-スワイズ小惑星帯沖宙戦1/4-
あけましておめでとうございますm(*_ _)m
星空が怪しいと睨んでいた2つの大型の小惑星、正確には小惑星に見えるように偽装したバルーンのようなもの。その中には帝国軍の主力戦艦2隻が潜んでいた。彼らは複数のワープアウト反応に気づき警戒を強めていた。彼らは次にワープしてくるであろう大物を待ち構えていた。そう、ワープアウトしてきた敵の軍艦を奇襲によって撃破しようという魂胆なのだ。
「艦長、本当に敵艦は現れるのでしょうか?こんな手狭な所へ来るとは...」
副長が作戦に対し文句を言う。
「しかし、ワープゲートはあの小惑星帯の中にあるんだ。あれ以外に使えるゲートは確認できていないのだよ」
「もしかすると、あれほど入り組んだ宙域でないとまともに戦えないのかもしれませんね」
「さあな、私は策士ではない。ただ、見たこともない敵を相手するのはあまり気乗りはせんな。参謀は何を考えているのだか、我々現場の人間には知る由もないよ。それとあまり敵を甘く見るのは宜しくないぞ」
「はっ、心得ております」
などと軽口を叩き合う。
「それに、小型の戦闘機サイズのワープアウトをいくつか確認したそうじゃないか、そいつらは斥候だろうな」
「ワープアウト確認しました。艦艇サイズです」
レーダーにワープアウトした時の特殊な電磁場が映し出されている。
「如何しますか?」
「これは敵の主力ではないな、おそらくそれも斥候だ」
その読みは当たっていた。今ワープアウトした艦は斥候として送られたプリンツ・オイゲン級巡洋艦である。
「観測を続けろ大型艦規模のもが引っかかったら全力攻撃だ。総員覚悟を決めろ」
「にしても敵さん。最悪のタイミングで来るとは」
最悪のタイミングとは、現在この宙域にとある艦隊が近ずいていた。今ゲートの監視を行っている艦艇との交代をするための艦艇が4隻向かっているのだ。
オイゲンのワープアウトを確認してから数刻たった頃。
「ワープアウト確認!大型艦規模ものもです!」
「うむ、時は来た。各艦に通達、『蝶が蜜を吸いに来た』ぞ」
「偽装解除。砲雷撃戦、対空戦闘用意!!!観測機、BA隊を発艦させろ」
砲雷長、戦術長がその号令を復唱する。
「BA隊。敵の艦載機を確認。それと交戦に入りました」
「了解した。主砲、射程に入り次第砲撃開始する」
表面を覆っていた岩石のように見立てた偽装が解除される。それは風船が針に刺された時のように「パッ」と破裂するように。そして現れる帝国軍主力戦艦カイザー・B・ピューラダリア級戦艦の3隻だ。3隻は搭載している艦載機を射出しながら前進を開始した。
「主砲、自動照準観測機からのデータを参照、諸元にわせ、統制射撃用意。モード貫通」
艦を90度回頭させ側面を敵へ晒す。それに合わせ各所の砲塔が敵へ、その自慢の4連装の主砲を敵へ向ける。
車線上にワープゲートがないことを確認する。
「砲撃用意よし」
続いて僚艦が砲撃準備完了の報を旗艦へ送る。
『シャリアス、砲撃準備完了』
『グローキス、砲撃準備完了しました』
「全艦、撃ち方始め!!!」
完全に上を取っている、地球軍の艦は垂直には仰角を取れない。その弱点を利用して艦の真上をとる形に持っていく。
ピューラダリア級戦艦3隻、4連装砲塔18基、総門数64門から粒子砲の赤い光線が放たれる。
放たれた光線は1部の小惑星を貫通しながら敵艦を目指す。ビームシールドのある地球の艦と言えど防ぎ着ることは出来ないだろうと、旗艦艦長には
そういった考えがあったが。現実はそうならなかった。
イチキシマヒメCIC(戦闘指揮所)
薄暗い室内で警告音が鳴り響く。
「ローレム18より入電、『我、敵ヲ確認ス。現在敵ノ艦載機ト交戦中』との事です。」
「総員戦闘用意、対艦対空警戒をげんとせよ!」
小惑星帯
その頃、星空(ローレム18)は発艦した敵機との戦闘をしていた。対物理攻撃を無効化するシールドをのないブーストノズル部分を的確に攻撃し次々に撃墜していく。仲間たちも、ひとりが囮にそしてかかった敵を背後から別の者が撃墜する。この戦術で少しづつであるが敵の頭数を減らしていった。
「各機、一時退却する。敵の艦載機を現宙域から引きずり出す。その際できるだけ広い範囲に機雷をばらまけ。鈴、撤退の支援を頼む」
艦載機をイチキシマヒメ引き離すということだ。これで艦同士、艦載機同士が戦闘する構図を作り上げたいのだ。もしも吊られなかったとしてもイチキシマヒメでの応急補給をしたアドリアン達本隊が直掩を行っているからだ。
