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26.じゃじゃ馬令嬢は絶望を叩きつけられる

前回の更新から間が空いてしまいました…

読んでいただけると幸いです。

……ラスター公爵家当主であるバスティン・ラスターに処刑を言い渡す


(は?何言ってんの?バスティンが処刑ですって?!何でバスティンが処刑されなきゃなんないわけ?!)


……ラスター公爵はバートン公爵令嬢ステラ・バートンと協合して皇太子の婚約者であるグレイス・ルノア令嬢を殺害しようとした



(いやいやあたしはグレイスを殺そうとなんてしてないよ?もちろんバスティンだってそんな事していに決まってんじゃん。ていうかグレイスこそがグンダリルを使って色んな犯罪犯してる犯人だよ?!)


……その罪は許される事ではない。よってバスティン・ラスターの公爵の爵位を剥奪としステラ・バートンと同様に公開火炙りの刑とする



(だから何でそうなんのっつってんの)


……反論は認めぬ



(いやいや反論だらけってか反論以外何もないでしょうが)


……それでは火をつけろ


(ちょ、ちょっと!やめてよ!バスティンが死んじゃうでしょうが!)



ボボボッ…

パキパキ…


炎が一気にバスティンの体を覆った。


(いや、いやいや!だめ!バスティンだめだって!バスティンーーー!

!)


………


「お願いやめてーーー!!」


ステラは全身汗だくになり真っ青になり叫んだ。


「ステラ!」


「ステラ様!」


ミシェルとリサが血相を変えてステラへ言った。


「お母様?リサ?」


ステラは顔を真っ青にしたままミシェルとリサを見て言った。


「ステラ、良かったわ目が覚めて。急に倒れるからどれだけ驚いて肝が冷えたことか」


ミシェルはホッとした表情で言った。


「あっ、私倒れたんですね」


ステラは力なく言った。


(ってことさっきのは夢だってことだよね?あれはオンラブのステラとバスティンが処刑される描写の場面だったよね)


ステラは一呼吸おいて少しホッとした表情を浮かべてそんな事を考えていた。


(バスティン!)


ステラはその時ハッとなり考えていた。


ガバッ…


「お母様、バス、公爵様は!公爵様は今どんな状況なのですか?!」


ステラが勢いよく起き上がり血相を変えて言った。


(さっきのは夢だったとしてもバスティンが拘束されたって話は現実だったもん)


ステラはそんな事を考えていた。


「ステラ倒れたのだから急に起き上がってはいけないわ」


ミシェルが慌てて言った。


「私は大丈夫です。それより公爵様は?公爵様はどうなったのですか?!」


ステラは慌てて言った。


「ダニーから公爵様が拘束されたという連絡がきたきり連絡がないから詳しい事が全くわからないのよ」


ミシェルは申し訳なさそうな表情で言った。


「そんな、、」


ステラは愕然となり言った。


「ステラ様」


そんなステラを見てリサが心配そうに言った。


(こんなとこで横になってる場合じゃないわ)


ステラは険しい表情になりそんな事を考えていた。


ガバッ…


ステラは勢いよく布団から出てベッドからおりた。


「ステラ!」


ミシェルが慌てて言った。


「まだ横になっていないとだめよ」


ミシェルが更に言った。


「いいえ。こんなところで横になんてなってる場合じゃありません。すぐに皇宮へ行かなければ。お父様に急ぎ伝えないといけないことがあるのです。グンダリル事件の本当の犯人が誰かがわかったのでそれを早く伝えて公爵様は犯人ではないことを証明しなければ」


ステラは険しい表情で必死に言った。


「本当の犯人が分かったですって?!」


ミシェルは驚き言った。


「はい」


ステラは真剣な表情で頷きながら言った。


「ステラ様の仰る通りです」


リサも真剣な表情で言った。


「それは早くダニー達に伝えなきゃならないけれど今皇宮へ行ってもダニー達に会えるかはわからないわ。ラスター公爵は第二騎士団の団長でもあるから第一騎士団の団長と副団長であるダニーとジョシュアも今事情を把握することで精一杯のはずだから」


ミシェルが困った表情で言った。


「だからといってここでじっとしている訳にはいきません」


ステラはグッと唇を噛み締め悔しそうな表情で言った。


(無実のバスティンが冤罪で拘束されてんのに指くわえて黙って見てろって?!冗談じゃないっつーの)


ステラは悔しそうにそんな事を考えていた。


「お父様達が駄目なのならば皇太子殿下にお会いしてきます」


ステラは真剣な表情で言った。


「皇太子殿下にですって?!」


ミシェルが驚き言った。


「はい」


ステラは頷きながら言った。


「グンダリルの事件の捜索には皇帝陛下の命で皇太子殿下も近衛騎士のサティス様と共にお父様達騎士団の方達と共同していましたから現状について詳しくご存知でしょうから」


ステラは真剣な表情で言った。


(アーノルドだったら今のバスティンの状況を絶対知ってるはずだもんね。とりあえずお父様達にグレイスの事を話せないのならアーノルドでもいいから話してバスティンの無実を証明しなきゃ。アーノルドには悪いけどグレイスがグンダリル事件の犯人なのは間違いないから2人の愛だの何だのは知ったこっちゃないわ。バスティンを救う方が優先だしね)


ステラはそんな事を考えていた。


「だけど今皇宮は本当に混乱しているから皇太子殿下にお会いできるかもわからないわ。だからここは一先ずダニー達からの連絡を待っていましょう。それからルノア男爵令嬢の事を話しても遅くないわ」


ミシェルが冷静に言った。


「いいえ!今は一秒たりとも時間を無駄にしたくありません。無実の罪で拘束されている公爵様を放っておけるわけありませんから」


ステラは必死な表情で言った。


そして…


ガバッ…


ステラは勢いよく立ち上がりそのまま部屋の扉へ一直線に小走りで向かった。


「ステラ」


ミシェルは慌てて言った。


「ステラ様」


リサも慌てて言った。


バンッ!


しかしステラは2人の言葉を無視して勢いよく扉を開けて部屋を出ると走り出した。


(お母様、リサごめんなさい。でもここで大人しくなんて出来ないんだよ。今あたしが出来る事はしなきゃだめな気がするんだよね。あんな変な夢を見たからかこのままだとバスティンの身に何か起きそうで不安だし怖くてたまらないんだよ)


ステラは走りながらそんな事を考えていた。


そして、ステラは馬が繋いである馬小屋へ向った。


馬小屋へ着くなりステラが狩猟大会で乗っていた馬でもありあの日からステラが名付けた"イケ丸"に繋がれていた紐を解いてイケ丸へ飛び乗った。


「イケ丸。今すごーく急いでるから超特急で頼むわよ」


ステラがイケ丸の頭を優しくなでながら言った。


「ブルルルルッ」


イケ丸は了解したと言わんばかりに鼻を鳴らした。


(そもそも何でバスティンがグンダリル事件の犯人だって拘束されたわけ?絶対そんな訳ないことくらい周りは皆わかってるわけじゃん。そもそも花祭りの日なんて最初から最後まであたしはバスティンと一緒にいたわけだよ?なのにこんな急にどうして?)


ステラはイケ丸を走らせながらふと疑問に思いそんな事を考えていた。


(こんな事件が急展開するなんてありえないのに)


ステラは目を細めて更にそんな事を考えていた。


そして、ステラはイケ丸を休まず走らせる事1時間…皇宮へ到着した。


皇宮前はいつも以上に厳しい警備が施されているからか警備にあたる騎士たちの数が異常だった。


「すいません」


ステラはイケ丸から降りてイケ丸を連れて門に立っていた騎士へ声をかけた。


「ステラ様」


騎士が驚き言った。


「こんにちは」


ステラは頭を軽く下げて言った。


「あ、只今バートン団長と副団長とはお会いできないかと思います」


騎士がすぐにステラが何故皇宮まで来たのかを察して申し訳なさそうに言った。


「はい。母からそう聞いています。ここへは父と兄ではなく皇太子殿下にお会いしに来たのですが殿下に会えそうですか?」


ステラは少々疲れた表情を浮かべて言った。


(やっぱり休憩なしに馬を走らせるのは結構体力使うね)


ステラは思いの外疲れているのを感じつつそんな事を考えていた。


イケ丸に乗り休まず飛ばしてきたのだから体力が消耗しているのは当たり前だった。


(だけど今は疲れたとか何だとか言ってる場合じゃないもんね)


ステラはグッと拳を握りそんな事を考えていた。


「皇太子殿下にお会いするのも難しいかと思います」


騎士が困った表情で言った。


(アーノルドもやっぱりバタついてるってわけか)


ステラは悔しそうにそんな事を考えていた。


「そこを何とかお願い出来る様に殿下にお伝えして頂けませんか?」


ステラはそれでも食い下がり言った。


「私もステラ樣に協力したいのは山々なのですが何分あまりに急な事に皇宮内が混乱気味に忙しいので」


騎士は申し訳なさそうな表情で言った。


「そう、、ですか」


ステラは残念そうな表情で言った。


(やっぱりお母様の言うように家でお父様達の帰りを待つしかないのかなぁ。でもそんなの待ってたらバスティンの身に何が起こるかわかんないしなぁ)


ステラは複雑な表情でそんな事を考えていた。


その時…


「ステラ嬢」


向こうからアーノルドが急ぎステラの方に向かいながら言った。


(アーノルド?)


ステラは驚いた表情で言った。


「皇太子殿下」


やってきたアーノルドを見て騎士が驚き言った。


「皇太子殿下にご挨拶申し上げます」


ステラがすぐに真顔になり言った。


(アーノルドにも会えないと思ってたからこんなとこでアーノルドに会えて良かったわ)


ステラはそんな事を考えていた。


「あぁ」


アーノルドは複雑な表情で言った。


「ところで殿下は何故こちらに?先程騎士の方から忙しいとお聞きしたばかりですが」


ステラは淡々と言った。


(アーノルドもグンダリルの事件捜査に協力してるから忙しと聞いて納得したけど何でここにいるわけ?)


