表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

■第19話 『想定外な仲間』

■第19話 『想定外な仲間』




「これは・・・2人の、愛の逃避行なのよっ!!」


「イィッ!?・・・あ、愛っ!?」


「そうなんでしょ!?カズト君!」



ああ、やっぱり・・・何となく、そういう方向に行くんじゃないかと思ったよ。

ミルさんは目をキラッキラに輝かせて、アモンの両手をギュウっと握りしめた。



「ねぇ!そうなんでしょう!?イリーガル様!愛の逃避行でしょ!?」


「む?・・・あいのトーヒコウ?・・なんじゃ、それは?」


「もう!イリーガル様ったら!隠さなくっても良いんですよ!?」


「お、おい・・落ち着けよ、ミル」


「うっさい!ジャレット!この朴念仁!」



ドゴォッ!



「ぐほぁッ!?」



ジャレットさんの脇腹に、めり込む程の強烈な肘撃ちが炸裂した。

彼は『グラリ』と地面に倒れ込んで、そのままピクピクしてる。


どうやら、ジャレットさんは完全に失神したみたいだ。



「護衛のカズト君とぉ?・・・貴族のアモンお嬢様のぉ?・・・・許されざる愛!」



ミルさんが、またも『乙女のお祈りポーズ』を決める。

しかも・・・倒れたジャレットさんの上で!?


なんてことをするんだ・・・


この人は、どうやら過激な人だったようだ・・・顔は、すごい優しそうなのに。

何が怖いって、そのギャップが怖いよ。


ハイテンションな彼女は、一人で勝手に盛り上がっている。

まるで、ミュージカル舞台を演じてるみたいな、異質な空間を作り始めた。


『ミュージカル舞台みたい』ってどういうことかと言うと・・・

これはもう、文字通りのものとしか言えない。



「そしてぇ~♪・・・2人は身分の柵から逃れるべく~♪・・・愛の逃避行へ~♪ララーン♪」



ミルさんが、いきなり一人で歌と踊りを始めたんだ。

歌って踊って『くるん』と一回転ターンを決めている。

そこから流れるように、彼女は再びアモンの手を握って、ジーっと見つめている。



「なんなの?・・・ミルさんの、この異常なテンションは?」



はっきり言って、僕は全くついていけない。

手を握られているアモンも、ピクリとも動かずにミルさんを凝視している。



「む?どこへ行くのじゃ?カズト」


「いや、ちょっと・・・はは」



ここは身の危険を感じるから、少し離れておこう・・・すまん、アモン。



それにしても、アモンはすごい。

あのハイテンションを前にしても、微動だにしていない。



手を握られたままのポーズで、二人とも動かなかったけど、アモンが眉をひそめて、話を切り出した。



「うぬ?・・・・アイ?・・・アイとは、なんじゃ?」


「何って!?愛ですよ!愛!」


「むぅ・・・じゃから、何じゃそれは?」


「イリーガル様・・・いえ、アモンちゃん!」



ミルさんが、アモンの肩をガシっと掴んで詰め寄り、ガクガクと揺さぶっている。



「あなたはカズト君のこと、どう思ってるの!?」


「うわうぅぅ~・・・や、やめい!」



アモンの目が、グルグルと渦巻みたいな形になっていた。



「あら?ゴメンなさい」



その様子を見て、ミルさんは肩からパッと手を離す。



「それじゃあ教えてくれない?カズト君のこと、どう思ってるの?」


「む?・・我が、和人をどう思っとるかじゃと?」


「そう!・・・お姉さん聞きたいな~。うふふ。ねえ、教えて教えて?」


「どう思っとるかとな・・・・ふむ、そうじゃのぅ」



顎に手を当て、アモンは視線を空中に泳がせている。

そのまま考え込んで数秒、彼女の頭の上に電球の光が灯った。



「おお?・・まずはこれじゃな」



待ってましたと言わんばかりに、ミルさんは元気に手を上げる。



「浮かんだ!?ハーイ!じゃあ、お姉さんに教えて~?」


「クハハ、よかろう・・・先ず、我の『問』に答えた『和人の思考』は、実に面白いものじゃったのう」


「はは~ん、なるほどねぇ~・・・カズト君の考え方が好きなのね。それって、カズト君の『人柄』が好きってことよね!?」



どこか、2人の話が噛み合っていないな・・・

アモンの答えに対して、ミルさんの解釈が違うと思うんだけど。

それとも、僕の気のせいだろうか?


