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■第10話 『異世界の街 其の2』

■第10話 『異世界の街 其の2』







串焼きを買うのも『お金』、服を買うのも『お金』・・・・





そう・・・この世界もやはり、『お金』が社会を回しているんだ。





じゃあ、その『お金』はどうやって稼いだら良いのか?





この世界には、僕が知ってる働き口なんて、無い。

パートやバイトで稼ごうにも・・・・コンビニすらない!





「家を借りようにも!服を買おうにも!ご飯を食べようにも!・・・・お金が・・・お金がないんだよぉ・・・」



「なんじゃ、金のことか?」



「うん・・・」



「そんなものは簡単じゃ。モンスターを狩れば良いではないか」



「え?モンスターを・・・って、ああ!そうか!?」





さっき、アモンが言ってたな!



サイクロプスとゴブリンを倒したときに出た『何か』で、服を買ったって。

それはロープレと一緒なんだ!





モンスターを倒せば、お金と経験値、運が良ければドロップアイテムが手に入る。

ゲームだと、雑魚狩りをしてお金を貯めて、強い装備品を買うっていうローテーションだった。





「それってさ、ロープレと同じっていうことか?モンスターを倒して、ドロップしたお金を集めるってことだろ?」



「『ろーぷれ』とは何か知らぬがな、そういうことじゃ。まあ『貨幣』ではなく、『結晶』を落とすのじゃがのう」



「『結晶』?・・・何それ?」



「『モンスターの核』じゃな。魔力の供給源となる源じゃ。この世界では、エネルギー資源、魔法の開発など、様々な用途で使用されておる。

 まあ、貨幣よりも確実な『一定の価値』あるものじゃ。そのまま物品と交換も出来れば、貨幣と交換もして貰えるはずじゃぞ」



「へー・・・じゃあ、とりあえず、その辺の雑魚モンスターを倒しまくって、結晶を稼げば良いってこと?」



「まあ、それでも良かろう・・・じゃが、和人よ。主は先ほどの戦いからまだ回復しきってはおらぬぞ」



「え?」





言われてみれば・・・まだ体の節々が少し痛む。

あと何だか眠気が少し残っている気がするな。



でも、問題無さそうだけどな・・・気にかけてくれてるのか?