ステラはそんな事を考えていた。


「あっ。いや、執務室に向かう途中にステラ嬢の姿が見えたものだから」


アーノルドは慌てて言った。


(ステラ嬢の姿を見た途端勝手に足がここへ向かったとまでは言えないよな)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「そうだったのですか」


ステラは淡々と言った。


「ステラ嬢は何故皇宮へ?もしかしてラスター公爵の件を聞いたのか?」


アーノルドは複雑な表情で言った。


(聞いたからどこか疲れた表情でここに来たのだろう。それ以外に今彼女がここへ来る理由などないか)


アーノルドは胸がチクリと痛むのを感じつつそんな事を考えていた。


「はい。出先から帰宅した際に母から事情を聞きました。父と兄に確認しようとも会える状況ではないと母から言われましたがじっとしている事など出来ず皇宮へ足を運びました」


ステラは表情を歪めて言った。


(グレイスの悪行のせいでバスティンか拘束されてんだからね。それに一刻も早くグレイスの悪行を報告しなきゃなんないしね)


ステラは怒りを押し殺しながらそんな事を考えていた。


「そうか。確かに今バートン公爵達に会うのは難しいだろう」


アーノルドは複雑な表情で言ったらさ


(事態の把握や裏取りまですべて騎士団が動いているからな)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「やはりそうですか」


ステラが残念そうに言った。


(やっぱりお父様達に会うのは無理か。一番いいのはお父様達に会って直接バスティンの事とグレイスの事を話したかったけどね)


ステラはそんな事を考えていた。


「もし良ければ私から現在の状況について話をしようか?」


アーノルドがステラの残念そうな表情を見て言った。


(きっと色々と聞きたいはずだからな)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「本当ですか?ですが殿下もお忙しいのではないですか?」


ステラは驚き言った。


(確かにお父様達が無理ならアーノルドと思って来たけどまさかアーノルドの方から話を振ってくれるなんてね。助かるわ)


ステラは内心ホッとしてそんな事を考えていた。


「少しならば構わないさ」


アーノルドは優しい表情を浮かべて言った。


(ったく話してくれんのはありがたいけどこんな状況だってのによくもそんな顔できるよね。不愉快すぎるわ。こっちは平然保つのにやっとな精神だってのに)


ステラはアーノルドの表情を不満に思いつつそんな事を考えていた。


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えてお話を聞かせて頂きます」


ステラは小さく頭を下げて言った。


「あぁ。では私の執務室へ向かおう」


アーノルドが言った。


「はい」


ステラは頷きながら言った。


そして、ステラはアーノルドと共に皇太子の執務室へ向かった。


ステラとアーノルドが皇太子の執務室へと到着し部屋の中へ案内された。


(ここまで来る時に思ったけどやっぱり皇宮はかなりバタついてたなぁ。それに警備もかなり厳重なようだね。やっぱりバスティンが拘束された件だよね)


ステラは複雑な表情を浮かべてそんな事を考えていた。


(この国の公爵であり皇室騎士団の第二部隊の騎士団長であるバスティンがグンダリル事件の主犯として拘束されてるって事実は国全体の問題にまで発展するだろうから皇宮が混乱するのも無理はないよね。でもバスティンは犯人なんかじゃないし国の為にも早くグレイスが主犯だって事を伝えてどうにかしなきゃ原作のシナリオを私が変えたとしてもさっき夢で見たことが現実で起こりそうで怖くてたまんないんだよね)


ステラは更にそんな事を考えていた。


「こちらへ掛けてくれ」


その時、アーノルドがステラへ声をかけた。


「あ、はい。ありがとうございます。では失礼致します」


ステラはハッとなり慌てて言うとソファーへ腰掛けた。


「それで早速なのですが一体これはどういった状況なのでしょうか?」


ステラは座るなりアーノルドへ真剣な表情を浮かべて言った。


「昨夜、ルノア男爵邸に暗殺者が侵入したのだ」


アーノルドが真剣な表情で言った。


「え?ルノア男爵邸にですか?!」


ステラは驚き言った。


(何でグレイスの家に暗殺者が?)


ステラは戸惑い気味に言った。


「あぁ。その暗殺者は裏社会では名の知れた暗殺組織の者たちだったのだがどうやらその者たちはグレイス嬢を狙う様に指示されていたのだ。ルノア男爵家の騎士たちがすぐに異変に気づきグレイス嬢は無事だったのだ。騎士達は暗殺者達を取り逃がしてしまったようだが1人だけ手負いの者がいてその者を捕らえてルノア男爵が皇宮へとつれてきたのだ」


アーノルドは真剣な表情で説明した。


「その事件と公爵様が拘束された事と何の関係があるというのですか?母の話ですと公爵様が拘束されたのはグンダリル事件の主犯としてと聞きましたけど」


ステラは意味がわからないという表情で言った。


(グレイスが襲われた件はグンダリル事件と何の関係もないのに何でその下りの話をするわけ?!それに"オンラブ"の原作にはこんな流れなかったよね?!)


ステラは目を細めてそんな事を考えていた。


「?!まさか」


ステラはハッとなり慌てて言った。


「あぁ。そのグレイス嬢を狙う様に暗殺者達に指示したのがラスター公爵だったのだ」


アーノルドは小さく頷きながら表情を歪めて言った。


「そんな!何かの間違いでは?!」


ステラは驚き言った。


「その捕らえた1人がラスター公爵から指示を受けたと白状した上に皇室騎士団第二部隊の団長バッジを持っていたのだ。どうやら公爵が暗殺者達に依頼をしに行った際に落としていったバッジのようだ。その者の証言だけなら確証は薄いだろうがバッジまで持っていた事で一気に確証が得られたのだ。ステラ嬢も知っていると思うが騎士団のバッジは簡単に他人の手に渡ることはないからな。常に本人が身につけている物だからな」


アーノルドは複雑な表情を浮かべて言った。


「そんな、、」


ステラは啞然とした表情で言った。


「ですが、公爵様がグレイス様を狙う理由などありませんよね?」


ステラは目を細めながら言った。


(だって現にバスティンはオンラブの原作とは違ってグレイスに対して良いも悪いも何とも思ってない訳だし。ましてや殺したい程の憎意なんて抱いてる訳ないのに)


ステラはそんな事を考えていた。


「その捕らえ者が言うには公爵はグレイス嬢に嫌悪感を抱いていたようだ。グレイス嬢が自分を見下す様な目で見ることに耐えられないと呟いていたとか」


アーノルドは複雑な表情で言った。


「だからラスター公爵がグレイス嬢を狙う理由はあったという事なのだ。ラスター公爵はその話を君にはしていなかったのだな」


アーノルドは複雑な表情で言った。


(あれだけステラ嬢の側にいたというのに自分の本心は彼女に隠していたのだな。それが結果この様な形で彼女に伝わり彼女を傷つけてしまう事になったというのに。私ならば彼女にそんな思いなどさせないというのに。ステラ嬢に対する自分の気持ちに気づいてからは彼女が関わる事全て気になってしまうな)


アーノルドは拳を握りしめながらバスティンに怒りすら感じつつそんな事を考えていた。


「それにグレイス嬢がラスター公爵を見下しているなど公爵が勝手に思い込んでいるだけだろう。グレイス嬢は公爵の事をその様に思ってもいないだろうからな」


アーノルドが呆れたように言った。


(よく考えてみればラスター公爵がグレイス嬢に対して敵視していたのではないか?孤児院でも彼はグレイス嬢を睨んでいたしな)


アーノルドはふとそんな事を考えていた。


(ハッ。この男一体何言ってんの?!馬鹿じゃないの?!バスティンがグレイスに対してそんな事思ってる訳ないじゃん。グレイスが一方的にバスティンを侮辱したのをあんたも目の前で見たでしょ?!バスティンはグレイスがバスティンを侮辱した事にキレてるあたしをなだめてくれたぐらいだよ?!本当に何なの?!どこまでもグレイス贔屓ってことだね。本当に目が腐ったイカれ皇子としか思えないわ)


ステラはアーノルドの言葉に苛つきを覚えてそんな事を考えていた。


「お言葉ですがグレイス様が公爵様に対して軽率かつ失礼な発言をしていたのは事実ではないですか?それは殿下も目の前で聞いておられたのをもうお忘れですか?!」


ステラはアーノルドを軽蔑するような目で見ながら言った。


「それは」


アーノルドはハッとなり慌てて言った。


(私としたことが。何度同じ事を繰り返すのだ)


アーノルドはしまったという表情でそんな事を考えていた。


「公爵様はあれだけ侮辱される様な対応をされても怒るどころか冷静に対応されていました。むしろその事に対して怒りを覚えた私をなだめて下さいました。そんな方がわざわざ暗殺者を雇ってグレイス様を狙うでしょうか?それも身分のわかるバッジまで落として。どう考えても出来すぎていませんか?」


ステラは更に強いの目でアーノルドへ言った。


(そうよ。どう考えてもバスティンを犯人に仕立てあげる為にしか思えないよ)


ステラはそんな事を考えていた。


「し、しかし証言だけならまだしもバッジという決定的な証拠があるのだ。それはどう説明できるというのか」


アーノルドが表情を歪めながら言った。


(ステラ嬢がラスター公爵を庇う事がこんなにも悔しく腹立たしいとは。ステラ嬢の一切の迷いのない公爵に対する気持ちがひしひしと伝わってくるから尚更だ)


アーノルドは表情を歪めたままそんな事を考えていた。


「それはきっと誰かにバッジを盗まれたのでしょう」


ステラが強気で言った。


(じゃなきゃバスティンのバッジが証拠としてあげられるなんて出来すぎてるもんね)


ステラはそんな事を考えていた。


「ラスター公爵は騎士団長なのだぞ?剣の腕前は君だってどの程度凄いものなのか知っているだろう?!そんな彼からどうやってバッジを盗むというのだ?そんな事は不可能だろ?」


アーノルドは更に表情を浮かべて言った。


「、、、」


ステラはアーノルドの言葉を聞き黙った。


(確かにバスティンが肌身離さず持っているバッジを盗むのは至難の業だね。だけど絶対にバスティンが犯人じゃないのだけはわかるから何かしらの手を使って盗まれたに違いないわ。それ以外考えられないからね)


ステラはそんな事を考えていた。


(この事件にもグレイスが絶対絡んでるよね。何ならグレイスがでっちあげた事件の可能性のが高い気がする。グレイスならやりかねないもんね。だけどグレイスが暗殺者に狙われたって内容は原作になかったとしても何でバスティンが捕まるところががオンラブの原作と同じ様な流れなわけ?それもバスティンだけ)


ステラはそんな事を考えていた。


「それにルノア男爵邸への襲撃について話を聴くためにラスター公爵邸へ訪れた際に公爵邸内でグンダリル発見されたのだ」


アーノルドは苦渋の表情で言った。


「何ですって?!グンダリルが?!