しかも、それだけでは終わらないらしく、ミルさんの質問は続いていた。



「それからそれからぁ?他には無いの?教えてよー」


「な、なんじゃ?・・・まだ聞くのか?」


「もっちろ~ん!もっと聞きた~い!」



当の本人である僕は、まるで空気のような扱いだ。

アモンは再び、顎に手を当てて考え込み始めている。



「むぅ・・・・そうじゃのう。あとは・・・」



再度アモンの頭上に電球の光がピカっと光る。

どうせ、ろくでもないこと思いついてるんだろうさ・・



「お?そうじゃ」


「うんうん!なになに~!?」


「キヒヒ。やはり、これも重要じゃのう。軟弱で臆病者な和人が、危機に直面したとき、抗う姿が面白いかのう」



アモンは小狡そうに笑っている。


予想通りな感じだけど、えらい言われ様だな。

それは人間としてじゃなくて、実験動物みたいな扱いじゃないか。




「・・キヒヒ、優秀なモルモットじゃわい」


「う~んと?抗う姿が良いってことは・・・あ!それってぇ~、臆病なのに頑張ってくれるっていう『男らしさ』がスキってことね!?あ、それとも、頑張ってる姿が『小動物』みたいにカワイイってことかな?」



アモンとミルさんが、完全に異質な空間を作り出してる。

・・・なんかピンク色のバリアーが2人に貼られてるみたいだ。


どこまでいっても、二人の会話が噛み合っていない。

しかも、ゴブリンたちに囲まれたこの状況で、ガールズトークって・・・



とりあえず、今の状況を纏めてみよう。



少し離れた場所で、気を失って倒れているパーティーメンバーたち。

ミルさんのエルボーアタックによって、失神したジャレットさん。

恋話こいばならしいけど、話の噛み合ってない女性2人。

そして、その光景を眺めながら、僕らを待ってるゴブリン集団。



纏めたら、こういう状況だけど・・・何?この状況。

もしかして、ここにいる人間で『まとも』なのって僕だけ?



う~ん・・・どうしよう?

いや、どうしようと迷っても居られない気がする。

巻き込まれたくないとか、考えてる場合じゃないな。



とにかく、2人に冷静になってもらおう。

この場合はどっちから、先に話したら良いんだろう?


ミルさんから先に話しかけたら・・・いや、無理だな。

考えるまでもないことだ。


彼女の『あのテンション』はヤバイ。


狂ったテンションの彼女に話しかけたって、余計に状況が悪化するだけだ。

きっと、僕に対して、あのテンションのコイバナ責めが来るだろう。


ここは先ず、冷静なアモンから諭した方が良い。

それから、アモンと2人掛かりでミルさんを宥める。この作戦が安全だろう。



作戦が固まった僕は、彼女たちに話しかけるべく、足を一歩踏み出した。



「アモン、少し落ち着いて・・・」



でも、その第一歩めで『カクン』と、つんのめってしまった。



「おっ?・・とと・・・・」



・・・なんだ?

石にでも、躓いちゃったのかな?



「あれ、僕はまっすぐ歩いてる・・よな?」



良く分からないけど、足元がフラつく。

今日は、いろんなことありすぎて、疲れたのかな?


でも、今はアモンと2人でミルさんを宥めなきゃいけない。



「お~い・・・アモン・・・あれ・・・?」



おかしいぞ?

