第一話【よろしくね!千花ちゃん】
私立水越高等学校。
この学校にはSacred4―通称S4と呼ばれるイケメン四人組がいる。
一人目は高校三年生の如月輝。彼は誰にでも優しく、面倒見がよい。いわゆる王子様系男子だ。
そして、学園のイケメンヤンキーという名で有名な一ノ瀬龍海。イケメン×ヤンキーというタイプは女の子達からしたら何をしても許される。行動の一つ一つがイケメン過ぎて萌えまくりらしい。まさに幸せ者だ。
三人目はイケメンというか可愛い寄りの男子。名は、四宮優。
最後はこの物語の主人公である七師愁、十八歳。性格は天然S。基本一人でいることが多い。
さあ。ここからが本番です。準備はよろしい?では、奇跡の恋の物語、とくとご覧あれ!
二〇××年四月、始業式の日。七師にとっては高校最後の一年の始まりの日であった。
「おーい。」
七師の背後から聞きなれた声が聞こえた。
「おはよー。今日もかっこいいね!愁君♡」
これほどの笑顔誰ができるのかというほどにキラキラした満面の笑みを浮かべている、声の主は如月輝だった。彼と七師は長年の付き合いで、いわゆる幼馴染であった。
「おはよ。」
そっけない言い方であいさつを交わした七師だが、内心は、こいつはかっこいいだの、きれいだの、まだ言ってくるのかとあきれていて、うっすらかおに笑みが出ていた。七師も七師で輝のことが大好きなのだ。
「もう僕たちも高校3年かぁ。はやいねぇ。」と如月。
「そうだな。」
「可愛い子と一緒のクラスがいいね!」
「知らん。」
たわいのない会話をしながら学校へと向かう二人。この後、運命の再会を果たすことになろうとは七師は知る由もなかった。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ」
「見て!七師くんよ!」
「ほんとだぁ!輝様もいらっしゃるわ♡」
学校につくとやはりいつものが始まった。女子生徒どもの黄色い歓声。これに笑顔で対応する輝は本当にすごいと思う。
「めんどくせぇ」
俺はつい本音が出てしまった。だがこの七師のささやきは生徒の歓声によってもみ消された。
「あ~!輝ぅ!」二人のもとに元気よく近づいてきたのはポニーテールで、腕まくり和している誰が見て
も運動が得意そうな子だった。
「おっ三葉じゃん!おひさ~」
「おーおひさ~。ってか七師もいんじゃん」
「あ?いたら悪いかよ」
「別にそんなんじゃないけどさ~なんかあんたむかつくのよね。」
「どういう意味だよ」
「まあまあ、落ち着いてよ二人とも。」喧嘩をおさめるのはいつも輝の仕事だ。
親しそうに二人と話しているのは同じく高校三年生になる中山三葉だった。この三人は小学生からの付き合いだ。七師とはいつも言い合いになる三葉だが、けんかするほど仲がいいという言葉通り、仲も友達以上恋人未満なほどであった。
「ん?三葉の後ろにいる子は?」
「あ!紹介するね!この子は相川千花。2年の時に転校してきたの!うちら大大大親友なんだ!」と言っ
て三葉の後ろに花に隠れるようにいた女の子―千花に抱き着く三葉。
「へぇ、そうなんだ!よろしくね。千花ちゃん!」
「...はい。よろしくお願いします。」高校生にしては大人びている態度に如月は少し驚いてしまった。
「あ、でも残念ながらうちらと輝たちクラス違うの。」あははと笑いながらいつまでもハイテンションな三葉だった。
明るい三葉と大人びている千花―この二人がなぜ仲良くなったのかはまた別のお話。
ふと千花はある人物の視線にきづいた。ドクン。千花の心臓が激しく鼓動した。
その人物とはまぎれもない、七師だった。
(…こいつ何処かで)
七師はなぜか、千花の顔に見覚えがあった。いや、見覚えがないはずがないのだ。なぜなら二人は十年前に一度出会っているのだから。
しかしあの相川ってやつやっぱり見たことある気するんだよなぁ。と、そんなことを考えながらどうやら機嫌が悪そうな七師愁は机に寝そべっていた。
「ねー、愁なんかあった?」と如月が尋ねた。どうやら七師の様子がいつもと違うことに気づいたらしい。
「…別に。」ふて腐れた顔をして七師が言う。
「ちぇっ、ほんと愁って分かんない。」といって如月はどこかに行ってしまった。
モヤモヤする。何かが突っかかる。
「ああああああ!クッソなんなんだよぉおおおおおおおおお!」七師は、まるで東大王も解けない難解なクイズにぶち当たったような叫びをしたくなった。
「七師愁くん…か。」ぽつり、教室の隅にある人の影が言った。
読者のみなさん、想像してみてください。なぜ千花は七師の視線で胸が鼓動したのか。そしてなぜ七師をこっそり見ていたのかを。