ステラは驚き言った。


(どういう事?!何でバスティンの家からグンダリルが?!)


ステラは戸惑い気味にそんな事を考えていた。


「グンダリルは主犯でなければ持っているはずのない物だ。バッジといいグンダリルといいどちらの件にもラスター公爵が絡んでいるのは間違いないのだ」


アーノルドは強めに言った。


「ありえません」


ステラは強気で言った。


(だってグンダリル事件の主犯はグレイスなんだから)


ステラがそんな事を考えていた。


「何故そう言い切れるのだ?!」


アーノルドは少し苛つきながら言った。


(何故そこまで公爵の事を信用できるのだ)


アーノルドは歯がゆさの混じる表情でそんな事を考えていた。


「グンダリル事件に関しては主犯格が別にいるからです」


ステラは真剣な表情でアーノルドの目を真っ直ぐ見て言った。


「ど、どういう事だ?」


アーノルドは一瞬戸惑いの表情を見せながら言った。


「グンダリルがラスター公爵邸にあった事が何よりの証拠だというのに公爵以外に主犯格がいるだと?」


アーノルドは表情を歪めて言った。


(彼女はグンダリル事件について何か突き止めたのか?)


アーノルドは少し戸惑い気味にそんな事を考えていた。


「ステラ嬢は今の発言に責任を持てるのか?グンダリル事件は国を揺るがす程の事件だ。すでに事件の主犯格としてラスター公爵が拘束されている中で君の今の発言は混乱を招く発端になりかねないのだ。下手をすればバートン公爵家の存続にも関わるのだぞ?!それでも別に主犯格がいると?」


アーノルドは表情を歪めて言った。


(ラスター公爵とステラ嬢が親しい仲だと世間に知られればステラ嬢はきっと白い目で見られることになるだろうに)


アーノルドは表情を歪めたままそんな事を考えていた。


(ん?あれ?ちょっと待って拘束されてるのってバスティン1人なの?)


ステラはアーノルドの言葉を聞きふと疑問が浮かびそんな事を考えていた。


「あの、拘束されているのは公爵様お一人なのですか?」


ステラがアーノルドの話に割り込むように言った。


「え?あ、あぁ」


アーノルドが言った。


(急にどうしたのだ?)


「では、ドン、、いえ公爵邸に仕える使用人の方達は?」


ステラが目を細めながら言った。


「公爵を拘束する為に公爵邸へ行った際は使用人の姿はなかった。本来なら使用人達も公爵と共に拘束をする予定だったが使用人達の姿が見えず現在捜索中だ。公爵が逃がしたのかと思ったのだか公爵も本当に知らない様だった」


アーノルドが真剣な表情で言った。


「公爵様も使用人達の行方を知らないのですか?!」


ステラは驚きながら言った。


(ドンクさんとハナさんの行方をバスティンも知らないなんておかしすぎるわ。あの2人はバスティンが信頼をおいてる2人だからバスティンが知らないのは不自然すぎるわ)


ステラは目を細めてそんな事を考えていた。


「公爵の話だと我々が公爵邸へ向かう2日前程に使用人2人が私用があるからと急遽休みが欲しいと置き手紙が置いてあったそうだ。公爵は騎士団の仕事で数日邸へ戻っておらず手紙を見た時には既に2人の姿は見えなかったようだ」


アーノルドが説明した。


(ドンクさん達が置き手紙だけ残してバスティンの帰りを待たずに邸を空けるなんてありえないわ。もしかしたらドンクさんとハナさんは何者かに拉致されて危険な目に遭ってるんじゃないの?!)


ステラはある仮説が頭に浮かびゾッとした表情でそんな事を考えていた。


(バスティンが2人の行方を知らないって事は十分にありえる事だよね)


ステラは更にそんな事を考えていた。


「2人の行方を探してらっしゃるのですか?」


ステラが言った。


(ラスター公爵家の使用人なんだから行方がわからないままにはしてないはずだもんね)


ステラはそんな事を考えていた。


「もちろんだ。使用人の2人もグンダリルの事件について知っているかもしれない重要な人物達だからな」


アーノルドが頷きながら言った。


「しかし、未だに2人の行方はわからないままだ」


アーノルドが更に言った。


「そうですか」


ステラが目を細めて言った。


(ドンクさん達はまだ見つからずか。あくまで仮説だけどバスティンをハメようとした人物、、グレイスが2人をどこかに監禁してる可能性があるとしたら?それなら2人が見つからないってのも納得がいくよね。でもよ?もし本当にグレイスがドンクさん達を拉致したのであれば間違いなく2人は危険だよね。何たってグレイスはユージャンみたいな子供にも平気で手をかけるくらいだからね)


ステラはアーノルドの言葉を聞き眉間にシワを寄せながらそんな事を考えていた。


(こうなったら早く2人を探さないと本当にドンクさんたちが危険だわ)


ステラは更にそんな事を考えていた。


「それよりもステラ嬢。これ以上この件に、、いや、ラスター公爵に関わるのはやめておけ」


アーノルドは複雑な表情で言った。


「はい?」


ステラは耳を疑うような表情で言った。


(今、何て言った?あたしにバスティンに関わるなですって?!)


ステラは表情を歪ませてそんな事を考えていた。


「ラスター公爵に関わる事で君の立場も非常によくないものになるのは目に見えているからな。それにこのままいくと公爵は爵位の剥奪だけでなく処刑すら免れなくなるかもしれないからな、、」


アーノルドは表情を歪めて言った。


(ラスター公爵を庇う行動によりステラ嬢が非難の的になるのは間違いないからな。そのタイミングでバートン公爵家を蹴落とそうとする者が出ないとも言い切れないしな。それに、、このまま公爵が処刑となればもしかしたら私にも、、)


アーノルドは表情を歪めたままそんな事を考えていた。


「殿下の仰る事が理解できかねますね」


ステラは眉間にシワを寄せて表情を歪めて言った。


(あたしがどうなろうがアーノルドには関係ない事なのに何様なわけ?!)


ステラは苛立ちながらそんな事を考えていた。


「何故、私の立場がよくないものになるのですか?公爵様は何の罪も犯していないというのに?」


ステラは更に表情を歪めたまま言った。


「しかし」


アーノルドはハッとなり慌てて言った。


「殿下はグレイス様に暗殺者が向けたれた件もグンダリルがラスター公爵邸で見つかったことに対しても一つもおかしいと思った点はなかったのですか?」


ステラはそんなアーノルドなど無視するかの様に言葉を遮り言った。


(アーノルドの目が節穴すぎるのもたいがいにして欲しいわ。きっと騎士団の人たちでもおかしいと思ってるはずだってのに。あたしだってアーノルドから話を聞いてあまりにも出来すぎてる流れだって思ったんだよ?それなにバスティンを犯人だと決めつけた様な言い方してさ)


ステラはそんな事を考えていた。


(そもそもグンダリル事件の犯人グレイスなわけだし)


ステラは更にそんな事を考えていた。


「普通に考えて公爵様がいつも肌身離さず持っている物が急になくなったかと思えばグレイス様が襲われその犯人がそれを持っていて公爵様に殺害依頼を受けたと言っているのも話が出来すぎていますし何より花祭りの日に私はバートン公爵邸からずっと公爵様と一緒に行動を共にして一度も公爵様が私から離れる事はありませんでした。そんな公爵様が花祭りでどうやってグンダリルの苗を配って回ることが出来ると思いますか?あれだけの数の苗を配って回るのならもしも主犯が公爵様であったなら少なくとも指示する為に私と元から少しの間でもいなくなるはずではありませんか?」


ステラはアーノルドに対してふざけた事を言うなと言わんばかりの勢いで言った。


(グレイスと一緒にいてグレイスの行動を不審がらないアーノルドが腑抜けすぎて草もはえないわ。主犯はグレイスだってのにさ。はぁ〜グレイスが主犯だって言いたいけどグレイスラブなアーノルドに言ったって信じてなんかくれないよねきっと)


ステラは困った表情でそんな事を考えていた。


(アーノルドからバスティンの状況を聞けたのはいいけど肝心なグレイスがグンダリル事件の主犯だってことはやっぱりお父様達に伝えた方が良さそうだね)


ステラはそんな事を考えていた。


(それにしても隣にグレイスがいてもグレイスの行動に一瞬たりとも疑いを持たないなんてアーノルドがこんなんでこの国の将来は大丈夫なわけ?グレイスは愛する相手だから不信感なんてあるんけないってか?!このままだと"オンラブ"のストーリー通りにグレイスとの婚約を発表しそうだよね。皇太子妃になる女性がサイコパス並みだってのさ。アーノルドには悪いけどこのままグレイスを野放しにはできないわ。いくらヒロインだっていっても犯罪者、、それも極悪レベルなんだから罪を償わせないと。グレイスのせいで犠牲になった人たちの為にもね、、)


ステラは更にそんな事を考えていた。


(っ?!ちょっと待って。確かあの時、、)


ステラは考えている時にふとある光景を思い出し表情を歪めてそんな事を考えていた。


「しかし、私はステラ嬢の事が心配で」


アーノルドは戸惑いの混じる表情で慌てて言った。


ステラはそんな戸惑うアーノルドなど目に入りもせずゾッとした表現を浮かべていた。


「ステラ嬢?」


そんなステラを見たアーノルドが??という表現で声をかけた。


(どうしたのだ?急に顔色が悪くなった気がするが)


アーノルドは心配そうにそんな事を考えていた。


その時…


コンコンッ


部屋の扉が鳴った。


「皇太子殿下。ルノア男爵令嬢が皇太子殿下にお会いしたいとご訪問されてました」


扉の外から従事が言った。


「グレイス嬢が?」


アーノルドが驚き言った。


(なぜこのタイミングでグレイス嬢が?グレイス嬢は襲われた件で事情を聞いた後は屋敷に戻り休養しているはずだが)


アーノルドはそんな事を考えていた。


「私は失礼しますのでどうぞグレイス様を通してあげて下さい」


ステラが俯き気味に言った。


「いや、しかし今はステラ嬢と話をしているから」


アーノルドが慌てて言った。


(顔色が悪いステラ嬢をこのまま帰らせる訳にはいかないし何より何故か彼女をこのまま帰してしまえば二度と彼女の笑顔が見れなくなってしまうのではないかという不安が込み上げてくる)


