閑話 劇物の作り方①
投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
「ミデン、氷大狼、あの竜には近付くなよ。」
強大な竜を目視で確認したオレは、ミデン逹に注意を促す。
「畏まりました。」
「ワァフ!」
勢いよく大きな返事で返してくれるので、信用できるな。それにしても、この園は一体どうなっているんだ?難易度がいくらなんでも高すぎる。
これじゃあ、草原に辿り着けさせる気が無いように思えるぞ。
とりあえず、この竜を迂回していくことにする。
それから話し合った結果、一定の距離を保ちつつ、数キロ離れたところから行くこととなった。
そして、竜から離れながら草原に向かっていた途中、ある草に目をつけた。
その草は、全体が毒々しい紫色で、青い斑点模様のある草だ。いかにも毒草と言えるだろう。
それが、この近くに沢山自生している。恐らく群生地なのだろう。だが、その効能がヤバかった。
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死誘毒草
レア度 ☆5
解説:ほとんどのモンスターが即死する程までに強力な毒草。恐怖の象徴として知られる竜も、1時間もすれば死に至る。
効果:超猛毒(HP持続ダメージ)
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これと同じものが周囲に自生していたのだ。
他にもこれと同じレベルの効能の麻痺草や睡眠草、状態異常に掛かる草が大量に自生していたのだ。
これは喜ぶべき事だろう。オレの職業は<錬金術師>、回復系の魔法薬を作る事に重点を置かれがちだが、実は毒薬も作る事が出来る。
これだけの効能ならば、この辺りのモンスターにも効くだろう。早速ミデンたちと一緒に回収を進める。素手で触っても問題の無いことは確認済みだ。
根元から慎重にちぎり、根を残すように心がける。こうする事によって、成長すれまた採取出来るようになるのだ。
そういって周囲の草を刈っていくなか、ある実を見つけた。膝ほどまである植物に、細長く尖った、特徴的な形をした赤い身がなっていたのだ。
メニューで、効能を確認してみる。
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超唐辛子
レア度5
解説:通常の唐辛子より数十倍辛い唐辛子。周囲の魔力が高い場合のみ取れるため、まず見ることが出来ない。これを調味料として料理に使うには、相当な覚悟が必要。
効果:激痛
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これは、調味料として使えないって、最早唐辛子としての意味はあるのだろうか?
う~ん、これは採取しても意味は無さそうかな?そう思った所で、オレはある事を思い出した。
たしか防犯用具等に使われている催涙スプレーって、唐辛子の辛味成分を凝縮させたような液体を霧状に噴出させるモノだった筈だ。これって、これだけ強力なら魔物相手にも効果があるんじゃないか?
実験するだけならただなので、《錬金術》や《調合》といったスキルを使って出来るか後で試してみたいと思う。
そう思った後の行動は早かった。超唐辛子も採取をしていき、この辺りに沢山あった筈の草は、土が見えるまでむしり取られていった。驚くことに、回復系の草がなかった事が以外だった。
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《採取》スキルを獲得。
《採取》スキルのレベルが4に上がりました。
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ある程度採取したので、MAPを見ながら川を目指して進んでいく。何故、川を目指すかと言うと、錬金術や調合を試す為に、開けた落ち着ける場所に行きたいのだ。
モンスターに見つかる可能性もあるかもしれないが、MAPを注視すれば問題は無いだろう。
そう考えている内に、川に到着した。
「ミデン、氷大狼、暫くの間周囲の警戒をしてくれ。」
「畏まりました。」
「ワアゥ!」
ちゃんと二人とも返事をしてくれた。MAPがあるにしても、過信する事は良くない。人の目でもちゃんと見ておくべきだろう。
二人はオレの近くで、絶え間無く周囲を警戒してくれている。これなら安心して生産に励む事が出来るな。
オレは、黄色く濁った川を見て、この園に安全な場所は無いことをしみじみと感じながら、ストレージから『究極生産所』を取り出した。
すると、強い光が辺りを包んだ。その目映い光に、目を開ける事が出来ず、瞼を閉じてしまう。
だが、暫くするとその光も収まり、目を開ける事が出来た。
するとそこには、先程までなかった筈の建物が造られていた。清潔感のある白い壁に、金属製と思われる黒い扉がついている。
「なるほど、これが究極生産所か。」
だが、その建物は、生産所と言うにはあまりにも小さい。大人一人がようやっと入れるような、小さな長方体だ。
とりあえず、取っ手に手を掛け、扉を引いて開ける。
そしてオレは、その中の光景に目を疑った。
扉を開けた先に広がっていたのは、地球にいた頃ですらなかったような、近未来の設備だった。
外見からでは、考えられないほどの広い部屋に、高い天井からは白い照明が。壁と床は黒く、至る所に配管が広がっていた。
そしてその配管逹は、奥の壁につけられている機械と思われるモノに繋がっていた。
『パーソナルコンピューター』。その言葉がしっかりと来るだろう。小さめの机の上には、薄く大きい液晶画面に、ステータスのように半透明に浮いたキーボード。机の隣には山積みにされたハードディスクと思われる黒い箱が、機械音を鳴らし、小さく点滅している。
置かれている机の前には、何時間座っても苦にならないような、柔らかそうな椅子が置かれている。
オレはその机に歩み寄り、椅子に座ってパソコンの画面を確認した。
そこに書かれていた内容とは……。
「なるほど、そういう事か。」
画面には、この生産所のステータスが表示されていた。鍛冶、調合、錬金術、は果てには工業、プログラム………etc。
勿論レベルは全て1だが、選択するだけで設備を出現させる事が出来るそうだ。それに、経験値を消費させて新しく空間を造り出す事も出来るらしい。
ファンタジーって不思議!
まあ、それは置いといて、レベルを上げるための経験値を集める方法だが、価値の高いアイテムを供物として、捧げるだけでいいそうだ。
レベル上げにこの園は、ぴったりという事になる。だが、そう直ぐに急ぐ事の程でもない。
一先ずは使えるレベルまで上げて、今回はそれで良いだろう。
価値的に一番高めであろう超唐辛子を一つ供物として捧げ、経験値を獲得した。ちなみに供物として捧げる方法は、パソコンはストレージとリンクしていたので、そこから経験値に変換するフォルダに移せば良いだけだ。この時、コピー等はする事が出来ない。
変換した経験値は3,000程で、一つレベルを上げるのに必要なのは100だ。そこからは200、400といった風に倍になっていくらしい。
まず錬金術と調合をどちらも3まで上げて、経験値を1400消費した。
部屋も新しく1,000消費して、5m四方の空間を造り出す。空間も詳しくk設定できるようだったが、追加費用が掛かる上に面倒くさい仕様なので、一番シンプルな白いだけの空間で止めておいた。後で余裕ができたらやろうと思う。
何はともあれ、準備は整った。さて、実験と行こうか!
リアルが結構忙しい結果となってしまい、余りゴールデンウィークの休みがありませんでした。そして、今度はテスト期間ですので、投稿が遅れます。
失踪するつもりはないので、待ってください。