第8話 変わらない関係
8話目投稿です!
明日は一本だけ投稿します!
読みにくい所や分かりにくい所、言葉の意味が間違っている等と問題があれば、御指摘お願いします!
あれから一ヶ月の月日が経った。
教育の内容は変わらず日本語についてだ。
彼女、チカの成長スピードが著しく早く、今では骨格の問題で流暢に話すことは出来ないが日本語をしっかり理解するまでに至っている。
彼女と私の関係性はあれから変わっていない。
教師と生徒、研究者と実験体、初めの方はチカに対して情を持ってしまう事に不安を感じていたが、どこか人間と別の生物という線引きがあるのだろうか、情を持つ事は無かった。
他に、少し悲しい事があった。
それは彼女が日記を書いてくれないという事だ。
赤井姫乃が言うには面倒くさいから嫌だとボヤいていたらしい。
これに関しては私の教育、渡すタイミング、の問題だったと反省している。
そして今は算数を教えていた。
「ぅヴ?きみたけ?コレは、ドウイウコとダ??」
「これはだな……」
彼女は意欲的に勉強に取り組み、今では小6までの算数はマスターしていた。
「紀見塚さん、ちょっといいですか?」
振り向くと、扉を開けて赤井姫乃が入ってくる。
「チカ、少し待っていてくれ」
「わかっタ!」
部屋の外に出ると、
「聞けました?あの生物の過去」
「一応聞いては見たんですが覚えていないと言っていました」
チカの過去、彼女はどこでどのように生まれ、どのように生活していたのか。
それが新たな発見に繋がると信じて教育してきたはいいが、覚えていないとなると……
「そうなると教育係も解任されそうですね」
「え?」
「上はあの生物をこれ以上賢くしたく無いんですよ。人間より賢い生物がこの地球上に生まれてしまったら大変ですからね」
解任、その言葉を聞いて、これでこの件に関して解放されるのかという安堵感と、もうチカと会うことが出来なくなるという寂しさを感じた。
「まぁ、何かの拍子で思い出すかも知れないですし、上にはまだ様子見と言う事で報告しておきますね」
赤井姫乃は私の方を見ながらニッコリと微笑む。
「表情でバレバレでしたよ?そんなに好きなんですか?あの生物の事」
「そういう訳では!ただ……あの子と居ると自然と笑顔になるんです。勉強を教えている時、分からない所が分かったあの反応、とても微笑ましいんです。最も色々な事を学んで欲しいって思うんです」
「いや、それが……いや、まぁ、そのうち気付くでしょ」
「?」
赤井姫乃は呆れたように呟く。
何かしてしまったのだろうか?
「そうだ!所で話は変わりますが、今週の土曜日、お茶しませんか?」
「それはまた何故?ていうか何で私なんですか?」
「いいじゃないですか、近くで美味しい紅茶がある店を見つけたんですよね〜。友達と行こうかとも思ったんですけど全員職員で研究所から出れないですし。気軽に話せる知り合いって後は紀見塚さんくらいしか居ないんですよ」
「はぁ」
「じゃあ今週の土曜日!約束ですからねー!」
そう言って赤井姫乃はその場を離れた。
約束ですからねと言われても、了承していないのだが……
部屋に戻ると
「ヴぅー、きみたけキらイ!」
と言いそっぽを向くチカの姿があった。
「ごめんごめん、勉強中に」
「チガウ!ヒめノトきみたけ!ナカよシ!ソレチカいヤ!!」
「なんだ?チカも赤井さんと仲良くなりたいのか?なら言っておくが」
「チーがーう!!」
チカは何故こんなに怒っているのだろうか?女の子の考えている事は良くわからないな。
もっと勉強しなければ。
そんなこんな、私とチカの奇妙な生活は緩やかに進んで行くのだった。
土曜日、あの話を聞くまでは。
キャラクター設定
紀見塚健夫
42歳 原崎学院大学 心理学部名誉教授
動物に人間と変わらない自我を芽生えさす薬を開発することに成功。
そこからテレビにも出演して一躍時の人になる。
しかしその開発に至るまでに様々な動物を犠牲にしてきた為にこの功績を誇る事は無い。
学生時代から女っ気の無い生活を送ってきており言わば鈍感。
チカの事は今のところは生徒と思って接している。




