■第11話 『クエストに参加しよう』
■第11話 『クエストに参加しよう』
ああ・・・・切ない。
この年齢で、ホームレスを経験することになるのか?
日が暮れる前に宿代を稼がないと・・・本当にヤバイぞ。
「あのさ?今、取るべき行動を考えてみたんだけど・・・当面の宿代を稼ぐ必要があると思うんだ」
「稼ぐじゃと?さっき言っていた『モンスター狩り』のことかえ?」
「ああ。だから、街の近くでゴブリンを数匹倒そうと思ったんだけどさ・・・本当に、勝てるのかな?」
「ふん。今更、何を言っとるか。『大丈夫』じゃ・・・主はすでに、次元が違う力を得ておるのじゃぞ?」
「そ、そっか・・・大丈夫だよな・・・」
確かに、僕は強くなっている。
覚えていないけどサイクロプスを倒したらしいし、ゴブリンだってやっつけたんだ。
でも・・・・
それでも怖い。
『モンスターと戦う』こと。それは本当に命懸けだ。
あの緊張を体験したからこそ、分かる。
『命を懸けた戦い』というのは、とても恐ろしい・・・
だって・・・負けたら死ぬんだよ?
『負けたら死ぬ』
『コンティニュー』なんて無い。『セーブ』も無い。
これはゲームじゃないんだ・・・
例え、『自分より弱い相手』と戦うとしても・・・僕は本当に恐ろしい。
でも、アモンが言ってくれた『大丈夫』という『言葉』。
・・・まるで、魔法のような言葉だ。 少しだけ心が落ち着く。
その『言葉』を言ってくれたのが『アモン』ってのが、微妙だけど・・・
不安をかき消す魔法の『言葉』。勇気を与えてくれる『言葉』。
「僕は・・・『大丈夫』。勝てる・・・『大丈夫』だ」
「ん?何を言っとるんじゃ?」
「え?・・・ああ・・・何でもないよ」
この不安を無くすことは出来ない。
でも、自分を信じることは出来る。
この異世界は『平和な日本』とは違うんだ・・・・
『自分を救える』のは、『自分』しか居ないんだ。
だからこそ・・・しっかりしなくちゃ!
「よぉぉしっ!!!」
パアァァァン!
新聞紙で作った『紙鉄砲』を、力いっぱい振ったかのような弾ける音が響く。
僕は両手で思い切り頬を叩いた。
「わひっ!?・・な、なんじゃあ?急に・・・」
流石のアモンも、僕の突拍子な行動にびっくりしたらしい。
でも、これで気合は十分入った!
「よし!それじゃあ・・・早速、ゴブリンを倒しに行こう!」
「うむ。行って来るがよい」
・・・・・ん?
今、この娘、何て言った?
「和人よ、期待して待っとるぞえ」
・・・・え!?
何言ってるの!?この娘!?
まさか・・・
まさか、僕一人で行けと!?
「えええええ!?ちょ、何言ってんの!?僕、一人で行くの!?」
さっき、思いっきり気合入れた所けどさ・・・・
いきなり、『ソロ』で行くの!?
「当然じゃろう。ゴブリン如きを狩るために、我が動くなどあり得ぬ」
「え~~!?ちょっと~、アモンさ~ん・・・・そこを何とか・・・」
「怖気づくでないわ!さっさと行けい!」
「マジですか・・・?」
「クハハ!これは、ちょうど良い機会ではないか?早く自分の力で戦うことに慣れるのじゃ。
ほれ、急がねば夜になってしまうぞえ?夜は、もっと強力なモンスターが出てくるからのう」
「ええええ!?それは嫌だ・・・だったら、早く一緒に・・・」
「嫌じゃ。一人で行け・・・まさか、和人よ。自分で言った台詞を忘れたわけではあるまいのう・・・?」
首を横に傾げ、アモンは訝し気に僕を見てくる。
「自分で言った台詞?・・・なんのことだよ?」
「むぅ~!?・・・何を言うとるか!!」
頬を『ぷぅ』と膨らませ、アモンはご立腹の様子だ。
「イテッ!イテッ!いてえ!?」
腕をグルグルと回して、僕の頭をゲンコツでポカポカと叩いてくる。
昔の漫画の表現みたいだ・・・・でも、いてぇ。
「このっ!このぉ!・・・ふざけるでない!!『心の成長』が重要じゃと、自分で言っておったじゃろうが!?」
あ・・・そう言えばそうだった・・・
・・・自分で確かに言ってました。
そういう内容で『契約』しましたもんね?
