第28話 アイドルカラーズ①
「はい、皆、赤羽メメ・オルタでーす」
『それとサポートAIの葵でーす』
配信画面右下に白髪で褐色肌、吊り目がちの赤眼。ドレスはダメージ系で黒色、扇状的である赤羽メメ・オルタの私。
そして画面左下には緑色のレオタード風ドレスを着た青髪ポニーテールの葵が映っている。
「えー、しばらくはお休みすると言っておきながら練習配信をします。すみません」
『ペイベックスVTuber下半期イベントがありますからねー。練習しないとー』
「……」
『なぜ私を睨んでるんですか?』
「ううん。目にゴミが入っただけだよー。アッハハ」
『では、アイドルカラーズスタートです』
スクリーンがアイドルカラーズのトップ画面に変わる。
ドーム会場の絵をバックにタイトル文字のトップ画面。
アイドルカラーズはスマホゲーム。それを葵がスマホの画面とパソコンを繋げてくれたのだ。
私はパソコン関係は苦手なため、こういう作業をちゃちゃっとしてくれるのはありがたかった。
「スタート!」
私は画面をタップする。
トップ画面からスタート画面に。
スタート画面は事務所。そしてUIとミニマーク。
「あれ? 勝手に何か始まった」
UIとミニマークが消えて、事務員風の黒髪ボブヘアーのキャラクターが現れた。
『チュートリアルですね』
「なるほど」
〈初めまして。私は事務員の捨石立世と言います。以後、よろしくお願いします〉
「捨石立世……ステージ、立つよかな?」
『たぶんそうでしょうね』
「でも捨石って……なんか悪くない?」
捨てるだもん。嫌な名字だな。
『しかし、昔は捨と名付けるのも良いと言われてましたよ。例えば豊臣秀吉も子に捨と名付けましたし』
「……その子、早逝したよね」
それで次の子には拾と名付けたとか。そしてその子はすくすく成長して秀頼になった。
〈まずはあなたのことを教えてください〉
画面がプロフィール入力画面になる。
「まずは名前ね。何にしよう」
『無難にオルタでよいのでは?』
「そうね」
私はオルタと入力。
次に性別。
女を選択。
『そういえば履歴書には性別欄が無くなったらしいですね』
「へえ。それならどうしてゲームにはあるんだろう?」
『ユーザーはプロデューサーの性別が気になるんでしょうね』
プロフィール入力が終わると先の捨石さんがいる事務所画面に戻る。
〈今日から貴方は新米プロデューサーとしてアイドルを育てていくことになります〉
「アイドルを育てる……これリズムゲームだよね?」
『そうですよ。ストーリー上としての方便ですよ』
〈では、さっそくスカウトしましょう〉
「スカウト?」
『方便方便』
〈こちらのスカウトをタップしてください〉
矢印が現れ、スカウトのUIを指し示す。
スカウトをタップすると画面が切り替わり、ガチャ画面に。
矢印は入門10連ガチャを指し示す。
「これを押せと? こういうのって課金になるんじゃないの?」
『入門10連ガチャはタダですよ』
「ふーん」
ガチャを回すとステージ画面に。
歓声とライト、紙吹雪が飛び交う。
ステージ中央がライトアップされて、シルエットが。
「普通、ライトアップされるとシルエットは……」
『演出ですよ』
画面いっぱいにキャラクターが表示される。
名前とレア度、キュートが記載されている。
『レアは全部でR、SR、SSRの3つです』
今当てた子はレア度はRだった。
「キュートは何?」
『属性です。キュート、パッション、クール、セクシー、ワイルドの5つあります』
そしてまたステージ画面に戻る。
演出を見て、キャラクターを引いていく。
『お? 確定演出ですよ!』
ステージライトがカラフルになると葵が声のトーンを上げた。
今までとは違い、画面がスチールいっぱい。
キャラクター表記もサインだった。
(aki……)
『おお! 秋葉ミレイ!』
「秋葉ミレイって読むんだ。いいキャラなの?」
『人気投票第2位の子ですよ』
「2位かよ」
『2位でも熱狂的ファンが多く、薄い本にされているキャラです。かつてとある同人即売会にてキャラ別で1位を獲ったんですよ』
「薄い本ってエロいやつだっけ」
以前に薄い本に関するトラブルがあり、意味を知ってしまった。
「可哀想な子だね」
『でも、人気なんですよ』
「人気で脱がされて、あんな目に遭うとは……」
『それにしてもたくさんキャラがいる中で秋葉ミレイを引き当てるとは。このキャラ一体でどれだけプレイヤーが金を投じたか』
「そんなに排出率低いの?」
『SSRは1%。しかも全キャラで100体いますからね。実質0.01%ですよ』
「100体!? そんなにキャラが!?」
割合よりも100体もいるということが驚きだ。
事務所だけでアイドル戦国時代じゃん。敵は身内かよ。
『まあ、初期はSSRキャラも少なかったこともあり、排出率も低くはなかったんですけどね』
「今は低いと」
『ええ。しかも新衣装バージョンもあったり、イベント限定バージョンもあったりと大変ですよ』
◯
その後、キャラを手に入れると次はキャラクター編成画面に変わった。
ちなみにSSRの秋葉ミレイ以降はSRキャラが一体で残りはRキャラだった。
捨石さんから編成の説明を聞き終えて、手動編成か自動編成かを選ばされ、私は手動編成を選んだ。
「ええと、まずセンターを決めるんだっけ?」
『はい。センターを決めることでセンタースキルが生まれます』
「一応、SSRの秋葉ミレイでいいかな」
センターに秋葉ミレイを置く。センタースキルは編成したキュートキャラのHPとスコア能力100%アップだった。
キャラにはHPとスコアの2つのステータスがある。
センターを置いたら残り4人を選ぶことに。
『そうですね。無難にSSRがいいでしょう。その後はスキルを見ながらですけど、スキル持ちはSR以上なので、当てたSRキャラを編成しましょう。あとはキュートキャラを揃えましょう』
私は残りのメンバーを選んで編成を終えた。キュートキャラは3体しかいないので残りはクールキャラとパッションキャラを選択した。
〈編成が終えましたね。それではライブを始めましょう〉
画面は自動で事務所の画面に戻り、矢印がライブのUIを指し示す。
ライブのUIをタップし、楽曲選択画面に移動。
〈こちらのプレイゲージを消費してゲームプレイが可能となります。チュートリアルでは特別にゲージ消費ゼロです〉
矢印が右上に数字を指し示す。どうやらそれがゲージらしい。現在は100でゲームプレイすると減っていくらしい。
「減ったらどうするんだろ?」
『5分で1ゲージ回復ですよ』
つまり1時間で12ゲージ回復か。
〈まずは練習としてこちらの曲を選んでください〉
【私はオンリーワンでナンバーワン!】
「何この曲?」
選択枠に曲名を合わせると音楽が流れた。
知らない曲だ。
『オリ曲ですね』
「知らない曲はちょっと……」
『大丈夫です。チュートリアルですので簡単です。あとはリズムよく押せばいいだけですから』
他の曲は選べないみたいなので、仕方なく捨石さんに指示された曲を選択する。
ゲーム開始の前に捨石さんからゲーム画面についてレクチャーを受ける。
流れてくるバーが手前のラインに触れるタイミングでタップ。
バーは普通のもの以外にも、長押ししてから離すもの、左右上下にスライドするものと3つあるらしい。
〈では、スタートです)




