17.じゃじゃ馬令嬢は推しへの贈り物の為に鍛錬する
(こんな事してる場合じゃないのに、、。)
ステラは今にも大きなため息が出そうなほどの表情を浮かべて考えていた。
ステラは今…
ダニーとミシェル、ジョシュアと共にダニーの執務室へいた。
「ステラ体は大丈夫なのか?どこか痛いところや気分が悪いなどはないか?」
ダニーが心配そうにステラへ言った。
「スー、気分が優れない様ならすぐに言うんだぞ?」
ジョシュアも心配そうに言った。
「大丈夫です。ぐっすり眠ったお陰か特に体調が悪いなどはありません。頭痛や気分が悪いなどもありませんから。」
ステラが言った。
(幸い二日酔いとかはないんだよね、、。ステラは相当お酒に弱い体質みたいだけどね。前世のあたしなら一口お酒飲んで酔うなんてありえないんだけどね。というかそれよりもリサから聞いた話で今は頭がいっぱいなんだよね、、。)
ステラはそんな事を考えていた。
※
今朝、目が覚めたステラは頭がボーッとしていた。
「あれ、、?あたしいつの間に帰ってきたんだろう、、。」
ステラはボーッとしながら呟いた。
(確か、、昨日騎士寮でダンテさんにもらったジュースを飲んだら実はそれお酒だったんだよね、、。それで一口飲んだら急に頭がクラクラしてきて、、ん〜、、そこからどうなったんだろう。全然覚えてないわ。)
ステラは昨日の事を思い出しながら考えていた。
そこへ…
コンコンッ。
「ステラ様。リサです。」
リサがステラの元へ訪れた。
「入って。」
ステラが言った。
「失礼します。」
リサが言うと部屋へ入ってきた。
「ステラ様おはようございます。」
リサが部屋のカーテンを開けながら言った。
「んん、、おはよう。」
リサはカーテンが開き窓から入る陽の光を浴びて眩しそうにしながら言った。
「ステラ様。どうぞ、お水です。」
リサがステラへ水を差し出し言った。
「ありがとう。」
ステラはリサから水を受け取り言うと水を飲み干した。
「あぁ、、。美味しいわ。目が覚めたわ。ありがとう。」
ステラが微笑みながら言った。
「良かったです。」
リサが微笑みながら言った。
「ねぇリサ。昨日私どうやって帰ってきたの?昨日、騎士寮でジュースと間違えてお酒を飲んでしまったのだけど途中から何も覚えてなくて、、。お父様達が連れて帰ってきてくれたの?」
ステラがリサへ尋ねた。
「、、いえ。ステラ様を連れ帰って下さったのはご主人様ではなく、、ラスター公爵様です。」
リサは一呼吸吸ってから言った。
「あぁ、、ラスター公爵様ね、、、って?!ん?!え?!は?!今何て言ったの?!」
ステラは平然として言うとすぐにハッと表情を変えて声を大きくして言った。
「昨夜、騎士寮からステラ様を連れ帰って下さったのはラスター公爵様です。」
リサがはっきりと言った。
「なんですってーーー!!」
ステラは驚きと困惑の混じる表情で叫んだ。
(バ、、バ、バスティンがあたしを連れ帰ってくれたってーー?!そんな、、。まったく覚えてないし。)
ステラは困惑しながら考えていた。
「な、何故ラスター公爵様が?!」
ステラが困惑したままリサへ言った。
「ステラ様が騎士寮で倒れられてすぐにちょうど公爵様が騎士寮へ戻られた様で、ご主人様と坊ちゃまはお戻りになるまで時間がかかるとのことで奥様と面識のある公爵様がステラ様のことを引き受けて連れ帰って下さったようです。」
リサがバスティンから聞いた流れをステラへ説明した。
「そうだったの、、。」
ステラは困惑したまま言った。
(てゆうか、本当に何にも覚えてないんだけど、、。まさかバスティンが送ってくれるなんて思うわけないじゃんよぉ〜。バスティンに会いたくて騎士寮で待ってたのにせっかくバスティンに会えたのに記憶ないとかどゆこと?!最悪すぎるよ〜。お酒の馬鹿野郎!お酒激弱体質馬鹿野郎〜!)
ステラはそんな事を考えていた。
(でも、、倒れてたあたしを抱き抱えて馬車まで連れてってくれたのもバスティンってことだよね?てことは、またバスティンに抱っこされるラッキーステラだったってことだよね?!それはそれで最高じゃん!またバスティンの胸のぬくもり感じたってことでしょ?最高すぎて死ぬ。いや、でもそれを覚えてないとか最悪じゃん!)
ステラは喜怒哀楽を混じえながら考えていた。
「ちょっと、、。私本当にまったく覚えてないのだけれど公爵様に粗相なんてしてないわよね?」
ステラは急にハッとなりリサへ尋ねた。
「粗相、、。そうですね、、。」
リサが考える様に言った。
「強いて言うのらば、、ステラ様がラスター公爵様のお洋服によだれを垂らしていたことですかね、、。」
リサはサラッと言った。
(奥様から公爵様がステラ様を部屋まで運んでもらい部屋の中を見られた事はあえて伝えたなくてもいいと言われているものね。)
リサはそんな事を考えていた。
「な、な、な、、なんですって?!私がよだれを?!」
ステラは驚愕しながら叫んだ。
(オーマイゴッツ!どらえらいことしちゃったわぁ。キスでもなくハグでもなく、、よりによってよだれを垂らすなんて!)
