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紅翡翠  作者: 量産型ザコ
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冒険者

今日の投稿です、これ1本になります。

 きょろくの勢力圏に入る、今で言う北京から少し南に下った所辺りが巨鹿になるが、この当時北京などは今と違い田舎だ。この当時の中華の中心地はやはり洛陽にあった。川を渡り、俺たちは先ず付近の農村に行った。だが驚いた事に、王都圏と違い、ここには人、つまり一般人のAIらしき者が居た。


「どうなってんだ? 何故人が居る」


「これでは勝手に上がり込む訳には行かないわね」


「何処か空き家か何かあるか聞いてみよう。今からまた人が居ない空き家探すのはきついわ」


「確かに辺りも大分暗くなって来たからな」


 俺は近くで農作業を終えようとして居る人に声をかけてみた。中国語だったらどうしようと思いながらもとりあえず日本語で声をかけた。


「すみません!」


「ん? 何だい、旅の人かい?」


 どうやら日本語で通じるらしい。


「あ、はい、実は何処か泊まれる所か、空き家など有れば明日までお借り出来ないかと」


「あ〜きょろくの町までは大分遠いな、夜になると魔物も出るし」

「ブフー! 魔物が出るんですか!?」

「あんた何言ってんだ? 冒険者さんじゃ無いのか?」


「「冒険者!?」」


「あ、いや、違います……王都圏から来た単なる旅の者です。それより冒険者とか、魔物って?」


「まあとりあえず村長の所に案内してやんべ、村長の所で詳しく聞けば良い」


 何だか本当にアフロの心配毎が現実味を帯びて来た。俺ががっくりと肩を落としている中、何と林檎だけは目を輝かして期待一杯の顔になって居る。


「おい静香、冒険者はやらないからな? 魯陽ではヨウヘイさん達が戦ってるんだ、忘れるなよ?」


「わかってるわよ! ただなんかワクワクして来ない?」


「しねえ!」


「男の子の癖につまらないわね? そんな現実ばかり見てて人生楽しい?」


「大きなお世話だよ!!」


 ここで俺は再認識した。間違い無く林檎と俺は兄妹だ。


 俺たちは村長の所に案内された。村長の家はかなり大きく、部屋は幾つもあるので、一晩くらいなら泊めてくれると言う。そして俺は先程村の男が言っていた、冒険者と魔物の事を聞いてみた。すると案の定アフロの言って居た通り、この辺りは魔物が徘徊して居るらしく、冒険者と言われる職業が有り、ダンジョン探索や魔物討伐を請け負う仕事だそうだ。詳しくは村長も知らないが、きょろくの冒険者ギルドで聞くと良いとの話だ。この村も、強力な魔物が出ると、きょろくのギルドに行き冒険者を雇う事が有るらしい。


 魔物と言うのはやはりこれも想像通り、ゴブリンやらオークやらと言った存在が居ると言う。またこの世界には、魔道具が有るらしく、そこに入れる魔石は魔物から取れるらしい。そして俺は魔道具を村長に見せてくれと頼んだ。村長は冷蔵庫みたいな食材を冷やす魔道具を見せてくれた。そしてついでに魔石も見せてくれたが、俺はそこで全てを理解した。


 その後食事をご馳走になり、俺たちは部屋を案内された。


「逆ね………アフロさんの予想も全てが間違いとまでは行かなくとも、少なくとも私達がこの世界を作って居るのでは無く、元からこの世界は有った」


「どう言う事? リリィ」


「静香、この世界は確かに実験場で有ることは間違いない。だが、この世界が元々存在し、紅翡翠も元から存在して居た。そう言う事だ。俺らは単にそこに送り込まれたに過ぎない」


「何故そう言い切れるの?」


「魔石だよ、あれは紅翡翠だ。アフロやフジさんの予想は全部が間違いと言うことでは無い。母さんが逆だと言ったのは、世界を俺たちが構築したのでは無く、元から世界が存在し、俺たちはここに放り込まれたって部分だ」


「アフロさんは紅翡翠は人の持つ想念を拡張する機能が有ると言ったでしょう? 当然なのよ。魔物は人の想念から生み出される物、それが命を持った存在が魔物なの。かつてキリストは土塊から自らに似た存在を作った、それがアダム、そのアダムの肋骨からイブが産まれたのよ。つまり人はその神と同じ行為で魔物を作り出したの。そのコア、心臓となる物が紅翡翠、つまり魔石よ」