「そっか。まだ回復しきってないのか。それじゃあ、街の近くで・・・んん?」





『ゴブリンを数匹倒して、今日の宿代だけでも』って言おうとしたんだけど・・・

気になるものが目に入った。





ここから100mくらい前方に、随分と大勢の人が集まっている。

これだけの距離が離れているのに、「わー!わー!」という歓声が聞こえてくる。





「なぁ、アモン。あれって、何だ?」



「さあのぅ?」



「あ、そっか・・・人間の街は初めてだって言ってたもんな」



「フン!我も全知全能という訳ではないでのぅ・・・」





『知らない』ということを指摘されると、アモンが不機嫌そうにそっぽを向いた。

時折、難しすぎて分からんことを言うくせに・・・こういう所は、まるで子どものようだ。





「だったら、見に行かないか?僕も、この街を少しでも知りたいんだ」



「ほう?・・・・見聞を深めるのは良いことじゃ。前向きになってきたようじゃのう、和人よ」





アモンがニンマリと笑った。

悪そうな笑顔のつもりなんだろうけど・・・ 今の姿だと、只々可愛いだけだ。





100m先にある、人だかりの場所まで歩くと、

『野球のスタジアム』にでもいるのかと思えるほど、大きな歓声が湧いていた。





人だかりの正体は、 まさに『人で出来た壁』だった。

街の中心には巨大な城がある。その『城へと続く大通り』に沿って、群衆がズラーっと並んでいたのだ。





「うわぁ・・・すごっ。これじゃあ、何も見えないな?」



「クハハ。ニンゲンとは面白い行動をするのう。なんじゃ、これは?壁になって何かを防いでおるのか?」



「これは、たぶん・・・皆、あの大通りを通っている『何か』を見てるんだよ」





そんでもって、僕もその『何か』を見たいんだけど・・・

どこかにも隙間がない。





仕方ない・・・強引に行くか。





「すみませーん・・・通りま~す」





僕は『人の壁』を掻き分けるように、強引に割り入った。

当然、ぶつかった人たちからは非難の雨が降り注ぐ。





「おい!なんだよ!」「ちょっとぉ~押さないでよ!」

「割り込むんじゃねー!」「邪魔だぞ!おい!」







都会の通勤ラッシュで培った、この『迷惑な視線への耐性』と、『すり抜けスキル』!

・・・・なめるなよ!







「すみませーん。通してくださーい」







構わず直進し続け、避難の雨が集中する。





ボスッ!





「イって!?」





誰か、膝蹴り入れやがった・・・







暴力と暴言に耐え忍び、僕は何とか最前列に辿り着いた。









でも、何か忘れている気がする・・・





「・・・あ!?そうだ!アモンは!?」



「ここじゃ」





アモンは涼しげな顔で、僕の隣に立っていた。





「ほほう・・和人よ、見てみよ。あれがニンゲン達の注目しているものらしいぞえ?」





アモンが指差した先は・・・

まるで映画のワンシーンのような光景だった。





群衆の喝采を浴びる『甲冑に身を包んだ集団』の姿。

彼らは、『城へと続く大通りの道』を、堂々と行進している。





「良いぞーーー!我らが『王国騎士団』!」

「キャーーー!こっち向いてーーー!」





群衆たちが熱狂して叫ぶ。







「『王国騎士団』だって?・・・ってことは、彼らは騎士なのか」



「ふむ。騎士か・・剣や槍などの刃物を用いた、近接戦闘を行う兵種のことかの?・・・確か、一定の身分もあったと記憶しとるが」



「あ、ああ・・そうだね・・・・説明ありがとう」





アモンが速攻で説明文を挟んできた・・・お前は『ネット検索』 か!?





騎士の数は、かなり多い。

100人くらいは居るぞ。





「すごい光景だな・・・」



「クハハ。この程度では数が足りぬわい」



「いや、十分すごいだろ?」





壮大な城を背景に、悠々と大通りを闊歩する騎士たち。

鳴りやむことの無い、人々の歓声。

・・・まるで、おとぎ話の世界みたいだ。





騎士団の先頭には、一際目立った4人の騎士がいた。

4人とも馬に乗っている。





「わーー!クレイヴン!」

「きゃー!こっちむいてー!ワイス様!」

「レンドだ!おーいレンドー!」





彼ら4人に対しては、一際大きな喝采が送られている。

更に、その4人の中でも、一番人気な人物がいるようだ。





「マルク様ーー!」

「ああ、生のマルクを見れるなんて・・・」

「マルクー!!あなたは皆の希望よーー!」





『マルク』って人はすごい人気みたいだ・・・





この人気から考えて、この国では重要な存在に違いない。

・・・早速、 情報収集だ。





まずは、『4人の騎士』たちの特徴をしっかり覚えなきゃ。





それじゃあ、まとめてみよう。





『4人の騎士』の特徴は——————







●男性陣から声援が多い『クレイヴン』



ひと言で言えば、重装備に包まれた男。

甲冑も分厚く体もでかい。大剣を背中に背負っている。

フルフェイスの兜を被っていて顔までは見えない・・・見た目がすでに強そう。

・・・絶対強いでしょう?この人。







●女性からの声援が多い『ワイス様』



まあ、美形ですよね・・・・ケッ!!

金髪ロングの優男。まさに『白馬の王子様』って感じだ。

白馬に跨って、女性たちに笑顔で手を振っている。

腰に下げているのは細身の剣だ。レイピアってやつかな?







●子供たちから声援が多い『レンド』



見た目は、体育会系のお兄さんという感じだ。爽やかそう。

腰には長剣を下げているけど・・・・長さが半端じゃない。超ロングソード??

