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少年と宇宙  作者: 津本ジオ


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通信塔へ

※内通者→裏切り者に修正(2026/04/28)

僕とアステルがお互いの名を呼んで微笑みあっていると、ノワールさんとササナミさんが打ち合わせを始めた。


「それでは、予定どおりヨーゼフを預かります。よろしいでしょうか?」

『もちろんです。厄介な者を押し付けてすみません……』

「いえいえ。ノワールブートキャンプの記念すべき第一期生です」

『ヨーゼフは金星L4での戦闘で死亡。市民データにはそう記載します』


シェルターの市民データは分散型台帳に記録され、遡及しての修正はできない仕組みだ。これでヨーゼフはシェルター社会から姿を消すことになる。

いつか、ノワールブートキャンプで更生したハブ・ジャッカーとして、別の名前で新たに登録されるのかも。

「スペースプレーンが低軌道に到達したら、降下ポッドで通信塔に引き取ります。あとはお任せください」

『ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします』

ササナミさん、ノワールさんには馬鹿丁寧なんだよな……。何でだろう。


「ササナミ、これからどうするんだい?」コハクさんが問いかけた。

『秘密裏に暗躍する異星の侵略者と、それに協力する組織が存在することを公表します』

「それがいいだろうねえ。侵略者のことはどこまで伝えるのかい?」

『侵略者の主力ともいえる思考機械は休眠状態。尖兵たる生体アンドロイド、教祖ザルヴァを確保したこと。この二点は確実に伝えますが、他は検討中です』

「そうだね。上位種族の技術が関わっているのは隠した方がいい」

『ええ。その技術自体に興味を持つ人間が現れるのは避けたいですから』


「裏切り者の件はどうする?」今度はアルが質問する。

『人類に対する背信容疑で、グローバル・ハーモニーと終末の審問官を国際シェルター会議に告訴する準備をしています』

「やつらも一網打尽か」

『グローバル・ハーモニーには、裏を知らない善良な会員も多いでしょう。大きな波紋を呼びそうですね』

「そうか。終末の審問官は時代遅れのカルトだと思われている。そっちはどうなる?」

『頻発する集団感染(エンデミック)と、フェイルノートでのテロ行為を白日の下に晒します。軽く考えていた人々も目を覚ますでしょう』

「違いない」


「まあ、今後のことは通信塔で考えるかね。ササナミ、世話になったね」

コハクさんの一言で会話は終わった。

『いえ、こちらこそお世話になりました。ノワール、いつでも遊びにきてくださいね』

「ええ、ええ。もちろんです。黒い化け猫伝説は続きますよ」

「あの都市伝説の元凶はお前か。世界中で子どもを驚かせて遊ぶな」

アルは過去、世界中を放浪していたから各地の怪談などにも詳しい。


「ノワールさん、いったい何をやってるんですか……」あきれて口を挟む。

「夜の繁華街に繰り出す子どもたちの足にスリスリして微笑むとかですかね」

笑顔でノワールさんが語る。猫の笑顔って本当にシュール。

これだけで都市伝説なりそうだ。

「ノーザンエンドではやっていないです。本物の猫に迷惑がかかります」

「ノワールは迷惑な猫」

アステルの結論でこの話は打ち切りだ。

ササナミさんに別れを告げて、跳躍艇は静かに雛琵琶(ひなびわ)に沈んでいく。


「大変だったけど楽しかったね」

「うん。クレープ美味しかった」

「今度はノーザンエンドに一緒に行こう」

「行く。約束」

アステルともっといろんなところに行きたい。もっと楽しいことをしたい。

そんな気持ちで一杯になった。


透明化した跳躍艇は、パイプラインを抜け、カタパルトデッキから音もなく飛び立つ。

シガ・シェルターともお別れだ。

『ササナミはノワールに恋をしているのですよ』

シガ・シェルター上空でエトナさんがこっそり教えてくれた。

猫に片思いする機械知性……いや、騙されるな僕。ノワールさんは猫じゃない。


まあいいや。それより最初の目的地、通信塔をようやく目にすることができる。

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激動への序章 ~来訪者~

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