「じゃああの村人達ってまさか!?」


「向こうで死んだ人の魂、それがここで新たな生活を送って居る、つまり今の私達と同じ存在よ、だからAIでは無い。青熊さんに聞いた、女帝と同じ存在なのでしょう」


「何の為にそんな?」


「紅翡翠を造る為だろう。紅翡翠は俺たちの世界で言う、化石燃料みたいな物だ。魔道具には紅翡翠が使われているし、そして人の想念を増幅させ、俺たちみたいな放逐少女のキャラ能力を得たりも出来る。純粋で大きな紅翡翠になれば、そんな事すら可能になるんだ。つまり何らかの要因で向こうで亡くなった人の魂をここに来る様にして、そしてここで紅翡翠を使い新たな生を得させる。そして紅翡翠をその人達に生成させてるんだろう」


「そんな事が可能なの? 人の魂を自由に扱うなんて」


「わからないわ、でもそう考えるのが妥当ね、そもそも私達だってこの世界に迷いこまされたのよ? 普通じゃこんな事もあり得ないでしょう?」


「た、確かにそうだわ…….」


「兎に角わからない事だらけだが、新たに得たこの情報をアフロやフジさんに早く届ける為にも、今は目的を遂げる事を優先しよう」


 翌朝俺たちは村長宅で朝ご飯を頂き、そのままきょろくに出掛けようとしたが、村長に呼び止められた。


「シャオリンさん達はこれからきょろくへ行くんだろう? そこまでこの子が案内するよ。暁明(シャオミン)


「シャオミン?」


 家の中から、俺と変わらない歳の女の子が出て来た。この子は村長のお孫さんのシャオミンだ。昨日夜ご飯を頂いた時に挨拶をした。


「良いんですか?」


「地元民の道は魔物がほとんど出ない。ここからきょろく迄は大した魔物は居ないが、安全なのに越した事は無かろう。それにこの子にお遣いを頼んでいてね、ついでじゃよ」


「それなら、よろしくね、シャオミンちゃん」


「はい、リリィさん、林檎さん、シャオリンさん」


 シャオミンさんの案内で俺たちはきょろくへ向かった。流石に象は出せないので歩きになってしまうが、母さんのMPはまだ全快してないので丁度良いと言えば丁度いい。それに上手く魔物と遭遇すれば、この世界にどんな魔物が居るのかもわかる。


「え? じゃあ武威(ぶい)まで行かれるのですか?」


「ええ、どうもその先に祠が有るらしいのだけど、そこに、まあ御先祖様から受け継がれる武器が有るみたいなの」


「そうなんですか、ぶいの先の祠って言うと、龍神の祠ですね」


「龍神の祠?」


「はい、かつて龍神様がそこに建てたと言われる祠です。ただ…..」


「ただ? 何?」


「皆さんは冒険者では無いんですよね?」


「そうだけど、それなりに戦闘は経験しているわよ?」


「そうじゃ無くて、ダンジョン何ですよ」


「ダンジョン?」


「はい、あの祠はAランクダンジョン何で、Aランク冒険者でなければ入る事は出来ませんよ?」


「「「はい?」」」


「な、何でそんな決まりが有るの!?」


「かつてダンジョンに挑戦した冒険者が何人も中で亡くなったらしいんです。だから安全の為にダンジョンにはランク付けがされました。そしてダンジョンの町には冒険者ギルドが設置されて、該当ランク以上の冒険者でなければ入る事が出来なくなったんです」


「マジか、てことは俺たち冒険者登録して、Aランクにならなければ入れねえのか」


 まるで小説じゃねえか……..


「Aランク冒険者になるにはどうすれば良いの?」


「詳しい事は冒険者ギルドで聞けば良いと思いますけど、Eランクから上位の魔物を倒したり、規定ポイントを貯めたりして、ランクアップ試験を受けてランクアップするらしいです」


「Eランクからかよ!? てか林檎! お前何で嬉しそう何だよ!?」


「冒険!!」


「しねえ!」


 そしてきょろくに付き、シャオミンと別れ、俺たちは冒険者ギルドの場所を門番に聞き、ギルドの前に来た。そして俺は猛烈に激しい脱力感に襲われた。ここは三国志の時代の中国で有り、ここはきょろくの城だ。だが……..