なんか、目が霞む。



「あれ?・・・おっと・・・・」



またも、カクンとつんのめってしまった。

しかも・・・なんだか、眩暈もしてきたぞ。



「はっ・・・はぁ・・・・はっ・・」



おまけに・・・呼吸がおかしい。

苦しい・・・どうしたんだ?・・・・僕は。



「もう!アモンちゃんったら・・・それはつまり、愛なのよ!愛!」


「じゃから!アイとは何じゃと・・・ん?・・・和人よ。どうしたのじゃ?」



良く分からないけど、真っ暗になった。

2人の話声だけが聞こえる・・・



あれ?・・・でも、何で真っ暗なんだ?



なんか、僕の心臓が・・変・・だ・・

ドクドク・・鳴ってる・・



「はっ!?まさか・・いかん!!和人ぉ!」



どうしたんだ?

アモン・・・何を叫んでるんだ?





なん・・・だ?





あれ?




「和人ぉーー!!?」「カズト君!!?」




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□




「・・う・・・うう・・」



頭が痛い。僕は一体どうなったんだ?



ズキズキと痛む頭を両手で押さえながら、僕は上半身を起こした。



「あれ?どうしたんだろう?なんで、こんな所で寝てるんだ?」



ここは家の中なのか?家・・と言っても何か変わった家だ。

自分が寝ている家をマジマジと観察している間も、僕の頭痛は酷かった。



「イィッ!?ってて・・・頭が痛い」



痛みを紛らわすように、僕は自分の頭を撫でている。

しばらく摩っていると、少しだけ痛みが和らいできた。



「・・・どこだ?・・・・ここ」



僕が寝ていたのは・・・なんだか、随分簡素な家だ。

丸太で軽く組まれた家。



僕は、これに似ているのを、どこかで見たことがある。

・・・何だったっけ?



ええと・・あ!あれだ。

『科学サバイバル番組』で見たことがあったんだ。


たしか・・・遊牧民が生活してるテントだ。

・・・あれの名前は・・・そうだ。『ゲル』って言ったっけな?


構造はその『ゲル』っていうのに似てる。

でも、テントってわけじゃない。木組みの構造が似てるって感じだ。



その家の中で何故僕は寝ていたんだろう?

自分が寝ているのはベッドのようだけど・・・そのベッドがまた変わったものだ。


『厚みがある葉』で作られたベッドだった。



とにかく、見慣れないものばかりだ。

ジャレットさんたちはどこにいったんだろう?

それにアモンは?



「皆はどこに・・・」



僕は起き上がろうと、手をベッドにかけた。

そのとき、何か柔らかな感触が手を伝ってくる。



ぶにゅ


「・・・ん?・・・なんか、柔らかい触感が・・・・なんだ?」


「目が覚めたデスか?主様」




あれ?

ちょっと待って・・・何?この状況。




「ん?・・・え?・・・誰?」


「主様、少しだけ気を失ってまシタ。その間、ワタシのベッドで休んでたデス」


「あ・・・そうなの?・・・・え?ゴメン。ちょっと、待って・・・」




あの、訳わからんっす・・・・今から、この状況を説明するよ?




何で、隣に・・・




知らない女の子が・・・




・・・・寝てんのぉぉぉぉ!!?




しかも、何で!?この娘、裸なのぉぉぉぉぉ!?



あ?・・・ちょっと待て。

良く見たら・・・



僕も裸だったぁぁぁぁぁ!?




「おわぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!?」




な、ななななな・・・・なんじゃああぁぁぁぁーー!?

ベ・・ベッドに・・・一緒のベッドに女の子が!?


な、なぜ女の・・・子?

・・・・んん?


お、おんなの・・・・こ?

いやぁ~・・・なんか・・・少し・・



少し・・・『違う』?



「・・『緑色』の・・・女の子?」


「ご無事で何よりデス」



あれ?・・・ホントに何が起こってるんだ?



この娘は『人間』なのか?・・・いや。

違う・・・かな?



判断にすごい迷うほど、人間かどうかが分からない。

見た目は、普通の可愛い女の子なんだけど、肌が緑色なんだ。


あ、いやいや・・・良く考えたら、それよりも、もっと大事なことがある。

何故、この子が僕と同じベッドにいたのかってことだ。



考えをまとめようと思い始めたところで、喧騒が聞こえ始めてきた。

複数人が声を掛け合いながら、外でバタバタと走り回っている




バタバタバタ!