黒髪で短髪。子供に人気があるって、どういうことだろう。

戦い方がカッコいいとか?必殺技がカッコいいとか??







●そして、老若男女、あらゆる層の声援が多い『マルク』



彼の第一印象は・・・まさに『主人公』という言葉が似合う人だ。

髪は深い紺色で、目にかかるくらいのショートヘア。

顔を見て人柄が分かるってよく聞くけど、優しい人だって一発で分かる。

でも、優しいだけじゃなくて、芯があるというか・・・一言で言えば『主人公』だ。

腰に下げているのはロングソードや大剣ではない。標準サイズの、普通の剣に見える。





——————以上。





・・・こんな感じかな?





明らかに美形で人気があって、しかも、強そうな人たちだ。

自分と比べると、ため息が出てくるよ・・・





「 はぁ・・・・神様ってズルいなぁ。天は二物を与えちゃうんだね」



「フン!なんじゃ、あのようなヒヨッコどもを見るために集まっておるのか?酔狂なことじゃ」





群衆の声援に交じり、アモンが呆れた感じで彼らを貶した。

・・・正直、僕はヒヤッとした。





『ワールドカップの開催国チーム』を『ホーム』で批判するようなもんだぞ!?

周りに聞かれたら、まずい・・・





「お、おい!シーッ!」





自分の口に人差し指を当て、『お静かに!』のジェスチャー。

そんな必死な僕を、うざそうな目でアモンは見てくる。





「おい!もう、それ以上言うな!周りに聞かれたら、何されるか分からないぞ!?」



「何じゃ?何を恐れておる。未熟な人格者たちの、ただの『集団ヒステリー』じゃろうて」





おいおい・・・何てことを言うやつなんだ。





「いいから、止めてくれ・・・・まだ、この国の状況も分かってないんだ。

 変なこと言ったら不敬罪とかで、牢屋に入れられる可能性だってあるんだぞ?」



「牢屋じゃと?・・・ふむ。それは、ちと面倒じゃのう」





むすっとした顔で、アモンは黙り込んだ。

ま~た、文句が出るぞ~?





・・と思っていたけど、それ以降、アモンは喋ろうとしない。





「・・・アモン?どしたの?」



「どうしたじゃと?・・・主の言うたとおり、静かにしとるじゃろ」





え!?

何それ!?





まさか・・・

素直に従ってくれてるの!?





いや、何で・・・?

ありがたいけど。





「ありがとう?・・・・僕の言うこと聞いてくれたの、初めてだな」



「フン!」





アモンは、ぷいっとそっぽを向いてしまった。





「もういわ!我は先に出ておるぞ!ココはむさくるしくて好かん!」





一言吐き捨てると、アモンはスーッと人混みから出て行ってしまった。







それにしても・・・あいつが、僕の頼みを聞いてくれたなんて。

なんだか、ちょっぴり嬉しい!?





このまま、喜びを噛みしめたいところだけど・・・

今は、騎士たちの貴重な情報収集だ。





彼らが騎士団だということは分かった。

でも、『この行進パレード』は何の為にやってるんだ?





「・・・これって何の『パレード』なんだろう?」





ぼけっと見つめながら、口から無意識に言葉が飛び出てしまった。





・・・それは、迂闊な行動だった。





まずいことに、隣にいる『やんちゃそうな男の子』に、聞かれてしまったのだ。

彼は、僕に突っかかってきた。





「なんだってー!?あんちゃん、王国騎士団を知らないってのかよ!?おい、嘘だろ!?」



「うわぁ!?・・え!?ご、ごめん」





少年は、僕の寝間着姿を上から下まで観察している。





「ん~?・・・・あ~!あんちゃん、もしかして王国じゃないところの人?」





見慣れない服だからか、少年は、珍しそうに僕を見ている。

寝間着、血まみれだけど・・・怪しく思わないのか?