「何でこの建物だけ中世ヨーロッパ調の大理石何だよ!? てか林檎、目を輝かせるな!!」


「この建物…….馬鹿にしてるとしか思えないわね……」


「早く! 早く行こうお兄ちゃん!」


 嬉しさのあまり、洗脳が解けたみたいだな……何だこの静香のハイテンションは…..



 そして中に入ると、まさにアニメや小説で出てくるであろうテンプレ冒険者達が大勢居た。俺はもう完全にテンプレパターンを予想して居た。

 絶対来る、俺はそれを確信して居た。


「すみません、冒険者登録したいのと、幾つかお聴きしたい事があります」


 俺は受付に林檎と行った。すると俺のこう言う時の予想は確実に当たる、それは即座に起こった。



「何だガキ! お前みたいな小僧が」

「死ねおっさん!!」


 バキ!


「ぐは!!」

 ガラガラガッシャーン!!

「お兄ちゃ!?」


「よし!! 登録だ!!」


 凡ゆるアニメ、小説で確実に起こるテンプレイベントだ。ここまでふざけたシュチュエーションで起こらない訳がない。俺は紅翡翠をポケットの中で予め握り閉めて置いた。おっさんの台詞は最後まで聞かなくても凡そ予想はつく。いちいち最後まで聞いてやる必要はない。

 この場合ぶっ飛ばしておっさんをノシてから登録の流れなので、ショートカットして置いた。


 周りの冒険者達と、受付の姉ちゃんが顎を外しているが、俺たちはそれに付き合っている暇はない。


「力は示せただろう? じゃあ登録頼むよ」


「あ、はははい! わかりました。ではここに必要事項の記入をお願いします」


「何ぃぃぃ!?」


「あわわ、だ、代筆も承ります!」


「そうか、何分字は下手でね」


 どう見ても簡体字、つまり中国語だ。確か放逐少女の運営の本部は中国だと聞いた。書ける訳がねえ、更に読めない。


 代筆を頼み、3人分の冒険者カードを作った。どう考えてもこの時代に仰ぐわないカードだ。ありきたりの説明を受け、そしていよいよランクアップの説明だ。ここが一番聞きたかった部分だ。兎に角直ぐにAランクへ行きたい。


「先ず皆さんのカードはEランクの物です。受けられる依頼は一つ上のDランクの依頼までになります。全てのランクで受けられる依頼は一つ上の物までです。またダンジョンに関しては、同ランクダンジョンまでしか入れません。Eランクダンジョンというのは存在しません、まだ皆さんが入れるダンジョンはございませんのでご注意ください。

 ランクアップに関しては、その冒険者カードに溜まったポイントが、1000ポイントになるとランクアップ試験を受ける事が出来ます。ポイントは依頼達成ポイントと、討伐した魔物によってポイントが溜まる仕組みです」


「討伐した魔物でポイントは違うのか?」


「勿論です。魔物には危険度指定ランクと言うランクが有ります。ゴブリンやスライムなどはE〜D、オークなどはC、オーガともなると、Bです。E〜Dランクの魔物は1体0.5ポイント、Cは1ポイント、Bは1.5ポイントずつ加算されて行きます。更にA以上になると、魔石の純度や大きさでもポイントが加算されて行きます」


「依頼達成ポイントは?」


「依頼達成ポイントはどのランクでも基本的に5ポイントです。そこに難易度加算と言う物が加算されます。難易度加算は依頼の内容や、クエスト失敗状況、依頼受付超過日数などが加算されて行きますので、一概にポイント数はお応え出来ません」


「よし、わかった。じゃあ先ず手始めにEランクで一番ポイントの高い依頼を受ける! 難易度の一番高いやつだ!!」


「え!? …….でも」


「まさか俺達が出来ないとでも言いたいんじゃねえだろうな!?」


「いえ決してその様な事は、ですが一度受けてしまうとミッション成功か、失敗のどちらかになりますが?」


「俺達がミスる訳ねえだろう!? いいから急いでいる、早く受付をしろ!!」


「は、はいぃぃ!!」


 と…….言う事で、俺はとんでもない依頼を受けてしまった……..ミッション未達などあり得ない。つまりやるしか無い。

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