セーブ 8 音声さんは、自重知らず
遅くなりまして申し訳ありません。良かったら、評価、感想をお待ちしております。
「や・・・雇ってくれとは?あ、もしかして、助けたことに恩義を感じてのことなら
気にしないで欲しいな?俺は、助けたかったからそうしただけだし・・・」
元の世界では、キモオタだったせいか、どうしても女性となると構えてしまうんだよね。女性にはひどい目に何度も遭ってきたし・・・いかん・・・思い出して涙がでそうだ・・・。
「違う!それもあるけど、あなたは人族なのに私を助けてくれた。それは、私の姿を見ても変わらない。あなたは、これからこの世界の全ての種族の者が成し得なかったことを成し遂げる・・・そんな気がする。それを一番近くで見たい・・・それが理由。」
んん?一番近くってのを妙に強調してるけどどういう意味だ?ミルフィさんなんか警戒して猫みたいにフシャー!なんて威嚇してるけど・・・?
言ったアイラも、顔が真っ赤っかだし不思議だ?
けど、意思はすごく硬そうだし。頼りになりそうだし・・・ね。
「そういうことなら、よろしくお願いします。ただ俺は、一般人だから期待にそえないかもだけど・・・俺の名前は、トキムネ・セノウ。そして、こちらの女の子が、ミルフィ・ローゼッタ。俺の仲間だよ。」
「ミルフィ・ローゼッタといいます。アイラちゃんよろしくお願い致します。アイラちゃん・・・ちよっと向こうでお話しようじゃありませんか?」
俺は?と目線を向けると、ミルフィは女の子同士の話ですからと、言われてしまった。女の子同士、積もる話でもあるのだろうと気持ちを切り替え、俺は、音声さんに声を掛ける。
「音声さん。この階層はもしかしてだけど、ボスゾーンじゃないの?あの鎧を来たゴブリン。他と比べてかなり強かったけど・・・」
(ハルミア大空洞は、4層事にエリアボスがいます。あのゴブリンは、4層のボス、ゴブリンジェネラルです。ただ、魔素の影響で、暴走状態でしたが・・・
ボスを倒した影響で、魔素は一時的には祓われています。現状のパーティの状態を
考えると、ここで休憩入れておく事を進言します。)
ふむふむ・・・俺も回復ポーションを使っているが、左腕はまだ動きそうにないし
休憩をいれるとしよう。
(それでしたら、森羅万象のスキルを使ってください。)
音声さんのことだから、なんかすごいことになりそうだけど・・・俺は壁に寄りかかり腰を下ろしたままだが、目を閉じて森羅万象を使ってみる。
目を閉じている状態なのに、壁や、石とかの輪郭が浮き出てくる。少し離れた場所にいる、ミルフィやアイラのことも認識できる。壁や、石から湯気のようなものが出て俺に集まってくる。すると、俺の魔力が湯気を取り込むことで回復していっている。それに体力も。
(森羅万象は、大気や、鉱物。動物、人、魔物を構成するマナを集め、回復すると同時に戦いにも活用できます。戦闘での活用方法を閲覧しますか?)
とんでもスキルだな?これ・・・なんとなく想像できるけど、お願いしよう。
(了解しました。これを見終わったら、アイラ、ミルフィ、両名もお呼び下さい。)
うん・・・見たよ。脳内映像を食い入るように見たよ・・・ご丁寧に、某七つの玉を集めると竜が出て願いを叶えてくれるというアニメでね・・・。
音声さん、俺の趣味とかわかってて、これをチョイスした感じだ。
『スキル 魔功法Lv1を取得しました。スキル 魔導Lv1を取得しました。剣術の熟練度が規定量に達しましたので、剣術 中伝を取得しました。戦技 抜刀術 一閃を取得しました。風魔法の熟練度が規定量に達しましたので、エアスラスト、ヒュプノスウインドを取得しました。』
うぉ!急にスキルが増えたぞ・・・?森羅万象を使っているだけなのに・・・?
