一話 現状把握
周りには知らない植物や知らない虫、起きた時に握っていた紙、そこら中からする生き物の気配、わからない事だらけだったが、俺はいろいろ試す事にした。
まずこの紙、どうやら俺のことを書いている様だが、この魔法という欄はなんなのだろう?
それにMP、運という欄これはなんなんだ?
もし運をステータスとして乗せているならギャンブルなんて成立しないぞ。
しかも、俺の運は0どんだけ運が悪いんだろうか。
取り敢えず、銃魔法と言うのを試してみる。
このステータスの乗った紙の中で最も興味のある項目だ。
しかし、肝心の魔法の使い方がわからない。
暫く考えたが俺はゲームなんてやった事が無かったので素直に今まで握って来た本物の銃をイメージする。
そして銃無しで構え、引き金を引く。
他から見ればかなり滑稽に見えるだろうが今は周り人がいないので恥ずかしがらず引く。
すると音もせず地面に何かが当たる音がする。
(おかしい。俺はあの木を狙って撃ったはずなのに、地面に当たっている。)
そう思いもう一度引き金を引く。
今度は別の方向に飛んで行く。
(もしかして銃口が無いから適当に飛んで行ってるのか?)
ならと人差し指だけを前の木に向け、銃の引き金を引くイメージをする。
すると、木に何かが当たった。
木を見てみると少し皮がめくれている。
銃魔法は発動している様だが威力が弱い様だ。
(これでは実戦に使えんな。もしかして横に書いてあるLVが関係しているのか?)
そう考えたが、LVをどうやってあげるかわからないので置いておく事にした。
続いて時空魔法を試してみる。
しかし、こちらは経験がないのでイメージがつかない。
取り敢えず時計を進めたり、止めたり、巻き戻したりする事をイメージするが発動しない。
そして、ある考えに至った俺は早速試す。
イメージするのは俺の愛用しているブースタードラッグ。
首筋に刺し、薬を入れる事で一定時間自分の知覚できる範囲と身体能力を増長させる薬だ。
それをイメージして使うと、身体能力の増長は感じられなかったが明らかに周りが遅く動いているのが感じられる。
(体内時間が早まっているとかそんな所か。)
それを5分程使っていると急に倦怠感が表れ始めた。
ステータスの乗った紙を見ると、俺のMPが少なくなっている事が分かった。
(魔法を使うとMPを消費するのか。今のうちにMPが切れたらどうなるかも試しておこう。)
そう思い、時空魔法を使い続ける。
とうとうMPが0になった時、かなりの吐き気が襲ってきた。
吐き気を我慢しているとだんだんと痛みに変わっていき頭痛に変わった。
普通の人ならしゃがみこむ様な頭痛だが、そんな痛みになどとうに慣れてしまっている彼はそのまま放置する。
すると、痛みは酷くなる事は無く、そのままの痛みが続くだけだった。
痛みだけならと再び魔法を使おうとするが魔法は発動しなかった。
どうやら痛みに耐えられてもMPが無ければ魔法は使えない様だ。
ピロンッ、と間抜けな音がどこかから聞こえる。
何の音だ?と思い辺りを見渡すが何も無い。
そしてステータスの乗った紙を見て見ると、
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名前 : ソラ・サトミ
レベル : 1
MP : 30/0
力 : 20
敏捷 : 105
知力 : 20
魔法力 : 20
運 : 0
スキル
暗殺LV12
隠密LV8
耐毒LV3
対痛LV8
固有スキル
なし
魔法
なし
固有魔法
銃魔法LV1
時空魔法LV1
何故か対痛のスキルが追加され、MPの総量が上がっていた。
対痛のスキルは何と無く分かるが、MPはもしかして限界まで使い切れば上がるのだろうか?
