですがこの世界を脱出する鍵を握って居る以上、ここでの死は破竹サーバープレイヤー全員の死に繋がると考えてください」
林檎からの伝令は翡翠メンバー全員に即座に伝わった。
「よう、相棒、久しぶりにまた一緒に戦闘だな!」
「洛陽からこっちに来ていきなりこんなヘビーな戦闘だけどな」
「所でアフロ、ザコさんの言う俺、又は別の鍵、どう思う?」
「俺もその考えは正しいと思う、洛陽ではなく、この虎牢関をピンポイントで攻める理由は、それが一番しっくり来る。そして恐らく全てを総合的に考えると、俺はすみれさんがその鍵を握って居ると考える」
「すみれさんが!? 何故そう思う?」
「考えてもみろ、先ず脱出のキーである公輪盤の能力は?」
「時空を操る力だな、過去は発明ギルドか」
「ならおうやしは?」
「鍛治ギルドか…..あ!」
「そう、共通点は物造りだ。そしてもう一つの共通点は、同時期に実装された事。更にシューマン共振が脱出の鍵になると考えるなら、お前の力を増幅させる何かが必要だと思わないか?」
「テスラコイル!」
「そうだ、テスラコイルとフラワーオブライフ。これを造れるとしたら、それはおうやしの能力だ。これらが揃って初めて俺達は元の世界に戻る事が可能となる。だが俺達が元の世界に戻ったらどうなる?」
「アライアンス軍と共に運営をぶっ潰す」
「そうだ、俺達にはその大義名分が有る。何て言っても自衛隊がこの一連の事件の目撃者なんだからな。更に俺達は今仮にとは言え自衛隊員だ。つまり戦闘が法的に出来る身分に有る」
「奴等が目の色変えて虎牢関に攻め込んで来る理由がわかるな、確かに今すみれさんがその能力に目覚めるのはやばいだろう」
「問題は何がキーですみれさんが能力を獲得出来るかだ。お前の場合はそのシャオミンと言う女の子だったが、すみれさんの覚醒ポイントがわからない」
「だな? まあムールさんが何か聞いてるかもしれないから、ムールさんが来てから聞いてみよう」
その後ムールが来たが、ムールにもその辺りはわからないとの事だった。
そして…..
俺達は有り得ない物をその目にした。それは大同盟の殆どの者を驚愕させ、同時に戦意を奪うに充分な物だった。
「エクス、カリバァぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その一撃は、強固な筈の虎牢関の門を、矢塔毎粉砕してしまったのだ。
「ば! 馬鹿な!? あれは!」
「fightのセイバー、アルトリア.ペンドラゴンの宝具エクスカリバーだ。だけど、化け物か!?」
「軍師殿、呆けて居る場合では無いぞ! 城に敵軍が侵入してる! 指示を出せ!」
「ザコさん! そうだ、すまないがシャオリン」
「わかってる! あの女の相手は俺がする!」
「すまない! それにかなり新手のプレイヤー達が攻めて来ている! 各同盟の主力は基本的に能力者の相手を!」
「わかってるわ! 猫! あんたとアフロさんはここで指示を!」
「わかりました」
「俺も出るぞ! 珍肉同盟の気合を見せる時だぞディアブロ!」
「おう!」
「天下もムール以外は私について来なさい!」
流石に各同盟の主力部隊は動きが速かった。各々が敵を確認し、自らの相手を選ぶ。そしてシャオリンはアルトリア.ペンドラゴンの能力を持つ、リリンの元へ向かった。
「やはり来ましたね、シャオリンさん。派手な一撃を見せれば必ず貴方が来ると思っていました」
「俺を誘ったって事か?」
「そうです、貴方を倒せばかなりのポイントが稼げるので、結構揉めたんですよ。それで早い者勝ちと言う事で決着が付きました」
「大技ぶっ放せば俺の方から出向くだろうと踏んだ訳か」
「当たりだったでしょう? 自己紹介がまだでしたね。私はリリン、放逐少女をしているなら、名前くらいは聞いた事有りません?」
「五尺サーバー最強のプレイヤーだな」
「光栄ですね、さて、すみませんが私のポイント稼ぎの為、生け贄になって貰いましょう」
「随分と自信満々だな? 痛い目を見るのはそっちだぞ?」
「そうですか、でもそれは勘違いと言う物!」
「速いな!?」
「まだ序の口です!」
リリンの攻撃速度、それはシャオリンでもようやく追えるレベルの剣戟だった。今までのは敵とは明らかにレベルが違う、何とか受ける事が出来る、それ程の速い速度の剣戟だった。
「くそ! マジか!?」
「先ほどの元気は何処に? まだ早く出来るんですが?」
だがそれは勿論シャオリンがまともに打ちあうと言う前提があっての話だ。勿論シャオリンとてザコの卑怯さは学んでいる。まともに打ちあう事などする訳が無い。
「え!? ……..」
「随分と動きが遅くなったな? どうした? もっと速度を上げないと、俺の攻撃があたっちまうぞ?」
「な、何をしたのですか?」
「何、簡単な事だよ。この辺りの重力をただ強くしただけだ。あんた限定だけどな」
「重力操作!? 公輪盤の能力にそんな….次元特異点!?」
「ご名答、そいつが俺の能力だ。さて俺のターンだ。あんたを倒しても俺にはポイントは入らないんだよな? 不公平極まりないぜ」
虎牢関の最終決戦の幕が開かれた。