「あ・・うん。そうだね?・・・・言ってたね?僕・・・」
「そうじゃ。言っておったぞ!?・・・ふん。まあ良いわ。主は馬鹿じゃからのう。忘れてもおかしくはないわ」
「馬鹿・・・はい。そうですね・・・」
「そうじゃ!・・・考えてもみよ?これこそ、『心の成長の修練』とは思わぬかえ?」
「あ・・・『心の成長』か・・・そうかもな・・」
「キヒヒ!己で『恐れ』を制するのじゃ !『心を成長』させてみせよ!」
「あ・・・はい・・・そうですね・・・」
アモン・・・・
お前、僕を追い詰めるの上手いね・・・?
「そう案ずるでない。今の主ならば、この『社会に溶け込むこと』より、『ゴブリンを倒すこと』の方が簡単じゃろうて」
「簡単って・・・勝手なことばっか言いやがって。僕が死んだら、お前も『消滅』するんだろ?」
「何を言おうが、我は行かぬぞ。ほれ、明るい内に行った方が安全じゃぞ~?」
こいつは『手伝う気がゼロ』だ!
・・・こうなったら、明るい内に、さっさと行った方がマシかも。
夜になってからの『強いモンスター狩り』なんて、そんなのゴメンだ!
『恐れを制する』どころか、死んじゃったら元も子もないからな・・・
「クッ!・・・分かったよ!一人で行くよ!」
「クハハ。良い心構えじゃ」
「でも・・・・行くのは良いけどさ。どこに行けばゴブリンが居るんだよ?歩いてるだけで出会うのか?
それに、僕は武器も何も持ってないぞ・・・本当に大丈夫か?」
「ふむ、そうじゃのう・・・ゴブリン程度なら徒手で十分じゃろう。
問題は場所かのぅ・・・適当に出歩いても遭遇するじゃろうが、それでは、ちと効率が悪いかのう・・・」
アモンは自分の顎に手を添え、目を閉じた。
そのまま『う~む』と考え込み数秒後。
彼女は目をぱっと開き、『なるほど』のときにやってしまう仕草で、手をポンと叩いた。
「おお、これじゃ!思い出したぞ」
「思い出した??」
「うむ。我は服を購入した後、主の居る広場に向かったのじゃ。その道中で何やら人だかりがあってな」
「うん」
「そやつらが、ゴブリン狩りの参加者を募っておったのじゃ。『ゴブリン討伐クエスト』とか言っておったのぅ」
「『クエスト』?・・・・・ああ!?そっか!それだよ!?」
クエストか!!やっぱり、あるんだ!?
クエストをこなすと、報酬が貰えたり、名声が上がったりするんだ!
・・・『ゲーム』では、だけど。
「よーし!そのクエストに参加させてもらおう!・・・一人より安心だし・・・」
「まあ、ゴブリン如きを狩るのに徒党を組む必要もないと思うがのう。『あの者たち』を見れば頷けるわい」
「『あの者たち』?・・・それって、そのクエストに参加する人たちのこと?・・・見れば頷けるってどういうことだ?」
「クハハ。『ヒヨッコ』どころか、『卵』のような者どもじゃったわい。確かに、あの程度ではゴブリン相手が限界じゃろうて」
アモンは余裕に満ち溢れた辛辣な評価をしている・・・・
でも、こいつの基準を当てにしてはいけない。
さっきの騎士団ですらヒヨッコ呼ばわりしていたんだ。
『王国の英雄たち』が『ヒヨッコ』なら、『卵』ってのはどうなる?
きっと、強そうな剣士とか、戦士みたいな人たちに決まってる。
「ふ~ん・・・『卵』に『ヒヨッコ』ねぇ。それなら僕はどうなるんだか」
「主は、あやつらなどとは次元が違うわい。案ずるな」
アモンが手を振りながら、愛想笑いを僕に送る。
「では、我はここで待っておるでのう。気軽に行ってくるが良い」
僕だけ働かせて、自分は気楽に待ってるってか・・・
「僕はお前の宿代まで稼がないとダメなのかよ?」
「その通りじゃ。我は、『非力なニンゲンのメス』じゃからのう。和人が、非力な我を救ってくれるのを待っておるぞえ?・・キヒヒ!」
・・・くっ!