ステラは驚愕しながらそんな事を考えていた。
「なんていう粗相、、。」
ステラは驚愕したまま呟いた。
「それで、、公爵様はすぐにお帰りに?」
ステラがげっそりした表情でリサへ言った。
「はい。ご主人様と坊ちゃまが戻られたら面倒なことになるのでご主人様達が戻られる前にお帰りになられました。」
リサが説明した。
(公爵様はご主人様たちの事をしっかり理解していたわね。公爵様にあの状況でご主人様たちが帰宅したらどうなるかと言われた時に奥様も私
も一瞬で意味を理解できたくらいだし。)
リサはそんな事を考えていた。
「確かにお父様とお兄様と鉢合わせにならなくて良かったわ。」
ステラが頷きながら言った。
(バスティンがわざわざ送ってくれた
としてもお父様達のことだからバスティンにやんやん言ってたに違いないんね。さすがバスティン。よくお父様達の事を理解してるわ。)
ステラは感心しつつそんな事を考えていた。
(てゆうか、まさかバスティンがこの部屋まで送ってくれた訳じゃないよね?!あくまで玄関までだよね?!さすがにお母様でも独身女の部屋にいくらお父様の弟子だからってバスティンを入れないよね。さすがにバスティン本人にこのバスティンワールドを見られたら恥ずかしいもんね。でも、リサの様子からしてバスティンがこの部屋に入ったとかはなさそうだよね。)
ステラはそんな事を考えていた。
(って、そんなことより早く支度してバスティンに会いに行って昨日の事を謝らないと、、。ついでに昨日の話をバスティンからも聞かなきゃ。)
ステラはハッとなりそんな事を考えていた。
「リサ。出かけるから支度をお願い。」
ステラが慌ててリサへ言った。
「ステラ様、お出かけになる前にご主人様がお呼びでしたのでご主人様の元を訪れて下さい。」
リサが言った。
「え?お父様が?」
ステラは驚いた表情で言った。
「はい。恐らく昨日の事でお話があるのでしょう。」
リサが苦笑いを浮かべて言った。
「、、はぁ、、。わかったわ。」
ステラは間を空けてから大きなため息をついて言った。
(バスティンに会いに行く前にお父様とお兄様を片付けろってことね。はぁ、、。)
ステラはため息をつきながら考えていた。
※
そして…
今に至っている。
「そうか、、。それならば良かった。昨夜、ペーターからステラが間違えてお酒を口にして倒れたという話を聞いた時は心臓が止まるかと思ったぞ。」
ダニーはホッとした表情を浮かべて言った。
「急ぎ邸へ戻った時にはすでにバスティンがステラを連れ帰ってバスティンは帰った後だったが邸へ戻るまでの道のりは私も父上も気が気ではなかったよ。」
ジョシュアはホッとした表情を浮かべて言った。
「本当にご心配おかけしました。」
ステラは申し訳なさそうに二人へ言った。
「いや、ステラに何もなかったのだったらいいのだ。それより、、ダンテにはきつく言っておく必要があるな。ステラへ酒を渡したのだからな、、。」
ダニーは優しく言うもすぐに表情を歪めて言った。
「はい。これは許される事ではありませんからね。」
ジョシュアも表情を歪めながら言った。
「ちょっと!お父様、お兄様。ダンテさんはただ騎士の皆さんにと思い私にお酒を渡して下さったのです。それに勝手にジュースだと勘違いしたのは私です。ですのでダンテさんやペーター様達騎士の方たちへとやかく言うのはやめて下さい!」
ステラは強めに二人へ言った。
「いや、しかしだな、、。一歩間違えたら大変なことになっていたかもしれないのだぞ?!」
ダニーは強めに言うステラに戸惑い気味に言った。
「実際には大丈夫だったのですから。それに私も今後は何かを渡された際にはきちんと確認しなければならないということを学べましたから今回の件についての話はここまでということにして下さい。お願いします。」
ステラがダニーへ頭を下げながら言った。
「ステラ!あ、頭を上げなさい。」
ダニーがそんなステラに慌てて言った。
ジョシュアも慌てていた。
「では、今回の件についての話はこれで終わりにして下さいますね?」
ステラが言った。
「あぁ、、。わかった。約束するよ。」
ダニーは歯切れ悪く言った。
「ありがとうございます。お父様!お兄様!」
ステラは笑顔で言った。
(よし!これでダンテさんやペーターさんたちがお父様達にやんやん言われる事はないね!この二人はガツンと言っとかないと本当にあたしの事となるとすぐやんやん言うからねぇ。)
ステラはそんな事を考えていた。
(よし!この話は終わったしあたしは急いで用意してバスティンの元へ向かうぞー!!)
ステラはそんな事を考えていた。
「それでは、私はこれで失礼してもよろしいですか?」
ステラは微笑みながらダニーへ言った。
「え?いや、、まだ話があるのだ。」
ダニーが言った。
「はい?話ですか?」
ステラはに??という表情で言った。
(話って何だろう?早くバスティンのとこに行きたいんだけどなぁ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「あぁ。」
ダニーが頷きながら言った。
「ステラ。ラスター公爵のところへ行こうとしていたの?」
黙っていたミシェルがダニーとステラの会話を割って入り言った。
「え?あ、はい、、。」
ステラは驚いた表情で言った。
「何?!バスティンのところへ?!」
ダニーが慌てて言った。
「えぇっと、、。昨夜の件でお詫びとお礼をお伝えしようかと思いまして。」
ステラは少し気まずそうに言った。
(お父様達にバレたら今日は体調の事も考えて外出するなって言われると思ったからこっそり出かけようとしてたのに、、。)
ステラはそんな事を考えていた。
「今日、ラスター公爵は邸にはいらっしゃらないわよ。」
ミシェルがさらっと言った。
「はい?」
ステラは驚いた表情で言った。
「今日、ラスター公爵は狩猟大会に向けてのお仕事があるから邸にはいらっしゃらないそうよ。それに、公爵からステラへ伝言があって今日はゆっくり休むといいとのことよ。だからお父様と話す時間はたっぷりあるわ。」
ミシェルがにこりと微笑み言った。
(え?!バスティンが私の事を心配してくれてるってこと?!私の事を気遣ってそんな伝言を?!もぉ〜バスティンって何でそんなにいい男なの?!優しすぎるわ〜。昨夜は迷惑かけたっていうのに。)
ステラはミシェルの言葉を聞きジーンとバスティンの伝言を噛み締めながら考えていた。
「そう、、ですか。分かりました。教えて頂きありがとうございました。」
ステラは微笑みながらミシェルへ言った。
(お父様達との話の時間はたっぷりいらないけどねぇ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「えぇ。」
ミシェルは頷きながら言った。
そんな2人の会話を聞いていたダニーとジョシュアはいい気分ではない表情を浮かべていた。
そんな2人の表情を見たステラは…
「あ、お父様申し訳ありません、、。それでお話というのは何でしょうか?」
ステラは慌てて笑みを浮かべて誤魔化す様に言った。
(まったくお父様もお兄様もバスティンの名前出して話するとすーぐあからさまに不機嫌な顔するんだから。あたしにとってバスティンは絶対的存在なんだしいい加減諦めたらいいのに。)
ステラはそんな事を考えていた。
「あぁ。それが昨日皇宮でたまたまルノア男爵と会ったんだがその際に殿下主催のお茶会でルノア男爵令嬢がステラに泣かされたと激怒しながら言ってきてなぁ、、。」
ダニーは困った表情を浮かべて言った。
「ルノア男爵が?」
ステラは眉をひそめながら言った。
(グレイスだけじゃなくて父親の男爵も来てたってわけ?グレイスは確かにオンラブのヒロインではあるけど男爵家自体は特に大きな功績を残せる様な家じゃなかったんだよね、、。てことは、グレイスがアーノルドといい感じだからって調子に乗って皇宮に特に用事もないのに出入りしてるってことね。それにプラスしてあたしがグレイスを泣かしたって?!はぁ?!グレイスが勝手に泣いただけじゃん!)