アーノルドは複雑な表情でそんな事を考えていた。


「話は終わりましたのでどうぞお気遣いなく。私とグレイス様は顔を合わせない方がいいと思いますのでグレイス様がこちらへ向かわれる前に私は失礼致します」


ステラは俯き気味に淡々と言った。


「いや、まだ話はっ」


アーノルドが慌てて言った。


しかし、ステラはそんなアーノルドなど気にすることもなく後ろを向き扉へ向かうとあっという間に部屋から出ていったのだった。


「ステラ嬢待ってくれ」


アーノルドが慌てて言うもその声はステラには届かなかった。


(ステラ嬢、、)


アーノルドは扉を切ない表情で見つめつつそんな事を考えていた。


カツカツ…

カツカツ…


ステラはアーノルドの部屋を後にすると足早に歩いていた。


(今、グレイスに会ったらとてもじゃないけど冷静ではいられないからさっさと出てきて正解だったわ)


ステラは表情を歪めて歩きながらそんな事を考えていた。


(グレイスはよくもまぁぬけぬけと皇宮に足を運べたもんだわ。グレイスがグンダリル事件のの主犯だってのに。アーノルドは自分にぞっこんだから問題ないってか?!よくも何の罪もないバスティンを嵌めて犯人にしてくれたわね。本当に本当に許せない)


ステラは怒りの表情でそんな事を考えていた。


(それにアーノルド。花祭りの日にグレイスと一緒にいたのにグレイスに対して何の疑いも持たないなんて皇太子として腑抜けもいいところだって呆れたけど、、アーノルドはグレイスがグンダリル事件に関与してるって気づいてるはず。さっきまで完全に忘れてたけど花祭りでアーノルドがグンダリルの苗を見た時のあの表情。今思えばきっとあの時にグレイスに一瞬でも疑いを持ったはずよ。でなきゃ苗を見た瞬間あんな顔色が悪くなるわけないもんね。きっとアーノルドは花祭りの間に何かを見たに違いないわ。それで苗を見た時にあんな表情をしたんだわ)


ステラは目を細めながらその時の事を思い出しつつそんな事を考えていた。


(アーノルドの奴、グレイスに少しでも疑いを持ったっていうのに今のこの状況を見て何も言わないってこと?!バスティンがグンダリル事件に関わってないってわかっててグレイスを愛するが故にそのままバスティンに罪をなすりつけるつもりなんわけ?!)


ステラは表情を歪めてそんな事を考えていた。


「ハッ。主人公もヒロインもクソみたいな最低な人間だわ」


ステラは呆れと怒りが混じった様な表情を浮かべて吐き捨てる様に呟いた。


(今頃、あの2人はお互いバスティンに罪をなすりつけて愛でも育んでるとか?!チッ。本当にちゃんちゃらおかしいわ)


ステラは更にそんな事を考えていた。


(無実のバスティンを嵌めた事を絶対に許さない)


ステラは拳を強く握りしめながら唇をグッと噛み締めながら強くそんな事を考えていた。


その時…


「ステラ?!」


皇宮の外へ向かい歩いていたステラを見て慌てた様子でステラに声をかけたのはダニーだった。

隣にはジョシュアもいた。


「お父様とお兄様?!」


ステラはダニー達を見て驚き言った。


そして、ダニーとジョシュアは急ぎステラの元へ駆け寄った。


「ステラが何故ここへ?!」


ダニーが戸惑いながら言った。


「もしかして、、バスティンの事を聞いたのかい?」


ジョシュアは戸惑いながら言った。


「はい」


ステラは表情を歪めて頷きながら言った。


「ステラ」


「スー」


そんなステラを見てダニーとジョシュアは何とも言えない表情で呟いた。


そして、ダニーがそっと優しくステラを抱きしめた。


(お父様、、)


そんなダニーの行動にステラは思わずグッときて泣きそうになりながらそんな事を考えていた。


しかし、ステラは泣くのを堪えた。


「お父様、お兄様お話があります」


ステラはグッと涙を堪え真剣な表現でダニー達へ言った。


そんなステラを見てダニーとジョシュアは目を合わせた。


「分かった。我々は今から丁度一旦邸に荷物を取りに帰るところだったから邸に戻り話を聞こう」


ダニーが言った。


「分かりました」


ステラは頷きながら言った。


(まさかお父様達に会えると思ってなかったから良かった)


ステラは安堵しながらそんな事を考えていた。


そして、ステラ達は皇宮を後にしたのだった。



ステラ達は自邸に戻るとダニーの執務室へ移動した。

ミシェルも同席した。


ステラは急に邸を飛び出した事をミシェルに謝罪した。

ミシェルはそんなステラに怒ることもせず優しく抱きしめたのだった。


「それでステラは何故あの場所へ?今、皇宮は厳重警備なゆえいくらバートン公爵家の令嬢でも入宮するのは難しいはずたが」


ダニーは疑問に思っていた事を言った。


「実は、、」


ステラはダニーにそう言われるとあの場所にいた経緯をダニー達へ細かく説明した。


「つまり、我々に会いに来たところへたまたま殿下が通られて殿下からバスティンの現状を聞いたわけだな」


ダニーがステラの説明を聞き理解した様に言った。


「はい」


ステラは頷きながら言った。


「しかし、まさかグンダリル事件の主犯がルノア男爵令嬢だったとはな、、」


ダニーは険しい表情で言った。


「それも、それだけではなく自分を襲わせた主犯がバスティンだと虚言まで言いバスティンに全ての罪をなすりつけるとはな」


ジョシュアも険しい表情で言った。


「ルノア男爵令嬢に疑いを持ったにも関わらずそれを言う事なくバスティンを拘束した殿下の行動にも言葉を失うな」


ダニーは更に表情を険しくさせて言った。


「私は絶対に許しません。絶対に公爵様を陥れた事、国を怯えさせようとしたした事の罪を償ってもらいます」


ステラは怒りのこもった真剣な表情で言った。


「あぁ。もちろんだ」


ダニーも真剣な表情で頷きながら言った。


「絶対に罪を明らかにして償わせてやる」


ジョシュアも真剣な表情で頷きながら言った。


そんな3人を見てミシェルも真剣な表情で頷いた。


「ですが、今は一刻も早くラスター公爵邸に仕えている執事のドンクさんとメイドのハナさんを見つけて救出しなければ2人が危険です。グレイス様があの2人を連れ去り匿っているのは間違いないですから。グレイス様があの2人を生かしておくとは思えません。たとえ殺さないにしても公爵様を更に陥れる為に何らかの形であの2人を利用するでしょうし。何と言ってもグレイス様はまだ幼い子供のユージャンまで平気で手に掛けるような方ですから」


ステラは表情を歪めて言った。


「子供?!ユージャン?!一体どういう事だ?」


ダニーは戸惑いながら言った。


「ユージャンは、、あの花祭りで出くわした少年の名前です。私の代わりにグレイス様が家まで送り届けたあの少年です」


ステラは表情を歪めたまま言った。


「「何だって?!」」


ステラの話を聞きダニーとジョシュアは同時に驚き言った。


「私はこの話をお父様達に伝えに行こうと思ったていたのですがその前にお母様から公爵様の話を聞き慌てて皇宮へ向かったのです」


ステラが表情を歪めたまま言った。


「今日、孤児院へ向かう途中にたま事件現場を通りかかったのです。その時その場に孤児院の子が泣いていたので何事かと思い事情を聞こうと思ったら遺体が花祭りの日に会った少年だと知ったのです。私が貸したマフラーをしていたので」


ステラは表情を歪ませて説明した。


(本当にあの時あたしがユージャンを送っていたらユージャンはあんな目に遭わずに済んだよね。ごめんねユージャン、、)


ステラはグッと唇を噛み締めて悔しそうにそんな事を考えていた。


「そんな事になっていたとは、、」


ダニーが表情を歪めて言った。


「まさかあの時の少年がそんな酷い目に遭っていたなんて」


ジョシュアも表情を歪めて言った。


「ルノア男爵令嬢は少年を送るフリをしてそのまま少年を手に掛けたということか」


ダニーが頭を掻きながら険しい表情で言った。


(まだあの様に小さな子供を手に掛けるなんてな)


ダニーは自身に子供がいる分余計に心を痛めつつそんな事を考えていた。


「その後孤児院へ行ったのですが、、」


ステラはそう切り出すと孤児院で子供達から聞いた話やその聞いた話からグレイスがグンダリル事件の主犯だと確信した経緯をダニー達に説明した。


「ルノア男爵令嬢、、彼女は本当に人間なのか?!」


ダニーはステラの話を聞き怒りで表情を歪めながら言った。


「とても人間のする事とは思えないくらい残忍は令嬢だな」


ジョシュアも表情を歪めて言った。


「信じられないわ。子供達にそんな酷い仕打ちをするなんて」


ミシェルはショックが隠しきれない表情で言った。


(3人がああなるのも無理ないよね。あたしだってグレイスがやってきた事を考えると怒りで腸が煮えくり返りそうだったんだし)


ステラはダニー達を見てそんな事を考えていた。


「グレイス様は私達が考える以上に冷酷な面を持っている方ですからドンクさんとハナさんに対して情などかける訳がありません。ですので一刻も早く2人を探し出して救出しなければなりません」


ステラは真剣な表情で言った。


「そうだな。一刻も早く彼らを見つけださなければ取り返しのつかない事になってしまうだろう」


ダニーが深刻気な表情で言った。


「間違いありませんね」


ジョシュアも深刻気なので頷きながら言った。


「しかし、今私もジョシュアもすぐには動くことが出来ないのだ」


ダニーが困った表情で言った。


「はい。ですので私がドンクさんとハナさんを探しに行きます」


ステラが真剣な表情で言った。


「何だと?!それはだめだ。あまりにも危険すぎる」


ダニーが驚いた表情で言った。


「父上の言う通りだ。スーにはあまりにも危険すぎる」


ジョシュアが真剣な表情で言った。


「ですが、お父様とお兄様が動けない今私が動かず誰が動くのですか?はっきり言って今はお父様達以外に信用できる人達はいません。誰がどのように誰と内通しているかもわからない状況でお父様達以外の方にドンクさん達の捜索は任せれません」


ステラは真剣な表情で言った。


(アーノルドでさえグレイスが怪しいと思ってるのにグレイスの事を愛するあまりだんまりなんだよ?)