見た目は美少女でも、やっぱ性格が腹立つわ・・・
「その『ゴブリン討伐』の人たちは、どこに居たんだ?」
「あの『卵集団』ならば、広場の北側にある通路におったぞ。そこに向かうが良い」
「広場の北側通路か・・・よし、分かったよ。じゃあ行って来る」
広場の方角は、僕の後ろ側だ。くるりと回って、方向転換。
目的地へ向かおうと、足を一歩踏み出した所で・・・背中越しにアモンが呼び止めてきた。
「待つのじゃ。和人」
「なんだよ?・・・まだ注文があるのか?」
「いいや、『注文』ではない・・・『忠告』じゃ」
「忠告?」
「うむ・・・和人よ、人前では決して『紋章』を使うでないぞ」
「え?なんで?・・・ピンチになったら使うだろう?」
「駄目じゃ。絶対に人前では使うな・・・良いか?絶対じゃぞ。無駄に命を消耗するな」
あのアモンが、珍しく真剣な表情をしている。
なんで『紋章』を使ったらダメなんだ?
僕が命を削ると、自分も消滅に近づくからか?
・・・いや。
何か、違う理由の気がする。
『人前で使うな』って言葉が気になる・・・
何のことかは分からないけど、こいつが真剣になる『何か』がある。
「あ、ああ・・・分かったよ?・・・じゃあ、行ってくる」
こいつは、僕にとって『マイナス』になるようなことは言わない奴だ。
『何の理由か』は分からないけど・・・ 『紋章』は使わないようにしよう。
それに、今の僕は『紋章』を使わなくても、すごい身体能力になっている。
確かに、今の身体なら普通に勝てると思う。
不安材料を挙げたらキリが無いんだ・・・あとは、自分を信じよう!
とりあえず、『クエストパーティー』に参加だ!
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□
僕は、『加減気味』に走り、広場へと向かっている。
『加減気味』な理由・・・それは、『人にぶつかったら危ない』から。
こんな街中を全速力で走ったら、『交通事故』を起こしてしまう。
『軽く漕ぐ自転車くらいの速度』で走るのが丁度いい。
自分で例えておいて何だけど。それって、どれくらいの速度だろう?
『軽く漕いだチャリ』か・・・・『時速8キロ』くらいかな?
そんな無意味なことを考えながら走っていたけど、いつに間にやら広場に到着していた。
「相変わらず、すごい活気だなぁ・・・」
賑わう広場の中で、『ポツリ』と一人で立つ僕。
活気に溢れる光景を眺めながら、アモンの言葉を思い出してみる。
「あいつが言ってた場所って・・・確か、広場の北側の通路だったな」
目の前に展開される、広場の混雑した人の流れに入り込み、僕は北側へと向かう。
混雑と言っても、『人とぶつかったりする』ほど雑多なものではない。
『どちらか片側に寄って歩く流れ』が出来ているのだ。この辺は日本と似ている。
流れに従って、広場の北側へと到着。
周りを見渡しても、通路は一本しかなかったため、すぐに『これ』だと分かった。
「あそこか・・」
早速、通路に入ってみたが、広場中央の人混みと比べて、歩いている人は少ない。
騎士団が歩いていたメイン通りと比べると、道幅も随分と狭く感じる。
道幅は・・・・『自動車2台分』くらいの幅かな?
「ええっと、人だかりはどこに・・・あ、あの人たちかな?」
多分、彼らだ。
『いかつい男たちの集団』が、狭い通路の真ん中に陣取っている。
人数は8人。彼らは円陣を組んでいた。
円陣の中心には、人が2人立っていて、1人は旗を持っている。
『旗を持った人』が空に向かって旗を掲げ、気合の入った声で、男たちに号令を発していた。
「よぉーしっ!!そんじゃあ、てめぇら!出発するぞー!!」
「おおおぉぉーーーー!!!」
周りの男たちも、空に向かって拳を掲げ、一斉に雄たけびを上げる。
旗を持った人を先頭に、彼らはゾロゾロと移動を始めた。
「あれ?・・・もしかして、もう出発しちゃうってこと?」
それは・・・まずい!?
置いて行かれちゃう!?
「え!?もう、パーティー締め切っちゃったの!?・・・や、やばい!待ってくださーーーい!」
・・・お願いだから、待ってください。
https://twitter.com/nrny9wZXq85mJ1M
こちらでツイッターをやってます
新しいアップデートや修正の予定など、こちらでご報告させて頂きます
もし続きが読みたい!など、気に入って頂けましたら・・
ブックマーク登録や、リツイートなど、よろしくお願いします。
僕に心の栄養を下さい・・・