ステラは苛立ちを覚えつつ考えていた。
「あぁ。詳しい話を殿下にもお聞きしようとしたがタイミングが合わず会えなくてな。それで一体何があったのだ?何故ステラがルノア男爵令嬢を泣かせたと?」
ダニーは困った表情のまま言った。
(お茶会での事を思い出すだけでイライラするっていうのに、、。でも、この機会についでにあたしを皇太子妃候補から外してもらえる様にお父様にお願いしてよう。)
ステラはそんな事を考えていた。
そして…
ステラはお茶会での出来事をダニー、ミシェル、ジョシュアへ説明した。
「なんという愚かな者たちなのだ、、。」
ダニーはステラの話を聞き怒りを浮かべて言った。
「本当に、、。」
ジョシュアも怒りに満ちた表情で言った。
「酷い言いようだわ、、。」
ミシェルは呆れた表情を浮かべて言った。
「はい。仰る通りです。本当に信じられな程の愚かな発言でした。それにお話した通り私はグレイス様を泣かせてなどいません。グレイス様がラスター公爵様を侮辱する様な無礼な物言いをされたので警告したまでです。グレイス様が泣いたのも本人が勝手に泣いただけですから。自分が間違っている行動をしておいて泣いて被害者面をするなどありえないことです。」
ステラは怒りをあらわにしながら言った。
(本当に何回考えてもありえないわ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「ルノア男爵は令嬢が勝手に泣いたことをステラのせいだと言ったのか?!なんと愚かな奴なのだ、、。ルノア男爵はお茶会での内容を大して知りもせず我々バートン公爵家に抗議してきたということだな。」
ダニーはステラの言葉を聞き怒りに満ちた表情を浮かべて言った。
「最近、ルノア男爵令嬢が皇宮へ足を運び殿下との二人での時間を過ごしたりしていると耳にします。きっとルノア男爵は自分の娘が殿下に気に入られいずれ皇太子妃に選ばれると思いすでに皇太子妃の父親気取りなのでしょう。」
ジョシュアも怒りに満ちた表情を浮かべて言った。
(お父様、お兄様御名答!まさかにその通りよ!ただ、、リアルにグレイスはアーノルドとくっつくことは決まってんのよ。だからってバスティンを侮辱した人の被害者面は許しがたいなぁ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「殿下がグレイス様とお二人で会われている事は事実なのですからルノア男爵がその様な態度をとられるのもわからないことではありません。しかし、だからといってラスター公爵様を侮辱していいことにはなりません。」
ステラは悔しそうな表情を浮かべて言った。
(そもそもグレイスは慈愛活動に力を入れているようだけど、、そんな人がバスティンを侮辱するってどうなの?!ありえなくない?!元奴隷のサティスには優しくして元平民のバスティンの事は侮辱?!ハッ!本当に何が慈愛だっつーの!本当にヒロインフィルターっていらないわ。そりぁ、オンラブでバスティンがステラのグレイス殺害計画に協力するのも納得いくわ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「あぁ。ステラの言う通りだ。たかが男爵令嬢ごときがバスティンを侮辱するなど許される事ではない。」
ダニーは怒りの表情を浮かべて言った。
「はい。バスティンを侮辱するということは我々バートン公爵家を侮辱するのと同じことですからね。」
ジョシュアも怒りの表情を浮かべて言った。
「はい。そこで、、お父様にお願いがあります。」
ステラは真剣な表情でダニーへ言った。
(この際だからこれを期についでに皇太子妃候補からあたしを外してもらおっと。)
ステラはそんな事を考えていた。
「お願い?何なのだ?」
ダニーが言った。
「私を皇太子妃候補から外して頂きたいのです。皇太子殿下との婚約は家と家同士の問題でそれがバートン公爵家にとっても大切だということは重々承知しています。ですが、、そこをどうかお願い致します、、。」
ステラは真剣な表情を浮かべて頭を下げながら言った。
「あぁ。分かった。では、今日にでも陛下へバートン公爵家は皇太子妃候補から外してもらうとしよう。」
ダニーは平然と言った。
「え?いいのですか?」
ステラはダニーがあまりにも簡単に言ったからか拍子抜けした表情で言った。
「あぁ。」
ダニーは微笑みながら言った。
「その様に簡単に決めてもいいのですか?皇太子妃になる事でバートン公爵家の後ろ盾が更に強まるのではないのですか?」
ステラは拍子抜けしたまま言った。
(こんなあっさりOKされるなんて思ってなかったんだけど、、。)
ステラはそんな事を考えていた。
「ステラがその様な事を気にせずともよいのだ。ステラが皇太子妃にならなくともバートン公爵家は十分力のある家だからな。」
ダニーは優しく微笑みながら言った。
「それに、ステラが皇太子妃候補に選ばれたのも家柄的な問題が大きかったからな。私とミシェルがステラを候補にと願い出た訳ではない。ステラが嫌だと言うのであれば私達は全力でステラの意を聞くまでだ。だから、ステラがその様に思い悩む必要もないから安心するといい。」
ダニーは優しく言った。
「ダニーの言う通りよ。ステラが皇太子妃候補でいるのが嫌だと言うのなら私達はステラの意志を尊重するわ。嫌だという思いを抱えたままでステラが幸せになれないのは私達も嫌だから、、。ステラには幸せになって欲しいという思いはずっと変わらないわ。」
ミシェルは優しく微笑みながら言った。
「私達は今もこれからもステラの幸せを願っているからね。」
ジョシュアが微笑みながら言った。
「お父様、お母様、お兄様、、。ありがとうございます!」
ステラは胸がジーンと熱くなるのを感じながら満面の笑みで言った。
(嬉しいなぁ。お父様もお母様もお兄様も心からあたしの事を考えて思ってくれてるのがわかる。転生した先がこの家族の元で本当に良かった。こんな素敵な家族がいてあたしは幸せものだよ。)
ステラはしみじみしながらそんな事を考えていた。
そんなステラを見てダニー達は優しく微笑んでいた。
その場の空気がほんわかとしていた。
その時…
「あっ!」
ステラが急にハッとなり言った。
「どうしたのだ?」
ダニーが言った。
「もう一つお願いがあるのです。」
ステラが言った。
「もう一つ?」
ダニーが言った。
「はい。今年の狩猟大会に私も参加したいのです!」
ステラが真剣な表情で言った。
「何?狩猟大会にだと?」
ダニーは驚いた表情で言った。
「はい。別に女性が参加してはいけないというルールなどありませんでしたよね?」
ステラが言った。
「あぁ、、。その様なルールなどはないが。これまでに参加した女性などいなかっただけでな。」
ダニーは少し驚いた表情のまま言った。
「でしたら私が参加しても問題はありませんよね?」
ステラは食い気味に言った。
「そ、それはそうだが、、。しかしな、、。」
ダニーは困った表情で言った。
(さすがにお父様達に黙って参加する訳にはいかないからここでしっかりと参加の許可をもらっとかないとね!)
