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■第21話 『ゴブリンたちの願い』

■第21話 『ゴブリンたちの願い』




「・・・よかろう・・・・ホブゴブリンよ。貴様の『願い』とは何じゃ?」



もはや、こ奴の話を聞く以外に・・・我には、もう選択肢が無いわい。

これが吉と出るか凶と出るか・・・



・・・運命とは、まこと数奇なものよのう。



どれだけ知識があろうとも、どれだけ力を持っておろうとも、リスクを抑えきることは出来ぬのか。

結局は・・・どこかで『賽を振る』ことになってしまうのじゃな。



・・・さあ、どう来るのじゃ?ホブゴブリンめ!



「はっはっは・・・アモン様。そう怖い目で見つめないでください」


「・・・何じゃと?」


「我々の望みは、先ほども言った通りですよ。ただ『願い』を聞いてほしい。それだけのことなのですから」



しつこいやつじゃな。じゃから、その『願い』こそがリスクのある言葉じゃというのに・・・

それとも、やはりゴブリンは知能が低いのかのう?



「はぁ・・・じゃから、その『願い』を言えと――」


「我らの『願い』とは!!」


「!?」



・・・来るか!?

こやつらの『願い』とは・・・何じゃ!?



「・・・・そこに倒れておられるカズト様に、『一匹のゴブリン』を『使い魔』として契約していただきたい!!」


「・・・なに?」



こやつ・・・今、何と言いおった?

我の聞き間違いか?



「お、おい。ホブゴブリンよ・・・和人に『ゴブリン』を『使い魔』として契約して欲しいと言うのかえ?」


「はい。その通りでございます」


「・・・それが、主らの願いなのかえ?」


「その通りでございます!・・・如何ですかな?実にささやかな願いと思いますが?」


「むぅぅ・・・うむ。少し待て」


「ええ、よろしいですよ?返答をお待ちします。我らには時間がありますからな・・・しかし、カズト様にはお時間がなさそうですが?」


「くっ!・・・分かっておるわい!」



即答で答えるというわけにはいかぬな。

『リスク』と『リターン』を、秤にかけねばならぬ。



・・・しかし、疑問も多いわい。

どういうことかは知らぬが、『使い魔』の契約をしろとは・・・こやつの狙いは何じゃ?



むぅ・・考えるほどに、疑問が尽きぬ。



・・・・お?

いかんいかん!そうじゃった。

真理を追究しようとするのは、我の悪いクセじゃな。



先ずは『リスクとリターン』の比較じゃ。



こちら側が、決して『損ではない』交渉なのは確かじゃ。

こちらのマイナス、つまり『リスク』としては、和人の『潜在能力』の枠が一つ、ここで埋まってしまうことじゃな・・・



『モンスターとの契約』は、原則『1体』限り。



そのような『貴重な一枠』を、ゴブリン如きで埋めてしまうということじゃ。

ふむ・・・・じゃが、命には代えられぬ。これ以上の『低リスク』な話はないかもしれぬ。


元来、モンスターの使い魔など不要なのじゃからな。

『和人単体』でも、やっていける程の力を持っておる。




カリッ・・



む?なんじゃこの音は・・・・我の口元から?

・・・おお?なぜ我は自分の親指の爪を齧っておるのじゃ?

良く分からぬが、こうすると少し気が紛れて、落ち着くのう。



ふむ・・・まあ、迷うことは無いのかもしれぬ。




・・・決断の時じゃな。




和人よ。今は『生命が優先』じゃ。




「・・・うむ、良かろう。『使い魔契約』の条件を飲んでやろうではないか」


「お・・・おお・・・・おおおお!ありがとうございます!」



クハハ。こやつ、大喜びしとるのう。

まあ・・和人の、あの絶大な力を見せられては『使い魔』になりたがるのも得心がいくかのう。



「どれ、その前に鍋を持ってくるのじゃ」


「いえ、それは出来ません・・・まず、契約を済ませてからです」


「な、なん・・・じゃと・・・この・・この!・・・調子に乗りおってぇぇ!」


「食料を提供し、カズト様が元気になられた後で、約束を破られてはかないませんからな」


「き、きさま・・・」



この・・・ゴブリンめが!

どこまで我をコケにすれば気が済むのじゃ!?


ゴブリンごときが!





我は『契約を反故』にすることなど『出来ぬ存在』じゃぞ!?




