第六話 学校のボス
『『『まつなさん、おはようございます!』』』
朝小学校に着くと、耳がキーンとなるほど大きな声で挨拶された。
「……なにしてんの?」
「挨拶です」
「いや、それは分かるけども……。 そうじゃなくて、こんな大勢で整列してなんで挨拶してんだよ」
正面の玄関口まで、両脇に綺麗に生徒たちが整列しており、レットカーペットが引かれていた。
よく見てみると、担任の先生、年配の、おそらく校長先生もまじっている。
なんだ、何が起こったんだ……⁉︎
『たくま様がお迎えにあがられます!』
玄関口の方が、張り上げた声が聞こえてきた。
いや、そんなエリートホステスみてぇな奴しらねぇんだけど
え、……たくまはてな
「よう、まってたぜ、まつな。 ……いや、今は妖怪さんか」
身体中キズだらけのたくま君が目の前に現れた。
「いや、昨日の今日で何があったんだよ。なんで俺朝からハリウッド女優みたいな扱い受けてんの! っていうかなんでそんなに傷だらけなんだよ、本当に一体何があったんだよ!」
「何って、お前のことをバカにしてた奴を締めたんだよ。先公も含めてな」
「締めたって何だ! 小学生のくせに怖い言葉使うんじゃありません!」
だが、目の前に広がるこの光景。本当にこの学校を締めちまったのか……。
いったい何者なんだ、たくま君は。
「妖怪さん、俺はまつなの事を全然分かっていなかった。近づきたいと思って行動していたのに、全部裏目に出ていたんだ」
「おい言動が小学生のそれじゃないぞ!」
「だから、まずはお前を、妖怪さんを知りたいんだ。じゃねーと、まつなに合わせる顔がないからな。 ……おい荷物を持ってやれ」
たくま君がそう言うと、担任の先生が近づいてくる。
『まつな様、教室までランドセルをお持ちいたします』
「………」
なんていうか、みんなにお辞儀されるこの状態、高揚感が駆られてしまう。
「おい、給食のプリンを献上しろ、このまつな様にな!」
「って言うことで、学校でいじめられることは無くなったぞ、よかったな」
「なにを言ってるの?」
「プリンも10個ももらえるぞ、よかったな」
「だからなにを言っているの?」
その日の晩、俺の部屋かで待つなと俺は集まっていた。
「よし、まつな、そろそろ元の体が恋しくなってきただろ、元に戻る方法を探すぞ」
今日で入れ分かってから2日目、こいつも母さん……はともかく、友達とかと会いたくなってきただろう。
「やだ」
「おい」
「だって、元に戻ったらまた習い事しなくちゃいけないし、ママにも怒られるもん」
「ぐっ……」
確かに、まつなの母さんは多少……というか、だいぶ厳しくて物事に対する偏見が強そうだったな。
「わたし、ゆうやとして生きる」
「おいまてこら」
「ゆうやはまつなとして生きてね」
「だからまてって!」
……無理やり元に戻ろうとしても、全力で拒否しようとしてくるだろうな。 そもそもどうして入れ替わったのかもわからないし。
元に戻るためには、まつなの協力が必要不可欠だと思う。
だけど、まつなの周りの状況を変える。もしくは、こいつの周りへの認識を改めなれければ、元には戻りたがらないだろう。
「……わかったよ」
「ありがとう、大事にするね」
「あげたわけじゃねーよ! 一時的にだ、一時的に貸してやる。」
「……けち」
そう易々と20年共にした体を捨てられるかっての。
「明日は、ゼミの出席日だからな。誰もと喋らず、終わったらすぐ帰宅を心がけろ」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。ゆうやのモノマネ得意だもん」
「じゃあまず、手にずっと持っているお人形から手を離せ」