だとすれば、早めに上げておくに越した事は無くだろう。
そう思い、MPが回復しては使い、回復しては使いを半日程繰り返した。
MPは60まで上がったので、取り敢えずその場所を離れた。
森の夜は動物が活発になるので、どこか野宿できる場所を探そうと思ったのだ。
最悪木の上で寝ることも想定して森を歩き回る。
すると、明かりのついた洞窟の様な場所があるのが見えた。
しかし、洞窟の入り口には人が立っており、ナイフを腰につけていた。
俺は死んだのに生きていることや銃が銃魔法になっている事からここが元いた世界では無い事は分かっていたが、洞窟の入り口にいる人が銃を持っていない事で確信した。
この世界は違う世界なのだと。
俺はこっそりと洞窟の入り口の近くまで近づき、武器を持った男の隙を伺う。
そして、男が欠伸をして、目を瞑った瞬間、俺は足音を殺しつつ、極限の速さで男の背後に移動し、後ろから膝を蹴る事で身長差のある男に膝をつかせ、男のナイフを奪いながら首に抱きつき、ナイフを首に当てる。
そして、子供とは感じさせない様な暗い声で聞く。
「おい、死にたく無ければ今からする質問に全て答えろ。」
男は驚いていたが、首を絞められながら全力で頷く。
「ここはどこだ?」
「ひぃっ!誰なんだおま…」
「質問しているのはこちらだ。」
叫ぼうとしていた男の口の中にナイフを突っ込む。
それに怯えたのか男は静かになった。
「ここはどこだ?国でも近くにある村の名前でもいい。答えろ。」
「こ、ここはラネール国内のシフ村の近くの森の中です。」
「そうか、では次の質問だ。お前はステータスの乗った紙を持っているか?」
「も、持っています。」
「見せろ。」
「で、でも。」
「いいから見せろ。」
男の首にナイフが少し入る。
「わ、わかりました!。」
急いで男がポケットから取り出す。
「これがステータスプレートです。」
「このスキルとはどう使う?そして、どうやってレベルを上げる?」
「す、スキルは誰かに見せてもらうか、自分で独自の技を編み出すかです。レベルは魔物を倒すと上がります。」
「魔物?」
「魔物は、ほらあそこにいる様な生き物のです。」
そう言って震える指で男が刺した先には、狐の様な生き物がいた。
「魔法はどうやって覚える?スキルや魔法のLVはどうあげるんだ?」
「魔法は魔道書か誰かに教えて貰えればできます。才能次第ですが。スキルLVや魔法LVは使い続ければ上がります。」
「そうか。では最後の質問だ。中には何人居る?」
「なんで中の事を…」
俺は再びナイフを首に刺しこむ。
「5人です!どうか答えたんだから殺さないでください!」
男が懇願する様な声で頼んでくる。
「ああ、もうお前は用済みだ。離れて良いぞ。」
俺は手を放す。
「へへっ。素直に放すとは馬鹿…」
男が振り返る前に男の首からは血が吹き出していた。
「お前が振り返って俺の顔を見ようとさえしなければ生かしてやったのにな。」
男はそのまま倒れた。
俺はそのまま中に入る。
先程聞いたスキルを使ってみる。
イメージするのは光学迷彩。
すると、自分の姿が消えていく。
しかし、驚いたのは普通の光学迷彩とは違い姿だけでなく、音も消えていて、影はおろか足跡すら残らない事だった。
暗殺では足音を殺したり、気配を殺す事は当たり前なので、もしかしたら暗殺のスキルなのかもしれない。
そうやって姿が見えない俺は難なく洞窟に入り、1人でいた男を入り口で奪った男のナイフで切る。
確実に頸動脈を狙い、息の根を止める。
奥に進むと中には部屋があり、そこから明かりが漏れて居る様だった。
中では3人が笑いながら酒を飲んでいた。
俺は静かに扉を開け、気付かれない様に中に入り、扉に一番近い男の後ろで止まると抱きつく様にして男の動きを止め、ナイフを突き立てる。
男達からは急に男から血が吹き出した様に見えたのだろう。
恐怖の色が見えていた。
そして、もう1人始末し、最後の1人の背後を取り、見えていた武装を全て落としてから、首を絞めつつ、姿を現し、質問する。
「シフ村にはどうやって行けばいい?」
「なんなんだお前は⁉︎」
「うるさい質問にだけ答えろ」
そう言って男の横腹にナイフを突き刺す。
「グァッ!痛え!何するん…」
「質問に答えろ。」
刺したナイフを無理やり捻る。
「痛え。わかった言うからやめてくれ!」
俺はナイフを引き抜く。
抜いた傷痕からはかなりの血が出ていたが関係なしとばかりに拘束を解かず急かす。
「シフ村には、この洞窟を出て、右に曲がって行くと道に出るから…その道を行けば…着くはずだ。」
「わかった。お前はもう用済みだ。さっさと死ね。」
「そ、そんな!」
男の首を切り、死んだ事を確認してから、手早く男達の死体を森の中に処分して洞窟に戻り、一息つく。
(明日はシフ村に行って見よう。)
そう考え、俺は眠りについた。
作者はなんとなくこのなんの憂いも無く殺せるソラの性格は好きです。
少しストーリーと噛み合わないところがあったので修正しました。