『了解』
『わかった援護は任せて』
「撤退する」
その言葉に二個小隊が一斉に引く。周囲に機雷をばら撒き、それだけでなくいくつものダミー機も放出しながら。小惑星帯の中でいくつかの爆発光が見えた、敵は機雷に気づかずそれに接触したのだ。数がどれほど減ったかは分からないが確実に数機は墜ちたようだ。
「全機、これで多少は楽になったはずだ。削りきるぞ。中隊続ける!」
『了解』
星空の号令と共に前衛2個中隊が敵機を迎え打ちに行く。
イチキシマヒメCIC
イチキシマヒメは星空からの敵発見の報を受け臨戦状態になっていた。
「艦載機の補給完了を確認しました」
「わかったわ。すぐに戦闘準備して」
簡易的な補給を済ませたBBはイチキシマヒメの周囲に展開し襲撃に備えている。
「レーダーに感あり。距離30000skm直上です」
即座にエリカが指示を出す。
「右急速ロール。阻害粒子散布。主砲、HES弾装填。急いでアンチ素粒子装置起動を起動させろ」
各部の多目的ランチャーからいくつもの円錐状のものが発射される。それらは少し滞空した後破裂し、周囲に目に見えない小さな粒子をばら撒く。敵艦が砲撃を開始した、光線は完全にイチキシマヒメを捉えている、直撃コースだ。しかし、その光線が途中でヘナヘナと解けるように消えていった。阻害粒子により加速した粒子のエネルギーが奪われたのだ、しかし、これも長くは持たない。次から次えと放たれる光線によって少しずつ阻害粒子の力が奪われていく。最終的には威力の大きく低下した一撃がイチキシマヒメの側面へ命中する、船体が大きく揺れた。
「右舷被弾、しかし内張り装甲により居住区などに被害なし。戦闘継続できます」
この距離であれば新型の電磁誘導砲で帝国艦の装甲を貫徹することが可能だ。
「よろしい。主砲照準、目標敵1番艦、放てっ!!!」
1番艦。1番前を航行している敵艦へ向け艦前方に搭載された三基三門、計九門の電磁誘導砲から帯電状態の主砲弾が放たれる。
砲弾は敵艦へは当たらなかった。まだ細かい調整が終わっていないことが起因するブレだ。砲撃をしている間にも加速粒子が襲ってくる。被弾。
「うっ、誤差修正...」
「修正完了!」
「第二射放てっ!」
第二射目、今度は命中した。
命中箇所から出火している、しかし相手は戦艦だ。これぐらいで沈む相手ではない。
巡洋艦プリンツ・オイゲン級の2隻も反撃する。いくつか命中し貫徹している弾もあるが大半が弾き返されていた。
「目標同じく敵1番艦、スペーススパロウ発射」
艦中央部のVLS(垂直発射装置)から艦対艦ミサイルが発射される。
1度真上へ飛翔後、向きを変え敵艦へ突撃する。対空銃座により撃墜される物もいくつかあったが、何とか2本のミサイルが命中、これが決定打になり1番艦は撃破された。その時、巡洋艦による砲撃と、爆発に巻き込まれ後ろを航行していた2番艦も轟沈に至った。
しかし、最後の1隻はまだ戦意は失っていなかった。なおも主砲を放ち続ける。イチキシマヒメは被弾し数箇所から出火していた。僚艦の巡洋艦も生々しい被弾痕が見受けられる。
「火力を集中させろ!」
イチキシマヒメと巡洋艦は砲撃を続ける。敵も負けじと反撃する。しかし、多勢に無勢。だんだんとダメージが蓄積していきほとんどの主砲が砲撃不可の状態に陥っていた。イチキシマヒメがトドメと言わんばかりに全主砲を一斉射撃する。これが決定打となり、敵の最後の艦は爆沈した。
CIC内に安堵の空気が流れていた。
その時だ。
「10時方向、J568レーダーに感あり!な...、BB隊が戦闘している方角とは別の方からです」
エリカの肌を1粒の汗が流れた。
どうも、三富三二です。
はい、改めてあけましておめでとうございます。m(*_ _)m
新年もよろしくお願いします。
そして投稿が遅延したことお詫び申し上げます。
理由としてはバイトが忙しかったことと、寝正月決め込んでました。はい、ごめんなさい。
という事で、今回はついに本格的に星空たちは新しい星系に足を踏み入れましたね。そして早速戦闘です。最近艦隊艦戦闘ばかり書いている気がするので、次は星空の戦いをメインにしていこうかと考えています。
本日はここまで最後までお読みいただきありがとうございます。
それでは次会うのは1ヶ月後にノシ
制作時BGM 幽閉サテライト「名残鳥」