ステラはそんな事を考えていた。


「しかし、だからといってステラが出るのは危険すぎる」


ダニーは戸惑いながら言った。


(確かにステラの言い分は一理ある。現段階で騎士団内の者達も全ての者がバスティンが冤罪だと思ってる訳とも限らないしな。だからといってステラをいかせるわけにはいかない。これまで何度もステラが危険な目に遭ってきたんだ。これ以上危険な目に遭わせる訳にはいかない)


ダニーはそんな事を考えていた。


「ですがお父様」


ステラは慌てて言った。


「だめなものはだめだ。別の人材をすぐに見つけるからステラは邸で待機しておきなさい」


ダニーは一歩も譲らず言った。


「お父様」


ステラも一歩も譲らず言った。


(お父様が心配する気持ちもわかるけど今はそんな事言ってられないんだよ)


ステラはもどかしさと焦りを感じながらそんな事を考えていた。


「ダニー。今回はステラの気持ちを汲んであげたらどうかしら?」


黙って話を聞いていたミシェルが口を開き言った。


「ミシェル、何を言うのだ」


ダニーは驚き慌てて言った。


「確かに危険かもしれないけれどあなが反対したところでステラはどんな手を使ってでも邸から抜け出して彼らを探しに行くわよ?家族である私達が1番ステラの事を理解しているのでしょう?」


ミシェルは冷静に言った。


ミシェルの言葉にダニーとジョシュアがうろたえた。


「お母様、、」


ステラはしみじみした表情で言った。


(お母様が1番あたしの性格を理解してくれてるわね)


ステラはそんな事を考えていた。


「それにステラだって何も考えなしに自分が行くと言い出した訳ではないでしょうしまずはステラの話を聞いてから決めてもいいんじゃないの?」


ミシェルはさらに冷静に言った。


(ステラはお転婆だけれど何も考えず行動する様な子ではないしましてやラスター公爵様に関しては何よりも知恵を働かしているはずだから)


ミシェルはそんな事を考えていた。


「ステラ、あなたの計画を話してみなさい」


ミシェルが言った。


「はい」


ステラはニカッと微笑みながら言った。


そんなステラにミシェルはふっと笑みを浮かべた。


「ドンクさんとハナさんが行方不明と聞いて色々と考えてみたのですがグレイス様が2人匿っている場所はルノア男爵邸でないかと思うのです」


ステラが真剣な表情で自分の見解を説明した。


「何?!ルノア男爵邸にだと?!」


ダニーは驚き言った。


「どういう事なんだい?」


ジョシュアも驚き言った。


(2人が驚くのも無理ないよね。あたしも最初はそんなわけあるのかな?って思ったくらいだしね)


ステラはそんな事を考えていた。


「恐らくグレイス様はドンクさん達を使って完全に公爵様がグンダリル事件の犯人だという証拠をでっち上げるつもりでしょうから2人を匿っているのがバレては困るでしょうから騎士団が捜索を開始すると読んだ上であえて街中でも山奥でもなく自邸だと考えたのです。ルノア男爵邸は今、グレイス様が刺客に襲われた事件で既に邸内の捜索が行われたところだと思います。グレイス様はそのを逆手に取ったのではないかと考えたのです」


ステラが真剣な表情で説明をした。


「つまり、すでに捜索が入っているから騎士団が2人の行方を追うためにルノア男爵邸を調べることははいとふんだということだな?」


ダニーが説明を聞き言った。


「はい、仰るとおりです」


ステラが頷き言った。


「確かにその仮説なら騎士団がどれだけ彼らの行方を追おうと見つかる心配はなく匿えるというわけか」


ジョシュアが言った。


「はい。それに自邸だと自分達の動きたい様に動けるでしょうしドンクさん達を監視する者を近くに置く必要もありませんから」


ステラが言った。


(色々と考えた結果やっぱりその仮説が一番しっくりきたんだよね。グレイスは悪知恵が働きそうだからその仮説は濃厚だと思うんだよね)


ステラがそんな事を考えていた。


「ですので見張りが手薄な今、ルイルイに同行してもらいルノア男爵邸へ忍び込もうと思います」


ステラが真剣な表現で言った。


(きっとグレイスは今もアーノルドの元に留まってるはずだから今が忍び込むチャンスだからね。アーノルドのくそ野郎がグレイスが〜とか何とかかんだかで一緒にいてあげてるはずだから当分は男爵邸には戻ってこないはず。ルノア男爵は男爵邸にいたとしてもあんなくそ親父の一人くらいどうにでもなるわ)


ステラはそんな事を考えていた。


「アルイを?!」


ダニーが言った。


「はい。今、お父様とお兄様以外に信用がおける人と言えばルイルイしかいません。それにルイルイなら馬にも乗れますし元・騎士団ですので戦力は十分ですから」


ステラが真剣な表情で言った。


「確かにアルイであれば、、」


ダニーは悩むような表情で言った。


「父上、アルイでしたらステラをしっかり護衛できるだけの力はあるのでアルイを同行させる事に私は賛成です」


ジョシュアが真剣な表情で言った。


「お父様、今は一分一秒も無駄に出来ません。グレイス様が皇宮にいる今が忍び込むチャンスなのです」


ステラは焦り気味に懸命に言った。


「わかった。では、アルイを同行させなさい。アルイには私から手紙を書くからアルイに渡してくれ」


ダニーは決断した表情で言った。


「分かりました。お父様ありがとうございます」


ステラはホッとした表情で言った。


「あぁ。だが油断は禁物だからな?危険だと思ったらすぐに引き返すのたぞ?!わかったか?!」


ダニーが真剣な表情で言った。


「分かりました」


ステラは頷きながら真剣な表情で言った。


「よし。では、アルイへの手紙を書いたら私とジョシュアは皇宮に戻る。ルノア男爵邸でラスター公爵家の使用人を見つけたら我邸で一旦保護しておく様に。そしてすぐに早馬で我々に事の旨を伝えてくれ」


ダニーが真剣な表情で言った。


「分かりました」


ステラは頷きながら言った。


「お母様はリサと一緒にドンクさんたちを保護した時の為の用意をお願いします」


ステラは真剣な表情で言った。


「わかったわ。その辺りは私に任せなさい」


ミシェルが頷きながら真剣な表情で言った。


「はい」


ステラは頷きながら言った。


そして、ステラはすぐに出かける支度を整えてアルイへの手紙を持って馬に乗り急ぎアルイの元へ向かった。

アルイの元へ到着してすぐに事の事情をアルイへ説明してダニーからの手紙を渡した。


「事情はわかった。すぐに支度するから待ってろ」


アルイが真剣な表情で言った。


「えぇ」


ステラは頷きながら言った。


そして、アルイが支度を整えると2人で急ぎルノア男爵邸まで馬を走らせた。


(ステラの奴大丈夫なんだろうか。昼間には子供の遺体を見た上にラスター団長がグンダリル事件の主犯として拘束されたなんて)


アルイは前を走るステラの後ろ姿を見て心配そうな表情でそんな事を考えていた。


(本当は不安で仕方ないはずなのに)


アルイは更にそんな事を考えていた。


(いや、そんな事を今考えるよりは俺ができる事を全力でやるまでだ。俺でステラの力になれるならなるまでだ)


アルイは首を軽く横に振るとすぐに真剣な表情でそんな事を考えたのだった。


休むことなく馬を走らせたステラ達は予定よりも早くルノア男爵家の領地へ到着した。

ステラ達はルノア男爵邸付近にある小さな森林に馬をとめて正体を隠すために持参したフード付きの羽織を羽織りスカーフで目から下を覆った。そこから邸までは歩いたのだった。


「正門の警備は2人だけみたいね」


ルノア男爵邸のすぐ目の前まで来てかくれていたステラが言った。


「あぁ。そのようだな」


アルイは頷きながら言った。


「あの2人を気絶させるのはまずいから裏から入りましょう」


ステラが言った。


「あぁ」


アルイが頷きながら言った。


そして、2人は邸の裏側へと急いだ。


邸の裏側には2人警備がいた。


ステラとアルイは瞬時にその警備2人を気絶させた。


(疎かすぎる警備に感謝しなきゃだわ)


ステラは気絶する2人を見て呆れた表情でそんな事を考えていた。


そして、ステラ達は裏口から中へ忍び入った。


(大体、悪人が誰かを匿うのって地下がおなじみだよね?)


ステラはそんな事を考えながら周りを警戒しながら考えていた。


「それにしても中はえらく静かよね?」


ステラが小声で言った。


「あぁ。使用人すら見当たらないな」


アルイが周りを見渡し小声で言った。


「まぁこちらとしては好都合だけどね」


ステラが小声で言った。


その時だった…


どこからか声がした。


「ねぇ?今声が聞こえたわよね?」


ステラが小声で言った。


「あぁ。あちらの方からしたようだな」


アルイが階段らしきもののを方を指さして小声で言った。


(やっぱり地下みたいだね)


ステラはアルイが指さした方を見てそんな事を考えていた。


「行ってみましょう」


ステラが小声で言った。


「あぁ」


アルイは頷きながら小声で言った。


そして、ステラ達は周りを警戒しつつ急ぎ足でアルイが指差した階段をおりた。


階段を降り終える前に近いところから声がはっきりと聞こえてきた。


「おい!大人しく口を開けろと言ってんだろうが」


男性が怒りをあらわにした声で叫ぶ声が聞こえた。


その声を聞いてステラとアルイを顔を見合わせて小さく頷いた。


そして、2人は足音を立てず声のする先へ向かうと扉が見えた。


ステラは無言で扉を指差した。

そんなステラの指差しにアルイは頷いた。


そして、2人は静かに扉の元へとやってきた。

扉には小さな小窓がついていたので2人はそっと小窓から中を覗いた。


ステラは小窓から見える光景に目を見開いた。


(ドンクさんとハナさんだ)


ステラは扉の先にいたドンクとハナの姿を確認した。


(え?ハナさん?!)


ステラはハナの様子を見てゾッとした。


ハナは力なく横倒れていた。 


すると…


「いい加減にしやがれ!この老いぼれ野郎!大人しく口を開けろこの野郎が!」


男が激怒してドンクに向かって言うと思い切りドンクの顔を殴りつけた。


バコッ…


鈍い音がした。


「ぐはぁっっ」


ドンクが鈍い声を漏らしてその場に倒れ込んだ。


「ちっ。手間かけさせやがって」


男が面倒臭そうに言うとドンクの髪を鷲掴みにした。


その時だった…


バーーーン!!