・・・おっと、いかん。


そうじゃった。

こやつが、それを知る訳がないのう。




・・・ふぅ。落ち着くのじゃ、我よ。

別に、その辺はどうでも良いのじゃ。

とにかく時間が無いということを念頭にせねばな。


今は、さっさと契約を済ませるのが最優先じゃ。



「ええい・・・・さっさとせい!!ほれ、お前の手を和人の胸に当てるのじゃ!」


「いえ、アモン様。契約するのは、わたしではありません」


「なにぃ?・・では、どいつじゃ?」


「それは・・・・これ、こちらへ来なさい」




む?なんじゃ?

ゴブリンどもの群れの中から、一匹歩いてきおる。


あやつは・・・・む!?

他のゴブリンとは造形が違うのう?



・・・はて?



・・・・おお!そうか!



「そやつは・・・『メス』のゴブリンか!?」


「はい、アモン様。この者は、この村で一番『優秀なゴブリン』なのです。ほれ、挨拶をしなさい」


「・・・よろしくお願いしマス」



『ゴブリン』の『メス』じゃと?・・・なんと珍しいことじゃ。

こやつらのメスは決して人前に姿を出さぬと記憶しておったが・・・



「主が、和人と『契約』する者か?」


「はい。そうデス」


「む・・・そうかえ」



何とも予想外なことじゃな・・・まさかメスゴブリンとは。

何か知らぬが、胸のあたりがモヤモヤするのう?


モヤモヤ・・・む?これは、なんじゃろう?


むぅ・・・・何か腑に落ちぬ。

良くは分からぬが、何か気にくわぬ。



「むぅ・・・・ええい!まあ、良いわい!」



モンスター如きの『契約』と、我の『契約』とでは次元が違うのじゃ!

問題など、何もないわい!



・・・それに、今はそれどころではない。

さっさと済ませねばならぬ。



「時間が無いのじゃ!早う契約せよ!」


「わかりました・・・では、主様をワタシの家にお運びいたしマス」


「ムギギ・・・ええい!ここでも良いじゃろうが!?何でも良いから、早うせい!」



こやつら、まことイライラさせよる・・・時間が過ぎていくじゃろうが!!



「では、アモン様。失礼します」



何じゃ?あやつ・・・ホブゴブリンめが、和人の前に立ちおったぞ。

何をする気じゃ?



「おい!お前たち!カズト様をお運びするのだ!」


「おう!」「へい!」「アイアイ!」



・・・む?


あやつの一声で、ゴブリンどもが一斉に和人を担ぎ上げおったな。

おお・・・意外と迅速な行動じゃのう。良く統率がとれておる。



「さあ。アモン様もどうぞ」


「なに?・・わひっ!?」



なな、なんじゃ!?

ゴブリンどもが、我も担ぎ上げおったぞ!?



「な、何をする!?おろさぬか!!」


「では、急ぎます!時間がございませんからな!・・・飛ばせ!お前たち!」


「了解です!族長!・・・おう!?行くぞ!ヤロウども!」


「おう!」「へい!」「アイアイ!」



なんじゃこれは!?・・・いや、待て。

これは・・この状況は何か記憶にあるぞえ?


確か・・・和人が住んでおった『ニホン』という国に『神輿』というものが・・・



「ムギャ!?なんじゃ!?」



こ、こやつら、急に動き出したぞえ!?

しかも、すごい速度で走りおる!?



「えっほ!」

「えっほ!」

「えっほ!」


「な、なんじゃ!?『えっほ』とはなんじゃ!?どこへいくのじゃー!?」



早いぞえ!?この速度・・時速50キロは出ておるかもしれぬ。

馬鹿に出来ぬ脚力じゃな。


単体では恐るるに足りん存在じゃが・・・

こやつら集団行動となると、中々のものじゃのう。


我は、ゴブリンどもを侮っておったのか?

頭数と地形の優位性があったとは言え、和人たちを危機に追い込んだのは確かじゃ。


しかも、驚くべきはあの『メスゴブリン』じゃな。

こやつらより、遥か前方をあのメスゴブリンは走っておる・・・大した身体能力のようじゃな。



あやつ・・・思ったより『使える存在』かもしれぬのう。



・・・む?

メスゴブリンが、丸太小屋の前で立ち止まりおったな。

もう家についたのかえ。



「よし!着いたぞ!カズト様をベッドへ運ぶのだ!」


「おう!」「へい!族長」「アイアイ!」



先ほどは、我もこやつらのことを褒めておったが・・・

和人を担いでおった3匹のゴブリン・・・なんか抜けてる感じのやつらじゃのう。


どいつも返事だけは元気じゃったが・・・

1匹目は斜視でどこを見とるか分からん。2匹目はよだれを垂らしてボーっとしとる。

3匹目は半分寝とるぞ?