「「トキムネ」さん」
俺の周りに集まりだしているマナの流れを、異変と思ったのか、二人が慌てて俺の元に駆け寄ってくる。
「大丈夫だよ・・・今、森羅万象ってスキルを使って回復させているだけだから・・・ごめんね。心配させちゃったね。俺も初めて使ったから・・・」
二人は、首を横に振り、安心した様子で
「いいえ。大丈夫です。急にトキムネさんの周りにマナが集まりだしたから驚いてしまって・・・マナも扱えるんですね・・・トキムネさんは。」
ほ?マナのことは知っててもそうそうに扱えるものではないのかな?
「マナは、一般常識として、知ってるものは多いけど、マナを扱えるものは少ない。魔術学園でも長年の研究テーマとして扱う方法を研究してるみたいだから。
エルフなら、扱える者はいるみたいだけど・・・」
ほぇ?そうなのか?俺なんか最近覚えて、使ったのついさっきが初めてなんだけど?
「トキムネが使うのは・・・魔術ではないよね?詠唱無しに使えて、好きな時に発動できるなんて・・・もしかして・・・神が使ったとされる魔法?」
え?普通に覚えましたけど・・・?みんなが使うのは魔力の無駄遣いなんだけどな?そういえば、ミルフィが使う時も魔力の流れがチグハグだし・・・?
『それは、魔力回路が形成されていないからじゃな。普通の人間が魔力回路なんぞ形成しようものなら、脳が負荷に耐えられず死んでしまうわ。』
お?ファルさん、起きられましたか?
『大量のマナがお主に流れてきてな・・・思う存分吸収したからバッチリじゃ!』
(丁度、みんな集まってるようですね。このままミーティングを始めましょう。
手を繋いで、目を瞑るように言って下さい。後は私が、進行しておきますので)
俺はみんなに、手を繋いで目を瞑るように言う。アイラが、左。ミルフィが右に座り・・・何故か俺の両肩に頭を預けてきた・・・
(む・・・・それでは始めます!)
え?なんで、音声さん怒ってるの?俺なんかした?
(知りません!)
わからん・・・?女の子は本当にわからん・・・?
俺は、音声さんに丸投げして、二人の様子を確認する。途中、え?とか聞こえてくるが、音声さんなら大丈夫でしょう。
(終わりました・・・スキルの習得にも成功しました。取得したのは以上です。
アイラが、シールドバッシュLv1 パリィLv1 ゴーレム召喚Lv1 斧術 中伝 戦技 重爆斧 盾術 初伝 以上です。
ミルフィが、光魔術 チェーンヒール キュアブレッシング ホーリィシンボル、
断罪の光 以上です。)
ええ?こんな短時間で、こんなにスキル覚えるの?音声さん、すごすぎやしないですかね?
(元々、才能があったのでちょっとコツを教えただけです。)
恐ろしい・・・・音声さんの自重しない所が・・・
二人が、目を開けて・・・惚けている感じで、ぼーっとしているので、パンッと、柏手を打つ。
びっくりして目をぱちくりさせてる二人だが、また目を見開いてフリーズしている。
なんだ?と思ったら、
「「トキムネ」さん!その浮いてる小さい女の子はだれですか?もしかして・・・精霊?」
あれ?ファルのこと説明してなかったっけ?
『トキムネも忘れておったのか・・・儂ら、精霊は普通人間の前では姿を見せん。それに、こんなに姿を維持できるのもお主と契約してるからじゃ。お主が規格外だからじゃがな。ど~れ、儂も自己紹介でもするかのぅ。』
今更ながら、ファルの自己紹介が始まり、女の子は二人はファルに興味深々である。
さて、傷も癒えて来たし、一丁迷宮探索を再開しますかね。俺は、この時知らないでいた。何者かの悪意がゆっくりと忍び寄ってくるのを・・・