「う、うん・・・そうなんだ。今朝、王国に着いたばかりなんだよ」



「なんだー。そっか~。そんじゃあ、仕方ないね~」





少年は両手を頭の後ろに組んで、ぽかぁ~っと口を開けた。





仕方ないってか!?それでいいのか?・・・

でも、僕的にはすごい助るけど。





少年は、騎士団と僕を、せわしなくパッパッと交互に見ている。





・・・よし、折角の機会だ。

ちょっと、この子に質問してみるか。







それでは『異世界の情報収集』・・・行ってみよう!







まずは、『血まみれ』の寝間着についてだ。





寝間着は珍しそうに見られていた。

でも、血は特に怪訝には思われないみたいだった。





・・・誰にも気にされなかったのはなぜだ?





「なぁ、君。あのさ、この血・・・気にならないのかい?」



「血?ああ。そりゃ気になるよ。でも、モンスターと戦ってきたんでしょ?そんなの珍しくないよ」



「え!?そ、そっか・・・・でも、珍しくないって?」



「そりゃそうじゃん。ギルドの人や騎士団の人たちは、毎日モンスターと戦ってるぜ?返り血で汚れてる人、たくさんいるよ」





なるほど!

言われてみれば・・・だから、誰も驚かなかったのか。





この異世界では、モンスターと戦うのが日常になっている。

珍しくないってことなんだ・・・





でも・・・それって『常識の感覚』も、現代日本とは違うってことだよな?

この少年との会話でも、わずかに常識の『ズレ』を感じる。





これに関しては、ちょっと気を付けないとダメかも。

この世界の常識を知らないということは、僕が知らずに『常識違反』を犯す可能性があるってことだ。





今の僕の情報量では、長く人と話すのは危険そうだ・・

少年への質問は、あと1つだけにしておこう。









う~ん・・・









あと1つ・・・







・・・・・あ!?







そうだ!?

これにしよう!







次の質問は・・・この『パレード』についてだ!





「・・・・ねぇ、もしよかったら、このパレードのことを教えてくれないかな?」



「パレード!?・・・ああ!いいぜ!!」





『パレード』と聞いて、少年はニカっと笑い、表情が『ぱぁっ』と明るくなった。

歯の生え変わりで、左前歯が一本抜けている。とても元気な笑顔だ。





「あはは。ありがとう・・・これって、何の為のパレードなのかな?」



「これはさ!『さいようしけん』っていうのに・・・『しんさいん』?に来た騎士団を皆で迎えてるんだよ」





採用試験・・・?

そういえば串屋のおやじさんも言ってたな。





騎士団の入団テストってこと?

そんでもって、彼らが審査員??





「先頭に4人の騎士が居ただろう?彼らが騎士団の団長さ!『四騎士長』って呼ばれてるんだぜ!?」



「へ~。『四騎士長』か・・・かっこいい名前だね」



「だろう!?スゲーかっこいいんだぜー!中々見れないんだぜ?あの4人がそろってるとこ!」





少年は、残念そうに口に指を2本加え、四騎士長を眺めた。





「4人揃うのを中々見れないって・・・どうして?」



「あぁ~・・・えっとぉ・・たしか、『おうこくぼうえいの任務』についてるからって、皆が言ってた」





少年は難しい単語を喋るとき、目を上に向けて話す。

頑張って説明してくれてるんだな・・・





ありがとう、少年!

これは、貴重な情報だ!





『王国防衛の任務』に就く、『四騎士長』。

つまり彼らは軍事部門の長ってことか?





『4人が揃うことは中々無い』ってことは・・・分散して各地を防衛しているのかもしれない。

それぞれが、各地担当の防衛リーダーとかかな?