「な、何だ?!」


男が音に驚き慌てて言うと扉の方を見た。


「だ、誰だ?!」


男は扉の前に立っているステラ達を見て慌てて言った。


そう…

ステラは男がドンクに手を挙げる瞬間を目撃して怒りのあまり扉を蹴り開けたのだった。


「よくも、、」


ステラはぼそりと呟くと男を怒りに満ちた目で睨みつけた。


そして、ステラは勢いよく男の元へ走り出した。


「な、なんだ?!」


男はステラの行動に驚き言った。


次の瞬間…


バカッッッ!


その場に鈍い大きな音が響いた。


ステラが男の前に立つと瞬時に勢いよく男の首めがけて飛び回し蹴りを喰らわしたのだった。


「ぐはっっ」


男は鈍い声を漏らしてその場に倒れた。


「かハッ」


男は倒れた後も苦しそうな鈍い声を漏らした。


ステラはそんな男を上から冷たい目で見下ろしていた。

そして、ステラは壁の方へ向い歩き出した。


ステラは壁に掛けられていた鉄の棒を手に取り再び男の元へ戻った。


「な、何をする気だ」


男はステラが鉄の棒を持って自分の前に立ったのを見て鈍い声で言った。


「何って、、これであんたを殴るんだけど?」


ステラはケロッとした表現で言った。


「なっ」


男はステラの突拍子もない言葉に戸惑い言った。


(こいつ何者なんだ)


男はステラを見ながらそんな事をを考えていた。


そして、ステラは躊躇いなく鉄の棒を振り上げた。

そして思い切り男へ振り下ろした。


「や、やめろ!」


男は慌てて言った。


ガッ…!


しかし、男の言葉虚しくステラは男の股間を思い切り叩き上げた。


「ぬぐぐぅっ」


男は口からよだれを垂らしながら悶絶して鈍い声を漏らした。


「まだ足りないわね」


ステラがぼそりと呟いた。


(ドンクさんとハナさんにこんな仕打ちをしておいてこれぐらいで済むとでも思ってんの?!このごみくず野郎)


ステラは怒りに満ちた表情で悶える男を見てそんな事を考えていた。


「おい、落ち着け!今は先に彼らを助け出す事が優先だろ?」


見かねたアルイが慌てて言った。


(まったくステラは相変わらずだな。貴族令嬢が何の躊躇いもなく大の男相手にここまでするとは)


アルイは苦笑いを浮かべてそんな事を考えていた。


(まぁ、だからといってこの男に同情なんてしないけどな)


アルイは男を見下ろしながらざまぁといわんばかりの表情でそんな事を考えていた。


「それもそうね。こんな男にかまってる暇なんてないわよね」


ステラはハッとなり小さく頷きながら言った。


「ドンクさん!ハナさん!」


ステラは倒れている男の下半身を踏みつけながらドンクとハナの元へ駆け寄った。


「ぐゔぅぅっ」


男は再び鈍い声を漏らした。


「あらっ、ごめんなさいね。地面かと思ってつい踏んでしまったわ」


ステラは淡々とした表情で男を見下ろしながら言った。


「まったく」


アルイはそんなステラを見て呆れ笑いを浮かべて呟いた。


「ドンクさん大丈夫ですか?!」


ステラがドンクの体をゆっくり起こしながら慌てて言った。


「ステラ、、様?」


ドンクは薄っすらと目を開けて言った。


「助けにきたのでもう大丈夫ですよ」


ステラはドンクの顔を見て何とも言えない表情で言った。


(ドンクさん短期間で随分やつれた上に殴られて顔がこんなになって)


ステラは胸を痛めながらそんな事を考えていた。


「ありがとう、、ございます」


ドンクは力なくもホッとした表現で言った。


「おい!彼女は急いで運び出した方がよさそうだぞ」


ハナの方に駆け寄っていたアルイが深刻そうな表情で言った。


「え?」


ステラは慌てて言った。


「呼吸がかなり浅いんだ。見たところどうやら急性の中毒症状か何かだと思う」


アルイが更に深刻そうに言った。


「何ですって?!中毒症状?!もしかして、、」


ステラは驚き言うとゾッとした表情になり呟いた。


(もしかしてハナさんはグンダリルを摂取させられたの?!)


ステラはゾッとした表情のままそんな事を考えていた。


「ハナはその男に何か無理矢理飲まされた後に急にぐったりして意識を無くしてしまったのです」


ドンクが泣きそうな表情で言った。


(間違いないわ。ハナさんはグンダリルを摂取させられたんだわ。まったく何て奴らなの?!100パーグレイスの指示だろうね。グレイスのやつ本当に許せない)


ステラは怒りでどうにかなりそうになるのを必死で堪えながらそんな事を考えていた。


「事情は分かりました。すぐにバートン公爵邸にお二人を連れ帰るのでもう少しだけ辛抱して下さいね。邸に着いたらすぐにお二人をお医者様に診てもらいますので」


ステラは悔しくて腹立たしいのを必死に抑えながら言った。


「ありがとうございます」


ドンクはホッとした表現で力なく言うとそのまま気を失ってしまった。


「ドンクさん!」


ステラが慌てて言った。


「大丈夫だ。きっと気が抜けて気を失っただけだろう。一先ず早く2人をここから連れ出そう」


アルイが冷静に言った。


「分かったわ」


ステラは一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせて言った。


(ルイルイの言う通りね。今はあたしが混乱してる場合じゃないよね)


ステラはそんな事を考えていた。


「俺が彼をおぶるから彼女を頼んだ」


アルイがドンクの体を引き起こしながら言った。


「任せて」


ステラは頷きながら言った。


「この男はどうしよう。ドンクさん達を痛めつけた奴だからこの男も連れて帰りたいんだけど」


ステラは困った表情で言った。


「一先ず2人を先に外へ出した後でこの男も外へ出そう。この様子だと当分目を覚まさないだろうからどこか見つからない場所に放置しておいて俺がもう一度ここへ戻ってしてこの男を連れ帰るから」


アルイが言った。


「分かったわ。そうしましょう」


ステラは頷きながら言った。


そして、ステラ達は気絶したままの男を部屋にあったロープで鼻から身体までをぐるぐる巻きにして目隠しをして身動きできないようにした。

その後ドンクとハナを邸の外へ連れ出し男も連れ出した。


そして、ステラ達はドンク達を馬に一緒に乗せて持参していた毛布で2人を覆い急ぎバートン公爵邸へと向かった。


(いくら一度皇室騎士団が捜索したとはいえあまりにも警備が疎かすぎない?男爵も不在だったみたいだしね。バスティンに罪を擦り付けたから余裕でもかましてるわけ?まぁこっちからしたら好都合だったしいいけどね)


ステラは馬を走らせながらふとそんな事を考えていた。


ステラ達がバートン公爵邸に到着した。

アルイはドンク降ろすとすぐにルノア男爵家の領地へ戻った。


事前にミシェル達にお願いしていた事もありすぐにドンクとハナは診察を受けた。


ハナは予想通りグンダリルを摂取した事により急性の中毒症状を引き起こしていた。

しかし、幸い摂取してから長い時間が経っていなかったので胃の洗浄を行い素早い処置した事で中毒症状は治まったのだった。


ステラはドンク達が処置を受けている間にダニーへ手紙を書いて早急に早馬を騎士団へ送り出したのだった。


そうこうしているとアルイが男を連れて戻ってきた。


ステラは男を縛り上げて目隠しをしたまま剣の稽古場のど真ん中に放置した。

自害防止の為に口の中に大量の布を詰め込んで再びロープを巻いた。


(ドンクさんたちとこの男が居なくなったと気づけばさすがにグレイスも焦るはず。まさかあたしが連れ出したとまでは予想できないだろうから血眼になってドンクさんたちとこの男を探すはずだよね。探している間にボロが出てくれたらいいけどグレイスは悪知恵が働くだろうしそんな簡単にはボロを出しそうにないからこっちも慎重に動かなきゃだよね)


ステラは男を見下ろしながらそんな事をを考えていた。


「一先ず、ドンクさんもハナさんもしっかりと体を休めれば回復するみたいだし良かった」


ステラが呟いた。


(もう少し助けるのが遅かったらどうなってたか考えるだけでゾッとするよ)


ステラは表情を歪めてそんな事を考えていた。


(きっとドンクさんとハナさんにグンダリルを摂取させて更にバスティンがグンダリル事件の主犯だと決定づけるつもりだったに違いないわ。何の罪もないドンクさんたちまで巻き込んで命の危険にまでさらすなんてね。本当にヒロインがあんなにサイコパス女だったなんてね)


ステラは怒りに満ちた表情でそんな事を考えていた。


「はぁ、、バスティンは大丈夫なんだろうか。拘留中に何か酷いこととかされてないだろうか。心配でたまらなくて胸が苦しい」


ステラはグッと胸元を押さえて切ない表情で呟いたのだった。


そして、あっという間に夜になった。


ステラはドンクとハナの側についていた。

2人共にまだ目を覚まさしていなかった。

ステラは2人が早く目を覚ますのを近くで見守っていたのだった。


コンコンッ…


その時、部屋の扉が鳴りダニーが入ってきた。


「お父様?」


ステラが驚き言った。


「2人の様子をどうだ?」


ダニーがドンク達を見て言った。


「まだ目を覚まされていませんがいずれ目を覚ますだろうとのことです」


ステラが言った。


「そうか」


ダニーがホッとした表情で言った。


「それよりお父様が何故ここへ?」


ステラが驚き言った。


「、、実はな、少しだけだがバスティンとの面会ができる事になったからステラを迎えに来たんだ」


バダーが複雑な笑みを浮かべて言った。


「え?!それは本当ですか?!」


ステラがダニーの言葉に驚きのあまり勢いよく立ち上がり言った。


「あぁ。少しだけだがな」


ダニーが頷きながら言った。


(本当にバスティンに会えるの?!やったわ)


ステラは笑みを浮かべて言った。


「わかりました。すぐ支度をしますね」


ステラは嬉しさのあまり満面の笑みを浮かべて言った。


「あぁ。馬のところで待っているから支度が出来たら出てきなさい」


ダニーが優しい表情で言った。


「はい」


ステラは笑顔で頷きながら言った。


そして、ステラはリサを呼び急ぎ支度をし始めた。


(バスティンに会える。会えるなんて思ってなかったから嬉しいな)


ステラは支度をしながら嬉しそうにそんな事を考えていたのだった。


そして、ステラは支度が済むとダニーの元へと急ぎダニーの馬に同乗して皇宮へと向かった。


皇宮に到着するとステラはダニーに連れられて表ではなく裏から宮内に入り薄暗い道を通り進んだ。


(皇宮内にこんな辛気臭い場所があったなんて知らなかったわ)


ステラは周りを見渡しながらそんな事を考えていた。


「お父様、公爵様に会えると仰ってましたけど一体どこで会えるのですか?」


ステラが言った。


「この先にバスティンがいるのだ」


ダニーは前を見たまま言った。


「そうなのですね」


ステラは小さく頷きながら言った。


そして、しばらく前へ進むと更に薄暗い空間に到着した。

その空間を更に進んだ。


「サティス殿」


するとダニーが止まったかと思えば前にいる人物へ言った。


(え?サティス?)