「うむ・・・では、お前たちはアモン様を下ろされよ!」


「おう!」「了解!族長」「アイアイ!」



良く見たら、我を担いでおった3匹も、向こうの3匹と同じくらいヌケてる顔じゃのう。

どいつもこいつも・・・



「やっと降りれるのかえ?」


「へい~。アモン様、足元にお気を付けくだせぇ~」



言葉遣いに気を付けとるようじゃが・・・涎がたれとるぞ?

不衛生じゃのう・・・我の衣服についとらんじゃろうな?


まぁ、別に良いかの?・・・ようやく地に足を着けれたわい。

どれ、メスゴブリンの家とやらに入るとするかのう。


ふむ。家の入口には垂れ幕が掛かっておるのか?

あれが『ドア』の代わりということかえ。



「さあ、アモン様。こちらです」


「うむ・・・む?」



ほう・・・


垂れ幕を捲ってみれば・・・早速、契約を行っておるのか。

2人とも、すでに裸になっておるわ。


メスゴブリンが、和人の胸に手を当てておる。



「ワタシは・・・あなたを主として契約いたしマス」



メスゴブリンが手を当てている、和人の胸部。

つまり『心臓の部分』じゃな。



和人の『心臓』が・・・光りはじめおった。



こやつら魔物の『契約』とは、我のものと似ているようで異なる。

我と和人は完全に融合した存在となっておるが・・・こやつらのは違う。

和人に『神の如き力』を授ける訳でも、互いの生命を折半するわけでもない。



『魔物側』が契約する人間を『信頼』し、己の『生命を預ける』というものじゃ。

従って、本来『魔物と人間の契約』というのは『人間』が『魔物の信頼』を『会得』し、『魔物へ交渉して』行われるものじゃ。


このことから、人間を信頼し、尚且つ『利害が一致したとき』などに限って、契約されるパターンが多いと記憶しておる。

じゃから、魔物側から契約を切り出すことなど、まず『無い』はずなのじゃが・・・



・・・こやつらは、自ら『契約したい』と言い出しおったな?

・・・解せぬ。理解出来ぬ。



なぜそのようなことをしたがるのじゃ?

何の得もない契約ではないかえ?



これには何か『裏』があると思って間違いないじゃろうな・・・じゃが、背に腹は代えられぬ。


我らの『生命』が優先じゃ。




「お・・・おお・・・おおおお!」「う・・うつくしい・・・」「族長・・・すげーですね」


「うむ・・・・これで・・・我らの責務は果たされた・・・あとは・・・この若きメスゴブリンに託される・・・」



周りのゴブリンどもが騒いでおるが・・我は聞き逃さんかったぞえ?

ホブゴブリンめ・・・今『責務』と、ぼやきおったな?



・・・やはり、何か裏がありよる。



こやつらの『裏の目的』・・・我らは、後に必ず直面することになるじゃろうのう。

もはや、その『リスク』だけは避けられぬな。



すでに賽は投げられておる。

メスゴブリンと和人の『契約』が、我の目の前で行われておるからな。



「ふむ・・・これが魔物との契約・・メスゴブリンと和人の『生命の輝き』かえ?」



和人の輝いとる心臓から、メスゴブリンの『手』を伝い、そして『腕』へと移動しておる。

どんどん『光』が移動していくのう。


我も初めて見るが・・・中々、美しい光景じゃな。


『肩』『肺』へと『光』が通過し・・・とうとう、『光』がメスゴブリンの『心臓』へ到達しおった。



「お、おおおお!この輝きは・・・」


「・・・これが魔物の契約かえ」



2人が光に包まれ、家の中が真っ白に染まりおった。

目を開けていられぬ・・・・



「く・・・・・む?・・・光が・・・」



光の輝きが弱くなってきたぞえ?



「・・・ふぅーっ・・・」



メスゴブリンが息を深く吸うと同時に、光が霧散して、完全に消えおった。

うむ。中々興味深いものを見れたわい。



「・・・これで、契約は終えたようじゃな?」


「はい。これにて、我らの願いはかないました」



「うむ!これで、主らの要求は満たされたのう?」


「ありがとうございます・・・アモン様とカズト様、お二人のこの御恩は忘れません」


「礼など要らぬわい・・・・では約束通り、こちら側の要求を満たしてもらうとするかのう?」


「はい。勿論でございますとも」


「よし・・・では早う鍋を――――」


「すでに、ここに持ってきております・・・おい、お前たち」



ホブゴブリンが手をパンパンと叩いたぞえ?