ステラはそう意気込みながら考えていた。
「狩猟大会までの日取りがあまりない中で狩猟大会が初めてで加えて女性であるステラが参加となるとかなり危険だな。ステラは剣も弓もある程度は扱えるが実戦では使用した事がないだろう?そんなステラが参加して何なあれば取り返しがつかないからな、、。」
ダニーは困った表情を浮かべて言った。
「スー。父上の言う通り狩猟初心者のスーの参加は危険だ。獲物達は逃げもするし相手が人間でも容赦なく襲ってくる動物いるんだ。」
ジョシュアは心配そうな表情で言った。
(わかっちゃいたけど簡単には許可してくんないかぁ、、。)
ステラはそんな事を考えていた。
「では、私が狩猟大会までにある適度の実力を身につけることが出来たら参加してもいいということですか?」
ステラは真剣な表情で言った。
「それは、、そうたが、、。狩猟大会までは2週間をきっている。こんな短期間で狩猟大会に出れる程の力を身につけるのは困難だ。」
ダニーは困った表情で言った。
「そうだぞ?いくらスーが普通よりも覚えが早いとはいえ狩猟で通じる程の力を身につけるには時間がなさすぎる。この2週間は私も父上も騎士団の仕事で忙しいから稽古してやるのも難しいしな。」
ジョシュアが困った表情を浮かべて言った。
(確かにいくらあたしが前世で弓道、剣道の能力に長けてたとはいえ試合と狩猟じゃ訳が違うもんね。今のあたしの腕前だと狩猟は確かに難しいよね。でも、、ここで諦めたらあたしじゃないわ!それに諦めたらバスティンへの暖か手袋と眼帯をプレゼントできない!それはだめ!)
ステラはそんな事を考えていた。
「そうですよね、、。やはり難しいですよね、、。」
ステラは残念そうに笑みを浮かべて言った。
「ステラ、、。」
「スー、、。」
そんなステラを見たダニーとジョシュアは戸惑いながら言った。
「狩猟大会に参加できないのであれば私は他のご令嬢達と皇后様のお茶会に参加しなければならないのですね、、。ラスター公爵様を侮辱した方達とのお茶会か、、。」
ステラは苦しそうな表情を浮かべて言った。
(あたしの苦しそうな表情攻撃どうだ?!)
ステラはそんな事を考えていた。
「ステラ、、。」
「スー、、それは、、。」
ダニーとジョシュアは更に戸惑いながら言った。
(どう?!これで狩猟大会参加許可してくれる?!)
ステラはチラリとダニーとジョシュアを見ながら考えていた。
「、、狩猟大会に参加できる程の力を身につけたらステラは参加していいのでしょう?」
黙って3人の話を聞いていたミシェルが口を開き言った。
「それはそうだが、、あと2週間で私とジョシュアが教えてやれないのにどうしろと?」
ダニーは困った表情で言った。
「ダニーとジョシュアが忙しいのなら私が代わりにステラに稽古をつけるわ。」
ミシェルが言った。
「何?!君が?!」
ダニーは驚き言った。
「ですが、、母上!」
ジョシュアは戸惑い気味に言った。
「私の剣の腕前はあなた達もよく知っているでしょう?療養している間は剣を握ることなかったけれどここへ戻ってきてからたまに剣を握り体を動かしたいと思っていたからちょうどいいとも思ったのよ。」
ミシェルはにこりと微笑みながら言った。
「しかし、、ミシェル。療養を終えたとはいえあまり無茶をしてまた体調を崩したりでもしたら、、。」
ダニーが心配そうに言った。
「母上。父上の言う通りです。せっかく療養を終えたというのにまた療養しなければならなくなったらどうするのですか。」
ジョシュアも心配そうに言った。
「稽古をして頂けるのは嬉しいですが私もお母様が私に稽古をつけてくれる事で体調を崩されないかと心配です、、。」
ステラも心配そうに言った。
(オンラブの話中ではステラの母であるミシェルの事はあまり書かれてなかったけどこの世界に転生してからはミシェルの生家もバートン公爵家には及ばないけど剣の腕がいいと知られる家だったんだよね。だからミシェルも剣の腕がいいってことも。)
ステラはそんな事を考えていた。
(だけど、あまり体が強くないからあんなに長い間療養してたんだし無理してまた体調を崩すなんて事あったら嫌だもんね、、。あたしはお母様が療養中に間近で見てたからどれだけしんどい思いをしていたか知ってるしね。)
ステラはそんな事を考えていた。
「元々、体を動かす事が好きだったのに療養中はほとんど動けなかったわ。だからここへ帰ってきてまで大人くし過ごす事の方が余計に滅入って体調が悪くなりそだわ。それに、、ダニー。私があなたと恋人になった翌年の狩猟大会の時の事を忘れてしまったの?」
ミシェルは困った表情を浮かべてダニーをチラリと見て言った。
「っ?!あの狩猟大会の時の出来事、、。」
ダニーはミシェルの言葉にハッとなり戸惑いながら言った。
「??父上、その狩猟大会で何かあったのですか?」
ジョシュアが不思議そうにダニーへ尋ねた。
ステラも??という表情を浮かべていた。
「実は、、。」
ダニーは戸惑いの表情を浮かべながらジョシュアに耳打ちした。
「なんですって?!そ、そんな事が?!」
ジョシュアはダニーの言葉を聞き驚きと戸惑いの混じった表情で言った。
「あぁ、、。」
ダニーは渋い表情を浮かべて言った。
