第9話 話し合い
投稿遅れてごめんなさい。学校が辛かったんです。土曜日なのに学校があったんです。
「……マ…ス…ター!マ…スター!マスター!」
何処かでミデンがオレを呼んでいる。起こそうと必死のようだ。でも眠いな、瞼が重い。あと少し寝ていたい。
オレは、重い瞼に負け、あと少し微睡む事にした。その間にも、身体は揺さぶられ続ける。
鬱陶しい事この上ないが、何やら急いでいるようだ。これ以上引き伸ばすと面倒な事にになるだろう。仕方なく、オレは起きようとした。
意識が徐々に覚醒していくなかで、頭が回り始める。その最中、記憶が次第に鮮明になっていった。そして、竜に腕を切られた記憶すらも。
オレは慌てて飛び起きる。急に身体を起こしたせいか、貧血のような目眩がする。だが、それに構っている余裕はない。左の肩口に手を当てると、感触がある。左手を開閉するが、ちゃんと機能しているようだ。
「マスター!?起きたんですか!?動くのは無理ですよ!ゆっくり休んで下さい!」
ミデンが話しかけてきているが、全く耳に入ってこない。何故、腕が再生しているのか、意味が分からない。情報が不足し過ぎている。
「ミデン。オレが意識を失ってから、何が起きた?」
「それはっ………!」
「それは我が説明した方が、良いであろう。」
ミデンの肩に手を起き、話を妨げてきた者は、見知らぬ黒髪の美女だった。
「お前……誰だ?」
オレは腰の杖に触れ、警戒しながら尋ねた。
「初めまして、と言った方が良いのか?我が名はヴォルティカス。友との悠久の地を守る守護者である。」
ヴォルティカス。それはあの竜の名前だ。それがこの人間だとでも言うのか。
俄に信じがたいが、ステータスを鑑定してもあの竜と全く同じだった。どうやら、《人化》スキルを使って人間に変化しているようだ。
「分かったようじゃな。さて、人間よ。質問があれば受け付けよう。」
「………納得しきれていないが、状況は理解した。先ずはお前の事が知りたい。」
この場で一番の危険人物を、何も知らずに野放しにする事は、自殺行為だ。それに、悠久の地の守護者という単語も気になる。
「良かろう。だが、その前に自己紹介をしようではないか。我はもう名乗ったぞ。」
美女(竜)は満足そうに頷くも、一言付け足した。
「そうだな。オレはフロー・ミステル。此方が従者のミデンと従魔の氷大狼だ。して、オレたちに何か用があるのか?」
目線をミデン逹に逸らしながら紹介する。此方は未だ緊張感が抜けていない様子で、ミデンは剣の柄に手を置き、氷大狼は唸り声を上げている。
オレも、杖に片手を当てて、直ぐに魔術が発動できるようにしておく。
「構わないとも。誰でも殺されそうになった相手には警戒するものじゃ。それよりも我の事じゃったな。さて、何処から話したものか。」
ヴォルティカスは、草原に尻をつけ、軽く座ると懐かしい記憶をゆっくりと思い出すように少しずつ語り始める。
此処、『反逆者の楽園』は元々、ヴォルティカスの親友の支配地だったという。この周りを囲っている『絶望の園』も、不埒な輩が入ってこないための、防衛策だった。
その親友はエルフ族で、人族より長い時間を一緒に過ごす事が出来が、それでも500年程で寿命は残り僅かとなり、不老不死を研究をするために、この地をヴォルティカスに守護者として任せ、旅に出たという。
それから5000年、その親友は未だ帰ってこないが、帰ることを信じて今も尚、この地の守護者を請け負っていた。
その際、[選定者]は出来れば歓迎してあげて欲しいと言われたそうだ。そして、オレはその[選定者]だったのだが、気付かず殺しかけてしまい、慌てていたところをいつの間にか回復していたようだ。
ヴォルティカスは、これ以上戦う気もないし、予定通り歓迎するという。
「ーーーとまあ、こういう訳じゃ。」
ボケているのか素なのか、よく分からないが本当にこれ以上オレと戦うつもりは無いようだ。それに、いつの間にか与えた毒も解毒されているようだし、何か対応をしたのだろうか?本当に規格外なモンスターだ。
それにしても、よくこんな気性の荒いモンスターと親友になることが出来たな。その親友とやらは、常人では無いのだろう。恐らく、帰ってきてない事を見ても、その親友は何処かで亡くなっているだろうが。
「そうだったのか。それにしても、この腕の事はちゃんと説明してくれるんだろうな?」
オレは、ヴォルティカスを睨み付けながら問う。ヴォルティカスも、それくらいは予想していたようで、余裕のある答えが帰って来た。
「それは追々じゃな。その前にお主には、頼みたい事があるのだ。」
「腕を切り落としたした相手に、直ぐに頼み事とは良い度胸だな。」
額に軽く青筋が浮かぶのが分かる。流石に此処まで来ると、イラッと来るな。だが、喧嘩腰に言っても怯えるどころか、微笑んで此方を見てくる。これは何を言っても無駄だろう。
諦めて、頼み事を聞くことにした。
「で、何だ?頼み事って?」
ヴォルティカスは、満面の笑みで頷くと、話をまた始めた。
「我の親友、エレナ=リジュリーを探して欲しいのだ。」
別に人里にいく予定だったので、探しても良いのだが、それでハイそうですかと言える筈がない。5000年前の人物を探すには、それ相応の労力が必要だし、オレも腕を切られた事を無しにしても、ただで探す訳には行かない。その分の報酬が欲しい。その事をヴォルティカスに聞く。
「人里にいく予定だったから、探すのは良いが、その報酬は?」
「無論払う。といっても、我に払えるモノは限られておるがな。」
「ならば、それはなんだ?」
これを聞かなければ始まらない。個人的な興味で探しても良いのだが、腕を切ったお礼として少しは貰わないとな。
ヴォルティカスは覚悟を決めた様子で、答えを言った。
「我の知る限りの知識と情報じゃ。」
なるほど、オレたちは実際この世界に来たばかりなので何の情報も知識もない。それが何万年も生きているような長寿のモノに聞けるというのは、膨大な知識が得られるだろう。受けても良いかもしれない。
「分かった良いだろう。交渉成立だ。」
オレも真剣な表情になり、一つ間を置いて答えをもう一度答える。
「オレはヴォルティカスの親友、エレナ=リジュリーを探し出すことを自分の全てに掛けて誓おう。」
それが死んでいても、な。オレはエレナ=リジュリーの名前を脳内に刻み込む。一度受けた依頼だ。報酬に釣られたとはいえ、最後までやってやろうじゃないか。
この土日に多く書けたらいいと思います。