手下を呼ぶ合図かの?



「おう!」「へい!族長」「アイアイ!」


「お、お主らは・・・我を担ぎ上げおった三匹か・・・」



垂れ幕を捲って木皿を持ったヌケた顔の三匹が入ってきおった・・


・・・む?


いや!そうではない!!


・・・・並んでおる!?

無数のゴブリンどもが木皿を持ち、家の外に行列を作って並んでおるぞ!?



「く・・クッハハハハ!・・・うむ!良いぞえ!!では、順番に皿を寄こすのじゃ!」



あとは・・・和人の胃袋に、次々と流し込むだけじゃ!

・・・この吹き矢を使ってな!




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□




「・・・ということがあったのじゃ」


「ま・・・まじっすか?」



僕が気を失ってる間に、そんなことがあったのか・・・

っていうかさ、なんかとんでもない話じゃない?



僕、寝てる間に死にかけてた訳!?

・・・それだけじゃない。


僕は同意してないのに、一方的になんか『使い魔』とかの『契約』をするって・・・

なんかおかしくない!?


契約ってさ、普通は互いの『合意』が必要なんじゃないの!?

もう、意味わかんない!



・・・でも、まあ・・・・・



「・・ありがとな?・・・アモン」


「む?・・・フン!当然じゃろう。我も消えとうないからのう・・・」


「はは・・・そうだな」



アモン・・・こいつは、やっぱり変なやつだ。

人のこと馬鹿にしたりコケにしたりするし、すごい冷酷で怖いところもあるけど・・・


なんかさ・・・

やっぱり根は『優しい』やつな気がするよ。




「ん・・・ゴホン!」



ん?なんだ?

ジャレットさんが、大きく咳をしたけど・・・風邪ひいたのかな?


あら?

僕の耳にヒソヒソと話しかけてきた?



「・・・おいおい、カズト。お礼を言うの、誰か一人忘れてないか?」


「え?・・・誰か『一人』・・・ですか?」



・・・あれ?なんかすごい殺気を感じる。

強烈な殺意をもった視線は一体どこから・・・あ!?



「ちょ・・・ちょっとぉ~~?・・カズト君!!わたしも頑張ったんですけどぉ~!!?」


「ひ、ひぃっ!?す、すみません!ミルさん!・・・ホントにありがとうございます!」


「まったく!失礼ったらないわね~・・・フフ。でも、君、とっても『素敵なコ』と旅してるのね?」


「え?・・素敵なコ?」


「そうよ♪すっごい可愛くって素敵な・・・・って・・・まさか、あんた・・・気づいてないの?」



素敵なコ?・・・ミルさん、何言ってるんだ?

一緒に行動してたのは、僕とアモンの『2人だけ』なのに。

いや・・・『一人』と『一体』って言った方が正しいんじゃないか?



「ええ?・・・誰・・ですかね?」


「カ、カズトくぅ~~ん?それ以上言うと・・・お姉さん、キレちゃうわよ~?この・・・この・・・」


「や、ヤバイ!?カズト!?歯ぁ食いしばって、気合入れろ!!」


「え?え?・・・ええええええええ!?」




いきなり、何言いだすの!?ジャレットさん・・・

やめて!?なんか怖いんですけど!?




「こぉぉぉのぉぉお!朴念仁がぁぁぁぁぁ!!」




僕の脳が・・まぁた、勝手にシミュレーションしてる。

1秒後には、僕の顔面ど真ん中に、ミルさんの右ストレートが・・・


あ、これまた意識飛ぶやつだ。



パグシャアアアッ!



―――――――――――――



僕の顔面の中央に、ミルさんの拳の跡がついた。



「・・痛い・・・」


「クハハ!ざまぁないのう!和人や!」


「アモン・・・お前、やっぱ性格悪いな・・・」


「フン!・・・何を偉そうに!たった1日で、我に命を2度も救ってもらった癖にのう?」


「あ~・・そうだな・・・最初の1回はちょっと詐欺が入った感じだけどな?」


「クハハ。何を言うか。主も合意のもとの、まっとうな契約ではないかえ?」


「くっ!この・・・」



詐欺めいたやり方で契約したクセに・・・

まあ、でも・・・



「・・・今回は、ホントにありがとな」


「うむ。まあ、おかげで、ちと顎が疲れてしもうたわい」


「はは。お前が、顎が疲れたとか言うと・・・」



『人も食っちゃいそうなクセに』って言おうとしたんだけど・・・



僕はすごい重要なことに気づいた・・・・

なんか、どえらいことに気づいちゃったぞ?