「・・・それじゃあ、4人集まった所を見れるのは、珍しいし、嬉しいよね?」



「うん!『四騎士長』があつまって、王様と一緒に『さいようしけん』を見るんだ。すげーたのしみ!」



「そっか。彼らはすごい騎士たちなんだな」



「うん!オレの憧れだよ!」





少年は目を輝かせて、目前を通る騎士団を眺める。





この子の反応から見て分かる。

騎士団の存在は、この国にとって英雄みたいなものなのかも。

騎士団については、もっと調べた方が良さそうだ。





でも、そろそろ、会話はこの辺にしておこう。

思わず、また『ボロ』が出ちゃいそうだ。





「おっと、ごめん!・・・・用事を思い出したよ。もう行かなきゃ」



「ええ~!?これから副長達が来るのに~!?・・・見て行かないのかよぉー?」



「ああ。ごめんね。ちょっと大切な用事なんだ」



「そっかぁ・・・また会えるかな?」



「勿論さ!僕も、しばらくこの街にいるからね。広場の串焼きを良く食べに行くから、そこで会えるよ」



「広場の串焼き?・・・・あ~!分かった!あのおっちゃんの串焼き屋か!あの店のは旨いよな!?」



「ああ。この世で一番の串焼き!絶品だよな」



「あはは!じゃあ、おれ会いに行くよー!ちょいちょい様子見に行くからなー!」



「うん。色々教えてくれてありがとう。今度、お礼に串焼きを奢ってあげるからな」



「ホントに!?やったぜ!ぜったいだぞー!?」



「ああ。約束だ!」





少年の頭を撫でると、彼は元気いっぱいの笑顔で笑ってくれた。





「それじゃあ、またね」



「うん!そんじゃあ、またなー!」





少年に手を振り、僕はパレードを後にした。



あの人混みから抜け出すのも、かなりな苦労だった。

ギュウギュウに詰まった人口密度・・・通勤ラッシュの満員電車を思い出す。





人混みから出ると、アモンが僕を待っていた。





「はぁ~・・・現実でも異世界でも、人混みってのは、疲れるもんだなー」



「全く・・ニンゲンとは、群れるのが好きな生物よのう」





アモンは呆れ顔で、鼻息を一つ『フンっ』と吹いた。





「とにかく・・・あの子が貴重な情報を教えてくれて良かった」



「ほ?・・情報じゃと?我にも教えるのじゃ」



「ああ。本当に少しの情報だけどね・・・・」



「よい。早う聞かせよ」



「とりあえず、ここは『王国』だ。つまり、『国王』が統治する国。他には『四人の騎士長』が民衆に人気があるらしい」



「なんじゃぁ~?随分と少ない情報じゃのう・・・他には無いのか?」





アモンはガックリと肩を落とした。しかも、ものすごく残念そうな顔で!

おまけに、このひどい言われようは何だ・・・これでも苦労して聞き出したのに。





「あっそ!他の情報ね!?」



「うむ。無いのかえ?」



「他は・・・そうだな。民衆の反応から見て、信頼は厚いみたいだ。つまり良政を行ってるんじゃないかな?」



「ほう!?政治のことまで考えとったのか!?和人よ!さすが我の契約者じゃ!」





それ・・・褒めてないでしょ?

僕が、『馬鹿である前提』で考えてるから、驚いてるんでしょ?





「ああそうかい!褒めてくれてありがとな!?」



「うぬ?・・何を怒っとるのじゃ?」



「怒ってない!」



「怒っておるではないか?」



「はぁ~っ・・・・もういいよ・・・」





この不毛なやり取りにも、さすがに疲れる・・・これくらいにしておこう。





「あ、そう言えば。もう一つ情報があったんだ」



「む?・・・もう一つじゃと?」



「ああ。なんでも、近いうちに『採用試験』っていう、催しがあるらしい」



「『採用試験』じゃと?なんじゃそれは?」



「そこまでは、わからない・・・・今ある情報は、それだけだよ」  





肝心の『採用試験』の内容は謎のまま・・・

それに、僕はもっと大きな問題に気づいてしまった。





少年は、『四騎士長』は『王国防衛の任務』に就いていると言ってた。





それって・・・・





つまり『他にも国がある』っていうことだよな?

そして、『防衛している』ということは、『戦争している』可能性が高い。





この異世界には、この『王国』の他に、どれだけの国があるんだ?