ステラは耳を疑った。


「お待ちしていました」


すると、サティスが言った。


「えっと、どうしてサティス様が?」


ステラは混乱気味に言った。


(はぁ?サティス?何でサティスがここにいるわけ?サティスはアーノルドの手下だよ?一体どういうこと?)


ステラは目の前の状況を把握しきれないまま混乱気味にそんな事を考えていた。


「サティス殿がバスティンへの面会を許可して下さったのだ」


ダニーが言った。


「サティス様が?」


ステラは驚き言った。


(何でサティスが?何が狙いなわけ?サティスが許可したってアーノルドの許可じゃなくて?意味がわからない)


ステラは疑いのこもった目をしてサティスを見てそんな事を考えていた。


「はい。私の独断ですが、、」


サティスは苦笑いを浮かべて言った。


「殿下はこの事を知らないということですか?」


ステラは目を細めて言った。


「はい」


サティスは頷きながら言った。


「どうしてですか?そんな事をして殿下にバレたらどうするおつもりですか?」


ステラは更に目を細めて言った。


(サティスの主君であるアーノルドに内緒にしてまでそんな事をする真意は何なの?!)


ステラはそんな事を考えていた。


「バレてしまった時はバレてしまった際に考えます」


サティスは笑みを浮かべて言った。


「どうして、、」


ステラが意味がわからないという表情で言った。


「あの日、助けていただいたお礼が出来ていませんでしたのでこの様な形で申し訳ありませんがあの時に助けて頂いたお礼です」


サティスは微笑みながら言った。


(あの日、あなたが助けてくれなければ私はここでの今の立場はなかっただろうからな。何の躊躇いもなく助けてくれたあなたがいたから今の私がいるから。ラスター団長がこんな事になってしまってあなたはきっと悲しんでいるだろうと思ったから。あなたには悲しんで欲しくないから。少しでもあなたの役に立ちたかったから)


サティスはふっと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。


「ですが」


ステラは戸惑いながら言った。


(お礼って言ったて自分の立場が危うくなる行為をしまで?)


ステラは戸惑いながらそんな事を考えていた。


「とにかくあの時のお礼だと思ってください。それよりもこちらへどうぞ。この先にラスター団長がいらっしゃいますので」


サティスがふっと微笑みながら言うとハッとなり急ぎ口調で言った。


「は、はい」


ステラは思わず慌てて言った。


(まぁいいか。バスティンに会えるならサティスがどうこよりご厚意に甘えるべし)


ステラはそんな事を考えていた。


そして、ステラはサティスとダニーと共に更に先へ進んた。


そして、少しするとサティスとダニーが足を止めた。


「こちらです」


サティスがステラへそう言った。


(あっ、、)


ステラはサティスに言われて目に入ってきた光景に表情を歪ませそんな事を考えていた。


「公爵、、様」


ステラは声にならない声で呟いた。


ステラの目に入った光景は牢屋の中の壁に寄りかかり座っているバスティンの姿だった。


「ステラ、、嬢?」


バスティンはステラの声を聞きとても驚いた表情で言った。


(何故彼女がここへ?)


バスティンは戸惑い気味にそんな事を考えていた。


ガチャッ…


「あまり長くは滞在させて差し上げられませんが10分程は大丈夫ですので。また10分後に声をかけさせて頂きますね」


サティスが牢屋の扉を開けると複雑な表情でステラへ言った。


「分かりました。ご厚意感謝致します」


ステラが頭を下げながらサティスへ言った。


サティスもステラへ頭を下げた。


そして、ステラが牢屋へ入ったのを確認するとサティスとダニーはその場から離れたのだった。


「公爵様!」


ステラはダニー達が居なくなったのを確認するとはすぐにバスティンに駆け寄り心配そうな表情で言った。


「公爵様大丈夫なのですか?誰かに酷い目に遭わされたりしていませんか?食事はきちんと摂らせてもらっているのですか?!こんな寒い場所なのにどうして防寒する物がないのですか?!どうして公爵様がこんな事に」


ステラは泣きそうな表情でバスティンの顔や体を確認しながら言った。


「誰かが公爵様に酷いことをしたのなら言ってください。私がこてんはんに叩きのめしてやりますから」


ステラは怒った表情で言った。


(どうして無実のバスティンがこんな目に遭わなきゃなんないのよ)


ステラは悔しくて腹が立ってそんな事を考えていた。


「ス、ステラ嬢が何故ここへいるのだ?!今は誰とも接触禁止なはずだが」


バスティンは驚き慌てるステラの肩を優しく持ち言った。


「サティス様が以前サティス様を助けたお礼と言って公爵様に会わせて下さったのです」


ステラが説明した。


「サティス殿が?しかしサティス殿は殿下の、、」


バスティンが驚きと戸惑いの混じった表情で言った。


「今はそんな事より公爵様の事です。すぐにここから出られる様にして差し上げますからもう少しだけ辛抱して下さい。公爵様に罪をなすりつけた事を真犯人に後悔させてやりますから」


ステラは怒りに満ちた表情で言った。


(バスティンったらこんな短時間でやつれてしまって)


ステラは泣きそうになるのを堪えてそんな事を考えていた。


「、、そういう事か」


急にバスティンが何かを察した様に呟いた。


「何の事ですか?」


ステラはバスティンの言葉の真意が分からず言った。


「何故サティス殿が今ステラ嬢を私の元に連れてきた理由を理解したからだ」


バスティンは複雑な表情を浮かべて言った。


「それは一体どいうい意味ですか?」


ステラは意味が分からないという表情で言った。


(理由ってなんなの?なのんのこと?)


ステラは戸惑いながら言った。


「やはり師匠から何も聞かされてないのだな」


バスティンはフッと笑みを浮かべて言った。


(娘を溺愛する師匠が言えるはずもないか)


バスティンはそんな事を考えていた。


「何をですか?一体何のことを言っているのですか?」


ステラは困惑気味に言った。


「2日後に貴族会議が行われるのだ」


バスティンが言った。


「貴族会議?」


ステラが言った。


「あぁ。陛下及び殿下の元貴族達が集まりその会議で私の処分を決めるそうだ」


バスティンは淡々と言った。


「はい?」


ステラは耳を疑うような表情で言った。


「どうやらルノア男爵親子が私の早急な処分を求めているらしい。今日ルノア男爵が皇宮へ来て陛下に謁見を求めて貴族会議を開く様にお願いしたそうだ」


バスティンが言った。


(だからルノア男爵邸に男爵がいなかったのね)


ステラはハッとなりそんな事を考えていた。


「どうやらルノア男爵親子は私の処刑を求刑したいと申しているようだ」


バスティンは呆れた表情で言った。


「なんですって?!」


ステラは思わず声をあげて言った。


「ステラ嬢、声が大きいぞ?」


バスティンはフッと笑みを浮かべて言った。


(本当に相変わらずだな)


バスティンはステラを見てそんな事を考えていた。


「処刑処分だなんてありえません。そもそも公爵様は何の罪も犯していないのですよ?!」


ステラは怒りを抑えながら言った。


(あのくそ親子。本当に頭がおかしくなったようだね)


ステラはそんな事を考えていた。


「だとしても私の罪だと立証できる証拠が出ている以上どうにもな」


バスティンは複雑な表情で言った。


「証拠って。あれも全て犯人が公爵様に罪を被らせる為にでっちあげた証拠なのですよ?!」


ステラは怒りをあらわにして言った。


「そうだとしても身分バッジが私の手元からなくなりそれが証拠として出てきた以上でっちあげられたと言っても通用しないだろう」


バスティンが言った。


「身分バッジは常に身につけている分身といっても過言ではない大切なものだからな」


バスティンがさらに言った。


「それだってどうせ犯人が何かしらの手を使って、、」


ステラがそう言おうとした時何かに気づいた。


「公爵様、身分バッジをなくされたのは花祭りの日からではないですか?」


ステラが言った。


「あぁ。どう考えてもなくしたのは花祭りだろう。その後ないことに帰宅して気付いたからな」


バスティンが頷きながら言った。


「しかし、なぜその事を知っているのだ?」


バスティンが言った。


「恐らく、バッジを公爵様から盗んだのはユージャンです」


ステラが真剣な表情で言った。


「ユージャン?」


バスティンが言った。


「花祭りの日にぶつかってきたあの男の子です」


ステラが腑に落ちたような表情で言った。


(きっとグレイスがユージャンを使ってバッジを盗ませたんだわ。最初からグレイスはユージャンを知ってたんだわ。だからユージャンを送るフリをしてユージャンからバッジを受け取りその後に証拠を隠滅するかの様にユージャンを手にかけたんだわ)


ステラは信じられないという表情で言った。


「あのときの子供が何故そんなことを?!」


バスティンは戸惑い気味に言った。


「それは、、」


そしてステラはバスティンが拘束された事を聞かされるまでの出来事をバスティンへ説明した。


「そんなた事があったのか。まさかあの少年が亡くなったとは。それも殺害されたなど」


バスティンは動揺が隠しきれなかった。


「グレイス様は天使の皮を被った悪魔です」


ステラは怒りに震えながら言った。


「だが、だとしても貴族会議で出た結論を覆す事は難しいのだ」


バスティンは諦めた様な表情で言った。


(これまではいつ死んでもいいと思っていたが今は死にたくないという気持ちが大きい事に自分でも驚きだな。きっと私が死ねばステラ嬢が悲しむだろうという気持ちもあるがステラ嬢と未来を生きたかったという気持ちが大きいな。ステラ嬢との関係が幸せすぎて私とした事が油断してこのざまか、、)


バゲットはなんとも言えない表現でそんな事を考えていた。


「公爵様が諦めてどうするのですか?!公爵様が諦めたら終わりなのですよ?!犯してもいない罪で処刑されようとしているのですよ?!それを黙って受け入れるつもりですか?!」