「何があったのですか?!私にも教えて下さい。」
ステラが慌てて言った。
(2人があんな表情してるんだからよほどのことがあったに違いないよね。)
ステラはそんな事を考えていた。
「、、ステラ。狩猟大会への参加を許可しよう、、。」
ダニーは渋い表情を浮かべて言った。
「え?はい?いいのですか?」
ステラはダニーの言葉に驚き言った。
「あぁ。ただし狩猟大会までに必ず参加可能なほどの力を身につけておく様に、、。」
ダニーは心なしかしょげた表情で言った。
「ミシェル。ステラへの稽古を認めるが絶対に稽古は1時間だけと約束してくれ!それが認める条件だ。」
ダニーがミシェルへ言った。
「えぇ。わかったわ。約束は守るから心配しないでちょうだい。」
ミシェルはにこりと微笑みながら言った。
「あと、少しでも体調に異変を感じた際はすぐに稽古を中止することだ。」
ダニーは苦渋の表情で言った。
「分かったわ。」
ミシェルが頷きながら言った。
「、、。では、我々は仕事に行ってくる、、。ジョシュア行くぞ。」
ダニーはしょげた表情を浮かべて言った。
「はい。父上、、。」
ジョシュアもどこかしょげた表情で言った。
そして、2人は哀愁混じりの表情で部屋を出て仕事へ向かった。
(一体何がどうしてこんな急展開に?!まぁ、結果許可してもらえたし良かったけど。)
ステラはそんな事を考えていた。
「お母様。お父様とお兄様に何て言ったのですか?あきらかにお母様の言葉を聞いてあの2人はしょげていましたよ?」
ステラがミシェルへ尋ねた。
「ふふふ。それはね、、。私がダニーと恋人になった翌年の狩猟大会で父と兄に今のあなたの様に狩猟大会に参加したいと言ったのよ。だけど父も兄も最後まで反対して結局参加できなかったのよ。私はその事ですごく腹を立ててその日2人が私に捧げてくれた獲物の受け取りを拒否して更に父と兄と2週間は口を一切聞かなかったのよ。結局、母から父と兄が抜け殻みたいになってるから許してあげてと言われて許したのだけれどね、、。ダニーはあの時の出来事を間近で見ていたからどんな状況だったのかをよく知っているから自分もステラの狩猟大会参加を拒否したら私の父と兄の様になると思ったのでしょうね。」
ミシェルはクスクス笑いがら説明した。
「そんな事があったのですね、、。それでお父様もお兄様もあの様子だったのですね、、。」
ステラは納得したように苦笑いを浮かべて言った。
(はは、、。もやはお母様にとってお父様やお兄様とあたしのやり取りはデジャブだよね。まさか、お祖父様と叔父様もお父様達みたいく娘妹バカだったとわね、、。)
ステラは苦笑いを浮かべたままそんな事を考えていた。
「えぇ。せっかく参加の許可が出たのだからステラも稽古を頑張りなさい。ステラの事だから狩猟大会への参加もお茶会参加が嫌というのは口実で別の目的でもあのでしょう?」
ミシェルはフッと笑みを浮かべて言った。
(あぁ〜お母様には何でもお見通しってわけね。)
ステラはそんな事を考えていた。
「ふふ。お母様には隠し事はできないですね。」
ステラはクスクス笑いがら言った。
「お母様の言う通り狩猟大会への参加目的は、、狩猟大会で仕留めた獲物を使ってラスター公爵様へ寒い日でも寒さをしのげる様な暖かい眼帯と手袋をプレゼントしたいのです。きっと狩猟大会に参加しなくてもお父様とお兄様が沢山獲物を贈ってくれるでしょうけどそれで作ってプレゼントしても意味がないので。」
ステラがミシェルへ説明した。
(バスティンに贈るものはやっぱり自分でGETしたものを使わなきゃ意味ないもんね!)
ステラはそんな事を考えていた。
(本当にステラはラスター公爵を心から好きで仕方ないのでしょうね。これまで顔など合わせた事もないのにダニー達からの話を聞いたという理由でここまで相手を想えるのは相当強い気持ちがないと無理だもの。昨夜まではステラの独りよがりだと思っていたけれどラスター公爵のあの表情を見てから2人の幸せな未来はそう遠くないと感じると応援したくなってしまったのよね。ステラは幼いながら私の療養に付き合ってくれたお転婆だけど優しい子、、。この子には人一倍幸せになってほしいから私にできる事はしてやりたいものね。)
ミシェルはそんな事を考えていた。
「そうだったのね。いいのではないのかしら?きっとラスター公爵もステラの贈り物を喜んでくださるわ。」
ミシェルは優しく微笑みながら言った。
「そうですか?そうだと嬉しいです。」
ステラは嬉しそうに言った。
(バスティン喜んでくれるかな?喜んでくれたらそれだけで幸せ。幸せすぎて今後色々と貢いじゃいそうで心配になるレベルだよ!)
ステラはそんな事を考えていた。
「その為にも稽古を頑張りましょう
。」
ミシェルが微笑みながら言った。
「はい!死ぬ気で頑張ります!お母様さえよければ早速今日から稽古をお願いします!」
ステラは目を輝かせてやる気をみなぎらせて言った。
「そうね。ステラの体調が万全なら稽古をしてもいいわね。」
ミシェルは頷きながら言った。
「万全も万全です!」
ステラは自信満々に言った。
(よっしゃーー!絶対に大会までに力つけて完璧に仕上げるぞー!今こそ前世で培った忍耐力と精神力を開放するぞー!おーーー!)