この王国についてもそうだけど、この世界についての情報が足りなすぎる。





やっぱり・・・情報収集は生命線だ。

常にアンテナを張ってないと危険な気がする。





「フハハ。良い兆候じゃのう」





俯いて考え込んでいた僕を、アモンが下から見上げるように覗き込んできた。





「ぶはぁぁぁ!!?」





僕の鼻から赤い液体が噴射してしまった・・・・





そのポーズは・・・必殺『上目遣い』じゃないかぁあああーー!!?

しかも、 顔が近すぎる・・・僕の顔から20センチ先には『潤った美少女の唇』が・・・



こ、こいつ天然か!?それとも、狙ってやってんのか!?





「鼻から出血しとるぞ?何が起こっとるのじゃ?」



「い・・いや。これはたまに起きる発作みたいなもんだ。気にするな」



「発作?・・・はて、そんな発作があったかのう??」



「大丈夫だから・・・気にするな」





アモンは不思議そうに、鼻を抑える僕を眺めている。





「しかし、自分の現状況を分析しようとするとはのぅ・・・実に良い兆候じゃぞ?和人よ」





天使のようなスマイルで、ニッコリ微笑む。

アモンは、何だか上機嫌だ。





「・・・お、おい。アモン?」



「フンフンフ~ン♫・・・我の固有名~♪」





急に何をしだすのかと思えば・・・

アモンは、「我の固有名は良い名前じゃ~♪」などと歌いながら、小躍りしている。





あんまりにも唐突な行動だから、アモンがイカレちゃったのかと思ったけど・・・

・・・固有名に興味を持ったんだろうか?





こいつの考えることは、さっぱり分からない・・・

でも、その『自由なマイペースさ』が羨ましいよ。







アモンの小躍りは、少しだけ人目を引いた。



「おい。あの娘、可愛いくね?・・・」

「うお、たまんねー。すげー美少女じゃん」

「あんなに小柄なのに、胸でけー・・・なんで、あんなサエネーヤツと・・」



横を通り過ぎていく男たちが、皆、振り返ってアモンを見る。







やっぱり、アモンはかなりの美少女らしい。

そして、僕は『冴えない男』に見えるらしい・・・分かってたけど。





でも、この悪口を聞いて・・・

僕は、ふと、『気に掛かったこと』を思い出した。





『悪口が分かる』ということ。これが重要なんだ。





串屋のおやじさんと、さっきの少年。

この二人と話をしていたときも、ずっと引っかかっていた。







それは・・・







『彼らと話すことが出来た』ということ。

・・・しかも、文字も読める。





看板に書かれている文字は、英語でも日本語でもない。

でも、何故か読める・・・一体、なぜだ?





「なぁ、アモン・・・ちょっと聞きたいんだけど」



「ん?なんじゃ?」



「今更なんだけどさ・・・なんで、僕は、この世界の文字が読めて、言葉が分かるんだ?」



「そんなものは簡単じゃ。我と契約した際、主にこの世界の言語が組み込まれただけじゃ」



「え?そうなの?・・・でもサイクロプスに追われた時、逃げてきた人たちの話しも理解できたぞ?」



「その時は、すでに仮契約しておったと説明したじゃろうが」



「あっはっは・・・なるほどね・・・」





納得出来たような、出来ないような・・・





もう、その辺の細かい部分は深く考えすぎないようにしよう。

どうせ、ファンタジー世界なんだ。





僕の常識だけで考えても、無理がある。

どうせ、そのうち魔法とかも出てくるだろうし・・・





「説明ありがとう、分かったよ」





確かに謎の追求、情報の収集は重要だ。

でも・・・・それよりも、今はもっと切迫した問題がある!







・・・話題を戻そう。







最初の話題は・・・・そう!

『今日の宿代』と『ご飯代』を稼ぐこと!







日が暮れる前に、何とか稼がないと・・・・

このままだと、ホームレスになってしまう!?

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