「おい、中から叫び声が!」「なんじゃと!?」





家の入口らしい場所に、垂れ幕がドア代わりに垂れ下がっていたんだけど、

その垂れ幕が勢いよく、『ブァサァ!』っと捲られた。


そして、見知った面々が部屋に突入して来る。

先頭はジャレットさん、次にアモン、ミルさんとドドド!と部屋になだれ込んでくる。



「カズトォォォ!!どうしたぁぁぁ!?」


「うわぁぁぁぁぁ!?ち、違うんです!!・・・これは、違うんですーーーー!!?」




僕は、急いで自分の股間に手を当てて必死に隠しました!


この『裸で知らない女の子』と『一緒のベッドで寝てる』状況は・・・なんて説明すりゃいいの?

ジャレットさんの後ろから、アモンとミルさんも僕の裸姿を神妙そうな顔で眺めている。



「目覚めたか!?和人よ!」「カズト君!心配したのよ!?」



こんなの最悪だ・・・女性2人に僕の股間を見られるなんて。



「ぎゃあああああ!みないでえぇぇぇぇ!」




隣の女の子は、毛布にくるまっているけど、僕はほぼ裸だ。

股間を手で隠してるだけ・・・これは冤罪だ。

僕は、如何わしいことなんて何もしてないぞ!



「ふぅ・・・無事なようじゃのう・・・良かったわい」


「全く、心配したぞ?カズト」


「そうよ!大変だったんだから」



性犯罪者の如く、責め立てられると思っていたのに、

皆は、僕を気遣ったような言葉を投げかけてきた。


『大変だった』って、どういうことだろう?

さっぱり分かんないけど・・・僕が寝てる間に、何かあったのかな?



「ええっと・・・すみません・・・ご心配をおかけしてしま・・って?」


「主様がご無事で、ワタシも嬉しいデス」



緑色の女の子が僕の背中に手を当ててきた。

一番の謎は『この』だ。



何で、一緒に寝てた訳?

・・・ていうか、誰だ?



「あ、ゴメン・・・ええっと・・・君、誰?」


「落ち着け、和人よ」



ベッドに座っている僕と女の子の間に、アモンはスっと腰を下ろした。



「アモン・・・この娘、知ってるのか?」


「うむ・・・和人よ、今から説明するぞ」


「お、おう・・・」


「そやつはのぅ・・・我らの『新たな仲間』じゃ」


「・・・・・はい?」



僕はアモンに聞き返したつもりで『はい?』って言ったんだ。

でも、何故か『緑色の女の子』が元気に挨拶してくる。



「はい。ワタシは、主様の『使い魔』になりましたデス」



さっぱり分からんので、またも、僕は聞き返してしまった。



「・・・・はい?」


「うむ、そうじゃ。こやつは、和人の『使い魔』になったのじゃ」



アモンまで意味不明なことを言ってくる。

だから、また僕は聞き返しました。今度は、伝わるように叫んだともさ!



「はいぃぃぃぃ!?」


「はい。そうデス」


「うむ。そうなのじゃ」



いや!さっきから言ってるのは、肯定の意味の『はい』じゃないんですけど!?

僕が言ってるのは、疑問形の『はい?』ね!?



あ~いかん・・・いかんぞ、これは!?

すっかり、こいつらにペースを握られてる。



とりあえず、ここらで考えをまとめよう。



ええ~っと?




あのぉ~・・・すみません。

誰か教えて貰えます?



・・・『仲間』って何?

あ、あと『使い魔』って何かもね?



誰か、知ってる?

僕はね・・・・何も知らないんだよね。

https://twitter.com/nrny9wZXq85mJ1M

こちらでツイッターをやってます

新しいアップデートや修正の予定など、こちらでご報告させて頂きます


もし続きが読みたい!など、気に入って頂けましたら・・

ブックマーク登録や、リツイートなど、よろしくお願いします。

フォローも出来ればお願いします・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