ステラは意気込みながらそんな事を考えていた。
その後…
ステラは1時間みっちりとミシェルに稽古をつけてもらった。
ステラの思っていた以上にミシェルの稽古はスパルタだったがそれでもステラは一生懸命稽古についていきミシェルから剣の扱いを学んだのだった…
※
翌日…
「本当に先日はご迷惑をおかけしました!」
ステラは朝からラスター公爵邱を訪れてバスティンへ頭を下げて謝っていた。
(昨日のうちにドンクさんにバスティンの今日の予定を聞いてて良かったわぁ。今日はバスティンが公爵邸で一日過ごすって聞いたから飛んできたもんね!バスティンに会いたかったし謝りたかったし。)
ステラは謝りつつそんな事を考えていた。
「気にする事はない。私はただ送って行っただけだからな。」
バスティンは淡々と言った。
「ですが、、侍女から聞いたところ公爵様が抱きかかえて馬車から邸の中へ運んで下さったと聞きましたしそれに、、公爵様の洋服を私のよだれで汚して粗相してしまったとも聞きました、、。」
ステラは申し訳なさそうに恥ずかしそうに言った。
(抱き抱えられたのはとめどなくラッキーだったけどヨダレはないよ!さすがにないよ、、。)
ステラはそんな事を考えていた。
(どうやら私がステラ嬢を部屋まで運んだことは夫人や侍女から聞いていないようだな。聞いていたら真っ先にその話をしてくるだろうからな。)
バスティンはステラの言葉を聞きそんな事を考えていた。
「よだれを垂らされるなど気にもしていないから問題ない。任務の際に浴びる返り血に比べればよだれなど取るに足らないことだ。」
バスティンは淡々と言った。
「ですが、、。」
ステラは戸惑いながら言った。
「もうこの話は終わりだ。あぁ、強いて言うのであれば今後成人を迎えても酒を飲むのは控えた方がいいだろう。ステラ嬢はあまりにも酒が弱すぎだからな。」
バスティンは平然として言った。
(今回は騎士団達のいる場所で酒を飲み倒れて私が邸まで送ったがあれがもっと危ない場所で起きていたなら取り返しのつかない事になっていたからな。)
バスティンはそんな事を考えていた。
「ハハ、、。私もそう思いますので肝に命じます、、。」
ステラは苦笑いを浮かべて言った。
(本当にあたし自身もステラがこんなにお酒が弱いなんて驚きだよ。こりぁ前世の様にお酒をたしなみながら推しの尊い写真を眺めるのは無理そうだね。)
ステラは苦笑いを浮かべたままそんな事を考えていた。
「この話は終わりますが、これだけは言わせて下さい。先日は本当にありがとうございました。」
ステラは笑顔で言った。
「あぁ。」
バスティンは平然と言った。
ステラは満足気に微笑んだ。
「あぁ、そうだわ!公爵様。ここ最近は狩猟大会に向けての任務がお忙しいようですが狩猟大会が行われる場所は危険な場所があったりする訳ではないですよね?」
ステラが思いついた様に言った。
「基本的には危険な場所がある訳ではないが何か怪しいところやものなどがないかを騎士団で念入りに確認しているのだ。」
バスティンが言った。
「そうなのですね。」
ステラが頷きながら言った。
(まぁ確かに狩猟大会が行われる場所って皇族が所持してる場所の一つだし危険がある場所なんかでそもそもやるわけないもんね。)
ステラはそんな事を考えていた。
「狩猟大会ではどの様な動物が捕れるですか?」
ステラが言った。
「そうだな、、。うさぎやきつねなどの小動物から猪や熊といった大物動物もいる。だが、狩猟大会が行われる時期は急に冷え込むのもあり熊は冬眠準備をしているためかほとんど姿を見せないな。小動物でも価値の高い白きつねやミンク、クロテンなどの大会成績の上位を占めることのできる動物もいるのだ。まぁ、価値の高い動物とはなかなか遭遇はできないようだがな。」
バスティンが説明した。
「価値の高い動物、、。」
ステラはバスティンの説明を聞き呟いた。
(思い出した!確かオンラブの話中で狩猟大会の時にアーノルドがグレイスに贈った獲物がミンクだった!希少価値のあるミンクをアーノルドが捕ってきただけでも凄い事に加えてそれを迷わずグレイスに贈ってたわ。何でミンクなんて希少価値の動物登場さすんだよ!って作者にメッセージしたっけな。てことは、、 狩猟大会に希少価値のあるミンクは出没するってことだよね?!ミンクでバスティンに贈る眼帯と手袋作ったら最高じゃない?!よし!決めたわ!アーノルドより先にあたしがミンクを仕留めてやるわ!)
ステラはニヤリと笑みを浮かべてそんな事を考えていた。
(ステラ嬢はまた何かとんでもないことを考えているな、、。)
バスティンはニヤリとするステラを見てそんな事を考えていた。
「公爵様。ミンクを仕留めるにはどの様にしたらいいのですか?」
ステラは真剣な表情でバスティンへ尋ねた。
「ミンクを?!何故その様な事が知りたいのだ?」
バスティンは首を傾げながら言った。
(まさか、、。嫌な予感がするな、、。)
バスティンはある仮説が頭に浮かびそんな事を考えていた。
「何故?それは、、私も狩猟大会に参加するからです!」
ステラはドヤ顔で言った。
(はぁ、、やはりな、、。)
バスティンはそんなステラを見て予感が的中しながらそんな事を考えていた。
「ステラ嬢、、。狩猟大会は遊びではないのだぞ?それにステラ嬢の参加を師匠やジョシュアが許さないだろう。」
バスティンは呆れた表情を浮かべて言った。
「公爵様。私は遊びで大会に参加するつもりはありません。本気で参加するのです。狩猟大会に女性の参加負荷という決まりはありませんしすでにお父様からは参加の許可を頂いています。」
ステラは堂々と真剣な表情で言った。
「何?!師匠が許可をしただと?!」
バスティンは驚き言った。
(あの師匠が危険がつきものな狩猟大会への参加を許可しただと?!にわかに信じがたい、、。娘を誰よりも溺愛している娘煩悩な師匠が?)
バスティンは信じられないという表情でそんな事を考えていた。
「はい。まぁ、、大会までの残り少ない期間で参加出来る程の力を身につけたらという条件つきですけど、、。ですが、その様な条件など一瞬で覆して参加するつもりですから。」
ステラはどこからくるのかわからない程の自信満々な表情で言った。
(あたしのスキルをなめてもらったら困るもんねぇ〜。絶対に参加するって決めたんだもん!)
