↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/21

第7話最強の親衛隊結成と、過保護すぎる兵棋演習

この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。

義姫様からの「解釈違い(温かい靴したとおにぎり栄養指導)」を経て、梵天丸様の引きこもり生活は完全に過去のものとなった。

そして天正4年。梵天丸様は10歳を迎えられた。


「景綱! 例の『からくり城』の新しい陣形、解き明かしたぞ! 見てみろ!」


「これはお見事です、梵天丸様。兵糧の補給路を確保しつつ、敵の側面に伏兵を配置する見事な用兵術……! さすがは我が主君、すでに天才の片鱗が溢れ出ておりますね」


私邸の畳の上で、あの「立体からくり城パズル」を広げ、無邪気に目を輝かせる梵天丸様。

俺は手帳にミリ単位で主君の「天才的戦術データ」を記録しながら、一切目の笑っていない極上の営業スマイルで全肯定をかましていた。

尊い。毎日が尊さの過剰摂取オーバードーズだ。

そんな平和なひとときに、ドタドタと足音が近づいてきた。


「景綱ー! 遊びに来たぞー!」


「景綱の兄貴、本日のお役目ご苦労様です!」


ズカズカと部屋に入ってきたのは、第2話で胃袋とメンタルをガチガチに手なずけておいた伊達成実(幼名:時宗丸)と、第3話で全自動全肯定マシーンへと育成した白石宗実たちプロデューサー・チームの初期メンだ。


「あっ……お前たちは……」


少し身を引く梵天丸様。だが、すかさず成実が満面の笑みで一頭身の体を寄せていった。


「お初にお目にかかります、梵天丸様! 俺は成実! 景綱から聞いてます、あんたが世界で一番すごくて格好いいお方だって! 俺、一生あんたの右腕として戦いますから!」


「僕の右腕……!?」


間髪入れずに、宗実たちが地響きを立てて平伏する。


「梵天丸様ッ! 本日もなんと神々しい輝き……! 我ら裏方一同、あのお方が『前を向く』と決めたその瞬間から、いつでも命を捨てて道を開く準備ができておりますッ!」


「な、なんだお前たちはー!? 暑苦しいぞ! 景綱、助けろ!」


「ふふ、ご安心ください梵天丸様。彼らは全員、あなた様がひとたびお立ち上がりになられた際に、世界で一番戦いやすい舞台をセッティングするために私が私兵として仕込んだ『全肯定プロデューサー・チーム』にございます」


「し、私兵……!? お前、裏で何を作っているんだ景綱!?」


怯える(?)梵天丸様を中央に囲み、成実、宗実、そして景綱による「独眼竜ガチ勢・初期メンバー」の顔合わせがここに完了した。


「よし、時宗丸(成実)殿、宗実殿。せっかくですから、梵天丸様が考案された『からくり城の陣形』を盤面にして、兵棋演習(模擬戦)を行いましょう」


「おおっ! 戦の予行演習だな! 負けないぞ!」


「梵天丸様の戦術を間近で拝見できるとは……胸が熱くなりますッ!」


こうして始まった、からくり城を使った戦略シミュレーションゲーム。

梵天丸様が

「ここに伏兵を置く!」

とコマを動かすと、宗実たちが

「な、何という画期的な妙手……っ!」

「敵の補給路が完全に断たれましたッ! 参りました!」

と大袈裟に絶叫して討ち死にする。


「へへん! どうだ、俺の勝ちだろ!」


「素晴らしいです、梵天丸様! まさに現代の孫子、奥州の至宝でございます!」


「ふふ……景綱、お前、褒めすぎだぞ」


照れくさそうに頭をかく梵天丸様。

その笑顔を横目で見ながら、俺は脳内で冷徹かつ綿密なビジネス計算を弾いていた。

(よし……。成実との連携もバッチリ、宗実たちの実務・兵棋への順応も完璧。主君の『戦術脳』の育成も予定通りのアップデート速度。……だが、まだ足りない)

俺は懐から、一冊の分厚い仕様書(自作の教科書)を取り出した。


「梵天丸様。からくり城の基礎はマスターされましたね。……では明日からは、こちらの『毛利元就の陣立』『武田信玄の軍法』『織田信長の兵農分離と兵糧ロジスティクス』を盛り込んだ特別講義を開始いたします」


「……えっ? 景綱、その本の厚さは何だ……?」


「我が主君あなたが将来、織田や羽柴、徳川といった化け物どもと対等以上に渡り合うための『英才教育カリキュラム』でございます。ご安心ください、私が噛み砕いて世界一わかりやすく教えて差し上げますからね」


一切目が笑っていない極上の笑顔で迫る景綱。


「ひ、ひぇぇ……! 景綱のスパルタが始まった……!」


「頑張ってください梵天丸様! 俺も一緒に勉強しますッ!」


「我が主君の脳汁(閃き)のために、ノートは私が清書いたしますッ!」


成実と宗実も巻き込み、夜が更けるまで米沢城の一角からは、子供たちの賑やかな歓声と、景綱の激重な愛に満ちた講義の声が響き続けるのだった。

主君が表舞台に立つ「元服」の日まで、あとわずか。

片倉景綱の完璧すぎる育成プロデュースは、着々と最終段階へと向かっていた。








【システムメッセージ】

『プロデューサー・チーム+成実の完全合流』が完了しました!

※主君の固有スキル『軍略・統率』の育成スピードが 200% に上昇しました!

※成実・宗実との『生涯の絆フラグ』が固定されました。

ご視聴いただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。