ステラはバスティンの顔をガッと持ち言った。


「私は諦めません。諦めてたまるもんですか!」


ステラは半泣きになりながら言った。


(このままじゃ"オンラブ"の原作通りにバスティンが処刑されちゃうじゃん!しかも悪役令嬢のあたしとじゃなく1人だよ?!そんなことがあってたまるかっての。あたしがステラに転生した時からバスティンを幸せにするって決めたんだからバスティンが死ぬなんてありえない)


ステラは半泣きでそんな事を考えていた。


「だから、公爵様もそんな簡単に諦めないで下さい。大切な命をあんなゴミクズみたいな人たちのために投げ出さないで下さい」


ステラは涙が溢れそうな一歩手前の標準で必死に言った。


「それに、、公爵様が死んでしまったら私は一生お嫁に嫁げず独り身ですよ?もしくは私の事をとーっても好いてくれる人が現れてその人と結婚すするかもしれませんよ?いいのですか?それに死んでたとえ転生したとしても私ほど公爵様を愛してくれる人間なんて何度転生したって現れはしませんよ?公爵様を死に追いやった恨みといってこの帝国を私が滅ぼす悪魔になるかもしれませんよ?死んでしまったらもう私と一緒に過ごして手を繋いだでキスをしてキスと先の事も出来なくなるのですよ?本当にそれでも冤罪を受け入れ処刑処分を受け入れるつもりですか?!」


ステラはいつの間にか大粒の涙を溢しながらバスティンの胸元をポコポコと叩きながら必死に言った。


「私をそんなに悲しませたいのですか?」


ステラは訳が分からず泣きじゃくりながら言った。


ガバッ!!


その時…


バスティンが泣きじゃくるステラを思い切り抱きしめた。


「公爵様?」


ステラは急に抱きしめられて驚きのあまり一瞬で涙が引っ込み言った。


「すまなかった。私が悪かったからもう泣かないでくれ」


バスティンがステラを強く抱きしめながら言った。


「私も生きたい、、」


バスティンがボソリと呟いた。


「公爵様、、」


ステラがその言葉を聞き呟いた。


するとバスティンがステラから体を離してステラを見た。


「私はいつ死んでもいいと思い生きてきた。しかし、ステラ嬢に出会い私の世界は変わったのだ。こんな私に何の躊躇いもなく愛情を向けてくれたステラ嬢という存在がいつしか私にとってとても大切でなくてはならない存在となっていた。しかし、このような事になりやはり私のような者は幸せになる資格がないのだと思った。だが、こうして目の前にステラ嬢がいてくれる事で死にたくない、、君と友に未来を生きたいと思ったのだ」


バスティンは涙を流しながら言った。


「公爵様」


ステラはバスティンの言葉と涙に驚きを見せながら言った。


「こんな私と未来を生きていってくれるだろうか?」


バスティンが更に涙を流し言った。


「もう!そんなの当たり前じゃないですか」


ステラは涙を流しながら笑顔で言った。


「ありがとう。諦めないでくれて。私も最後まで諦めない事を約束しよう」


バスティンがふっと笑みを浮かべて言った。


「本当に本当に約束ですよ?」


ステラはそう言うと笑顔でバスティンに約束の証の小指を差し出した。


「あぁ」


バスティンは頷きながらそう言うと微笑みながらステラが差し出した小指に自分の小指を絡ませた。


「指切り〜げんまんっ嘘ついたら針千本の〜ますっ!指切った」


ステラは歌いながら指切りをした。


(本当に私はステラに救われてばかりだな)


バスティンはステラを見て優しい表情でそんな事を考えていた。


「ステラ嬢」


バスティンが言った。


「はい?」


ステラは微笑みながら言った。


「愛してる、、」


バスティンはとても優しい表情でステラの目を見て言った。


「、、、」


ステラはバスティンの言葉を口をポカンと開けて聞きフリーズしていた。


「ステラ嬢?」


バスティンはフリーズするステラに戸惑いつつ言った。


(こんな状況下で言うべきでなかったか?ステラ嬢を見ていたら自然と口にしてしまったがこんな時に言われても困ったのだろうか)


バスティンは戸惑いつつそんな事を考えていた。


「最悪です〜」


ステラがまた泣きながら言った。


「す、すまない」


バスティンは泣くステラに慌てて言った。


(やはり迷惑だったのか)


バスティンは内心ショックを受けてそんな事を考えていた。


「違います。公爵様が悪いのではありません。せっかく夢にまで見て妄想までして聞きたかった言葉を公爵様が言ってくれたというのに今の私は涙と鼻水と汗でぐちゃぐちゃなので最悪だと思って、、。せっかくならとびきりめかし込んだ状態で受け止めたかったのです」


ステラがズビズビ泣きながら言った。


(チクショー。こんなブスな状態で前世からバスティンに言ってほしいと思ってた言葉No.1単語を聞くなんてぇー)


ステラはそんな事を考えていた。


「ハハ。本当にどうして君はそんなにブレないのだ」


バスティンは心からホッとした表現で笑みを溢しながら言った。


(本当にステラ嬢の言動1つでここまで自分の心が揺さぶられるとはな。こんなに泣きじゃくる姿ですら愛おしいと思ってしまう)


バスティンは優しい表情でステラを見てそんな事を考えていた。


「では、もう抱きしめない方がいいか?」


バスティンが困り笑みを浮かべて言った。


「そんな事あるわけないじゃないですか」


ステラはバッとバスティンを見て言うと思い切りバスティンに抱きついた。


「夢や妄想かもしれないのでもう一度言って下さい」


ステラはバスティンに思い切り抱きついたまま言った。


「、、愛してる。本当に心から君を愛してる」


バスティンはステラを抱きしめながら優しく言った。


「私も愛しています。何なら私の方が何億倍も愛しています」


ステラは泣き笑いをしながら言った。


「ハハ」


バスティンはステラのらしさに思わず笑みをこぼした。


「今、とってもキスしたい気分なのですけど」


ステラが言った。


「ハハ。困ったな。私も同じ事を考えていた」


バスティンが笑みをこぼしながら言った。


(デレバスティン乙。最高すぎる。バスティンに愛してるって言われただけでも漏らしちゃいそうかくらい幸せなのに更にデレ見せられたらたまらない。我慢できなくなっちゃうじゃん)


ステラはヨダレが垂れそうなのを堪えてそんな事を考えていた。


そして、2人は少し体を離すと顔を見合った。

そして、2人はキスをしようと顔を近づけた。


その時…


「ゴホンッ!」


大きな咳払いが響いた。


ステラとバスティンは驚き振り向いた。


そこにはダニーが今にも人を殺めてしまいそうなオーラを出して立っていた。


(げっ。お父様)


ステラはヤバいという表情でそんな事を考えていた。


「10分が経ちました」


サティスが苦笑いを浮かべて言った。


「もう10分経ちましたか。分かりました」


ステラはまるで何事もなかったかの様に言った。


(もう!バスティンとキスするところだったのにいいとろこで邪魔するんだから)


ステラは不満気にそんな事を考えていた。


「ステラ。時間なのだから早く出てくるのだ」


ダニーがムスっとしながら言った。


「バスティン!お前はいつまでステラをそうしている気だ?!早くステラから離れろ」


ダニーは鬼の面相で言った。


「お父様、すぐに出ますから公爵様にその様な言い方をするのをやめてもえますか?!そもそも私が公爵様に抱きついたというのに」


ステラは不満気に言った。


「なっ、ステラ」


ダニーステラにそう言われて慌てて言った。


(令嬢がラスター団長を想っているのは知っていたがいざこういう光景を目の当たりにするのは複雑な気分だな。だが、令嬢が笑顔になれるのならばそれでいいか)


サティスはステラを見ながら複雑そうにそんな事を考えていた。


「公爵様。もう少しだけ待っていて下さいね。必ず私が公爵様をここから出してさしあげますから」


ステラは真剣な表情で言った。


「あぁ。分かった。だが絶対に危険な真似だけはするなよ?」


バスティンが真剣な表情で頷きながら言うと少し心配そうな表情で言った。


(彼女は猪突猛進なところがあるから心配だな。ここにいる限り近くで守ってやる事が出来ないのがもどかしい限りだな)


バスティンはそんな事を考えていた。


「分かってますよ」


ステラはニカッと笑って言った。


(ごめんなさい。きっとあたしがしようとしている事は危険がつきものだと思う。だけど大丈夫。バスティンの為ならどんなに危険な状況でも無傷で終わらす覚悟だから)


ステラはそんな事を考えていた。


「その代わり公爵様の無実が証明されてここを出た暁には公爵様でなくバスティン様と呼ばせて下さいね」


ステラはドヤ顔で言った。


「ハハハ。まったく。あぁわかったよ。好きなだけ呼ぶといい」


バスティンは笑みをこぼしながら言った。


(バスティンがあのような表情をするとはな。つい10分前までは全てを諦めたような顔をしていというのに。きっとステラのお陰なのだろうな。きっかけがステラなのは腹立たしいがバスティンが表情豊かになる事は喜ばしいことだな)


ダニーはステラとバスティンのやり取りを見て少しだけ表情を緩めてそんな事を考えていた。


「ありがとうございます」


ステラは満面の笑みで嬉しそうに言った。


(本人から名前呼びの許可GET!)


ステラは嬉しそうにそんな事を考えていた。


そして、ステラは名残惜しそうに牢屋から出た。

バスティンが見えなくなるまでバスティンを見ながらその場を後にしたのだった。


(バスティンすぐにそこから出してあげるから)


ステラはそんな事を考えていたのだった。


「短い時間しか会わせて差し上げる事が出来ず申し訳ありませんでした」


サティスは申し訳なさそうにステラへ言った。


「とんでもありません。会わせて頂けただけで十分ですから。本当にありがとうございました」


ステラは頭を下げながら言った。


(最初は何か裏があるんじゃないかって思ったけど本当にサティスの厚意だったからね。ありがたい以外にないわ。それにバスティンに会えたお陰でグレイスが犯人だって証明できるかもしれない突破口も見えたしね)


ステラは真剣な表情でそんな事を考えていた。


「それでなのですが折り入ってお父様とサティス様にお話がございます」


ステラは真剣な表情でダニーとサティスへ言った。


「そんなに改まって話とは一体何だ?」


ダニーが言った。


「はい。お話というのは、、」


ステラが真剣な表情で2人へ話し始めたのだった……

ご覧頂きありがとうございます★


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