ステラはそんな事を考えていた。
「はぁ、、。大会まで2週間を切っているのだぞ?いくらなんでもそんな短期間で力をつけるなど不可能だな。それに師匠もジョシュアも忙しい日々を送っているから大会までにステラ嬢を稽古する暇もないだろう。」
バスティンはため息をつきながら言った。
「そこは心配には及びません!お父様達の代わりにお母様が稽古して下さいますから。すでに昨日1時間程稽古をつけてまいりましたから!」
ステラは笑顔で言った。
「夫人が稽古を?!」
バスティンは驚き言った。
(確かに夫人は剣を扱えると師匠やジョシュアから聞いた事があったしバートン公爵家で世話になっていた時期に夫人がジョシュアに稽古をつけている姿を何度か見たことはあったが、、。)
バスティンはそんな事を考えていた。
「はい。お母様ったら手加減なしに稽古をつけてくれるものだからなかなか大変でしたよ。ですがお陰で基礎の見直しもできましたし色々と学ぶことができました!この調子で鍛錬すれば大会までに必要な力をつけることができます!」
ステラは自信満々に言った。
(相変わらずこの自信は一体どこから来るのか、、。)
バスティンは自信満々なステラを見てそんな事を考えていた。
「しかし、、何故狩猟大会に参加しようと?」
バスティンは少し呆れた表情で言った。
(それは!バスティン!あなたに最高の贈り物をすためよ!な〜んて言えないもんね。)
ステラはそんな事を考えていた。
「あの腹黒ペンテ師野郎をギャフンと、、。」
ステラは渋い表情を浮かべて呟いた。
「何だ?」
バスティンはよくステラの声が聞き取れず言った。
「いえ、、。これまで女性の参加がなかったでしょう?ですから、私が参加して結果を残す事でこれからもっと女性が参加しやすくなるかなと思いまして、、。」
ステラは笑いながら誤魔化すように言った。
(絶対に他に理由がある顔をしているが、、まぁ聞いたところで言わないだろう。)
バスティンは誤魔化すステラを見てそんな事を考えていた。
「そうか。まぁ、参加すると決めたのであれば頑張るといい。」
バスティンが言った。
(いくらバートン公爵家の娘で夫人が稽古つけて鍛錬するといってもこの短期間で力をつけるのは難しいだろうが努力するという事を否定するのはよくないだろうからな。)
バスティンはそんな事を考えていた。
「ありがとうございます!頑張ります!公爵様にそんな言葉を貰えたんですから公爵様の想像以上の頑張りで鍛錬します!」
ステラは満面の笑みで言った。
(あ〜バスティン好き♡何だかんだで優しいバスティン好き♡絶対バスティンの為にあたしがミンクを獲ってみせるわ!)
ステラは強くそんな事を考えていた。
それからステラはラスター公爵邸でドンクと庭いじりをしたりハナとバスティンの食事を作ったりと過ごした。
そして、バスティンがラスター公爵邸の稽古場で剣の稽古をしている姿をステラは稽古場の直ぐ側にある木に登りニヤニヤしながらバスティンを見ていた。
(あぁ〜今日も今日とてバスティンがかっこよすぎて困るよね〜。あの剣を振ってる姿がかっこよすぎてよだれが出るわ。やっぱりコミックで見るバスティンより生バスティンだよね〜♡あぁ〜好き♡)
ステラはバスティンを見ながらそんな事を考えていた。
(狩猟大会も本当ならバスティンと一緒に回ってバスティンのかっこいい姿を拝みたいとこだけどバスティンへの贈り物の為に我慢よ!)
ステラは更にそんな事を考えていた。
「おい!ずっとそこから見ているつもりか?」
バスティンがいつの間にか木の下にやってきてステラへ言った。
「え?あ、バレてました?へへへ。」
ステラは笑いながら言った。
「逆にバレない方がおかしいだろう。」
バスティンは呆れ気味に言った。
「ハハハ、、。」
ステラは笑いながら言うと木から降りた。
「木から落ちて怪我でもしたらどうするのだ?ステラ嬢が木から落ちて怪我などしたら私が師匠にとやかく言われるのだぞ?」
バスティンが言った。
「それはそうかもしれませんが、、木の上から公爵様の姿を見るのが最高でつい、、。つい体が勝手に、、。」
ステラはヘラヘラと笑って誤魔化して言った。
「はぁ、、。まったく、、。」
バスティンがやれやれといった表情を浮かべてため息をつきながら言った。
「、、。そうして見ているのなら少し私が剣の稽古をつけてやろうか?」
バスティンが少し考えると間を空けて言った。
「え?!公爵様がですか?!」
ステラは驚いた表情で言った。
「あぁ。不満ならば無理にとは言わないが、、。」
バスティンは淡々と言った。
「そんな!不満だなんて!お金を払ってでも土下座してでもお願いしたいくらいです!」
ステラは興奮気味に言った。
(何?!この最高な展開は!他でもないバスティンが直々に稽古をつけてくれるって?!そんなラッキーチャンスを断るわけないじゃないの!)
ステラは興奮気味にそんな事を考えていた。
(相変わらずの言い方だな。)
バスティンはそんなステラを見てどこか安堵した表情で考えていた。
「では、早速稽古するとしよう。」
バスティンが言った。
「はい!宜しくお願いします!」
ステラは満面の笑みで言った。
その後、ステラはバスティンに細かい剣の使い方や弓の使い方を教わった。
「公爵様。こういう場合はどう剣を振ればよいのですか?」
ステラがわからない部分をバスティンへ尋ねた。
「こういう場合はここをこう持って、、。」
バスティンはそう言うと自然にステラの後ろえ立ち後ろからステラを覆う様にステラが剣を握っている手の上に自分の手を乗せた。
「あっ、、。」
ステラは思わず声を漏らした。
(やばい!やばい!やばい!死ぬ!バスティンからのバックハグもどきからの手触り!死ぬ!本気で嬉しすぎて死ぬ!)
ステラは興奮で心臓がバクバクするのを感じながら考えていた。
「す、すまない!」
バスティンはステラの声でハッとなり慌ててステラの手から自分の手を離して体も離し言った。
(私は何をしているのだ?!騎士たちに教える様についステラ嬢に触れてしまった。)
バスティンは慌ててそんな事を考えていた。
「いえ、、。もっと続けてもらっても良かったのですよ?」
ステラは顔を真っ赤にして照れながらも大胆な発言をした。
(あまりにも一瞬だったからもう一回して噛み締めたい、、。)
ステラはそんな事を考えていた。
「何を言っているのだ!さぁ!私と同じ様な動きをしてみろ!」
バスティンはそんなステラに慌てて言った。
(まったく、、とんでもないことをさらっと言うのだから。)
バスティンはそんな事を考えていた。
すると、ステラが急に目を閉じた。
「どうしたのだ?」
バスティンが言った。
「少しお待ち下さい。今、頭から煩悩を消していますので、、。」
ステラは目を瞑ったまま言った。
(煩悩よいなくなれ、、。バスティンにもう一回バックハグもどきしてほしいという煩悩よいなくなれ、、。煩悩よ、、煩悩よ、、。よし!)