「え?・・・ちょっと待って・・・今、思ったんだけど・・・」


「む?どうしたんじゃ?」


「お、お前の『口移し』で・・・お前から食べ物を食べさせてもらったってこと・・?」


「うむ、そうじゃ。まあ、吹き矢を使用しておるがのう。水分補給に我の『唾液』も役立ったはずじゃぞ?」


「だ・・・・だ・え・き・・・・・?」


「うむ。まったくもって合理的な判断じゃろう?クハハ!・・・・む?どうしたのじゃ、和人よ?」


「・・・・」




ブシャアァァァァアァ!!



ぼ、僕の鼻から・・・・また噴水のように・・・血が・・・




「わひぃ!?な、なんじゃぁ!?」「カ、カズト!?」「ちょっとカズト君!?」




こ、この『超絶美少女の口移し』で!?

しかも・・・・『唾液』って単語が・・なんかヤバイ!!?



「・・・はっ!?わかったぞえ!?和人よ、街で見た『発作』がでたのじゃな!?」


「あ・・・そう・・・そうなんだよ。発作なんだよ」


「やはりか!・・・でも、妙な発作じゃのう?あのときは確か、我が和人の顔を近くで覗き込んだときに出たんじゃったか・・・」


「イィィ!?そ、そうだっけ!?・・いやぁ、この発作、急に出るから、いつ来るか分からないんだよね~・・・ハハ」



くぅ・・・・・このアモンの正体は人間じゃないって分かってんのに・・・

でも、今は本物の人間だから・・・



ああああああ!

ヤバイ、頭が混乱してきた。




「あの・・・・主様。お加減はいかがデスか?」


「うわぁっ!?び、びっくりしたぁ・・・・」




パニックおこしてるときに、急にゴブリンの女の子に話しかけられるとか・・・

余計、パニック起こしそうだ。



それにしても・・・『ゴブリン』に『性別』なんてあったんだな。

正直言って、信じられないよ。



これが『ゴブリン』だなんて・・・嘘でしょ?



ゴブリンの年齢が、見た目と比例するものなのか、分からないけどさ・・・

人間に例えると、16~17歳くらいかな。

そんでもって、見た目は普通に『美少女』にしか見えない。


髪は薄い橙色。

ヘアバンドのようなレザー防具で後ろに流されており、うなじが隠れるくらいの長さだ。


瞳は、ルビーのように綺麗な澄んだ赤。


身体は・・・毛布をかぶせてはいるけど、ほぼほぼ丸わかりだ。


体は少し筋肉質で、いたって健康的・・・・というかエロい。

ハッキリ言って、目の毒だ。

胸も、すごい大きい・・・アモンと同じくらいかな?


こんなことばっかり思い浮かんでしまう時点で、僕は自分に思うことがある。


異世界系で良くあるじゃない?召喚されて『勇者』になるってやつ。

絶対、僕は『勇者』なんかじゃないな・・・煩悩まみれの一般人です。



『人』との『違い』を強いて言えば、『肌が緑色』で『鼻が少し尖って』おり、『耳は捻じれた形で尖ってる』くらいだ。

・・・やっぱり、肌が緑色と言う時点で大分目立つな。



いやぁ~、それにしても初めて見た。

『ゴブリンの女の子』なんて。



「あの・・・主様?・・・ワタシの胸に、何かついてマスか?」


「え!?い、いやぁ!?・・・あ、あの・・・・」



ええ。ついてますよ。

大層ご立派なものが二つほど。


・・・って、そんなクズ人間思考はやめろ!僕!

とりあえず、今はそれどころじゃないんだ。



う~ん・・・



いきなり『仲間』になったって言われてもなぁ・・・

まったく実感が湧かないんだよなぁ。



どうしよう・・・・



・・・・あ!そうだ!

まずは、この娘の名前を聞いてみよう。



「あ、ああ・・・ごめん。あのさ・・君、名前は何ていうの?」


「なまえ?・・・・ワタシの・・・なまえ?デスか?」


「うん、そう。なんて言う名前なの?」


「ワタシは・・・」




・・・あれ?

普通に無難な会話したつもりなんだけど・・・ゴブリンガールが下を俯いちゃったぞ?



なんだ・・・この雰囲気。

ちょっと、急に重くなったんだけど?



「・・・・ワタシは・・・いえ。ワタシたちは『名前』など、ありません」

https://twitter.com/nrny9wZXq85mJ1M

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