ステラは自分に言い聞かす様に考えるとパッと目を開けた。
「もう大丈夫です!お願いします!」
ステラは目を見開いて言った。
「あ、あぁ。」
バスティンは少し戸惑いながら言った。
(煩悩と平気で口にするとは、、。私に煩悩など感じるなど物好きもいいところだな、、。)
バスティンはフッと笑みを浮かべて考えていた。
そして、その後ある程度稽古をしてもらったステラはバスティンと軽い打ち合いをすることになった。
「手加減はしなくていいから思い切りこい。」
バスティンが木刀を持ち構えて言った。
「はい。」
ステラは頷きながら言うと木刀を構えた。
そして…
カキンッ!
カンッ!
カンッ!
カツンッ!!
ステラはバスティンとミシェルから教わった事を頭に入れた上でバスティンへ思い切り攻め込んだ。
(?!たった少しの時間教えただけでこれか?!この娘は本当に素人なのか?!騎士たちでもこんなに早く飲み込み動きをとれるものはほとんどいないぞ?!やはり女性とてバートン公爵家の血が流れているということか?!先程まで煩悩など何だの言っていたのが嘘の様に真剣な表情だ。)
バスティンは攻め込んでくるステラの動きに驚き考えていた。
そして…
「よし!そこまで!」
バスティンが言った。
するとステラはサーっと木刀を振るのを止めた。
「どうでしたか?少しは公爵様から教えて頂いた事が出来ていましたか?」
ステラは戸惑いながら言った。
(正直、凄く楽しかった。前世で剣道の稽古してたのを思い出したなぁ。感覚も結構掴めてたと思うんだけどなぁ。)
ステラはそんな事を考えていた。
「悪くなかった。きちんと私が教えた事を応用できていた。」
バスティンは頷きながら言った。
「本当ですか?!良かったです。」
ステラは嬉しそうに笑いながら言った。
「きっと公爵様の教え方が上手だったからですね!」
ステラは笑顔で言った。
(だってバスティンは最高の騎士だもんね!)
ステラはそんな事を考えていた。
(あたしは前世で嫌という程、バスティンの努力を見てきたんだもん!)
ステラはそんな事を考えていた。
(いや。ステラ嬢、君の飲み込み力が人並み外れているのだ。)
バスティンはそんな事を考えていた。
(これは本当に狩猟大会に出られるかもしれないな、、。もし大会に出れる事になったなら弓でも贈ってやるかな、。今使っている弓では少し重いだろうからな。)
バスティンはそんな事を考えていた。
「まぁ、残りの期間しっかりと鍛錬すれば大会にも出れる力が身につくかもしれないな。」
バスティンが言った。
「本当ですか?!へへ。今日教わった事もふまえて更に鍛錬しますね!」
ステラは笑いながら言った。
「あぁ。」
バスティンは頷きながら言った。
そして…
ステラはこの日自邸に帰宅してからもミシェルに稽古をつけてもらったのだった。
※
それからというものステラは毎日欠かさず鍛錬した。
大変で辛くなる事もあったが決して諦めずに鍛錬を続けた。
そんなステラを見守っていたミシェルやダニーやジョシュアはステラの人並み外れた力の付け方に度肝を抜かれていた。
「きっとステラが誰よりもバートン公爵家の血を受け継いでるわね、、。」
ミシェルが言った。
「あぁ。その様だ。ステラの狩猟大会参加を許可したものの最終的に力をつけきれないだろうと高を括っていたがとんだ思い違いだった様だな。」
ダニーが言った。
「まさかこの短期間であそこまでの剣さばきと弓さばきを身に着けたとは、、。これはステラの優勝もあるかもしれないですね。」
ジョシュアが言った。
3人がそんな話などしている事など知らないステラはもくもくと鍛錬を続けていた。
(これならいけるわ絶対!アーノルドよりミンクを先に仕留めるどころか優勝だって出来るんじゃない?!ミンク以外にもたくさん獲物をGETしてバスティンの眼帯と手袋以外も作ってプレゼントできそうじゃん!)
ステラは剣を振りながらニヤニヤして考えていた。
この10日でステラは騎士並の剣と弓の扱いを取得していた。
そして…
狩猟大会が2日後に迫った夜…
「出来たーー!完成よ!」
ステラは満面の笑みを浮かべて言った。
そう…
ステラが狩猟大会の日にバスティンに渡す為のマスコットキーホルダーがこの日ようやく完成したのだった。
「バスティンマスコットの胸にはI♡LOVEステラ。ステラマスコットの胸にはI♡LOVEバスティン、、。ふふ、、。思い切って文字入れたけど最高か?!我ながら完璧だわ!前世の記憶様々〜!!」
ステラは一人満足気に微笑みたながら言った。
「早くバスティンに渡したいな〜!」
ステラはマスコットキャラクターを見つめながら呟いた。
(狩猟大会に通用する力は身につけたし念の為の事を考えて例のものたちを作ってくれる様にルイルイにお願いしてるし準備はOKだわ。あとは当日を待つのみだね!)
ステラはそんな事を考えていた。
(、、。狩猟大会当日はオンラブのストーリー展開であるしアーノルドとグレイスと顔を合わすのは避けれないよね。でも、なるべくあんな人達の顔見たくないからバスティンのところへ行く以外はバートン公爵家のテントにいよう!大会が始まってアーノルドやグレイスと顔を合わすことがあったら最低限の挨拶だけしたらいいよね。)
ステラは不服そうな表情で考えていた。
(とにかく狩猟大会がオンラブのストーリー通りに進むにしろあたしには関係ない!あたしはあたしのやるべきことをするだけだもんね。アーノルドとグレイスのイチャイチャ展開はどうぞご勝手にだもんね〜。)
ステラは他人事の様に考えていた。
「狩猟大会が最高の日になります様に、、。」
ステラは窓から空を見上げながらそんな事を呟いた。
この時のステラは、まさか狩猟大会で大波乱が待ち受けている事など知る由もなかったのだった…
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